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令和コロナ騒動実録  作者: 澤村桐蜂
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令和3年2月第2週

2月8日(月曜)

 今月4日発売の「週刊(しゅうかん)文春(ぶんしゅん)」に「菅首相長男、高級官僚を違法(いほう)接待(せったい)」との見出しが(おど)った。記事に拠ると「バンドに熱を上げる息子」の正剛(せいごう)氏を、菅総理は「総務大臣秘書官に()けた」後で「後援者企業」、即ち映像制作等の事業を手がける東北新社(とうほくしんしゃ)に入社させた。衛星放送事業にも携わる東北新社で、長男は「父が強い影響力を持つ総務省との窓口」を担当。昨年10月7日に日本橋(にほんばし)人形町(にんぎょうちょう)の高級料亭で、東北新社の二宮(にのみや)清隆(きよたか)社長等が総務省内で「次の事務次官」の呼び声が高い谷脇(たにわき)康彦(やすひこ)総務審議官を接待して数万円する食事代を支払い、タクシーチケットを渡した際、同社の「趣味・エンタメコミュニティ統括部長」の肩書を持つ正剛氏も同席していた由。

 東北新社の子会社は総務省から衛星基幹放送事業者の認定を受けていて、「国家公務員倫理法に基づく倫理規程が禁じる利害関係者」からの接待に当たる可能性有り。また倫理規程では「利害関係者との会食で自分の飲食費が1万円を超える場合は届け出が必要」とされていたが、費用が1万円を超えた3人に関する届け出は報道前日の今月2日。単なる一事業者から会食に誘われて総務省の幹部が相次いで応じるのも不自然で「首相の長男の誘いだったからこそ断らずに接待に応じた」と見られており、「政策が歪められるような影響が出たのではないか」と懸念されているが、同日の衆院予算委員会で立憲民主党・黒岩(くろいわ)宇洋(たかひろ)衆議院議員から「週刊誌報道の写真は長男か」と質問されると、菅首相は「分からない」、「本人には確認していない」が「息子と電話で話した」、「調査に協力するように伝えた」と曖昧に語った上で「私と長男とは完全に別人格だ」「長男にも私事権(プライバシー)が有る」等と強調した由。

 しかし、「長男は首相が総務相時代に秘書官を務めていた」「其の時期に官僚たちと繋がりが出来たのでは無いか」、菅首相と総務省は「携帯料金値下げ等で今も歩調を揃える蜜月関係」に在り「省内や放送業界は、菅父子の顔色を窺わざるを得ない」との指摘も有り、「飽くまで首相とは別人格で在る長男と一部の総務官僚の個別問題」との主張で乗り切れるかどうかは不明。世間へ喧伝(けんでん)された「叩き上げ」「苦労人」の印象も失われたが、果たして菅内閣はワクチン接種開始や五輪開催か中止かの判断等の正念場を乗り越えて行けるのだろうか。


2月9日(火曜)

 厚生労働省が「自分をまもり、大切な人をまもり、地域と社会をまもるため」に追加装備インストールせよと国民に求めた新型コロナウイルス接触確認アプリ。COVID-19 Contact-Confirming Application、略称COCOA。

 昨年6月の利用開始から情報受信(ダウンロード)数は順調に伸びて、今月5日には2491万件に達した一方、昨年11月の時点で有志の開発者から「現在のAndroid版では接触が検知されることはないと思われます」等の指摘有り。今年に入り、利用者が陽性登録しても「過去14日間どころか」「私が濃厚接触者にしてしまった家族にさえ」通知が来ぬ旨のtwitter投稿が相次ぎ、1月13日の衆議院内閣委員会で国民民主党代表の玉木(たまき)雄一郎(ゆういちろう)氏が「COCOAは機能しているのか」と質問。対して厚労省担当者は「1(メートル)以内で15分以上、実際には接近していなかったり」「Bluetooth機能をOFFにしてしまったり」等で「適切に作動出来ていない症例(ケース)も考えられる」と不具合の原因が利用者側に在るかの様な答弁に終始。

