令和3年5月第3週
5月10日(月曜)
昨日に無観客で行われた陸上の”READY STEADY TOKYO”で女子5000米走に出場した新谷仁美氏が、競走後に16分間の会見。一度は引退して4年間の会社勤めも経験した10000米日本記録保持者は、Social distancingに留意した国立競技場の観客席下通路にて、自身の想いと意見を吐露した由。
休憩時にマスクを着けない選手への批判は昨日に記した通りだが、其れ以外にも会場周辺で五輪開催に対する反対行動に関して「コロナに関係なく、運動に対して否定的な意見を持つ人は当然いる」が「その人たちの気持ちにどう寄り添えるかが重要」。「彼らも同じ国民」で「私達、運動選手は国民の理解と応援、支援が有って成り立つ職業」、「国民の意見を無視してまで競技をする様じゃ、其れはもうアスリートじゃない」。「自分達さえ良ければ良いと言うので在れば、本当に通用しないと思う」「競技で結果を出して、じゃあ良いよねって云う訳では無い」「しっかり自分の言葉で自分の意思を伝えることが大事」。「結果を出していれば良いという選手の気持ちも分からなくは無い」が、「結果を出したら、勇気や元気をもらえるのか」と云えば「多分、私が逆の立場だったら貰えない」し、「現実問題、スポーツで世界を救えるのならもうとっくに救えてます」等と持論を語ったが、五輪開催の賛否については、「アスリートとしてどういう答えが望ましいのかっていうのは分からない」と悩んでいるらしく、会見中に五輪開催を望むような言葉は一度も出なかった模様。
本日の重症者は1152人となり、3日連続で過去最多を更新。大阪市中央区に本社を持つ塩野義製薬が、本日に報道向け決算説明会。現在の国内接種で使用されているPfizer製造販売のコミナティ筋注がmRNAワクチンで在るのに対し、同社が開発しているのは遺伝子組み換え蛋白ワクチン。即ちウイルスから取り出した遺伝子を用いて別の細胞で、同社の場合は「昆虫細胞などを用いたタンパク発現技術」に因り抗原蛋白を精製し、此れを人体に接種する事で主に液性免疫を誘導する。一般的に免疫効果が弱いという弱点を補う為に、免疫効果を強化する物質で在る増強剤を添加して効力を高める事になるが、B型肝炎ワクチン製造にも利用される手法で在る。同社の遺伝子組み換え蛋白ワクチンは未だ第1/2相試験中とされているが、説明会に於いて手代木功社長は「十分な有効性と安全性を担保出来れば、条件付きの承認を考えてほしいと話をさせて貰う」と語り、「最終段階の大規模治験と並行する形」の条件付きの使用承認が得られれば、年内に実用化できる見通しを示した。
同じ説明会で「実用化後の全数調査等を条件として提案する方針」、「変異株に対応したワクチン開発も進めている」「出来るだけ早く経口の治療剤を作りたい」等の発言も聞かれたそうだが、此の辺りになると未知数の部分も混じり、今の所は話半分で聞いた方が良いかも知れぬ。
5月11日(火曜)
嘉悦大学教授にして菅内閣の内閣官房参与を務める高橋洋一氏が今月9日、新型コロナウイルスに関する資料を提示しつつ「日本はこの程度の『さざ波』」「これで五輪中止とかいうと笑笑」等とTwitterに投稿した件に関する続報。
氏の発言内容と態度に多くの批判が集まったのは当然として、引用された図表に関しては「米国のJohns Hopkins大学が公表している100万人当たりの新規感染者を国別に提示した情報」で、2021年5月7日時点のものと判明。新規感染者の多い順に印度、仏蘭西、加奈陀、独逸、伊太利、米国、日本、英国となっていた此の資料が、高橋氏が「日本国内の感染拡大は極軽度」という主旨の発言をした根拠とされている様だ。ただし、同じジョンズ・ホプキンス大学の情報でも、「新型コロナウイルス検査での陽性率」は5月6日時点で陽性率が高い順にネパール、印度、独逸、日本、仏蘭西、加奈陀、米国、伊太利、英国となり、むしろ日本の感染が他国に劣らず深刻で在る事が示されている模様。
