表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
令和コロナ騒動実録  作者: 澤村桐蜂
PR
55/178

令和3年5月第2週

5月3日(月曜)

 黄金(ゴールデン)週間(ウィーク)真只中(まっただなか)だが、全国で4470人の新規感染が発生。感染に()る国内の死者は1万437人、大型客船の乗船者を合わせて1万450人。東京では708人が確認されたが、月曜日の700人超は今年1月以来との事。また東京都が「先月29日までの三日間に都へ報告された変異(へんい)(かぶ)感染」を調べた所、検査対象になった1087人のうち、60%に当たる649人で感染力の強いN501Y株の感染を認めた由。649人の内訳は10歳未満が27人、10代が61人、20代が193人、30代が106人と若年層での増加が目立ち、「大学の運動部で集団(クラスター)感染が発生」「男子学生52人と男性職員1人の合計53人の感染が確認され、先の報告と合わせて59人に到達」との事件も発生していた由。

 本日に防衛省の中山(なかやま)泰秀(やすひで)副大臣が来阪。候補地とされた大阪市内の府立体育会館と府立国際会議場を視察した後、高齢者の利便性等を総合的に考慮し、大規模(だいきぼ)接種(せっしゅ)センターの大阪会場を後者に決めたと会見で発表。「東京と同じく今月24日の開設を目指す」、「土日祝日を含めて毎日8時から20時(まで)、三ヶ月間に渡って接種を行う」が「対象は大阪の高齢者等に加えて近隣の兵庫、京都も念頭に感染状況も見極めながら決める」、「予約受付は電網(インターネット)を主とするも電話(コール)対応窓口(センター)の設置も予定」等の情報も併せて伝えられた。

 米国で供給されたワクチンは3億1200万回分を超えて、実行された接種は2億4300万回分以上に及び、接種を完了した人の割合は31.2%に到達。社会全体で感染を抑え、経済活動や社会活動を本格的再開するには接種率を更に高める必要が有ると考えられるも、一日当たりの接種回数は先月11日に1週間平均で320万回以上となった後は減少し、先月26日には240万回余りと速度が鈍化。高齢者等への接種が一段落した事のみならず、民間の調査団体が3月末に発表した世論調査で「接種を躊躇する者や否定的な人が全体の37%に上る」事が判明。若い世代や経済的理由から電網に接続できぬ者、不法移民等の接種率が低水準に留まっている事も懸念され、各州は接種推進の取り組みを模索している由。

 ワクチン供給が安定した紐育(ニューヨーク)のManhattanでは先月23日、米国自然史博物館に大規模な接種会場を設置。事前の予約は不要で市民や市内で勤務する者ならば、会場に来るだけで接種が可能。紐育州も「州が運営する全ての大規模接種会場で、予約無しで接種を受けられるようにする」と発表。東部Pennsylvania州やNew Hampshire州を含む18以上の州が住民以外にも接種の対象を拡大し、南部Florida 州の一部会場では海外からの旅行者も接種可能。Pennsylvania州の費府(フィラデルフィア)市では先月28日に「接種予約が見込みより少なく、翌昼迄に使用期限が切れるワクチンが4000回分残った」「接種をしていない市民に対し市内の接種会場で接種を受ける様に呼び掛けた」との事態も発生。南部West Virginia 州では接種率が伸び悩む16歳から35歳の年齢層に対し、知事が「接種を受けた場合、100(ドル)を受け取れる債券を配布する」と発表。

 Michigan州やNorth Carolina州の州立大学でも「接種を受けた学生に食堂で使える引換券(クーポン)を渡す」「抽選で寮費を安くする」等の取り組みが行われている反面、「接種を求められるのは権利や自由の侵害」で「政治的な問題だ」と捉える者も居て複雑な様だが、何れも接種先進国の話題。()(もの)強請(ねだ)りをしても仕方が無いので、我が国は先ず高齢者の接種を完遂させる事が先決だが、其れより早く五輪開催となれば遂に地獄の釜が開くか。今日も印度(インド)では36万8147人が感染し、3417人が死亡。連日3000人以上が亡くなり、死者の総計は21万8000人を超えて、世界で3番目に多くなった由。米国からレムデシビルが届き、英国が人工呼吸器1000台の追加提供を表明する等と各国から支援の動きが相次ぐも、依然として医療体制は危機的な状況との事。


