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令和コロナ騒動実録  作者: 澤村桐蜂
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令和3年1月第3週

1月11日(月曜)

 成人(せいじん)()が「年明けの第二月曜」と曖昧(あいまい)な日程になって、(すで)(ひさ)しい。今年は1月11日。(すなわ)ち本日だが、緊急事態宣言の出た1都3県で多くの市町村が成人式(せいじんしき)の中止を選択。しかし、全国で最も多い(およ)そ3万7000人の新成人が誕生する横浜市は二箇所(にかしょ)に用意された会場で各4回、合計8回に分けて式典を決行し、40%強の1万5000人程が参加した由。東京都の墨田区では参加者が一堂に会する従来型の式典を中止した上で、区長や実行委員を務める9人の新成人等の(わず)かな人数のみが参加する式典の様子が、回線接続(オンライン)で生中継されたとの事。

 本日に向けて、西村(にしむら)康稔(やすとし)経済再生担当大臣も「成人式が分散開催された地域」に向けて「久しぶりに会った同級生と一緒に食事をしたいだろう」が「感染拡大のリスクが極めて高くなる」ので「控えて」欲しい、「感染の状況が落ち着くまで延期していただきたい」とtwitterに投稿。「一浪で大学に入った翌年、帰省を一考する事も無い(まま)に1月15日を迎える」「何となく街中へ出て今日に限って晴着(はれぎ)の女子が多いのは何故(なぜ)かと不審に思う(うち)に成人式の日が暮れた」と()う自分でも、世間の人々が特別な行事の一つと考える心情は(おおむ)ね理解出来る。しかし、今年に限っては仕方が有るまい。

 上方(かみがた)でも感染の烈火(れっか)()まず。1月9日の時点で三府県の知事がオンライン会談を介し、「大阪(おおさか)兵庫(ひょうご京都きょうとにも緊急事態宣言を出す様に」と西村経済再生担当大臣に要請。本日午後に(すが)義偉(よしひで)総理大臣と共に協議した結果、「専門家の意見も聴きながら、週内にも3府県を対象に宣言を出す方向」で調整を進める事になり、「早ければ13日にも決定する見通し」と報じられた。


1月12日(火曜)

 英国での死者は8万1000人を超え、倫敦(ロンドン)の一部地域では20人に1人が感染していると推定される。同国での感染拡大に関し、昨日にChris Whitty首席医務官は「今後数週間が最悪の期間になる」という見方を示した。同じく昨日に米国では、Joe Biden次期米大統領は二度目となる新型コロナウイルスワクチンの接種。 PfizerとBioNTechが共同開発したワクチンの注射を受けた後、バイデン氏は「私の最優先事項は出来るだけ迅速に人々の腕にワクチンを入れる事だ」と語った由。本日に東京都では970人の新規感染者を確認。8日()りに千人を下回ったものの、決して減少したと言える域では無い。

 斯様(かよう)な情勢に於いて本日、菅首相がMicrosoft共同創業者のWilliam Henry "Bill" Gates氏と電話会談。現在は慈善団体Bill & Melinda Gates財団の共同議長を務め、COVID-19対策にも多額の資金を提供しているゲイツ氏との意見交換を行う中で、氏が「東京(とうきょう)五輪(オリンピック)・パラリンピックの開催が世界に対して大きなメッセージになる」と期待を表明したのに対し、首相は「必ず()()る」と応じた由。

 先週末に行われた複数の世論調査で「東京五輪の中止もしくは再延期を望む声が8割に達する」等と逆風が吹き荒れる中でも、「不安は全く無い」「どうして7月の事を今、議論するのか」等と発言したばかりの御仁(ごじん)。東京五輪・パラリンピック組織委員会の(もり)喜朗(よしろう)会長も、本日に都内で職員に対する年頭挨拶。自身の放言が更なる世間の反発を招いた件に関して「家内がスマホばかり見ているんですが、私の悪口ばかりだったそうです」、「森は何を考えているのか」「馬鹿じゃないか」と「菅さん以上に悪口ばかり」、「こんなのは長い人生で初めて」で「森内閣でもこんなに(ひど)くなかった」と苦笑しつつも「私が此処(ここ)で考え込んだり迷ったりすれば全てに影響する」ので「()くまで進めて行く」。「()れが私の最後の仕事」かつ「天命」等と「力強く話した」旨が報じられた。

