令和3年1月第4週
1月18日(月曜)
今月14日の時点で河野太郎行政改革担当大臣が「現時点では五輪に備えて我々は最善を尽くす必要が有るが、何方に転ぶかは分からない」「諸有可能性がある」と発言。現状に即した穏当な物言いだと個人的には感じたが、仏蘭西のFigaro紙を含む欧米の報道機関が「閣僚で初めて東京五輪中止に言及か」との論調で報道。本日に河野氏はtwitterにて「世界的な新型コロナウイルスの状況を見れば、今後、色々起こり得る事を考えて、様々な対応策を考えて置くのは当たり前の事では無いか」と反論した由。
根拠も無く楽観的主張を繰り返す政治家や五輪関係者の中、氏の常識的発言が異彩を放ったと云う事かも知れぬが、同じく本日に第204通常国会が召集され、午後の衆参両院本会議で菅義偉首相は施政方針演説。新型コロナ対策に関しては「再び制約のある生活」を国民に「御願いせざるを得ず、大変申し訳無く思う」、緊急事態宣言の発出に言及して「ステージ4(感染爆発)を早急に脱却する」等と語る一方、「人類が新型コロナに打ち勝った証」として「世界中に希望と勇気を御届け出来る大会を実現するとの決意の下、準備を進める」と語った由。
しかし、COVID克服に程遠い現状は厳然として存在する。本日に厚生労働省の結核感染症課が「英国に於いて報告されました新型コロナウイルス感染症変異株」を静岡県で「3例確認」。「英国滞在歴や滞在歴の有る患者さんとの接触歴」は確認されず「現在、推定感染源を調査している所で御座います」と発表。即ち日常生活に於ける「市中感染」が強く疑われる状況として、厚労省が警戒を強めている旨が語られた。
変異株が検出されたのは同県に住む20代から60代の男女で、厚労省会見の一時間後に行われた静岡県の緊急会見に拠ると、何れも回復済もしくは軽傷。 国立感染症研究所の脇田隆字所長も「感染に面的な広がりは無いが、状況から国内感染が起きたと推定できる」と語り、3人から検出された変異種の遺伝子配列が略同じで在る事も明かされた。感染研は変異種の構造を詳しく調べると共に、静岡県内での調査体制を強化する方針との事。
1月19日(火曜)
今回が初めてとなる大学入学共通テストは昨日に二日目の理科と数学が行われ、第1日程が終了。二日間を通じて全国の4会場で「マスクを正しく着用するよう求める試験監督者の指示に従わなかった」等の行為により、合計4人が失格となった由。一部で擁護の声が上がるも、事前に受験生へ配布された「受験上の注意」なる書面に受験の際は「マスクを正しく着用」すべきで在り、「知覚過敏等によりマスクの着用が困難な場合」には「医師の診断書」を提出して「別室での受験を申請する」必要が有る旨も其処に明記されていた模様。
更に本日、「鼻をマスクで覆わずに失格になった受験生の男」が警視庁に現行犯逮捕されていた事が判明。大学入試センターや関係者の情報に拠ると、当該の受験生は49歳男性。16日に江東区の東京海洋大越中島キャンパスで試験に臨んだが、最初に実施された「地理歴史・公民」の試験時からマスクで鼻を覆って居らず、試験監督が6回に渡って「鼻を覆うように」と要求するも応じなかった為に「次は不正行為になる」と警告を受けた。他の受験者が某局に語った所に拠れば、「監督者が注意内容を書いた紙片を前に出す」も「其の指示には従いたくない」等と拒み、「手で払い除けたり、聞き入れなかった」との態度を取っていた模様。
午後の「英語・リーディング」が始まっても依然として「鼻出し」が続いた為、試験中に監督者から「貴方のテストの結果を無効とする手続きを取りました」「貴方は受験資格を失ったので、退出してください」と告げられたのに対し、男は抵抗。係員が連れ出そうとしても居座るとの騒ぎとなり、已む無く他の受験生が別の教室に移動させられる事態に発展。やがて失格した受験生は構内の便所に行くも其処から出て来なくなり、会場側が警察に通報。約3時間に渡って施錠した個室に立て籠もり、説得にも応じなかったため、警察官が上部付近から個室に入って22時頃に建造物に於ける不退去の容疑で現行犯逮捕。送検後に釈放されるも、警視庁は任意で捜査を続けている由。
