令和3年2月最終週
2月22日(月曜)
首席医療顧問として米国政府の新型コロナウイルス対策を担うAnthony Fauci氏が、本日に世界保健機関(World Health Organization; WHO)の記者会見に参加。ファウチ博士は「中国当局が去年1月に新型コロナウイルスの情報を提供した後、早い国では1年足らずでワクチンの接種が始まった」事に関して、「各国が異例の規模の投資を行った」事に依る「先例の無い成果だ」と評価。其の上で「ワクチンは米国のみならず世界中に公平に分配されなければならない」「此れは世界的大流行だからだ」と述べた由。トランプ前大統領がWHOから脱退すると宣言したのに対し、バイデン政権は脱会撤回と共にWHOに2億ドル超、日本円で210億円以上の拠出を表明。国際社会と連携してウイルス対策に当たる姿勢を鮮明にしている模様。
米国では本日迄に最低1回の接種を受けた者が4413万人以上、2回を完了したのは1943万人で人口の5.9%に相当。連邦政府が初回接種の為に各州へ分配するワクチンは先月の週当たり400万回分程度から、今週は680万回分近くに増加したものの供給量が接種希望者数に追い付かず、「紐育市ではワクチンが確保出来ないとして接種の予約を取り下げる」、同様の理由で「加州羅府市が複数の接種会場を一時閉鎖」、南部から東部に掛けては寒波の影響で供給も滞り「Texas州の一部で一週間程度も接種が中断」等の事態が発生。一方では接種対象を医療従事者や65歳以上の高齢者のみならず、食料品店の従業員などのessential worker、教師や重症化の危険が高い基礎疾患を持つ者等へ拡大した州も有り、更なる供給悪化が懸念される。供給量が増加しても接種会場及び医療従事者の確保も必要だが、米国政府は軍医の動員や引退した医療従事者に復帰を求める等の施策で接種推進を図る模様。
昨年12月に接種が始まった米国は既に次の局面に入っている様だが、後を追う我が国でも、本日に厚生労働省が「ワクチンの先行接種を受けた人数が国内で1万を超えた」と発表。都内で新たに確認された感染者は178人で、1日の感染の確認が200人を下回るのは昨年11月24日以来。500人を下回るのは16日連続となり、入院患者も1991人に減ったが、「20代と30代の感染確認」が前週よりも若干増えた事への懸念有り。明日はどっちだ。
2月23日(火曜)
米国のJohns Hopkins大学から報告。世界全体で新型コロナウイルス感染が確認された者の合計は、日本時間23日午後3時の時点で1億1172万297人。多い順で米国、印度、伯剌西爾、英国、露西亜。感染死は247万4112人となって最多の米国は50万人を超え、次いで伯、墨西哥、印、英。
翻って我が国。新規の陽性者数や重症患者用の病床の使用率に減少傾向が見られ、来月7日迄とされていた緊急事態宣言を巡って、先週に大阪府が、昨日に兵庫県と京都府も国に早期解除を求める事を決定。本日午後に3府県の知事が回線接続で会談して各府県の方針を再確認した後、西村康稔経済再生担当大臣とも同形式で会談。「期限を前倒しして今月28日を目途に解除する様に」と共同で要請。福岡県や愛知県でも同様の動きが見られたのに対し、西村大臣は「緊急事態宣言を如何するかは最終的には国が決める事」「感染状況や専門家の意見を踏まえた上で今週中に判断したい」と述べた由。
軽症及び無症状の患者の宿泊療養施設となった佐賀市内の旅舎に於いて、職員と患者の接触を減らす目的で、今月17日から佐賀県が2種の機械人形を導入。一つはカメラの画面を通じて職員が遠隔で患者と会話できる案内ロボット。もう1つは、自動走行で薬等の物品を患者に届ける配送ロボット。県は鳥栖市の療養施設でも、近くロボットを導入する方針。