高橋氏自身は報道機関の取材に応じて「笑笑は世界に笑われるという意味」等と主張したそうだが、例えば4月の時点でBritish Medical Journal誌とNew York Times紙が相次いで五輪開催の再考を求める論説を掲載。感染状況が悪化した今月には、Washington Post紙もThomas Bach会長は「ぼったくり男爵」と批判し、「政府首脳はIOCに別の搾取地を探す様に伝えるべきだ」「中止は痛みを伴うが、浄化にはなる」との一文を掲載した事実を鑑みると、中止を議論しても国外から笑われる事は無かろう。更に氏は、5月11日更新のyoutube「髙橋洋一チャンネル 第160回」でも反論。『さざ波』の表現は、元厚生労働省医系技官で今年2月に「新型コロナ、本当のところどれだけ問題なのか」なる著書を出版した木村盛世氏発言からの引用で、其れを示す為に二重鍵括弧に入れて表記した由。また氏の主張は「日本国内の感染は本来、取るに足らないもの」と云う点に留まらず、主眼は「諸悪の根源はコロナ用病床を増やさない厚生労働省及び医師会」への攻撃に在る模様。厚労省が様々な問題を抱えているとの見解には個人的にも同意するが、其の改革を真に望むのならば自身の立場を活用して菅首相や田村厚労大臣と話した方が良かろう。電網上で語られた氏の持論が信者に絶賛された所で、眼前の病床が増える訳では無い。
以前にも書いたやも知れぬが、高橋氏も含めた世人は如何も、医師会の実力を過大評価したがる嫌いが有る。医師会は全医師の意見を代表する機関では決して無く、何処まで行っても「開業医の寄り集まった業界団体」に過ぎぬので、「厚労省の決めた枠を超えて専用病床を増やす」と云う難事業を実現させる様な能力は、そもそも有して居ない。医師会の会員には民間病院の経営者等も含まれるが、労多くして利少ないコロナ診療に励む医療機関ほど収入は減り、院内感染が起きて世間からは叩かれ、職員の退職は増えるという悪循環に陥る。専用病床、或いは専用病棟、更には専用病院を作りたいのならば「先ず本丸の厚労省を動かすべき」で在り、其の為には「高橋氏の雇い主で在る菅総理に直談判するのが最良の手段」だと強調して置きたい。
高橋氏のtweetに関し、昨日会見で加藤勝信官房長官が「高橋参与には経済・財政政策に関して、諮問に応えて意見を述べて頂く」、氏の役割は「正に非常勤の職」で「其れに則って対応して頂く事が非常に大事」だが「個々の考えや個々の発信に就いては政府としては講評を差し控えさせて頂く」と発言。高橋氏の言動は内閣官房参与としては極めて不適切だと感じるが、本人に非が無いとすれば、此れこそ任命者たる総理の責任を問うべき事案なのかも知れない。
愛知県西尾市には大手薬局チェーン「スギホールディングス」の会長夫妻が居住しているそうだが、彼等へのワクチン接種を巡り、会長秘書から「2人のワクチンを早く打てないか」と同市の担当部署が何度も要望された挙句、副市長の指示で便宜が図られ、二人の予約を優先的に受け付けていた事が判明。本日に市長が「不適切で弁解の余地は無い」等と陳謝する事態となった。「外部からの指摘を受けて」市が急遽、予約を取り消した為に夫妻はワクチンを受けておらず、スギホールディングスは自社サイトに一連の経緯を説明する文書を掲載。「ワクチン接種を待つ西尾市をはじめ全国の方々に不快な行為であったこと、全国の行政の方々の努力に水を差す結果となってしまった」事に謝罪する反面、「会長自身は、過去にアナフィラキシーショックを経験しており、ワクチン接種は希望していません」と弁解。
