令和3年3月第2週
3月8日(月曜)
自分は不勉強にして知らなかったが、「個人や企業の所得」に占める「税金や年金・健康保険・介護保険等の社会保険料」の負担の割合を示す数値を「国民負担率」と呼ぶ由。公的な負担の重さを国際比較する際の指標の一つにもなるそうだが、財務省の公表した所に拠ると、令和2年度の国民負担率は「前年度より1.7ポイント増えて46.1%」で過去最大となる見込み。
社会の高齢化に伴って医療や年金に掛かる負担が増した事から国民負担率は右肩上がりとなり、近年は40%を超える高い水準が持続。一昨年10月に消費税が10%に引き上げられ、通年で其の影響を受ける令和2年度も下がる事は無いと予想されていた所へのコロナ禍。企業業績が悪化、国民所得が減少した事が想定以上の増加に繋がった模様。感染対策として3回の補正予算が編成された事から、国の財政赤字を加えた「潜在的な国民負担率」も「16.8ポイント増えて66.5%」に上昇。其の一方で令和3年度は、国民の所得の改善が見込まれるとして、「国民負担率」は、今年度より1.8ポイント減って44.3%、「潜在的な国民負担率」が10ポイント減って56.5%となる見通しとの事だが、目算通りに事が進むか如何か。
東北新社からの接待問題で懲戒処分を受けた総務省の谷脇康彦総務審議官に関し、武田良太総務大臣が「調査の結果、谷脇総務審議官のNTT側との会食は事実」と確認され、「国家公務員の倫理法令に違反する可能性が高い」。本人には東北新社の件で調査を行った時点で「他に倫理法令に違反する行為がなかったか、再三に渡って確認して来た」にも関わらず「報道を端緒として新たな違反が疑われる行為が確認された」事は「甚だ遺憾」と語り、本日付で大臣官房付に異動させた事を発表。事実上の更迭と見られる由。
谷脇氏は昭和59年に当時の郵政省に入省して以来、通信業界を長く担当。内閣サイバーセキュリティセンターの副センター長等を経て一昨年12月、事務次官に次ぐ地位の総務審議官に就任。菅政権が携帯電話料金の値下げを主要政策に掲げる菅総理に仕えて携帯電話業界の競争を促す政策を推し進めていた由。積み重ねて来た努力も空しく、失脚する時は一瞬で多くを失う。違法な接待を受けた挙句に国会で虚偽答弁をしたのならば当然の報いだが、些か哀れでも在る。
3月9日(火曜)
ファイザー製ワクチン、日本に於ける商品名「コミナティ筋注」を巡り、京都の宇治徳洲会病院が「インスリン用注射器を使って1瓶で7回分の接種を可能とする方法」に依る接種を今月5日から職員に実施。「一般的な注射器を用いた5回分の接種に比して、限られたワクチンを1.4倍の回数で活用出来る可能性が有る」旨を、昨日に報道機関へ公開した由。
同院で使用された注射器は先端部に液体が残りにくい構造で薬液を有効に活用出来る一方、注射針の長さは12.7粍。国が用意した注射針25ミリメートルより短く、「ワクチンを注入する筋肉まで届くかどうか皮下脂肪の厚さを測る」必要も生じるそうだが、同院では「看護師がインスリン用注射器を使って1瓶から7回分取り分ける作業」、接種前に上腕部分の皮下脂肪を「約30秒のエコー検査」や「数秒で済む専用機器」で測定して「条件適合者にはインスリン用注射器を使用」、皮下脂肪が厚く筋肉まで針が届かない恐れが有る者には「国が用意した注射器を使用」との流れも報道陣に公開された模様。
昨日中に同院は一連の成果を厚生労働省に報告し、求めに応じて発表用資料を提供。ファイザー社にも問い合わせた所、「病院が注射器を準備して使用するのは問題無い」との回答が得られた由。
宇治徳洲会からの報告に関し、本日の会見で田村憲久厚生労働大臣が「7回取れるのは確かで、ファイザー社も否定していない」、「ワクチンは筋肉に届いて効果を示す」「筋肉に必要な量を注射する事を前提に対応して欲しい」と語り、条件付きながらもインスリン用注射器を使った7回接種を容認。また田村氏と協議した河野太郎行政改革担当相も「適切に接種出来る事を担保して貰いたい」と断った上で「こう云う創意工夫はどんどん遣って貰いたい」「非常に良い例だ」と語り、本来の用途でインスリン用注射器が不足せぬ様に政府が調達する事も検討すると語った。
午後の記者会見で加藤官房長官からは「各医療機関で適正な接種を担保することが必要」で「国として7回分の接種の方法を広く推奨する予定は無い」、従って「ワクチンの供給日程に変更が生じるとも考えていない」との発言が聞かれるも、総じて言えば国も宇治徳洲会方式の使用を禁じない事とした様だ。