厚生労働省は「冬場にインフルエンザとコロナが同時に流行し、PCR検査だけでは追い付かなくなる」との予想に基づいて抗原検査キットを大量に発注したが、案に相違してインフルエンザの大規模な流行無し。抗原検査はPCRより安価で30分以内に結果が出る利点も有るが感度、即ち陽性を見逃さない割合は高くない。抗原検査で陰性となっても感染を否定出来ず「確定診断を出すにはPCR検査が必要」、「二度手間になる」と医療現場では使われなくなった抗原検査。補正予算案では「検査キット等の買い上げ目的」として179億円が計上されたが、各メーカーが使用期限を延長しても尚1250万組の在庫が廃棄を待つ。厚生省判断を「結果的にインフルエンザが流行しなかっただけ」と擁護する声も有るものの、同時流行が生じる可能性が低い事はウイルス干渉の理論に因り推定可能だった様に思う。
2月24日(水曜)
首都圏等で「感染者の減少する速度が鈍っている」との指摘を受けつつも、本日に菅義偉総理大臣と関係閣僚が「10の都府県に出している緊急事態宣言の解除」に就いて協議。同時に「GoToトラベルの段階的再開に向けた調整」に入ったとの報道有り。
昨日に世界銀行が「経済的な権利を巡る男女格差を調査した年次報告書」を公表。職業や育児、年金等を含む8項目の評価に於いて、日本の得点は昨年と得点は変わらなかったが、順位は190の国の地域の中で74位から80位に下落。2019年9月から昨年10月迄を対象に分析したもので米国が34位、中国は115位だった模様。森発言から辞任、後任決定に至る混乱が満天下に晒された事を想えば、次回の結果は更に悪化する事も懸念される。しかし、現実は現実として受け入れねばなるまい。
2月25日(木曜)
本日に島根県知事の丸山達也氏が永田町や霞が関を訪問。「新型コロナウイルスへの政府や東京都の対応に問題有り」として東京五輪の開催に異を唱え、「聖火中継の中止検討」を表明した意図への理解を求めた。手渡した要望書には「新型コロナウイルス感染症対策の改善・強化がなされないままでは、今夏、東京2020オリンピック・パラリンピックを開催すべきではなく」「プレイベントである県内での聖火リレーについても、中止と判断せざるを得ないと考えております」と書かれていた由。
面会した地元選出の自民党議員5人のうち、島根2区の竹下亘元総務会長には「自民党分裂となった2019年の知事選で県連会長として丸山氏とは別の党推薦候補を応援した」との遺恨が有る上、今回の知事発言に対して「知事を注意しようと思う」と先週に宣言したばかり。いざ相対した両氏は先ず拳を接し、内心は兎も角として和解を演出。30分間に渡って会談するも、竹下氏が「コロナ対策と聖火リレーは次元が違う話」で「違和感が有る」と改めて批判し、後に記者連へ「組織委なり、国民全部なり、或いは世界が決める事」で「知事が決めるこっちゃねえだろう」と吐き捨てたとも言われる。支援拡充に関しても「貧乏県は貧乏県で徒党を組んで」「同じ悩みを持ってる所は同じ不公平を抱えてるんだと云う事を集まって言いなさい」等と突き放された上、別の議員には「聖火リレーの中止検討の真意」を説明しても「分かりました、はい」と受け流され、厚生労働省や内閣府を訪れて感染症対策の改善や強化を求めるも「政府の理解は得られなかった」模様。
成果の得られぬまま面会や陳情を終えた丸山氏が、夕刻に記者会見。緊急事態宣言の対象で無い為に政府からの支援金が限られる一方、対象地域と同様にコロナ禍で利用が減り、売上を失った島根県内飲食店の逼迫について語り、「東京五輪をこう云った事業者の皆さんが快く受け入れられる状況には在りません」と力説。島根県が発表した資料によると、国が新型コロナウイルス対策の財源として自治体に交付する地方創生臨時交付金は、東京都への交付額が約4364億円に対し、島根県は約63億円。人口の差を考慮しても一人当たりの額は東京は約3.1万円に対し、島根県0.9万円と格差が有る由。
聖火リレーと飲食店等の支援を結び付けた事に関して竹下氏から「如何なものか」と批判された事も明かし、丸山氏は「日本の政治とか経済の世界では規則破り」「常識を外れた事をやっている」との自覚を述べた上で、「此の状況で我慢をしてオリンピックを受け入れるのが国民の義務だとは、島根県民の方々には言い難い」と五輪開催を疑問視する姿勢を改めて示す一方、次の展望には踏み込まなかったと聞いた。“島根の乱”も此の辺りで鎮圧され、中央政府の軍門に降るか。