海の向こうではファイザーと独逸企業BioNTechが開発した新型コロナウイルスワクチンに関し、米国の食品医薬品局が「緊急使用の許可の対象を12歳から15歳の子供にも拡大する」と発表。臨床試験の結果、12歳から15歳に就いても「ワクチンの接種後に新型コロナウイルスによる症状が確認された者は無かった」等と「効果と安全性を示す結果が得られた」として申請された対象年齢拡大が此の程、承認の運びとなった模様。ワクチンが余れば「子供にも打つべきだ」との世論も形成されるが、少なければ取り合いに為る。兎角、此の世は住み難い。
5月12日(水曜)
厚生労働省は本日、「新型コロナウイルス感染の重症者が過去最多の1189人になった」と発表。高橋洋一氏の『さざ波』発言に対し、菅総理大臣は今夜、記者団から「投稿を撤回すべきと考えるか」との質問に「twitterで反省の弁を述べているのではないか」、「任命権者として感染者を揶揄したとも受け取れる表現を許容出来るか」との質問には「其処は本人が謝っていると云う風に思っている」と述べ、自らの引責は勿論、参与罷免等も考えていない様子だった模様。高橋氏は「世界の中で日本の状況を客観的に分析する」事が自身の目標で在り、今後は「支障が出るような価値観を含む用語」の使用は避けると投稿したものの、私の知る限り氏は一言も謝罪はしていない。
伊太利の羅府で開催された庭球の大会、イタリア国際。男子個人戦1回戦で元世界9位に快勝し、粘土質試合場での海外遠征通算100勝の節目を飾った錦織圭氏が試合後に会見。東京五輪に関して「今回の様な百人規模の大会じゃなくて、一万人が選手村に集まって大会に参加する」「だから、簡単じゃないと思う」。「今、日本で起きている状態は上手くは行っていない」が、更に「世界中で今、起こっている事を考えなくてはいけない」。開催予定まで「まだ二三か月」が残っているものの、現状ならば開催は「とても難しい」。「コロナの感染は簡単に広がる」故に「選手村で百例、千例の感染者が出るかも知れない」。昨年8月に自身もCOVID陽性と判定された経験を持つ錦織氏は「例えばだけど、死人が出ても行われる事では無いと思う」「究極的には、一人もコロナ患者が出ない時にやるべきかなと思いますけどね」と語った由。
前日会見で「五輪は開催されて欲しい」が「此の一年」には「予想出来なかった多くの事が起こって」おり、五輪開催が「もし人々を危険に曝したり、とても不安な状況を強いたりするので在れば間違いなく議論されるべき」と良く言えば言葉を選び、直截に言うならば奥歯に物が挟まった様な表現に終始した大坂なおみとは異なり、踏み込んだ内容となった錦織氏の発言は海外でも広く報じられる一方、五輪で金牌を得る事を至高の誉と考える非職業的運動選手と四大大会で頂点に立つ事を生涯の目標とする職業的庭球選手の相違も話題となった。先に記した通り、錦織氏が論じたのは大会規模の比較と日本の感染が収束に向かわず寧ろ拡大し兼ねない現状で在り、国内の一部では「日本より伊太利の方が、遥かに感染者が多い事も知らぬ様だ」と嘲笑した者も居た様だが、的外れな批判と云うべきだろう。
五輪開催の是非に関しては、New York Times紙が昨日に“A Sports Event Shouldn’t Be a Superspreader. Cancel the Olympics.”と題した随筆を掲載。筆者のJules Boykoff氏は嘗て職業的蹴球選手として活躍。バルセロナ五輪の米国代表として国際試合に出場した経験を持ち、現在はPacific大学の政治学教授を務める人物。彼はコロナ禍に於ける五輪開催に関して感染が拡大する危険性を指摘しつつ、強行に突き進む理由は「三つ有る」、「金、金、そして金だ」と皮肉った。開催への姿勢を崩さない主催者を批判し「危険な茶番を止めるべきだ」「東京五輪を中止する時がきた」と強調した。 同氏は米国内の五輪放映権を持つNational Broadcasting Company(NBC)の電子版に於いても、今年2月に女性蔑視発言をした組織委前会長の森喜朗氏に対する批判記事を、3月に「聖火は消されるべき」との意見記事を寄稿。氏が自身のtwitterで記事を紹介して曰く「公衆衛生は経済的利益よりも重要」「“Enough is enough”(良い加減にしろ)」。