 政治家達の思惑(おもわく)他所(よそ)に、締切時刻(デッドライン)は迫る。予定通りならば3月25日には聖火継走(リレー)が開始となり、中止するなら国際五輪委員会(International Olympic Committee; IOC)の視察も有る「2月がギリギリの時機(タイミング)」。 3月末で組織委との契約が切れる職員も多いそうだが「中止ならば彼等は次の就職先を探さねばならぬ」、「そもそも開催前提の任期ならば、大会終了後の9月(まで)が妥当」だが「当初から中止が視野に入って居たのではないか」等の声有り。更にIOC最古参委員のRichard Pound氏が大会開催に関して「私は確信できない」、「ウイルスの急増という誰も触れたがらない問題が進行中だからだ」と発言。略称でDick Poundとも呼ばれる彼の個人的見解と云うよりも、「氏に踏み込んだ発言をさせて世論の反応を見る」IOCの観測気球か。


1月13日(水曜)

 米国は加州(カリフォルニア)()るサンディエゴ動物園サファリパーク(San Diego Zoo Safari Park)で、少なくとも2頭の大猩々(ゴリラ)が新型コロナウイルスに感染したことが分かった。ゴリラ2頭は6日の時点で咳を認めて糞便を検査した所、8日の暫定結果でウイルスが検出され、更に農務省の機関が11日に陽性を確認。職員がゴリラと接する際にはマスク等の個人用防護具の着用が義務付けられていたものの、無症状の職員から感染したと考えられている。

 米国の疾病予防対策センター(Centers for Disease Control and Prevention; CDC)によると、過去に水鼬(ミンク)(イヌ)(ネコ)家畜化欧州毛長鼬(フェレット)(トラ)獅子(ライオン)へのCOVID-19自然感染が確認されているものの、大型類人猿に関しては初の症例となる。ゴリラと人間は遺伝情報の98%が共通しており、過去の研究で「新型コロナウイルスはヒト以外の霊長類にも感染する可能性が有る」事が判明している由。南カリフォルニアでの急速な感染拡大を受け、同園の一般公開は昨年12月初旬から停止されていた為に「公衆へ感染が拡大する危険は無い」、園では複数のゴリラの家族が()れを()して生活して()り、全頭に濃厚接触(のうこうせっしょく)の可能性が有るものの「ゴリラの群れは皆で隔離措置をして過ごしている」との事。今やウイルスの害を(こうむ)るは人間世界のみに(あら)ず。

 我が国の首相官邸に()いて今夜に新型コロナウイルス感染症対策本部が会合を持ち、緊急事態宣言の対象区域に大阪・京都・兵庫・愛知(あいち)岐阜(ぎふ)福岡(ふくおか)栃木(とちぎ)の7府県を追加する事が決定。期間は明日から2月7日迄で、先に発令済の首都圏4都県と合わせて、宣言の対象は三大都市圏を含む11都府県に拡大。対策本部長を務める菅首相は、区域追加は「厳しい状況を好転させる(ため)には欠かせない措置」で「全国に感染が広がる前に対策を(こう)じる必要が有る」と説明。「効果は必ず出て来る」と訴えて国民に協力を求める一方、更なる対象区域追加の有無に関しては明言を避けた由。

 宣言は新型コロナウイルス対策の特別措置法(とくべつそちほう)(もと)づき、対象区域の知事は「飲食店に午後8時迄の営業時間短縮を要請」して応じた店舗には「1日最大6万円の協力金を支払う」が、応じなければ「店名の公表が可能」となる。首相は11都府県との連携強化に向けて「政府との連絡会議を新設する」、「国として最大限必要な支援を行う」と述べ、対象地域以外でも「宣言に準ずる措置として飲食店の時間短縮など同じ対策を講じる」場合は「国として宣言の対象地域と同じ支援を行う」と語った模様。此の一手で()(こた)えられるか、()(いし)(みず)とばかりに全国へと燃え広がるのか。