5月4日(火曜)

 独逸(ドイツ南部の民顕(ミュンヘン)で行われる麦酒ビールの祭典、名高い"Oktoberfest"は昨年に続いて今年も中止が決定。しかし、欧州全体では外出や飲食店の営業制限を緩和する動きが相次いでいる模様。欧州連合(European Union; EU)各国は感染対策上、観光を含む「不要不急の目的に基づくEU域外から域内への渡航」を原則禁止して来たが、今月3日にEUの執行機関たる欧州(ヨーロッパ)委員会が措置を一部変更。「EUが許可したワクチンを接種済の者は域内への渡航を認める」事を加盟各国に提案した由。従前から「ワクチンを接種していなくても、10万人当たりの新規感染者数25人以下の国」からの渡航は許可されていたが、此の基準を「10万人当たり100人以下」に緩和する事も(あわ)せて提案された模様。現時点で域内への渡航が認められているのは豪州(オーストラリア)や韓国等の7ヶ国に限られているが、EUの Ursula von der Leyen委員長はtwitterに「観光業と国境を越えた友情を(よみがえ)らせる時だ」と投稿。

 仏蘭西(フランス)では今月3日、「自宅から10(キロメートル)」以内」と定められていた移動制限を解除。今月19日には(およ)そ半年振りに飲食店の屋外での営業が認められて映画館や博物館等を再開、来月9日には海外からの観光客(かんこうきゃく)受入(うけいれ)も再開して、同月末には(ほぼ)全ての制限が解除される予定との事。其の一方で「人口10万人当たりの新規感染者数が400人を超えた場合」や「集中治療室が逼迫(ひっぱく)しそうな場合」等の基準を定め、「感染状況が悪化した」と判定された地域には制限解除を止める措置も同時に設定された由。Jean Castex首相は「元の暮らしに戻れると云う見通しが有るからこそ、警戒を怠ってはいけない」「感染拡大が加速した際には素早く対応できる能力が必要だ」と語り、感染拡大が懸念される場合は制限を再び導入する事も辞さない姿勢を示しているものの、同国では今も連日、平均2万人超の新規感染者が発生し、集中治療室では5000人以上が加療される現実有り。或る救急医はNHKの取材に「フランスの状況は依然として極めて危機的」で「解除はEmmanuel Macron大統領による危険な賭けだ」と訴えた由。

 伊太利(イタリア)では全土20州が感染状況に応じて赤、(オレンジ)、黄、白に区分された上で、黄色区域の制限を大幅に緩和。此処に含まれるのは「過去2週間の新規感染者数が10万人当たり50人から150人」「集中治療室の使用率が30%から40%」等の条件を満たした地域だが、4月26日から首都の羅馬(ローマ)や大都市たる米蘭(ミラノ)(よう)する州を含む14の州が黄色区域に指定され、外出や小売店の営業制限が緩和されたほか、飲食店も屋外営業が認められた。入場者を収容人数の50%以下とする事等を条件に映画館や劇場なども営業が再開される一方で、同国でも感染状況が悪化して赤色や橙色の区域に指定されると、再び制限が導入される模様。独逸でも「過去1週間、人口10万人あたりの新規感染者数」が「5日連続で100を下回った」地域で制限緩和が認められるものの、英国で最初に確認された変異株に因る感染第3波が未だ収束せず、緩和に向けた動きは一部に留まるとの事。一連の動きには「夏季の長期休暇を迎える前に経済活動を本格化させ、観光客の受入態勢を整えたい」との意図が有るらしく、EUは今月中に加盟国の承認を得て、来月から上述の制限緩和を目指している由。

 印度の窮状に関しては昨日に記したばかりだが、本日も新たに35万7229人の感染が確認された。新規感染30万人超も既に13日連続で、累計感染者数は2028万2833人となり、米国に次いで世界2位。本日の死者は3449人だが、現地の日本大使館に依ると同国在住の邦人女性も昨日に死去しているらしく、印度で新型コロナウイルスに感染した日本人の死亡が確認されたのは初めてとの事。