此の件に関し、萩生田光一文部科学大臣が本日会見で「他の受験生に精神的な影響を与え、看過出来ない状況だった」との報告を受けており、「失格は適切な措置だった」と説明。安倍氏の忠犬で「身の丈に合わせて頑張って」の暴言を受験生に吐いた萩生田氏が、今に至るも文科大臣の重責を担っている現状には合点が行かぬものの、本件に関する氏の見解は妥当と考える。
1月20日(水曜)
1月18日にWashington, D.C.の各所で予行演習。厳重警備の下でWhite Houseから車列や楽隊、大統領夫妻役の男女を実際に動かし、動線が確認された。そして二日後の本日にJoe Biden新大統領の就任式。宣誓後に行った就任演説で、国民に団結を呼び掛けた由。
バイデン氏は連邦議会議事堂前に於ける演説で「今日は米国の日、民主主義の日、歴史と希望の日だ」、「民主主義は尊く、壊れやすい」「そして今、民主主義が勝利したのだ」と宣言。僅か2週間前の同じ場所で、バイデン氏の当選を覆そうとした暴徒が議会を襲撃する事件が起きたばかりの米国は、新型コロナウイルスの流行と深まる政治分断に直面している最中。現在の課題を克服するには「言葉以上の多くのもの、そして民主主義で最も達成困難なもので在る団結が必要だ」とも呼び掛けた。バイデン氏は演説で、米国が直面している「政治的過激主義と白人至上主義、国内テロの台頭」に対して「我々は立ち向かい、打ち負かさなければならない」とも述べた。
対して前大統領となったDonald Trump氏は、19日午後の時点で発表された約20分間のvideo messageにて次期政権の成功を祈念するも、伝言の中でバイデン氏の名前には言及せず。 White Houseが公表した要約に拠ると、トランプ氏は「今週、新政権が発足する」「新政権の下で米国の安全と繁栄が維持される事を祈る」と語る一方で、「世界史上最も偉大な経済を確立した」「我々は誰もが想像していた以上の事を成し遂げた」と自画自賛。更に「20日正午に新政権に権限を移譲するに当たり、我々が始めた動きはまだ始まったばかりだと云う事を知って置いて欲しい」と述べ、自身の政治運動を今後も継続する事を示唆した。
既報の如く慣例を破って新大統領就任式は欠席したトランプ氏だったが、米国の伝統に従い、大統領執務室(Oval Office)に手紙を残していた事が後に明らかとなった。バイデン氏は記者団に対して「大統領が非常に寛大な手紙(very generous letter)を書いた」と語るも、「私信で在る為に、彼と話す迄は其れについて語らないが、寛大な内容だった」と述べるに留めた由。
1月21日(木曜)
1月18日の施政方針演説で「新型コロナウイルス感染症を一日も早く収束させる」と菅首相が宣言。同日夕に関係閣僚との協議を経て、ワクチン接種を円滑に行う為の「全体の調整を河野大臣に指示した」との発表が有り、河野太郎氏が新型コロナウイルス感染症ワクチン接種推進担当大臣に就任。「感染対策の決め手」の担当に起用した理由について、総理は「規制改革担当として、役所にわたる問題を解決してきた手腕だ」と説明した。
規制改革とワクチン接種推進を兼務する事になった河野大臣は「“プロジェクトX”みたいな、結構大きな仕事になるんだろうなと」、「国民の協力を頂きながらやらなきゃいけない」「1人でも多くの方に、1日でも早く打って頂けるような仕事をしっかりとやって行きたい」等と記者団に語った。出演したテレビ番組では「ワクチンをどのように動かし、どう接種まで持っていくか」「ロジ面において各省に跨る調整」を任されて、具体的には病院や地方自治体に対するワクチン輸送の調整を行うと説明すると共に、自衛隊に協力を要請する可能性にも言及。「国民の無償協力者を募集する事も有るかも知れない」と語った由。
因みに当方は「ロジ」という用語を寡聞にして知らなかったが、検索してみるとlogisticsの略で兵站や物流、転じて後方支援を指す由。政策の中身をsubstanceの略で「サブ」、サブを実現する為の諸手続をロジと呼ぶのは「役人にとってとても馴染み深い言葉」と現役官僚を名乗る某人物が自身のblogに記した一文も見付けた。