 しかし今月3日、遂に厚労省がCOCOAの不具合に()いて公表。Android端末で使用すると「陽性登録を行った本アプリ利用者」との「1メートル以内15分以上の条件に該当する接触」が有っても「検知・通知を行っていない」事が判明したとの事で、厚生労働大臣の田村(たむら)憲久(のりひさ)氏が集まった記者の前で謝罪したが、当の田村氏もAndroid派で「新型コロナの感染が確認された国会議員と面会」しても通知が届いていなかった由。問題の障害は「昨年9月28日のバージョンアップに伴って生じた」もの」、以降も改修毎に「テスト環境を用いて必要なテストを実施」して来たが「基盤となっている接触通知APIから出力される接触リスクに関する値を前提とした模擬的な検証を行う」に留まっていた。不具合の報道を受けた後に「実機を用いた動作検証を行った」所、「接触リスクに関する値がAndroid端末については想定と異なる形で接触通知APIから出力され」た結果として「接触が正しく通知されない」状況が判明したとの報道有り。

 技術的な事は良く分からぬが、本日の閣議後会見で平井(ひらい)卓也(たくや)デジタル改革相は「はっきり言って、出来の良いアプリでは無かったと思う」と苦言を呈した由。コロナ()に於ける一律10万円の現金給付で自治体の現場が混乱した事も踏まえて「デジタル系で国民の期待に応えられない様な事案が結構出て来た」が「COCOAなんか、もう正に其の最たるもの」で、「そもそも発注自体にも問題が有ったと言わざるを得ない」。「何とかCOCOAを立て直さなきゃいけない」が「私が如何(どう)関与するかは()れから考えたい」等と語った。

 問題の背景として、厚労省が「コロナ対応で多忙を極めている上、IT関係にはあまり強くない役所」だった事や「他国の同種アプリと比べても改訂の回数が少ない」「運用に()いて確固たる体制が構築されていなかった」等指摘有り。「2月中旬までに不具合の解消を目指す」との方針だが、厚労省の認めていない「iPhone利用者での不具合」が存在するとの情報も有る。早急に問題を洗い出し、地道に公開と修正を重ねる他に解決策は無かろうが、役所の面子めんつが妨げとなりそうだ。


2月10日(水曜)

 英国政府は感染力の強い変異株が確認された伯剌西爾(ブラジル)や南阿弗利加(アフリカ)を含む約30ヶ国を "red list"に指定しており、直近10日間の滞在歴を有する者の入国は原則禁止とされていた。更に昨日、感染拡大を防ぐ目的で「入国規制違反に重い罰則を科し、水際対策(みずぎわたいさく)を強化する」旨を発表。「変異株に()る感染が深刻な国」での滞在歴を隠し、虚偽の情報で入国する等の悪質な場合には「最長10年の禁錮刑」を科す由。人口の大半を占める英蘭土(イングランド)にて適用した後、残り三地域も政府と連携して同様の措置が執られる模様。

 米国の疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention; CDC)が(まと)めた所に拠ると、本日迄に最低1回の新型コロナウイルス用ワクチン接種を受けた者は3378万人余り。同国人口の(およ)そ1割に達した由。しかし、New York Times紙の報じる所では、同じく本日の時点で西部Utah州は92%、中西部North Dakota州は91%が接種済なのに対し、人口の多い東部の紐育(ニューヨーク)州では68%、西部の加州(カリフォルニア)では65%に留まる等、接種の進行度合は地域差が大きい。「ニューヨーク州では大リーグの球場や学校を臨時の接種会場にする」等の策が講じられるも予約取得が困難な状態が続き、ワクチン供給や接種を担当する医療従事者の不足も課題。同国政府の担当者は本日会見で、 Biden大統領の「就任から百日の(うち)に1億回分の接種を行う」と云う目標は順調に達成されつつ在ると述べる一方で、各州へのワクチン供給を増やし、資金面を含む支援を強化するとも語ったと聞く。