 印度には凡そ1万1200の韓国人が滞在しているそうだが、斯様(かよう)な状況に対し、韓国政府は4月下旬から両国を結ぶ直行便の運航を中断する一方、現地に滞在する韓国人が帰国する為の貸切(チャーター)便のみ運行を許可。此の第一便が4日未明に印度南部のChennaiを出発し、同日午前に仁川(インチョン)空港に到着。約170人の乗客はPCR検査を経て韓国政府が用意した施設等で2週間待機する予定で、貸切便は今月7日にも南部ベンガルールから200人余りを乗せて出発する予定だが、韓国政府は更に増便を検討している由。日本政府も昨年に中国駐留の邦人を保護する為に特別機を飛ばした筈だが、「同じ事が印度で出来ぬ最大の要因は東京五輪」と見るは僻目(ひがめ)か。


5月5日(水曜)

 本日は黄金週間の最終日。関西3府県に緊急事態宣言が出される中、新幹線には空席が目立ち、空港や高速道路でも目立った混雑は無かったものの、航空便の予約状況は緊急事態宣言が全国に出された去年の数倍に増えた由。我が家では三年振りに柏餅(かしわもち)作りに勤しみ、不格好ながらも十個を(こしら)えた後は緑茶と共に賞味した。然様(さよう)長閑(のどか)とは行かぬのが大阪府の感染状況で、昨日の時点で重症患者は449人。確保された重症病床を上回った為に中等症用の病院でも治療せざるを得ず、高槻(たかつき)市にある大阪(おおさか)医科(いか)薬科(やっか)大学(だいがく)病院が府の要請を受けて、今月1日に集中治療室とは別の重症病床を2床、2日に更に2床増やして合計14床とするも、其の日に埋まって現在まで満床との事。

 PCR検査の検体(けんたい)取扱(とりあつかい)に関し、日本(にほん)郵便(ゆうびん)は郵送に際して「検体を容器に入れる際にウイルスを感染しない状態にする不活化(ふかつか)を行う」事や「容器を箱等で3重に包む」事等を利用者に求めて来たが、検査を請負(うけお)う業者や件数が増加するに伴って手順が守られず封筒で投函(とうかん)される例、其れが業者の指示で行われていた例も発生。同社では「利用者や社員の安全を確保する」為に今月10日以降は所定の手順が守られていない郵送は引き受けず、検体を差出人に返還する事を決定。配達人を介して集団感染が発生する危険性も考慮すれば当然の措置で在り、寧ろコロナ禍を利用して検査稼業で儲けながら感染対策も出来ない業者を処罰する為の立法も検討すべきだと考える。しかし、対COVIDワクチンの先駆者が得た巨利たるや、国内の中小検査業者とは全く比較にならぬ。昨日にPfizerが本年3月迄の第1四半期の決算発表。今年のワクチン売上は260億弗、1ドル=109円換算だと2兆8000億円余りで当初予想の1.7倍に伸び、全体の売上も大幅に増えて最大725億弗、7兆9000億円に上方修正。売上、利益とも前年同時期に比して45%の増収増益を記録した由。

 米国では今月3日迄に18歳以上の56.3%が1回はワクチン接種を受けた反面、先月中旬から一日当たりの被接種人数は減少に転じた。バイデン大統領は4日会見で「7月4日の独立記念日迄に大人の70%が最低1回のワクチン接種を済ませると共に1億6000万人が接種を完了する」と云う新目標を発表。接種を加速させる為に「事前予約無しで接種を受けられる会場を増やす」事や「地方により多くの会場を設ける」事を約束すると共に「此れは生死に関わる選択だ」「自分を守るだけで無く、自分が愛する人の命を守り社会を元通りに戻す為の選択だ」と呼び掛けた由。其の米国内で複数の報道機関が伝える所に拠ると、3月末の時点で約18万回分のワクチンが廃棄された模様。半数が同国の薬店(ドラッグストア)最大手のCVS/pharmacyで扱われたもので、2位のWalgreen Companyと合わせると約13万回分を計上。冷凍庫の誤作動で適切な保管が出来なかった事や店舗への過剰な供給が原因と見られるそうだが、米国では従前から「インフルエンザワクチン接種を薬局で薬剤師にして貰う」事が日常の風景となっていたらしく、COVID-19ワクチンにも同様の体制が適用された模様。