注射器と接種回数の問題はコミナティのみに留まらぬ。厚生労働省は英国のAstraZenecaからも1億2000万回分、米国のModernaからは5000万回分の供給を受ける契約を交わしており、承認に向けた審査が進行中。英米共に「1つの容器から採取できる量を原則10回分」としているのだが、此方も「特殊な注射器を使えば11回分を採取出来る」との情報有り。厚生労働省も「注射器しだいで接種回数を増やせる可能性が有る事は把握している」そうだが、「承認審査が終わっていない段階で詳しい論評は出来ない」との事。細かい工夫で節約に努めるのは昔から日本人が得意な分野だが、技術的には「皮下脂肪の厚さを効率的に測定する」方法と「確実に筋注可能な皮下脂肪厚を何処に設定するか」の判断が重要となるだろう。
当方の見解は大臣諸氏と特に変わらず「筋肉注射に支障が無ければ良し」という辺りだが、インスリン用は皮下注射が用途で、筋肉まで到達させる為の構造では無い。少人数が対象ならば問題が生じないとしても、国家規模の一大計画と云われる今回の接種に於いては、インスリン注射器の転用が果たして吉と出るか、凶と出るか。しかし、十分量のワクチンを確保出来るかどうかが分からぬ現状を踏まえて此の方法に賭けるので在れば、むしろ先行接種のうちから実地の試行を重ねて知見を収集すべきかも知れず。ワクチン不足が解決したかの如く無邪気に喜ぶ声も一部で聞かれた様だが、実は悩ましい部分が残る問題と感じた。
3月10日(水曜)
ウイルスたるもの、常に遺伝子変異を起こし得る特性を有する訳だが。全世界で目下蔓延中の新型コロナウイルスに関しては「感染・伝播性の増加又はCOVID-19の疫学に有害な変化」、或いは「毒力(virulence)の増大又は臨床像の変化」、若しくは「公衆衛生・社会的措置又は流通する診断法、ワクチン、治療薬の有効性の低下」等を認めた場合は、特に「懸念される変異株(Variants of Concern; VOC)」と定義する旨を先月にWHOが発表している由。
VOCのうち“N501Y”という部位に変異を有するものは「従来株よりも感染性が増す」と言われ、英国で確認された変異株(VOC-202012/01)、南阿弗利加で確認された変異株 (501Y.V2)、伯剌西爾で確認された変異株(501Y.V3)が該当。“E484K”の変異を有する変異株は「従来株よりも免疫やワクチンの効果を低下させる」と言われているが、南阿弗利加の501Y.V2、伯剌西爾の501Y.V3が同部位に変異を認めるとの事。単純に考えれば、英国株よりも南阿株と伯国株の方が危険と云う事になるか。
我が国に於いても読売新聞社が都道府県に取材した所、昨日の時点で変異株の感染者が「25都道府県で320人以上」確認されていた事が判明。空港検疫で判明した57人を合わせると380人超。5日の「20都府県で194人」と云う厚生労働省発表に比して、人数の多さも然る事乍ら感染地域の拡大が懸念された。斯様な状況を踏まえ、10日の衆院厚生労働委員会で、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が発言。全国各地で「変異株の集団感染」が発生しており、「間違いなく既存株に取って代わる過程が始まっている」と指摘。今後は大学や医療機関の協力を得て「監視を強化する事が急務だ」と語った由。
菅正剛氏が部長職を務める東北新社から接待され、減給の懲戒処分を受けた総務省総務審議官の谷脇康彦氏。同じ咎で給与の自主返納、及び内閣広報官辞職に至った山田真貴子氏。此の二人がNTTからも高額な接待を受けたのを週刊文春が暴いた件に就いては、3月3日の項に、谷脇氏更迭に関しても8日の項に記したが。文春続報に拠ると、更に入手した内部文書から「NTT側が大臣、副大臣を含む総務省に関わる政治家に繰り返し接待を行っていた」事が判明。現職中に接待を受けたのは合計4人、延べ6件で、過去に総務省の政務三役、即ち大臣・副大臣・政務官を退任した政治家に対する接待も含めると計15人、延べ41回にのぼる由。
