令和3年4月第3週
4月12日(月曜)
本日から東京都や京都府、沖縄県でも蔓延防止等重点措置を開始。適用済の3府県と合わせて、対象地域は6都府県に拡大。指定された市区に於いては、知事が飲食店等に営業時間を20時迄に短縮する様に要請・命令する事が可能となり、中小企業へは売上高に応じて1日当たり4万から10万円、大企業ならば最大20万円が支給される反面、命令に背いた場合は20万円以下の過料が課される模様。
全国知事会で小池百合子都知事は「全国的に感染力が強い変異株の猛威が見られ、東京でも変異株の感染者や接触歴の不明者が増えている」と発言。更に「コロナとの戦いは新たな局面を迎えたという認識が必要だ」と語り、重点措置の期間中は他の道府県との往来自粛を含む人流の抑制、回復期患者の転院先を確保して病床を調整する等の対策を徹底するとの意向を示した由。
65歳以上の高齢者に対する新型コロナウイルスワクチンの優先接種も、本日から開始。初日に全国120ヶ所以上で接種が行われる予定だが、優先接種の対象となる高齢者は凡そ3600万人で日本人口の3割近く。昨日迄に都道府県に配送されたワクチンは、1瓶5回で計算して東京、神奈川、大阪が各々(おのおの)3900回分、其の他の道府県が1950回分。厚生労働省は今後、自治体への配送量を増やしていく計画で「今年6月中には対象の高齢者全員が2回接種できる量を配送できる見通し」との事だが、接種を受けるには「自治体から接種券が届いて以降、電話やインターネット等で予約を行う」必要有り。如何にも新局面との感は有るが、未だ希望は見えず。
4月13日(火曜)
本日に大阪府内で確認された新型コロナウイルスの新規感染者は、1000人を超えて過去最多。御隣の兵庫県でも最多の391人感染が確認される等と感染拡大が収まらず、「緊急事態宣言を再発令すべき」との声も聞こえる大阪にて、本日に吹田市の万博記念公園から府内の聖火中継が出発。明日までに18市町を通過する予定だったが、公道の使用は中止して同公園内のみを走る事とし、走者1名に付き家族等4名迄の観覧が例外として許可される以外は無観客での実施となった由。此の期に及んでも五輪中止の判断が為されぬのは、怪奇の一語に尽きる。
2割超の自治体が「集団接種の会場で必要な看護師が不足している」と訴えるも「看護師等の派遣労働は過疎地域を除いて原則禁止」との状況に対し、本日に厚生労働省が労使の代表で作る部会を開催。「看護師と准看護師の接種会場への派遣」を「来年2月末までのおよそ1年間」に限って特例で認める案を示した。一部の委員から「本来は直接雇用すべきで安易な派遣の拡大は認められない」といった慎重論が出るも、「計画的に接種を進めるためには妥当な措置だ」との見解が大勢を占め、厚生労働省は近く省令を改正して全国に通知する模様。此れで問題は一つ解決するか。
東京電力福島第一原子力発電所で増え続ける処理水の処分に関し、本日に政府が関係閣僚会議を首相官邸で開き、海洋放出の方針を正式決定。残留する放射性物質トリチウムの濃度を国の基準の40分の1未満まで薄めた上で、2年後を目途に原発敷地内から放出を行い、風評被害には東電が賠償対応する由。政府が福島第一原発の処理水を海洋放出する方針を決めたことを受け、全国漁業協同組合連合会の岸宏会長は「7日に反対を申し入れ、慎重な判断を求めたにも関わらず決定された事は極めて遺憾」で「到底、容認出来るものでは無い」、「強く抗議する」と訴えたそうだが、現実的に他の解決策は有るまい。
4月14日(水曜)
世界保健機関(World Health Organization; WHO)の報告書に拠ると、英国で最初に確認された変異株の報告が有った国や地域は、13日の時点で132。2週前と比べて二つ増えた。南阿弗利加型が報告された国や地域も二つ増えて82、伯剌西爾型は七つ増えて52となった由。此等3型は「懸念される変異株」として監視が強化されているが、ブラジルでは今年1月時点で検出された変異株の割合28%に対し、先月は73%に上昇。報告書では、3型に次ぐ「注目すべき変異株」として比律賓や日本で先々月に確認された変異株、仏蘭西で今年1月に確認された変異株等の6型が挙げられたとの事。