2月26日(金曜)
東北新社から総務省幹部が接待を受けていた件に関し、22日に総務省が「同社関係者と会食した職員は計13人で、延べ39件に上る」との調査結果を衆議院予算委員会理事会に報告。件の職員達は2016年以降、東京都内の飲食店で、東北新社の部長と子会社「囲碁将棋チャンネル」取締役を兼務する菅正剛氏、東北新社の社長、取締役執行役員、子会社「東北新社メディアサービス」社長と「意見交換」「懇親会」「忘年会」「暑気払い」等の名目で会食。費用の多くは東北新社側が負担したようで、飲食代と土産代やタクシー代の総額は60万8307円。中でも手厚い饗応を受けたのは山田真貴子氏で、総務省の総務審議官だった2019年11月に一人当たりの飲食代7万4203円の接待を受けていた由。
山田氏は女性として初めて内閣広報官に起用され、菅内閣で重用されて首相会見の司会役を務める人物だが、今月15日の時点で衆院予算委員会に「菅総理大臣の長男と会食した明確な記憶はない」と総務省を通じて回答。総務省は「13人中11人は国家公務員法に基づく倫理規程に違反する可能性が高い」と判断し、24日に減給・戒告・訓告等の処分を下したが、総務省を退職して現在は特別職に在る為に国家公務員倫理法の規制を免れた山田広報官は、25日の衆院予算委に参考人として出席。「公務員の信用を損なった事を深く反省している」「本当に申し訳なかった」と陳謝しつつも「職務を続ける中で出来る限り自らを改善したい」と引き続き内閣広報官を務める意向を示した。
26日夜に総理大臣官邸で新型コロナウイルス対策本部が会合。菅総理は「緊急事態宣言の発出以降、新規感染者数を大きく減らす」事が出来て「医療機関の厳しい状況は続いているが、現場の負担も一時に比べれば減ってきている」と述べ、緊急事態宣言対象地域の10都府県のうち、「大阪、兵庫、京都の関西3府県と愛知県、岐阜県、福岡県で今月末の28日を以て解除」する旨を表明する一方で、首都圏の1都3県に就いては「宣言期限の来月7日に向けて、飲食店の営業時間短縮を始めとする此れ迄の対策を一層徹底していく」と述べた。
此の場で記者団が「内閣広報官の山田氏から接待問題の詳細に就いて話を聞いたのか」と質問したのに対し、「山田広報官の件に就いては私の家族が関係しているので、公正さに疑念を抱かれる事が無い様、直接、話を聞く事は控えた」、記者会見を設定しなかった事に関しては「山田内閣広報官の事は全く関係無い」。「山田・内閣広報官を続投させる考えか」との質問に対し、24日の時点で「今後とも職務に頑張って欲しいと思っている」と述べた考えに変わりは無いと云う認識を示した。東北新社が社長の退任と幹部の処分を本日発表し、「菅総理大臣の長男も役職を解任されて人事部付となった」事に関する感想を問われると「私は承知していない」が、「会社としてのけじめだと思う」。最後に記者団が「今度の記者会見では、最後まで質問を打ち切らずに答えるのか」と質問したのに対して「私も時間が有る」、「先程から同じ様な質問ばかりでは無いか」と苛立ちを見せた由。
6府県に於ける緊急事態宣言解除の決定に関し、諮問委員会の尾身茂会長は26日夜の記者会見に於いて「今日の諮問委員会の議論では、緊急事態宣言を1週間前倒しで解除する事に就いて、端的に言って『諸手を挙げて無条件で賛成』と云う事では無かった」「解除の前倒しに対し、懸念がかなり強く表明され、私自身も同じような懸念を示した」と述べた。具体的な懸念として尾身会長は「感染力が強い可能性のある変異ウイルスが、ほぼ間違い無く従来のウイルスから置き換わる過程が始まっている」、「宣言を解除すると云う言説」の伝播に因り「首都圏を含めて人々が感染対策の防御を緩めてしまう」等を上げ、関西から中京圏と福岡で感染が減ったと言えども「去年夏の流行の第2波が落ち着いた」時期よりも依然として多く「解除に慎重になるべきだという意見が出た」と説明したそうだが、果たして委員達の危惧は為政者に届いたか。