 また台湾当局は所謂(いわゆる)「ワクチン休暇」の制度を創設、本日から導入。同国の衛生福利部、中央流行疫情指揮中心が発表した所に拠るとワクチン接種後に一定数が発熱等の(ふく)反応(はんのう)を示す事を鑑みて同中心と労働部が対策を検討した結果、「接種後に発熱等の副反応が出た際に仕事を休む事が出来る」「接種当日と其の翌日に無給での休暇を認める」、「企業の従業員、公務員共に適用」されて「接種を記録した紙片(カード)以外の証明書は不要」、「企業と政府機関は休暇申請を拒否することは出来ない」等が定められた由。政府が是が非でも今夏に五輪を開催したかったのならば、国民の同意を得た上で昨年中に此の様な体制の構築とワクチン確保を済ませ、今年前半には国民過半数への接種を済ませるべきだった。後手後手で迎えた今年、ワクチン不足と共に接種担当の医師や看護師の確保に四苦(しく)八苦(はっく)し、副反応に(うめ)きながらも出勤せざるを得ない現実との落差を痛感。


5月6日(木曜)

 当方の連休は終わり、(こよみ)の上では平日。気が重いながらも職場へ向かう途上、制服姿で自転車を駈る高校生の群れと遭遇するも、世間的には今日明日も休んで九連休とする所が多い様で、車道は空いていた。大阪、兵庫、京都、東京に出された緊急(きんきゅう)事態(じたい)宣言(せんげん)が来週11日の期限まで一週間を切るも、感染状況に改善無し。各地域からの要請も有り、政府は「4都府県への宣言を月末まで延長する」方針を固めた由。また新たに愛知県と福岡県にも5月末まで緊急事態宣言を発令し、蔓延(まんえん)防止(ぼうし)(とう)重点(じゅうてん)措置(そち)()いては北海道(ほっかいどう)岐阜(ぎふ)県、三重(みえ)県を適用地域に追加する一方、宮城県を外す方針である事が判明したとの報道有り。

 今年2月に英国のAstraZeneca、3月に米国のModernaが行ったワクチンの承認申請に対し、厚生労働省は「今月20日に承認可否を同時に判断する」方向で最終調整に入った由。モデルナ社とは本年9月迄に2500万人分の供給を受ける契約が交わされており、政府は東京と大阪で開設予定の大規模接種センターでの使用を検討。6000万人分の供給契約を結んだアストラゼネカ社のワクチンは「(ごく)(まれ)に血栓が生じる危険性(リスク)有り」と指摘される一方で「効果がリスクを上回る」として年齢制限等を行った上で接種を続ける国もあり、専門家部会で対応が検討される模様。

 世界的に使用が先行しているPfizerとBioNTechが共同開発したワクチンは、米国や加奈陀(カナダ)でも16歳以上を対象に使用が許可されて来たが、対象拡大を目指した治験の結果、今年3月に「12歳から15歳では接種後に新型コロナウイルスによる症状が確認された者無し」との結果が発表された。此れを受けて昨日、カナダの保健当局が「科学的な証拠を検討した結果、12歳から15歳に対しても安全で効果的だと判断した」として使用を許可。「子供達への接種拡大で安全に対面での授業を再開する」との社会的要請に基づいて一昨日にJoe Biden大統領が「規制当局の許可が出れば、すぐに全米の薬局などで接種ができるようにする」と語り、米国でも遠からず12歳から15歳への接種に緊急使用許可の判断が下される模様。