1月14日(木曜)

 昨日に米国の合衆国代議院、別称は下院(かいん)にてDonald Trump大統領を弾劾訴追(だんがいそつい)する決議案が可決された。此の結果、退任7日前にしてトランプ氏は史上初の「二度に渡って弾劾訴追された米大統領」となった由。先週に発生した議会(ぎかい)襲撃(しゅうげき)事件(じけん)を巡ってトランプ氏を「反乱の扇動」で訴追する内容の決議案に対し、採決では民主・共和両党の計232議員が賛成票を(とう)じ、共和党からも10議員が賛成に回った。今後に元老院、即ち上院(じょういん)で弾劾裁判が開かれる予定だが、開始は今月20日のJoe Biden次期大統領就任後となる模様。

 欧州では、英蘭(イングランド)公衆衛生庁(Public Health England; PHE)が全国の医療従事者約2万800人を対象に感染状況を追跡。分析の結果、昨年6~11月に新型コロナウイルス抗体検査で陽性反応が出た6614人中、再び感染の兆候を示したのは僅か44人。「感染後に獲得される免疫が少なくとも5ヶ月間は持続する」可能性が示唆された。

 研究を主導したPHEのSusan Hopkins氏は「大半の人が感染後に抗体を保持して再感染から守られている事が示されたものの完全では無く、実際にどの程度持続するのかは依然不明」とし、昨年初頭の「第一波(だいいっぱで感染した者も再感染する恐れが有る」と警告。「再感染や他人を感染させる危険は引き続き存在する」と慎重な見方を示したが、対してワクチンの効力や如何(いか)に。


1月15日(金曜)

 厚生労働省の発表した所では、新型コロナウイルス感染に()る重症患者数は本日零時(れいじ)の時点で934人。前日より14人増えて、12日連続で過去最多を更新。其の後に発表された東京都の感染者数は2001人となり、1月9日の2268人以来の2000人超え。

 (いま)(とど)まる所を知らぬ我が国での感染拡大に対し、再び緊急事態宣言が発令されて東京五輪の7月開催に関しても否定的な意見が()()う中、年明けから海外の報道でも悲観的な論調が相次いだ。元旦の時点で英国のGuardian紙が「五輪当局者は諸有(あらゆる)場面でウイルスに足場を崩されている事に気付いた」と指摘。関係者の口にする「東京五輪は人間がウイルスを打ち負かした証拠になる」との見解も「希望的観測」と切り捨て、日本の状況に関して「人々が五輪の夢を放棄する準備が出来ている様に見える」と指摘した。更に緊急事態が出された今月7日、AP通信も「ウイルスの急速な広がりが五輪の計画を危うくしている」と報じた由。

 更に本日、米国のBloomberg通信が「東京五輪が第二次世界大戦以来、最初の中止となる可能性がある」と報道。理由の第一は「各国が予防接種を実施しても猛威を奮い続ける世界的大流行(パンデミック)」。第二に「日本政府が1月に大都市圏で緊急事態宣言を出しており、日本で依然として感染が高止まりしている」状況。最後が「開催国が支持を失った」事、即ち「パンデミックの最中に世界的な行事(イベント)を開催する」事に因り、「更なる壊滅的なCOVID感染の波が(もたら)される可能性」に()いて「既に多くの人が心配している」状況で在る。と列挙した上に、1月のNHK世論調査で「今夏に予定通り東京五輪を開催すべき」と考えた日本人は16%に過ぎず、12月から11ポイント減少した事も指摘された。

 同日のNew York Times紙も「東京五輪の計画は日毎(ひごと)に不確実に」なり、「日本全土と欧米の大国で感染者が増加するにつれて、東京と国際五輪委員会双方の当局者は、安全な大会を開催する事は不可能かも知れぬ事をを認め始めている」が、中止は「五輪準備に120億ドル以上」「延期で更に数十億ドル」を(つい)やした五輪組織と日本にとって「大きな財政的打撃になる」、IOC等が期待するワクチンに関しても「展開は予想よりも遅く、人類の多くは接種を受けられぬ儘に今夏を迎える事になろう」と指摘した。