2月11日(木曜)

 神話に於ける日付を云々(うんぬん)する事の意義は不明だが、初代とされる神武天皇(じんむてんのう)の即位を日本書紀では旧暦の紀元前660年1月1日と記述しており、明治の御代(みよ)には旧暦1月1日に当たる1月29日が祝日とされた。やがて「神武天皇御即位日」から「紀元節(きげんせつ)ト称ス」事になったが、「旧正月を祝う祝日」との誤解が国民に広まった等の事情から2月11日に変更。敗戦を経て昭和23年に廃止されるも、昭和41年になると世情も変わり、「建国記念の日」として国民の祝日に復帰。

 斯様な経緯を抱えて、此の日は祝う者も有れば反対集会も開かれるのが我が国の常では在るが、今年は両陣営ともコロナ禍に配慮。東京は渋谷区で神社本庁(じんじゃほんちょう)等が「日本の建国を祝う会」なる式典を催すも規模を縮小、主催者発表で100人のみの参加に抑えられた由。対する『「建国記念の日」に反対し思想・信教の自由を守る連絡会』は回線接続(オンライン)で集会を開き、歴史学者や弁護士など合わせて200人程度が参加した模様。

 新年を旧暦で祝う中国では、明日の春節(しゅんせつ)に合わせて本日から7日間の大型連休に突入するが、同国政府は感染拡大への懸念から帰省自粛を呼び掛けると共に、農村部に帰省する者にはPCR検査を義務化。2年前と比べて6割以上減少すると言われるものの、それでも春節前後の40日間に延べ11億人余りが移動する事になりそうだ。

 COVID-19感染死が世界で二番目に多い伯剌西爾では、蹴球競技場(スタジアム)も利用し、国を挙げてワクチン接種を推進。其の一方で中止となった遼城(リオデジャネイロ)謝肉祭(カーニバル)を強行しようとする一部市民の動きが見られ、遼城側は強制排除や逮捕も辞さないと宣言した由。我が国の特殊事情は()くとしても早く感染が収まり、世界の人々が平和に休日や祭典を楽しめる日が来る事を望むが、()だ実現は遠いか。


2月12日(金曜)

 本日に東京五輪・パラリンピック組織委員会が理事と評議員を集め、都内で合同懇談会を開催。其の席で(もり)喜朗(よしろう)会長が女性(じょせい)蔑視(べっし)発言の責任を取り、(ようや)く辞任する意向を表明した由。冒頭挨拶に立った森氏は「今回、私の不適切な発言が原因で、混乱を(もたら)して仕舞いました」、「御迷惑を御掛(おか」けしました事を誠に申し訳なく思っており」「報道の通り、今日を持ちまして会長を辞任致そうと思います」「五輪を開催する為の準備に私が居る事が妨げで在ってはならない」と述べた後、「思い返せば」と2014年1月の組織委立ち上げから思い出を細かく振り返り、問題とされた発言は「解釈の仕方だと思う」、「多少意図的な報道が有ったんだろう」、「女性蔑視意図は毛頭無かった」と(うら)(ぶし)も述べた上に女性登用の実績を誇る等と15分に渡って熱弁を振るった。

 今後、組織委は後任の検討委員会を立ち上げる方針で「早ければ今月中に後任(こうにん)会長(会長)を決定」との報道が有る一方で、渦中の森氏が早稲田大学第二商学部の後輩、川渕(かわぶち)三郎(さぶろう)氏に禅譲(ぜんじょう)を図ろうとした。川渕氏も(やぶさ)かでは無く、既に会長就任を果たしたかの如く「森氏を相談役に据える」「無観客の五輪は無意味」等と発言したが、世間は「森が院政(いんせい)()こうとしている」等と批判。政府も「引責辞任する人物に依る後継指名は有り得ぬ」と難色を示したらしく、川渕氏の会長就任は御破算(ごはさん)となった。J.LEAGUEの主席(チェアマン)を務めていた頃から口の軽い事に定評の有る川渕氏は、其の後も「前日に菅首相から森会長に若い人を据える提案」、「IOCのBach会長からは女性の登用の提案」が有った事を報道陣に明かしたらしく、現在の東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当大臣、橋本(はしもと)聖子(せいこ)氏等が次期会長の有力候補になるかとの声有り。