野田聖子氏や高市早苗氏を含む政治家が接待を受けたのは、東京は麻布十番の会員制料理店「CLUB KNOX麻布」。運営はNTTグループの関連会社で、社員割引で同社職員が利用する以外は「NTTグループの接待の為の施設」との事。食べログの数少ない口コミには「麻布十番駅から信号渡ってすぐという好立地」で「テーブル席もあれば畳の座敷部屋もある」が「普通の人はあまりその存在を知らない」、「大企業って凄い」「こんな秘密倶楽部みたいな会員制クラブを持っているんだ」等の感想有り。「大臣在任中に接待を受けたのではないか」との取材に対して高市氏は、NTTの澤田社長と「2回食事をしたのは事実」だが費用は支払った、「総務省の案件で頼まれた事は無い」等と反論。野田氏の事務所は「調査中」で「何時、回答出来るか分からない」等と回答。元東京地検特捜部検事の若狭勝弁護士曰く「政務三役として職務権限を持つ者が接待を受け、其の席で職務権限に絡む話が出ていれば、何も請託が無くても単純収賄罪に該当する可能性が有ります」、「告発されれば捜査が始まります」が「起訴されるかどうかは接待の回数や金額に依って決まります」との事。
Dom Pérignonの乾杯に始まり、福岡は志賀島産の海胆、琵琶湖の天然鮎、短角牛大腰筋のpoêlé、Château Margaux等が供されたと云う豪奢な饗応。其の詳細が文春記事には記されているが、場所は会員制料理店の個室なので部外者の立入は出来ない筈で在り、何らかの事情で関係者が情報を流出させたものと推定される。旧態依然たる官民癒着。利を食わせて規矩を曲げようとする業者、其れに乗じて私腹を肥やす政治家等も新型ウイルスの変異株と同様、国を害する病原体と言っても差し支え無い。
3月11日(木曜)
定例のInternational Olympic Committee総会が、昨日から3日間の日程で開始。2日目の本日にThomas Bach会長が発言。中国の五輪委員会から「東京大会と北京大会の選手や関係者に中国製のワクチンを提供する」との申し出を受けた旨が表明された。バッハ会長は「IOCが費用の負担を行う」「参加者が2回接種出来るだけのワクチンを確保で可能」として「五輪とパラリンピックに参加する選手や関係者に中国製のワクチンを提供する」意向を示した模様。
其の後に東京大会組織委員会の報告として、橋本聖子新会長が新型コロナ対策やジェンダー平等の推進等に就いて、武藤敏郎事務総長が「先週の五者協議での合意内容を踏まえ、海外からの観客の受け入れを聖火中継が始まる今月25日より前に決める」等と報告を行うも、彼等にとっても中国ワクチンの件は寝耳に水の話だった模様。同日の記者会見で、中国外務省の趙立堅報道官が「我々はIOCと協力し、オリンピックに向け準備している選手たちにワクチンを提供したい」と述べるも、詳細に関しては「提供出来る情報は未だ無い」との事。
東日本大震災から本日で十年。当時所属していた某大学精神医学教室の中間管理職として、翌4月から派遣された「こころのケアチーム」の諸々を手配。皐月の頃には自らも第二陣として宮城県沿岸部へ赴き、診療を行った。港の周辺に二階は無事だが階下には骨組みしか残っていない建築物。何粁も廃車と瓦礫だけが続く光景を横目に見ながら、有償貸渡自動車に乗って避難所を巡った日々を思い出した。
3月12日(金曜)
日米豪印4ヶ国で構成される”QUAD”が、本年2月の時点で電話を使用した外相会合。「中国の力に依る一方的な現状変更の試みに強く反対する」方針で一致するも、其の後に「対中政策で協調する日米豪」と「多少の距離が有った印度」との間で調整が行われる間、今月5日に中国で第13期全国人民代表大会が開催。
習近平(Xí Jìnpíng)政権は「外部勢力からの干渉を断固として防ぐ」として香港での民主派排除に繋がる選挙制度見直しを進める方針で、新疆ウイグル自治区での人権弾圧を巡る欧米からの批判にも反発。「中華民族共同体意識を確立し、宗教が社会主義社会に適応する様に導く」と強硬姿勢を貫いた。2035年迄に「軍の現代化」を実現し、今世紀半ばには「世界一流の軍隊」を所有する目標に向けて国防費を膨張させる中国に対し、「6月の先進7ヶ国首脳会議より前に国際協調路線を敷く」方向で首脳同士が語らう事に合意した印度から、首脳会談前に「4ヶ国の協力体制に基づき、印度の新型コロナウイルスワクチン生産能力拡大への資金援助を」との要請が有った模様。