国内でも、新たに4312人の感染を確認。1日当たりの新規感染者が四千人を超えたのは1月28日の4127人以来。兵庫県で507人が陽性となって初の500人超。東京都は591人、二日連続で五百人を上回る等と各地で拡大傾向だが、其の中でも大阪府が特に多く、過去最多の1130人の感染が判明。府内の感染者は総計6万3174人を数え、7人の死亡を加えて府内で亡くなった者は1234人に及んだ。更に大阪府の重症患者は13日時点で233人と、直近二週間で2.5倍に急増し、重症患者用の病床227床をも上回った。府知事の吉村洋文氏は「厳しい状況だ」「重症化率が高い事で病床が逼迫している」と危機感を示した。従来は感染者数が少なかった10代から20代の学生にも集団感染が府内で急増している事を踏まえ、今夜に開催された緊急の会議で「原則、小中学校や高校の部活動は休止」「大学の授業はオンラインで実施するよう要請」等の方針も決定した由。
また昨日に厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策顧問委員会が会合。座長を務める国立感染症研究所長、脇田隆字氏から「関西では第三波に比べて、変異株の影響も有って感染者や重症者が増加する速度が速い」。「医療機関では、一般の医療の抑制や救急患者の受け入れ率の低下が起きる等、非常に深刻な状況」との指摘有り。更に「関西では感染力の強い変異株が既に主流」となり「東京でも半分程度が置き換わる」等と首都圏でも急速に割合が上昇している」と警告。本日の衆院内閣委員会にて新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長も、昨今の感染状況は「所謂、第四波と言って差し支えない」と肯定し、蔓延防止等重点措置の追加適用も「極めて迅速に機動的に出す必要がある時期に来ている」と指摘。
然れども参議院本会議で野党の立憲民主党から「此処に来て変異株が首都圏でも急増している」が「こうした危機的状況でも、第四波では無いと言い張るのか」と問い質された菅義偉総理大臣は「関西圏など特定の地域を中心に急速に感染拡大が進んでいる」ものの「現時点で全国的な大きなうねりとまではなっていないと考えている」と答弁。事後に立憲民主党代表の枝野幸男氏から、「感染の第四波と云う状況」を認めぬ総理は「客観的な事実に目を瞑って適切な対応が出来る筈が無い」と批判された由。宜なるかな。
4月15日(木曜)
感染拡大の影響に因って、大阪府内に在る180の府立学校のうち、17の高校や支援学校が休校。京都では例年七月に行われる祇園祭の見せ場、山鉾巡行が昨年に続き、今年も中止と決定。沖縄県内に於ける東京五輪の聖火中継に関し、沖縄本島でも9市が重点措置の対象となる事から「本島の公道を走る経路は全て中止」の方向で調整。
国民民主党の玉木雄一郎代表が「大阪や兵庫は病床も非常に逼迫した危機的な状況で緊急事態宣言に移行すべき」「東京等に就いても宣言を出して短期に感染拡大を抑え込んで行く事が必要ではないか」と述べたのは野党発言として当然だが、自民党の二階俊博幹事長がテレビ番組出演で「新型コロナウイルスの感染状況が、より深刻になった場合の対応」を問われたのに対して「其の時の状況で判断せざるを得ない」が「此れ以上、とても無理だと云う事で在れば、スパッと止めなければならない」、「感染症を蔓延させたら何の為の五輪か分からない」と至極真っ当な事を言い出したのには驚いた。
何らかの政治的駆け引きも念頭に在ろうが、関係者は周章狼狽。小池都知事は「其れも選択肢だという発言」或いは「叱咤激励」若しくは「此処はコロナを抑えて行きましょうと云う意図だと受け止めている」、五輪・パラリンピック担当大臣の丸川珠代氏は「予断を持って臨むのではなく、きちんと柔軟に対応しなさい、と云う指示だと理解している」と微妙に話を逸らし、大会組織委員会の橋本聖子会長は夕方になって報道陣の取材に応じるも「発言を直接は聞いていないが、心配しているという気持ちを仰ったのではないか」、組織委としては「安心安全で此れなら出来る、遣って貰いたいと云う舞台を作るのが責務」で「皆さんにそう言って貰える様に努力する」と当たり障りの無い話をした模様。
周囲の動揺を一頻り見渡した所で自身の影響力に満足したのか、二階氏が再び発言。「大会は是非成功させたいと云う思い」だが「何が何でも開催するのかと問われれば、其れは違うと云う意味で申し上げた」と釈明しつつ「そもそも大会の開催の可否は関係者が決定する事」「自民党としては安全・安心な大会の開催に向け、しっかり支えていく事に変わりは無い」と語った。其の声明を受けて、夜に菅義偉総理大臣が「政府としても開催に向けて感染防止に万全を尽くして行きたい」「此れは変わらない」と語り、此の一件は幕引きとなる雲行。そして菅総理は今夜、初の米国訪問に向けて出発。米国内で感染拡大が続く等の事情で当初の予定から1週間延期となるも16日午後、日本時間では17日未明に華盛頓でJoe Biden大統領と会談を持ち、日米同盟の強化や中国への対処に関して方針を確認した後、18日に帰国する予定との事。とりあえず此の時期に日米を行き来されるのならばSARS-CoV2、即ち新型コロナウイルスを先方に持ち込まず、帰国時も持ち帰らぬ様に願いたい。