 途上国へのワクチン確保が進まぬ中、南阿弗利加(アフリカ)印度(インド)が「低価格の同一有効成分(ジェネリック)ワクチンを自由に生産出来るように特許権(とっきょけん)を一時的に停止(ていし)する」事を提案したのに対し、世界貿易機関(World Trade Organization; WTO)が特許権一時的停止の可否を協議。ワクチンを十分に確保出来ていない途上国の間で支持が広がる反面、ワクチンを開発した大手製薬会社を抱える欧米の先進国は「特許権を停止すれば将来の技術革新に支障が出る」等と慎重な姿勢を示していたが、昨日に米国のバイデン政権で貿易政策を担当するKatherine Tai通商代表が昨日に「世界的大流行(パンデミック)を終わらせる(ため)に特許権の停止を支持する」と述べた由。世界保健機関(World Health Organization; WHO)のTedros Adhanom Ghebreyesus事務局長がtwitterに「世界規模の公衆の難題に取り組む米国の指導力(リーダーシップ)の強力な例だ」と投稿しており、米国の方針修正に呼応して他の先進国も特許権の一時停止に賛同するかどうかが注目される反面、瑞西(スイス)寿府(ジュネーブ)に本部を置く国際製薬団体連合会(International Federation of Pharmaceutical Manufacturers and Associations; IFPMA)は「米国政府の決断には失望させられた」とした上で「特許権の停止は複雑な問題に対して間違った解決案」「生産量が増える訳でも、世界的な健康危機に立ち向かう実用的な策を提供する訳でも無い」「貿易障壁の解消やワクチンの原材料不足等の課題から目を逸らし、逆に混乱を招く」等と主張。IFPMAの主張にも多少の事実は織り交ぜられているのだろうが、基本的には利権擁護の言に過ぎぬ。「効果が確認されたワクチンの特許が停止されて各国で安価に製造出来る事は広く、速やかにワクチンを流通させるのに有益」と考えるのが常識的判断だろう。

 印度では本日の新規感染者数が41万人を超え、隣国の尼波羅(ネパール)錫蘭(スリランカ)(タイ)国、柬埔寨(カンボジア)等の東南亜細亜(アジア)諸国でも感染者が急増。斯様な状況を踏まえて、G7外相会合の為に訪英中の茂木(もてぎ)敏充(としみつ)外務大臣が日本時間の昨夜、印度のSubrahmanyam Jaishankar外相と会談。インドの危機的な医療体制を支えるため、先に決定した人工呼吸器等の供与に加えて「最大5000万ドル、日本円で凡そ55億円の無償支援」を約束。「自由で開かれた印度太平洋の実現」や日印関係の強化も話題に上った反面、同国代表団中の2名にCOVID陽性が確認された事から会談は急遽、回線接続(オンライン)に変更されたとの事。


5月7日(金曜)

 白血病を乗り越え、競泳の東京五輪代表に内定した池江(いけえ)璃花子(りかこ)氏が、本日にTwitterへ投稿。Instagram Direct及びTwitterのreplyを介して五輪出場を辞退して欲しい、或いは反対の声を挙げて欲しい等の声明が多数寄せられていた状況が明かされた事も含めて、其の内容が国内外を揺るがした。

 氏の訴えに曰く「もちろん、私たちアスリートはオリンピックに出るため、ずっと頑張ってきました」。然れども「今このコロナ禍でオリンピックの中止を求める声が多い」事は「仕方なく、当然のことだと思っています」。氏も他の選手も「きっとオリンピックがあってもなくても、決まったことは受け入れ」「やるならもちろん全力で」協議に取り組む反面、五輪が「ないなら次に向けて、頑張るだけだ」と覚悟している。「持病を持っている」彼女は「目の前にある重症化リスクに日々不安な生活」を送っている現実も有り、「私に反対の声を求めても、私はなにも変えることができません」と思い、「今やるべき事を全うし、応援していただいている方達の期待に応えたい一心で日々の練習をして」いるが、「非常に心を痛めたメッセージ」を送られて「それを選手個人に当てるのはとても苦しい」と感じている由。

 電網(インターネット)を見渡した限り、世間の反応としては彼女に同情して投稿者を批判する声が大半だった様だが、当方としては池江氏の心情を(おもんぱか)りつつも多少の違和感を覚えた。昨年7月24日の式典で聖火の提灯(ランタン)を掲げて一年後の五輪開催を訴えた氏の存在は、選手として復活する以前から既に「東京五輪の一つの象徴」と化している。もし彼女が出場辞退や五輪開催反対を叫んだとすれば、如何(いか)なる金牌(ゴールド)獲得選手(メダリスト)の発言よりも強い影響力を持つのは明白で、「なにも変えることができません」等と言うのは過小評価が過ぎる。複数の五輪協賛企業から広告出演料を受け取っても居る筈の彼女がSNSを使っていれば、其処(そこ)へ「辞退して欲しい」等の声が届くのも当然で、応援だけを受け取る窓口と云う訳にも行かぬだろうと愚考するもの(なり)。以上は()くまで「節度を守って彼女へ意見を伝える行動」に関する見解で在り、主張の方向性に関わらず誹謗(ひぼう)中傷(ちゅうしょう)を送り付ける者達を擁護するものでは決して無い。当方はtwitterの使用権(アカウント)も入手した事が無く、池江氏に蹶起を求めた一員でも在り得ぬ旨も蛇足(だそく)ながら記して置く。