菅総理としては「子飼いの河野氏」を使い、「首相肝煎の直轄事業」として推進して行く心算かと見られているが、河野氏が過去に実現して来たAegis Ashoreの計画停止やハンコ廃止とは異なり、ワクチン接種の推進は高度の調整力を要する任務。諾威で高齢者を中心に約4万2000人がPfizerとBioNTechが開発したワクチンを接種した所、接種から短時間の裡に29人の高齢者が死亡した事から、同国政府が「重い基礎疾患がある高齢者にとってファイザー製ワクチンは危険性が高過ぎる可能性が有る」との見解を発表した事。高齢者や亜細亜人への投与に関する情報が不足している事、抑々ワクチン頼みで問題が解決するのか不明な事等に関する懸念も有る様だが、現状で国家規模でワクチン接種を行う事は不可避と考える。今回就任の政治的背景に就いて様々に推測する向きも有る様だが、まずは河野氏に頑張って頂きたい。
1月22日(金曜)
2011年に米国同時多発テロ事件を「歴史の必然として起きた出来事」と訳知り顔に評して批判を浴び、環境大臣を務めていた2014年は東京電力福島第1原発事故の除染から生じた汚染土の中間貯蔵施設の建設に関し、地元との調整が難航する中で「最後は金目でしょ」と言い放ち、後に福島県へ謝罪に赴かざるを得なくなった等の経歴を持つ、自民党の石原伸晃元幹事長。
今月18日開会の国会本会議に登院した後、昨日には自身が率いる派閥「近未来政治研究会」の総会に参加して「内政はコロナコロナ、一色で在りますけど」「コロナに引っ掛からない様にね」等と軽口を以て挨拶。昼は同派閥に所属する野田毅元国家公安委員長、坂本哲志一億総活躍担当相と会員制の料理店で会食するも、同僚議員の勧めでPCR検査を受けた所、新型コロナウイルス陽性と判明。不整脈等の既往症、所謂持病を理由に無症状でも即日入院となった事に関して「特別待遇」或いは「上級国民」と批判を受けた。昨年末に発症から僅か数日で急死した立憲民主党の羽田雄一郎参院議員を含めて、国会議員のコロナ感染は9例目。 「口では感染防止や自重を呼び掛けながら、結局は他人事」「既に議員や秘書、衛視の間で感染が広まり、国会内で集団感染が起きているのではないか」との声有り。
ジンバブエでは一昨日の朝に、シブシソ・モヨ外相が新型コロナウイルス感染を経て死去。蒙古では昨日にフレルスフ首相が「感染予防の政策に不備が有った」として辞任を表明。日本の与党政治家だけが安全地帯に置かれている訳では無く、親族に綺羅星の如く著名人が揃っていた所で感染を免れる事も出来まい。
1月23日(土曜)
一昨日の記者会見で、坂井学官房副長官が「6月までに接種対象となる全ての国民に必要な数量の確保は見込んでいる」と説明。菅義偉首相が昨年10月の所信表明演説で述べた「来年前半迄に全ての国民に提供できる数量を確保する」との方針に沿った発言だったが、昨日に河野太郎ワクチン担当相も記者会見。「政府内の情報の齟齬」が有ったとし、前日の坂井氏発言に関して「修正させて頂く」、「其の部分、全部削除して下さい」等と語った由。
更に「まだ供給日程は決まっていない」、「昔の計画を作る為の想定は捨てないといけない」「現実に動いていくので、其れに合わせてスケジュールが決まる」と話した河野氏に対し、発言を否定された形となった坂井氏も同日に会見。「河野大臣の発言はペーパーを取り寄せ」て「発言の趣旨、真意を確認中」だが「ワクチン確保は大変重大な課題であり、全力を尽くす」、「今、申し上げられるのは其処迄だ」と述べると共に、河野氏の主張に対して「齟齬は生じていない」、自身の発言は「修正しません」と断言。「具体的な確保の見込みが何月何日になるか迄は未だ決まっていない」と河野氏への配慮も見せつつ、「確保と供給は違う」と指摘した。