4月16日(金曜)
新型コロナウイルスの感染状況の悪化を受けて政府は新たに埼玉、千葉、神奈川、愛知の4県に蔓延防止等重点措置を適用する方針を固め、本日に基本的対処方針分科会へ諮問。出席した専門家の間で「奈良と福岡の状況を注視する必要がある」との指摘や「今後の感染状況を市区町村単位で細かく見ていくべきだ」と云う意見が出るも、最終的に分科会も了承。17時半過ぎから総理大臣官邸にて政府の対策本部が会合。4県に対して「来週20日から来月11日まで蔓延防止等重点措置を適用する」事が決定した由。重点措置の対象地域は各県の知事が決める事なれども、埼玉は、さいたま市と川口市。千葉は、市川市、船橋市、松戸市、柏市、浦安市。神奈川は、横浜市、川崎市、相模原市。愛知は名古屋市になる見込み。
今回の決定で重点措置の適用は10都府県に拡大される事になるが、既に措置適用済の東京や大阪でも感染者数は増加の一途を辿っている。本日の新規感染者数は全国で凡そ3500人で、38の都道府県で感染が拡大している状況を鑑みるに、今回の措置を以てしても第四波を収束させられるかどうかは疑問。自民党内からも下村博文政務調査会長が「変異ウイルスの感染拡大等を考えると、飲食店に営業時間の短縮を要請するだけでは十分な対応が出来ないのではないか」「蔓延防止等重点措置の中で追加策を行う」或いは「場所に依っては緊急事態宣言を再び出す事も考えるべきだ」と発言。
斯様な声に対し、分科会の尾身会長は、衆議院厚生労働委員会で「大阪に蔓延防止等重点措置が出たのは今月5日」で「効果が出るには2週間必要」、従って措置の効果は「週が明けた来週以降に判断すべき」と説明。同時に「医療の逼迫状況を解決する」為に「緊急事態宣言という方法が良いのか」、「今の重点措置で何とか対応できるのか」を「最終的に判断すべき時期に来ている」と述べた。
更に氏は会見で「重点措置を出す時機を判断する上で重要な指標になる」のは「前の週と今週の感染者数を比較した値だ」と云う点を強調。「前の週に比べて感染者が大きく増えている状況が2週以上続く」場合は「非常に注意しなければならない」が、東京都では「前の週より大きく増える状態」が既に6週以上続いて」いる為に「今後、関西の様に急速に拡大する」事が懸念されており、福岡県等でも同様の傾向有り。「重点措置を効果的に活用するには県全体で平均して見るのではなく、地域毎に感染状況を監視して行く必要が有る」。「最も重要なのは接触機会の削減を行う事」で「感染が拡大している地域との往来を避ける事」のみならず「其の地域の中でも接触機会を減らす」事こそが「変異株対策としても極めて重要になっている」と説いた由。伸るか反るか。
4月17日(土曜)
大阪府は本日、府内で新規1161人の感染を確認したと発表。一日当たりの値としては過去3番目に多く、5日連続で1000人超。府内の感染者は総計6万6752人となり、12人の死亡を加えて府内の感染死は1266人に及んだ。一昨日の時点で重症患者の人数が重症病床数を上回り、吉村府知事が「重症患者用の病床を300床まで増やしたい」との意向を語るも、看護師不足等の要因から実現困難。東京都でも新たに10歳未満から90代までの男女759人が感染。先月に2回目の緊急事態宣言が解除されて以降で最も多く、前週土曜に比して189人の増加。
ワクチン接種も日々進められてはいるものの、最初に優先接種の対象となる医療従事者等のうち、一昨日迄に初回接種を受けられたのは全体の24%に当たる約117万人に過ぎず、2回を完了したは約68人、14%のみ。「医療従事者等」には医師や看護師のみならず検疫所や保健所の職員も含まれるが、注射を担当する人員等の確保が難しいためか、後者の接種は停滞。関西空港を含む三つの検疫所では近日中に接種が始まる予定だが、成田空港や都内の合計10ヶ所では日程も未定。現場からは不安の声も上がっている模様。斯様な情勢で緊急事態宣言に就いて記者から問われた菅総理大臣は「大阪に就いては現在蔓延、防止等重点措置を行っているが、始めてから未だ2週間経っていない」「そうした状況を見ての判断になる」と発言。