5月13日(木曜)
昨日に印度では34万8421人の新規感染を確認されたと発表。一日当たり4205人の死者は過去最多。Narendra Modi首相は来月に英国で開かれるG7首脳会議に招待されていたが、感染状況を考慮して対面では出席しないと同国外務省が発表。WHOは印度で最初に確認された変異株、即ち印度株を今月10日の時点で英国型、南阿弗利加型、伯剌西爾型に続いて「懸念される変異株」に指定。「複数の国で感染者の急増が確認され、感染力が強いと見られる」事、予備的研究にて「治療薬やウイルスの働きを抑える中和抗体の効果が低下する」可能性が示された事等が根拠となった模様。他は英国株が149、南阿弗利加株が102、伯剌西爾株が102の国や地域に於いて確認されている。
件の印度株に関し、衆議院厚生労働委員会で田村厚生労働大臣が「国内では10日までに空港検疫で66件、他で確認された事例が4件で合計70件を確認した」旨を公表。更に「印度を含む3ヶ国からの入国者」は「入国後14日間の待機期間のうち、6日間は国が確保する宿泊施設に留める」とする政府方針を説明し「非常に厳しい目を持って対応しなければならない」と認識しており「水際対策を含めて万全の対応をしていく」と述べた。政府分科会の尾身会長は「国が確保する宿泊施設に留める期間」について「理想的には14日間にした方が良い」が「施設を用意出来ない」或いは「住民の協力が必ずしも得られない」等の状況を考慮して「6日間と決めて頂いた」「今後も入国してくる人を少なくすることが求められる」と述べた由。
また政府は「過去2週間以内に印度、巴基斯担、尼波羅の3ヶ国に滞在した外国人」は「在留資格を持っていても原則、入国を拒否する」事も決定。期間は14日0時から「当分の間」との事。また「新規感染者の一部から検体を抽出して、要注意の変異株かを否かを調べる」現状の体制に加えて、「自治体から検体の一部を提供」された上で「国が委託した民間の検査機関で検査」を行い、印度型か否かの検査も段階的に始める体制も整備される模様。
日本医師会の中川俊男会長が記者会見を開き、「今回の第4波は全国全ての都道府県に変異株がジワジワ広がっているのが特徴」「短期間で指数関数的に感染者数が増える事も否定できない」、「全ての都道府県を対象にした緊急事態宣言の発令も、必要が有れば躊躇無く早めに出すべきだ」等と語るも、先月20日に「蔓延防止等重点措置が適用されていた東京都内で、自らが後援会長を務める国会議員の政治資金遊宴に出席した」件に関して「感染防止対策を徹底していた」が「多くの人が我慢を続けている中、慎重に判断すべきだった」「御心配を御掛けし申し訳ない」と陳謝。政治家に会って自身と会員の便宜を図るのは医師会長の本領で在り、言行に矛盾在りと言われても容易には止められぬのかも知れぬ。
昨日から緊急事態宣言の対象地域に愛知県と福岡県が加わり、6都府県に拡大。蔓延防止等重点措置も今月9日から北海道、岐阜県、三重県が追加されて8道県に拡大しており、いずれも今月31日が期限となるそうだが、更に政府は石川・群馬・岡山・広島・熊本の5県を追加する方針を固め、明日に専門家へ諮った上で決定する方針と伝え聞いた。期間は今月16日から来月13日となる模様。
5月14日(金曜)