 本日の感染者数は3ヶ月半振りに六千人を超過。全国各地で過去最多の感染者が確認され、死者数も2月以来の多さとなる118人に及んだ。政府は東京都、大阪府、京都府、兵庫県の4都府県に今月11日迄を期限として発令した緊急事態宣言に関して「感染が急拡大している愛知県と福岡県も対象に加えた上で、31日まで延長する」旨を決定。また宮城県、埼玉県、千葉県、神奈川県、愛媛県、沖縄県を対象とする蔓延防止等重点措置については「11日を以て宮城県を解除する」一方、「新たに北海道、岐阜県、三重県を加えて」「期限を31日まで延長する」と発表。

 東京五輪に関して「開催出来るのか、開催して良いのか」「国民の命と暮らしを守る事と五輪・パラリンピック開催の両立は可能なのか」等と記者会見で質問された菅総理は「開催に就いて心配の声が国民の皆様から上がっている」状況は「承知している」と応じつつも「国民の命や健康を守り、安全安心の大会を実現する」事は「可能と考えており、しっかり準備をして行きたい」と述べたが、額面通りに信じる者は少なかろう。池江氏は「わたしに限らず、頑張っている選手をどんな状況になっても暖かく見守ってほしいな」とも語っていたが、五輪強行が我が国に未曾有(みぞう)の感染拡大を招来し()ねない現状では至難(しなん)(わざ)かと(ぞん)ずる。


5月8日(土曜)

 本日の感染者数は7251人で、今年1月16日以来の七千人超。重症者数は1131人で過去最多となった前日から増減なし。一昨日のPCR検査は速報値で1日5万4793件。都内では新規1121人が新型コロナウイルスに感染していることが確認され、3回目の緊急事態宣言発出後では最多。本日迄の7日間平均は776.6人となり、前週の97.3%を記録。時期を考慮すれば連休中に幾らか増えたと見るのが妥当だろうが、今後は更に連休中の感染が陽性化、発症と転じる事が懸念される。

 新たに緊急事態宣言の対象に加えられた地域のうち、愛知(あいち)県は県民に「生活に必要な場合」以外は「日中も含めて外出の自粛」と「県を(また)ぐ不要不急の移動を極力控える」事を求め、「酒やカラオケ設備を提供する飲食店」に休業、「酒等を提供しない飲食店」にも営業時間を20時迄に短縮する事を要請。百貨店や博物館を含む「大型の集客施設」には20時終業を求めたが、「映画館や劇場」に対しては「営業時間を午後8時までとするよう要請する」とした昨夜の発表と異なり、最終的には21時終業が要請された模様。対して福岡(ふくおか)県の中枢、JR博多(はかた)駅周辺では午前中から買い物客等が(つど)い、先週以前の週末に比して人出が減る様子無しとの事。緊急事態を横目に五輪の準備は進められ、本日は長崎(ながさき)県で聖火(せいか)中継(リレー)が実施されると共に、東京では新体操の試験的大会が本番と同じ有明体操競技場で開催。日本代表選手団と関係者、無償協力者(ボランティア)等の約220人が参加。明日は新宿区の国立競技場で、陸上の試験的大会が予定されている由。

 今週3日の項にも記したが米国、特に紐育ではワクチン普及や感染者減少に伴い、諸般の社会活動が再開に転じている。先月末に「7月1日にニューヨーク市を完全に元に戻す準備が出来ている」「我々には隧道(トンネル)の終わりに在る光が見える」と述べたBill de Blasio市長に対し、ニューヨーク州のAndrew Cuomo知事は「必要な事をすれば、もっと早い再開も有り得る」と更に楽観的な発言で応じたが、更にクオモ氏は、昨年9月から長らく休演が続いて来た著名な公演に関して、今週5日の会見で「世界が愛するBroadwayも9月から完全に再開できる」と確約。9月14日から収容人数に制限を設けずに音楽的演劇(ミュージカル)の公演を催す事が認められ、6日から入場券の予約販売が開始された状況に対し、劇場関係者の団体も「Broadwayは紐育観光にとって()わば心臓だ」「再開が待ち切れない」と歓迎した由。