昨日にWHOのTedros Adhanom Ghebreyesus事務局長が定例記者会見。世界の感染状況に関して「1週間当たりの新規感染者数は此の2ヶ月で2倍近くに増えた」「世界的大流行以降、最も多かった時期の水準に近づいている」と述べた。同機関の報告書に依ると、本年1月4日以降の1週間で500万人近くが感染したのが最多とされているが、今月5日以降も1週間で約455万人の感染を確認。
先月中旬から死亡者数も再び増加傾向に在り、昨日に米国のJohns Hopkins大学も世界全体の死者数累計が300万225人になった旨を報告。最多は米国の56万6224人、次いで伯剌西爾36万8749人、墨西哥21万1693人、印度17万5649人。直近数ヶ月で「ワクチンの接種が進むアメリカやイギリスで亡くなる人が減る」も「ブラジルやインド等は増える」との傾向が見られる他、感染者が比較的少なかった国でも感染が急速に広がっている事も懸念されている由。
Eli Lilly が開発した抗体医薬バムラニビマブは、昨年11月に米国の食品医薬品局(Food and Drug Administration; FDA)から緊急使用の許可が出され、軽症から中等症の患者に処方されて来た。しかしFDAは16日、「各地で広がっている変異ウイルスに対して効果が低い事が分かった」として、緊急使用許可を取り消すと発表。バムラニビマブは別の抗体医薬と組み合わせて使われる事も有るが、此の場合は引き続き使用を許可するとしており、リリー社もバムラニビマブと別の抗体医薬を併用する場合は変異ウイルスの大半に効果が有るとの声明を発表。導入予定の無い我が国は直接影響しない話題なれども、抗体医薬も決して万能の特効薬では無いらしい。
4月18日(日曜)
大阪では本日に1220人の新規感染が確認され、6日連続で千人を超えた上に最多も更新。訪米中の菅総理大臣はBiden大統領との日米首脳会談を終えた後に現地時間の4月17日8時30分、日本時間ならば21時30分から約10分間、PfizerのChief Executive Officer(CEO)を務めるAlbert Bourla氏と電話会談。同社の貢献に謝意を表明しつつ、「我が国の全ての対象者に対するワクチンの今年9月までの確実な供給」に向けた「更なる追加供給」を要請。先方も「確実かつ迅速な供給及び追加供給に向けた協議を迅速に進める」事を含めて「日本政府と緊密に連携して行きたい」と回答した由。
会談の成果に関し、今朝のテレビ番組出演時に新型コロナウイルスのワクチン接種を担当する河野規制改革担当大臣が「実質的に合意は為されていると思って貰って良い」と語り、「9月末迄に対象者分のワクチンを供給」する事が可能な状況となり「16歳以上は包含出来る」との展望を示した模様。別の場で河野氏は「来月中旬から6回接種できる注射器が導入出来る」、「1回ずつ余分に接種出来る事になるので、供給が早く進むのと同じ効果を持つ」とも語っており、其の言を信ずれば年内にワクチン接種は相当な進展を見せる事になろう。
ワクチン接種の先進国、以色列では昨年4月から屋外でのマスク着用を義務づけ、違反者には罰金を科される状況が続いていたが、現在は国民の53%に相当する497万人がワクチン2回を接種済。今年1月は1万人超に及んだ一日当たりの新規感染者数が100人を下回る日も出て来た状況を踏まえ、同国政府は屋外でのマスク着用義務を本日から解除。一年振りに素顔の市民が市中を闊歩する光景が見られるも、屋内に於ける着用義務は継続。公共交通機関や商店の利用者はマスクを着けていた由。伊太利では未だ感染拡大が続くも、同国の国鉄が一昨日、高速鉄道の「首都羅馬と北部の中心都市米蘭を結ぶ区間」で「新型コロナウイルスの検査で陰性が確認された人だけが乗車できる特別な列車」の運行を開始した由。乗客は出発前の48時間以内に受けた検査の結果を提示するか、駅で乗車前に検査を受けるかを選択可能で検査結果が陽性ならば切符代は全額返金。車内は乗車率を50%に制限する等の対策で感染の危険をした特別列車は、利用者からも好評を博し、威尼斯や那波里等の区間での導入も計画中との事。
前述したイスラエルは16歳以上のワクチン接種対象者のうち8割以上が接種を終えた状況なれども、同国政府は更なる集団免疫の獲得に向け、接種の対象を12歳から15歳に拡大する事を検討中との情報有り。日本でも「15歳以下への接種」に関し、河野氏が「米国では、12歳から15歳に就いて承認申請が出されて」おり「日本でも早晩、申請が出されると思う」、「接種の日程も含めて専門家で議論して貰い、我々も体制を組んで行きたい」と発言。優先接種も終わらぬ我が国で口にしても鬼が笑いそうな話題だが、やはり世界的大流行の様相が変わりつつ在ると感じた。