日本共産党、立憲民主党、社民党等の支援を受けて都知事選に三度出馬。三度敗れるも、昨夏の都知事選で「新型コロナウイルスが蔓延し、関係各所が無理と判断した場合は、国際オリンピック委員会(IOC)に中止を働き掛ける」と宣言した弁護士で元日弁連会長の宇都宮健児氏。過去に7万4493件の署名活動を196ヵ国で成功させて来たと云う“Change.org“を利用し、今月5日の正午から「東京五輪開催中止」への回線接続署名を求める活動を開始。
署名活動の画面を開くと、進入禁止の交通標識が恰も五輪紋章の如くに五つ並んだ意匠が中心に配置され、「 政府や都、組織委員会がいまだに五輪中止の判断や要請をしていないことはあまりに遅い失策」だが「今からでも東京オリンピック・パラリンピックの今夏開催中止を即刻決断」して、「五輪中止によって利用可能になった各資源」を「新型コロナウィルスの感染拡大を防ぎ、人々の命と暮らしを守るために向ける」事を「強く求めます」と宣言。署名の宛先として「トーマス・バッハ」「アンドリュー・パーソンズ」「菅義偉」「丸川珠代」「小池百合子」「橋本聖子」の6名が列挙され、6日正午に宇都宮氏が「僅か1日(24時間)で5万6312筆もの署名が寄せられ」ており、「5月 17、18日に予定されているIOCバッハ会長の来日までに第1次集約を行いたい」と呼び掛けた所、同日19時45分の時点で10万筆を突破し、開始から二日後には20万筆に到達。
宇都宮市の活動に対抗して、8日に政治評論家の竹田恒泰氏が同じく“Change.org“で「東京五輪開催を支持するオンライン署名活動」を開始。「人々の夢と希望をつなぐため、東京五輪の開催を支持します」と宣言し、「5月7日に、SNSで池江璃花子選手に『五輪中止』や『反対』の声を上げるべき、との書き込みが溢れた」事で一念発起したと語る竹田氏の活動に、自民党議員の片山さつき氏や和田政宗氏が賛同。竹田氏は明治天皇の玄孫に当たり、御尊父の恒和氏は東京への五輪招致に尽力した人物だが、承知活動を巡って贈収賄の疑惑が浮上した事から2019年に日本オリンピック委員会(Japanese Olympic Committee; JOC)の会長職を辞任。仏蘭西の捜査当局からは現在も容疑者として捜査が継続されているという人物だが、今回の署名活動に対する恒和氏の関与は不明。10日18時の時点で開催派の署名は3万9000筆に留まったが、中止の署名は30万筆を突破。
そして本日午前に中止派の署名は35万筆を超え、宇都宮氏が「東京五輪・パラリンピックの開催中止を求めるインターネット署名活動を踏まえた要望書」を、国際オリンピック委員会(International Olympic Committee;IOC)と国際パラリンピック委員会(International Paralympic Committee; IPC)、東京都に提出。氏は都庁で記者会見を行い、感染拡大や医療逼迫が続く状況で「命を優先するのか、五輪という式典を優先するのか」「此の署名は人々の命を優先する運動だ」、大会が中止されたからと言ってIOCが大会組織委員会に賠償請求すれば「世界中から袋叩きに遭い、IOCは崩壊してしまうのではないか」等と語った由。宇都宮氏の政治活動全てを支持するものでは決して無いが、今回は私も開催反対で署名させて頂いた。
5月15日(土曜)
本日午前に気象庁は「九州北部と四国、中国地方が梅雨入りしたと見られる」と発表。いずれも平年より3週間程度早く、四国では統計が残る1951年以降で最も早く、九州北部と中国地方では2番目に早い入梅となった模様。偏西風と太平洋高気圧の位置が影響している様だが、此れに伴って九州では大気の状態が不安定になり、熊本県や鹿児島県で激しい雨を観測。今後も各地で豪雨の恐れが有るため、気象庁は「土砂災害や低い土地の浸水などに警戒するとともに落雷や突風に注意する」様に、と呼び掛けた由。