2月27日(土曜)
本日に米国の議会下院が、新型コロナウイルスに対応した総額1兆9000億ドル、日本円で200兆円規模の経済対策の法案を賛成多数で可決。比律賓ではRodrigo Duterte大統領が「感染対策として各地で行って来た外出制限を3月も緩和しない」意向を表明。日系企業も多く進出している首都馬尼剌では厳しい外出制限が1年以上続く見通し等の厳しい世界情勢に於いて、米国の食品医薬品局(Food and Drug Administration; FDA)が昨日に外部の専門家に依る委員会を開催。
Johnson & Johnsonが開発した1回の接種で済む新型コロナウイルスワクチンに就いて、効果や安全性に関する情報を詳細に検討した後に委員が投票した結果、賛成多数で「18歳以上の成人に接種する事で得られる利益は危険性を上回る」との結論に達した。此れを受けてFDAが当該ワクチンの緊急使用を許可したと発表した由。米国ではPfizer、Modernaに次いで三番目の承認となる。此のワクチンは世界各国の約4万人を対象とした臨床試験の結果、接種後28日目以降で中程度から重度の症状を防ぐ有効性は66.1%、重度の症状に限ると有効性は85.4%を示したとされる。ファイザーとモデルナの製品が2回の接種を要するのに対し、J&J社製は1回で済む上に、2から8℃の冷蔵庫で少なくとも3ヶ月の保管が可能との事。
未だ初期段階の報告では在るが「変異ウイルスの感染が確認されている南阿弗利加や伯剌西爾でも同様の有効性が示された」と言われ、安全性に関してもFDA曰く「深刻な懸念は示されていない」。J&Jは緊急使用の許可が決定され次第、米国政府との契約に基づいて「今年6月末迄に1億回分を供給する」との方針を示しているが、接種後進国の我が国でも変異株の蔓延が懸念される昨今。利便性と効果の両面で先発品より優れている可能性が示唆されるワクチンの登場に対し、我が国の政府はどの様に対応するのか。見守って行きたい。
2月28日(日曜)
一昨日の項に記したが如く、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言は本日を以て西の6府県で解除。首都圏の1都3県に関しては未だ緊急事態が続くとして、飲食店の営業時間短縮や不要不急の外出自粛などの対策を徹底しつつ、3月7日の期限で解除するかどうかを判断する模様。
PfizerとBioNTechの製造したワクチンは医療従事者への先行接種が進み、明日にも第三便が成田空港に到着する予定。今回は最大で凡そ52万回分、人数にして約26万人分が届く見通しと云う所で、担当大臣の河野太郎氏が本日のテレビ番組に出演。ワクチンの接種回数と注射器の規格に関して「途中で交ざると現場が混乱する」ので「何処かで一斉に変える」と述べ、「6回分の採取が可能な特殊な注射器が十分確保出来次第、一斉に切り替える」との意向を示した由。
海外からのワクチン供給は遅滞気味となっているが、河野氏は「4月分は少し上積み出来るのではないか」と云う事で交渉中と語り、また「接種会場でワクチンが余った場合」に「廃棄せずに現場の判断で柔軟に使える」為の指針を近く示す事も述べた。早く切り替えた方が貴重な薬液を無駄にせずに済むものの、使用経験の無いワクチンを多くの国民に接種しようと云う大計画は始まったばかり。現場の混乱は最小限に留めるべきで在り、概ね正しい判断と言えるのでは無かろうか。
今週某日に出勤前の検温で37度2分の微熱を確認。規定の37.5度は超えていないと判断して午前の外来を始めるも、三人を診た時点で再検すると37度8分まで上昇。慌てて各所へ連絡を取ってPCR検査を受け、代診に立ってくれた副院長に後事を託して帰宅。電話で聞いた結果は陰性で、COVID-19でも流行性感冒でも無かったので、解熱の翌日には片頭痛を抱えながらも診療に復帰。週末には概ね回復して一安心。