閣内で足並みの乱れが懸念されるも、其の後に両氏の間で話し合いが持たれたのか。同日夜になって河野氏は記者団に「“6月に確保する”事を目指す」方向で「齟齬は無いと確認した」と語った由。坂井氏発言に於ける語尾の「見込んでいる」を、政府方針の文言通り「目指す」とする事で認識が共有された模様。裏面の事情は知らぬが、報道から分かる範囲では「河野氏の勇み足か」との印象が強く、先が思い遣られる。米国では大統領就任式に於ける警備の任務を終え、全米各地へ撤収しようとした州兵2万5000余のうち、150人から200人程度が新型コロナウイルスの検査で陽性反応を示した由。
1月24日(日曜)
2019年12月に武漢市で初めて確認された後、瞬く間に世界に拡大した新型コロナウイルス感染症。中国当局は当初「世界的大流行は武漢の生鮮市場から始まった」と考えていたが、2020年5月の時点で同国の国立感染症対策センターは市場起源説を否定。
当時、米国のトランプ大統領は「ウイルスがWIVで発生した事を示す信頼度の高い証拠を見た」と主張し、Michael Richard "Mike" Pompeo 国務長官も大統領の発言に追随。WIV起源説を証明する「大量の証拠」が有り、「此れ迄の所、一流の専門家達はウイルスが人工的に作られたと考えている様だ」「現時点で其れを信じない理由は無い」と同月に語るも、国立アレルギー・感染症研究所のAnthony Stephen Fauci所長は異議を唱えた。米政府の新型コロナウイルス対策チームを率いていたファウチ氏に依れば「パンデミックを引き起こしたウイルスが中国の研究室で作られたものでは無い」事を示す「有力な証拠」が有り、「時間の経過に伴う段階的な進化」は「此のウイルスが自然界で進化」した後に「種を飛び越えた」事を示している由。
そして今月14日にWHOの調査団が湖北省武漢市に到着し、遅れ馳せながら新型コロナウイルスの発生源を探る調査を開始。調査団は米国、豪州、独逸、日本、露西亜から参加した総勢10人程度で構成されている模様。
退任が迫るも未だ国務長官を務めていたポンペオ氏は、翌15日に「調査団の重要な仕事への支援」を表明すると共に、「2019年の研究所内の活動」に関する調査を要請。最初の感染確認例より以前の「2019年秋の時点」で、中国の武漢ウイルス学研究所(Wuhan Institute of Virology; WIV)内に「新型コロナウイルス感染症及び一般的な季節性疾病の何方とも一致する症状」を呈した研究者が「複数存在していた」と「信じるに足る理由が有る」、此れは「WIVの職員と研究員には、新型コロナウイルスまたはSARS(重症急性呼吸器症候群)関連ウイルスの感染は無かった」と云う「WIV上級研究員・石正麗/Shi Zhengliの公式発表」の「信頼性に疑問を投げかけるものだ」と主張した。ポンペオ氏に名指しされた石氏は蝙蝠由来のウイルスに関する著名な研究者で“Batwoman“の異名を持つが、2019年2月に毒性を有するコロナウイルスを体内に持つコウモリについての論文を出している模様。
更に1月18日に開催された世界保健機関(World Health Organization; WHO)の会合で、米国代表が「現在派遣されているWHOの調査団に新型コロナウイルスに関する全ての科学的情報を提供すべきだ」と呼び掛けたのに対し、中国の代表は「調査は科学的なものであり、如何なる政治的な圧力も排除しなければならない」と反発した由。
一部では「中国で科興控股生物技術/Sinovac BiotechとSinopharm/中国国家医薬集団の2社が不活化ワクチンを開発するのに要した期間を逆算すると、2019年8月頃にワクチン開発が始められた事になる」、Harvard大学が「武漢市の病院への車の出入り」を人工衛星からの写真で解析すると「8月から急増」していた事を根拠に「新型コロナウイルスの感染拡大は2019年8月に始まっていた」とする論文を発表した、「新型コロナウイルスと遺伝子情報が96%以上も一致するウイルスが2013年に雲南省のコウモリから発見されている」等とも報じられている。中国が全ての情報を出していないのは間違い無かろうが、残念ながらポンペオ氏の主張も雇用主と同様に証拠の提出が伴わず、泥仕合の儘で終わると見た。