1月16日(土曜)

 今月8~12日に5360人を対象として実施された世論調査に関し、昨日に米国の調査機関Pew Research Centerが「トランプ大統領の支持率が過去最低の29%になった」との結果を発表。6日に発生した支持者による連邦議会襲撃事件が影響したものと見られるが、68%が「退任後は政界に留まって欲しくない」と回答した由。

 今月20日の就任式が迫る中で国務省は米国の伝統に(もと)づき、「前夜はWhite House に程近(ほどちか)い大統領の迎賓館、Blair Houseに滞在されたし」とバイデン氏とジル夫人を招き、バイデン氏は此れを受諾。対してトランプ氏は「軍基地での退任式に(のぞ)んだ後は南部フロリダ州へ(おもむ)き、次期大統領の就任式典に出席しない意向」との関係者情報有り。退任式はAndrews統合基地で実施され、軍旗衛兵や軍楽隊の登場、21発の礼砲と赤色の絨毯(カーペット)が用意され、訪米した他国元首が帰国の途に就くのを送別する式典の如くに華やかな要素が盛り込まれる予定。其の後のトランプ氏は側近達を引き連れてFlorida州のPalm Beachに自身が所有する歴史的建造物、(かつ)て安倍前首相も訪問したMar-a-Lagoへ空路で移動。任期満了後は同地に居住する計画の様だが、住民の中には氏の永住を阻止しようとする人もいる由。

 現職大統領が後継者の就任式を欠席するのは1869年に退任したAndrew Johnson氏以来で四人目となるが、残りの二人は第2代のJohn Adams、及び其の子息たる第6代のJohn Quincy Adams。父君の大アダムス氏は独立宣言に署名した5人の一角で、米国の始祖(しそ)とも云うべき人物。大統領職を退(しりぞ)く際には酷く(ふさ)ぎこんで就任式にも出られなかったが、後任者のThomas Jeffersonが2期を務めて1809年に公的生活から引退した後にジェファーソン氏と和解。「人類の歴史の中で記念すべき出来事が、今後最も輝かしい(ページ)になるか最も黒い頁になるかは、(きた)るべき時に人の心によって形作られる政治的制度を利用するか或いは悪用するかに掛かっている」との言葉を残し、独立宣言採択から50周年の1826年7月4日に逝去した由。


1月17日(日曜)

 トランプ政権は2種類のワクチンに使用許可を出し、医療従事者等から接種を開始。何方(どちら)も三四週間空けて2回の接種を要するもので、昨年の(うち)に「2千万人が初回の接種を終える」事を目指したが、疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention; CDC)に依ると一昨日(まで)に接種されたのは1千万人余り。

 今月12日の時点でAlex Azar厚生長官は「2回目の接種分として確保したワクチンも配布に回す」事で高齢者への接種を始めるよう要請したが、実際には配布出来ず。Oregon州のKate Brown知事がtwitterで「連邦政府から在庫切れを告げられた」「国家規模の詐欺(さぎ)だ」と不満を(あら)わにし、New York市長のBill de Blasio氏が「此の儘では来週にワクチンが尽きる」「接種を進める設備が整っている場所に供給すべきだ」との声明を出したのに対し、アザール氏も本日になって「確保している在庫はない」と認めた。

 斯様な現状に対し、一昨日にバイデン次期大統領が言及。ワクチン配布は「此れ迄の所、惨めに失敗している」と批判し、「就任後の百日で1億回の接種」を目標に掲げた。大統領就任後は連邦政府を総動員して全米に百ヶ所の接種センターを(もう)ける等を行い、接種を加速すると述べた。

 そして本日、米国立アレルギー感染症研究所のAnthony Fauci所長はNBC newsに対し、バイデン次期大統領が掲げる目標が「実現可能なのは非常に明白」で「疑い様が無い」と断言。AstraZenecaとJohnson & Johnsonが開発する二つの新たなワクチンの米当局への許可申請が近日中に行われ、接種速度(ペース)の加速に(つな)がる事が予定されており、其れが「数ヶ月先では無く数週間先の話なのは確実だ」と語った。米国の、そして世界の風向きは変わるのだろうか。


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