 対して爆発的な感染拡大が続く印度では、一日当たりの新規感染者が三日連続で40万人を上回り、一日当たりの死者が遂に4000人を超えた。同国首都の新徳里(ニューデリー)では地元政府が「海外から提供された酸素生成装置が複数の病院に設置され始め、酸素の供給量が増えつつ在る」と説明するも、今月6日時点でもニューデリー全体で供給可能な酸素は必要量の6割程度で依然として不足。日本から送られた酸素濃縮器100台が現地時間8日午後に到着する等、海外から続々と届く医療物資が各州に配布されているとの情報も有るが、国民の多数が感染した大国と云う点は同様でも、行く末は明暗が分かれるものだ。


5月9日(日曜)

 昨日に記した通り、本日に国立(こくりつ)競技(きょうぎ)(じょう)で陸上の試験的大会”READY STEADY TOKYO”が開催された。「入国および日本での滞在」に際して「万全な防疫体制」が取られた上で海外から9名の選手が出場したものの、大半の参加者は日本在住の選手。それでも女子5000(メートル)走に出場した新谷(にいや)仁美(ひとみ)選手の証言に依ると、休憩時のマスク着用が求められていた筈の練習場で「していない人が結構いた」由。「マスク警察じゃないけど、小さい事から気を付けないと」「他の選手も気を使って欲しい」と訴えたそうだが、決して小事(しょうじ)では無く、万全どころか「此の時期に感染対策の基本すら徹底出来ぬ(ざる)の如き体制」で五輪に臨もうとしている現状が期せずして証明されたのは、寧ろ大事(だいじ)かと考える。集中を乱された為か、新谷氏の競走(レース)は15分18秒21で5位に終わって公言していた日本記録も出せず仕舞(じま)いとなり、「(ビッグ)(マウス)と書いてください」と吐き捨てたとの事。

 時を同じくして競技場の外では、東京五輪パラリンピック開催の中止を求める街頭活動が繰り広げられていた。「反五輪の会」及び「オリンピック災害おことわり連絡会」の共催で、(およ)そ百人が参加。拡声器を通して「五輪、聖火中継、テストイベントは今すぐ止めろ」「医療が優先、生活、命を守れ」「バッハはぼったくりだ」等の叫びが(こだま)し、「中止だ中止」「コロナ五輪」「殺人五輪」等の文字が並んだ板状掲示物(プラカード) が天を()いた。「参加者の3倍ほどの警察官が誘導する物々しい雰囲気」の中で競技場周辺の道路を2時間掛けて二回りする間に「興奮した参加者が誘導する警察と一触即発」、感染対策として間隔を空けて行進する事が事前に求められるも「行進は密の状態が続いていた」等の行状は褒められぬものの、泥縄式で五輪開催を推し進める者達への怒り自体には共感する。

 同じ意見を持つ者は決して少数派では無い様で、一昨日から本日迄に読売(よみうり)新聞(しんぶん)(しゃ)が全国で輿論(よろん)調査(ちょうさ)を行い、今夏の東京五輪やパラリンピックに就いて尋ねた所、「中止する」のが良いと回答した者が59%と最も多かった由。「開催する」と答えた者は「観客数を制限して」16%と「観客を入れずに」23%を合わせても39%に留まったが、緊急事態宣言が発令された6都府県では「中止する」の平均が64%に上がり、開催都市とされている東京都でも61%で、其の他41道県の平均57%を上回った。然れども本日、内閣官房参与たる高橋(たかはし)洋一(よういち)氏が各国の感染者数を示す図表を提示すると共に「日本はこの程度の『さざ波』」「これで五輪中止とかいうと笑笑」とtwitterに投稿。政府側の人間が国民感情を嘲笑する愚言を吐いた本件に関しては、国内外の反応も含めて明日以降に詳述させて頂きたい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