以前に拙作でも少し触れたが、印度は世界のワクチンの約6割を生産。新型コロナウイルス用に限定しても、英国AstraZeneca製ワクチンの認可生産を行うと共に国産ワクチンの開発にも成功し、孟加拉や埃及、南阿弗利加等への供与を実行済との状況在り。先月8日の時点で中国外務省が発表した所では「53ヶ国にワクチン援助を実施済みか実施予定」との事だが、斯様なワクチン外交で世界的に存在感を誇示せんとする中国に相対しても、世界最大のワクチン生産国たる印度ならば好取組になろうとの読み。
首脳会談に先行して「日米豪は亜細亜や阿弗利加の途上国に低利子で融資」「其の資金で各国が印度製ワクチンを購入」等の合意が形成され、日本では国際協力機構(Japan International Cooperation Agency; JICA)や国際協力銀行(Japan Bank for International Cooperation; JBIC)を通じた融資を検討。印度で製造されたワクチンを使用する事には「伝統的に中立外交を掲げ、中国包囲網に加わる事に慎重」だった同国を「日米豪側に引き寄せる狙いも有る」と語る関係者も居る様だが、9日の時点で日本政府は「新型コロナのワクチンを低温で輸送・管理するための施設整備」を目的に、国際機関を通じて「亜細亜等の計25ヶ国に約4100万ドル、45億円規模の緊急無償資金協力を行う」旨を発表。
話が其処まで進んだ所で、本日に回線接続にてQUAD首脳会談。豪州からScott Morrison氏、印度からNarendra Modi氏の両首相、我が国からは菅義偉総理が集い、米国からはJoe Biden大統領が就任後初となる多国間の首脳会談に参加。会談に於いてバイデン氏は「世界及び印度太平洋全体の利益」を目指し、新型コロナウイルスワクチン増産の為の「野心的な新共同パートナーシップ」を立ち上げると宣言。会合に同席したJake Sullivan大統領補佐官に拠ると、4ヶ国の首脳は「東南亜細亜諸国連合(ASEAN)やインド太平洋地域」等へ「2022年末迄に最大10億回分の新型コロナウイルスワクチンを供給する」との約定を交わした由。
サリバン氏曰く、此の目標は「印度の製造」と「米国の技術」、そして「日本と米国の資金支援」に「豪州の物流能力」に拠って可能となる由。金蔓扱いに顔を顰める向きも有ろうが、先ずは有効なワクチンが世界に行き渡る事が最優先。国産ワクチンを持たず、国連主導のCOVAXに協力しても「顔が見えない支援に終わる」事が懸念されていた我が国にとっても、悪い話では無かろう。
3月13日(土曜)
世界保健機関が「新型コロナウイルスの感染拡大が世界的大流行になった」との認識を示してから早一年。此れを機に、日本や欧米各国の看護師団体が加盟する国際看護師協会(International Council of Nurses; ICN)が、世界の看護師の状況に関する調査結果を公表。「新型コロナウイルスに感染して死亡した看護師」は「60か国で合わせて3000人にのぼる」が情報不足の国も多く、実際には「更に多くの看護師が亡くなっている」と推定される由。
所謂「燃え尽き症候群」等で退職を考える看護師も増加している事から、現状が続けば「世界全体で1300万人の看護師が不足する」事態も懸念されるとの事。Annette Kennedy会長は「看護師に掛かっている重い負担は受け入れられるものでは無い」「彼等の貢献に報いる必要がある」と訴え、各国政府に看護師の待遇改善等の支援強化を求める事を宣言した。
先述の如く、一昨日で東日本大震災からも十年が経過。本日に仏蘭西の2大学が主催し、回線接続で「震災を扱った文学作品に就いて語り合う国際学会」が開かれた。欧州や日本の研究者や学生等が参加。フランス国立東洋言語文化大学のアンヌ・バヤール・坂井教授は「海外では震災が原発事故と結び付けて歴史的な出来事として語られて来た」と語り、震災直後から自らの感情を綴った詩をツイッターで投稿、英語やフランス語でも詩集を出版した福島県出身の詩人、和合亮一)氏を始めとする「震災後文学」を紹介。「作家や詩人が放射能汚染の危険性、地震の恐怖が表現した」作品が「今後も震災の記憶の継承に重要な役割を担って行く」と予測した由。震災後文学の研究を続ける津田塾大学の木村朗子教授は震災から十年を経て、「従前はフィクションを中心に執筆して来た作家達」に「被災地に出向いて現地の人々の声を纏めたノンフィクション作品を次々に発表している」との変化が生じている事を報告。