米国では疾病対策センター(Centers for Disease Control and Prevention; CDC)が「ワクチン接種を完了した者はマスク着用が原則不要」との指針を示した事を受け、バイデン大統領を含めた閣僚がマスクを着けずにホワイトハウスでの公務に臨み始めた模様。昨日も大統領報道官のJen Psaki氏が1月の就任以来、初めてマスク無しで記者会見室に登場。問答を行う記者達も大半がマスクを着用していなかった。「全国民の36%が接種を完了するも、昨今は停滞気味」との状況を踏まえ、接種を躊躇する国民に接種を促す狙いが有る様だが、再感染の危険も否定された訳では無く、やや危うい話だと感じる。
5月16日(日曜)
本日は広い範囲で雨や曇りの天気となり、午前11時に気象庁が近畿と東海の梅雨入りを発表。共に平年より21日、去年より25日早く、近畿では1951年以降で最も早い入梅が報じられると共に、全国で5261人の感染が発表された。Newsweek誌の日本版に「池江選手に五輪辞退をお願いするのは酷くない」と、自分が5月7日の項に書いたような題名の記事が掲載されていたので読んで見た。
埼玉工業大学人間社会学部の非常勤講師、bloggerでも在る藤崎剛人氏が綴る連載「現代ニホン主義の精神史的状況」中の1回。氏は「選手個人に対する誹謗中傷は許されない」のは当然として、「コロナ禍での開催が批判されているオリンピック」で「社会的影響力がある選手に辞退をお願いする人が出てくる」事は「世間が躍起になって封じなければならないほど悪質」とは言えず、「言論の自由の範疇なのではないか」。また「選手本人の気持ち、選手に対する市民の同情とは別個の問題」として、選手と市民の間には「構造的な敵対関係が存在する」と考えている由。五輪が開催される場合も選手達は優先的に接種や治療が受けられ、感染の危険を回避しつつ「自分の夢を追求できる」が、「一般市民はコロナ感染リスクを増やされる」。中止になれば「コロナ感染リスクはとりあえず増えることなく」「医療や行政のリソースをコロナへと集中的に傾ける」事が出来る一方で「選手の夢は絶たれる」。
そもそも「世界的な感染症が蔓延している」時期に五輪を開催しようとする事自体が「大きな矛盾」なのだが、此れは「極度に実存的な対立」で在り「構造上絶対に和解できない政治的対立なのだ」と氏は説く。五輪と云う行事は「極度に資本主義化されてしまい」、最早「止めることができない自動機械になってしまっている」のだ。東京五輪の開催に際し、電通が「スポンサーの一業種一社ルールを撤廃した」結果、日本の経済界は「メディアも含めてオリンピックに群がり、人々を巻き込んで、制御できない怪物をつくりだした」。そして、五輪代表に選ばれた当初から「池江選手はオリンピックの正当化を図る人たちにとって都合の良い正当化材料に使われてきた」経緯有り。
池江璃花子氏の様な「オリンピックのアイコンとして巻き込まれる選手」へ同情する人々に共感を示す一方で「オリンピック選手は市民と、上述した構造的敵対関係のうちに」在り、選手達が「その事情を理解したうえでオリンピックの側に立っている」のも事実だ、と氏は指摘する。「一選手といえども」「現状でのオリンピックの開催について全くの無関係、無関心でよいということにもならない」等と示唆に富んだ言葉が多く並んだ後、末尾は「スポーツの政治化が悲劇であることは間違いない」。「しかし一方で、この世の中で本質的に非政治的なものも存在しないのだ」との言葉で終わる。氏が先月に他の雑誌へ寄稿した「新型コロナウイルスの感染拡大に対して、強大な権力を持つ筈の安倍政権がこれほどまでに無能である理由」や氏のblog「過ぎ去ろうとしない過去」等の文章も読んで見たものの、独逸に依らず思想史に無知な自分には少々難解だったが、五輪に関する見解には納得の行く部分が多かった。