 米国のPfizerが開発した新型コロナウイルスのワクチンが本日午前、遂に成田空港へ到着。有効性等が確認されれば、明後日にも国内で初めて新型コロナウイルス用ワクチンとして正式に承認され、医療従事者への先行接種が始まる予定。今後の輸送に関し、白耳義(ベルギー)に拠点を有する国際物流会社からは「製薬会社からの供給次第」だが「日本には毎週輸送する計画が有る」。「ワクチンは専用の箱に収められ」、工場から出荷される時点で「23(キログラム)固体二酸化炭素(ドライアイス)が入れられている」。「一つの箱にはワクチンが入ったボトルが合わせて975個入る」が「瓶1本で5回接種する場合、1箱に4900回分近いワクチンが収められる」、「日本への初輸送で航空機に積み込まれたのは69箱」等の情報有り。感染も五輪誘致も此処(ここ)から風向きが変わって欲しいが、いずれもあまり過信は出来ぬか。


2月13日(土曜)

 本日23時8分頃に福島県沖(ふくしまけんおき)を震源地としたmagnitude 7.1の地震が発生。宮城県南部、福島県中通り、福島県浜通りで震度6強。宮城県北部、宮城県中部で震度6弱。震度5強が福島県会津、栃木県北部、栃木県南部で、震度5弱が岩手県内陸北部、岩手県内陸南部、山形県村山地方、山形県置賜地方、茨城県北部、茨城県南部、埼玉県北部。震度4は北東北から関東甲信越まで広範囲に及んだ。

 東京大学(とうきょうだいがく)地震研究所(じしんけんきゅうじょ)古村(ふるむら)孝志(たかし)教授は「陸側のプレートに沈み込む太平洋プレートと呼ばれる岩盤の内部で起きた地震」で「比較的震源が深いため津波の被害の心配は無い」が「規模が大きく」、「広い範囲で強い揺れを引き起こしたと見られる」。「此の領域では、以前から地震活動が活発」で「東北沖の巨大地震の影響も残っている」為、今後も「1週間程度は同程度の激しい揺れに注意が必要だ」と語った。

 茨城県東海村(とうかいむら)に在る運転停止中の東海第二原子力発電所を含む茨城県内の原子力関連施設。青森県東通村(ひがしどおりむら)の東通原子力発電所。同じく青森県六ヶ所村(ろっかしょむら)に在る使用済み核燃料の再処理工場等に異常が認められなかったのは幸いだが、此れだけの地震。五輪開催の可否にも何らかの影響が有るかも知れぬ。


2月14日(日曜)

 一昨日に空輸されたばかりのPfizer製ワクチンを、遂に厚生労働省が正式承認。新型コロナウイルス用としては国内初。3週間隔で2回接種、対象は16歳以上だが妊婦も接種可能との事。接種に同意した医療従事者1万人から2万人を対象に、来週17日にも先行接種が始まる模様。

 昨日深夜の地震に因り、廃炉準備中の福島(ふくしま)第二(だいに)原発(げんぱつ)1号機で使用済み核燃料を保管する貯水槽(プール)から、凡そ160(ミリリットル)の水が側溝に溢れ出すも、「少量の為に核燃料冷却に影響せず、放射線量も低いので作業員にも被曝の懸念無し」と東京電力が発表。建築物や水道管、東北新幹線等の鉄道、常磐道等の高速道路を含めた物的被害は甚大なるも、災害規模に比して死傷者は少なかった模様。

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