或いは何時の日か、拙作も「コロナ禍文学」の一翼として評価されるだろうか。等と夢想してみるも、眼前には些か厳しい現実有り。斯様な著作を志す後人の材料として使われるだけでも、多少の意義は有らんかと気を取り直し、また書いて行く事にする。
3月14日(日曜)
昨年11月3日に大阪で予定されていた世界拳闘協会(World Boxing Association; WBA)認定の世界ライトフライ級選手権試合。前日計量や調印式を済ませた超級王者の京口紘人氏だったが、新型コロナウイルスのPCR検査で自身と介添人の50代男性に陽性が確認された事に因り、同級10位の挑戦者、タノンサック・シムシーを相手にして三度目の防衛戦となる筈の試合は中止。「全ての公式行事が終わった後の世界戦中止は極めて異例」と報じられたのが昨年11月の話だったが、紆余曲折を経て昨日に仕切り直し。
場所は徳過瑟斯州Dallas、相手も代わって世界10位のAxel Aragon Vega選手と対戦。初めての米国進出となる京口選手は序盤から左のjabやuppercutを用いて試合を優位に進め、第5roundで審判が試合を止めてtechnical knockout勝ち。3回目にして約1年5ヶ月振りの防衛に成功した由。世界的大流行が収まらぬ中での快挙は嬉しいものの、拳闘界からは同日にMarvelous Marvin Hagler氏の訃報有り。個人的には1980年代の中量級でも最も偉大な選手で、レナードよりもハーンズよりもデュランよりも強かったと記憶している。極東の片隅からハグラー氏の冥福を祈る。
国内では、3月11日17時迄に医療従事者に対する18万1184回のコミナティ筋注の接種が完了。其の中で「アナフィラキシーを疑う症状が確認された」と云う報告が37件。うち1件が後に取り消されるも残りが36件で、割合にすると5033件に1件。他国より抜きん出て多いのではないかと一部で懸念されていたが、昨日に開かれた厚生労働省の専門家部会に於いて「各国が同じ基準で報告している訳では無い」と云う事実を踏まえて情報を評価するべきとの指摘有り。実際の所、3月9日以前に報告された17件を、国際的評価指標とされるBrightonの診断基準で再評価した結果、アナフィラキシーの診断に該当したのは凡そ4割の7件に減少。残る10件は情報不足で診断に至らない、若しくはアナフィラキシーに非ずと評価された由。
早く接種が始まった米国では、接種後のアナフィラキシーに関する研究も我が国に先行している。Massachusetts総合病院の研究者がJournal of the American Medical Association誌、略称JAMAに投稿した論文“Acute Allergic Reactions to mRNA COVID-19 Vaccines”を読む。Bostonに拠点を置く非営利の病院と医師の連合体で在るMass General Brighamの雇用者を対象に「COVID-19ワクチン投与後の急性アレルギー反応発生率」を調べた所、PfizerとBioNTechが製造したワクチン、コミナティ筋注と同じものの接種を受けたのは2万5929人で、Moderna製ワクチンを注射されたのは3万8971人。急性アレルギー反応は1365人で報告され、ファイザー・ビオンテックは1.95%で、モデルナ製は2.20%。更に専門医がBrighton基準と国立アレルギー感染病研究所とFood Allergy and Anaphylaxis Network(NIAID/FAAN) の診断基準を用いて診断。いずれかの基準に該当してアナフィラキシーと診断されたのは全体で16人、ファイザー・ビオンテックから7例とモデルナから9例が報告された由。
此の結果に基づいて「米国では2万5929人の接種で7件のアナフィラキシーが生じる」と仮定すると、100万人ならば270件の割合となる。先に示した我が国の「18万1184回で36件」を100万回当たりの接種に換算すると、アナフィラキシー発生は199件。分母が人数か回数かの違いは有るものの、専門家部会の某委員が述べた「米国の調査で確認されたアナフィラキシーの発症頻度は日本とほぼ同じ」「日本での報告が特別に多いと誤解されないよう説明する必要がある」との指摘は正鵠を射ていると言っても過言では在るまい。当院でも今週に職員へのワクチン接種が始まり、来週は自分にも順番が回って来る予定。




