令和3年1月第2週
1月4日(月曜)
英国では六日連続で新型コロナウイルスの新規感染者が5万人を超え、同国で発見された変異種は少なくとも38の国や地域に拡散。世界的大流行が止まぬ中では運営側が取る様々な対策も空しく、social mediaには新型コロナウイルスやワクチンに関する陰謀論が溢れている模様。
昨年12月、米国のWisconsin州、Grafton。Aurora Medical Centerに勤務していた薬剤師のSteven Brandenburgは電網で仕入れた「新型ウイルスワクチンは危険でヒトのDNAを改変してしまう」との言説を信じ、低温での保管を要するModerna製ワクチンの注射剤用護謨栓瓶57本を、2回に渡って冷凍庫から取り出し、使い物にならなくした由。バイアル瓶1本にはワクチン10回分が入っている為、570回分を接種する機会が失われた計算となる。ブランデンバーグ容疑者は当初「ワクチンは誤って常温放置されていた」と職場に報告したが、やがて「故意にワクチンを冷凍庫から取り出した」事を認めた為、病院側は彼を解雇した上で関係当局に通報し、12月31日の逮捕に至った。手段を問わずワクチンを得たい者、其処へ不正に供給しようとする者が居るかと思えば、他方には失職の危険を犯しても貴重なワクチンを廃棄したい者も有る。兎角、此の世は儘ならぬ。
賛否いずれにせよ、人々の興味関心が集中するワクチン。供給が不足し勝ちな現状に応じ、独逸では多くの人に初回の接種が行き渡るよう、BioNTechとPfizerが共同開発したワクチンの「二回目の接種を遅延させる」事が検討され、丁抹でも「二回目の接種を初回から最長6週間とする」指針を承認した。斯様な情勢で本日、ビオンテックとファイザーの両社がワクチン用法に就いて言及。開発時の治験では「被験者が初回の接種を受けてから3週間後に二回目の接種を受けた」が、其れ以外の「異なる接種時期に関するワクチンの安全性や有効性は検証されていない」、また「初回に接種されたワクチンが21日後も予防効果を示すか否かを示す資料は無い」、「治験で検証されたよりも遅い時期に接種が行われた場合、引き続き効果があるかどうかは不明」との認識を示した由。
製造元としては推奨した事の無い用法で効果が低い等と云われては堪らないだろうが、欧州医薬品庁(European Medicines Agency; EMA)も当該のワクチンに関して「二回目は初回から42日以内に接種するという指針を遵守すべき」との認識を示し、また「ワクチンの完全な効果」は「二回目の接種から7日後」に現れるとの声明も出された模様。
我が国でも、菅義偉首相が本日午前に年頭の記者会見。新型コロナウイルスの感染拡大で「非常に厳しい状況だと認識している」と語り、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県を対象に「緊急事態宣言の検討に入る」意向を表明すると共に、「感染対策の決め手」となるワクチンを「2月下旬迄には接種を開始出来る様に」「政府一体となって準備を進めている」とも述べた。緊急事態宣言の期間は9日午前0時から1ヶ月程度で検討されているとの情報有り。
1月5日(火曜)
Johns Hopkins大学の纏めた情報に拠れば、加州には米国内で最も多い249万人超の新型コロナウイルス感染者が認められ、2万7000人以上が死亡。今月31日に同州の羅府で第63回となるGrammy賞の受賞者発表と授賞式が予定されていたが、感染が収束せぬ状況を踏まえて3月14日への延期が決定した由。主催者は「音楽界、そして授賞式に携わる何百もの人達の健康と安全より重要なものは無い」との声明を出して延期決定に理解を求めたそうだが、むしろ僅か1ヶ月半の延期で状況が好転すると考えるのは楽観的過ぎるのでは無かろうか。映画界最高の栄誉とされる Academy Awardsの授賞式も2月から4月へと延期が決まり、米国の娯楽業界も先行き不透明な状況が続くかとの報道有り。
同じくジョンズ・ホプキンス大学が発表した所に依ると、本日迄に米国内で死亡した直近1週間の新型コロナウイルス感染者数の一日平均は2637人で、「33秒に一人」が亡くなった計算になる。先月の死者数は7万7572人で、世界的大流行以降の月別の人数で最多となった。感謝祭から年末に掛けての"holiday season"に米国民が移動や遊宴を繰り返した為か、新規感染者や入院患者は増加の一途を辿り、今後は更に死者数が増える公算が大きいとの事。
新型コロナウイルス用のワクチンは約1540万回分が米国内に配布済だが、初回分は未だ450万人にしか届いていない旨を、昨日に疾病対策センター(Centers for Disease Control and Prevention; CDC)が公表。此れは当局者の期待を大きく下回る状況で集団免疫の獲得には程遠いとの事だが、「接種開始の日程すら決まらぬ我が国は如何なる事やら」「ウイルスの変異にワクチンは対応出来るのか」等の懸念は尽きぬ。
1月6日(水曜)
米国の現大統領たるDonald John Trump氏は先月20日に「選挙で負けたと云うのは統計上、有り得ない事だ」、「1月6日にWashington, D.C.で大規模集会だ」「集まってくれ」「凄い事になる」等とtweet。
そして本日、米大統領選の選挙人投票を正式に集計し、結果を認定する上下両院合同本会議が開かれると同時に、集結した支持者の前でトランプ氏が演説。「議会議事堂に行進」して選挙手続きに異議を表明するようにと呼び掛け、支持者らに「戦う」事を求めた。「我々は決して諦めない」「決して敗北は認めない」と述べ、民主党の勝利は「出鱈目だらけだ」と叫ぶトランプ氏に支持者達も「出鱈目だ」と応じる事が繰り返された。
開始から約50分後、演説が続く中で一部の支持者がトランプ氏の旗を振りながら議事堂に向かって移動。化学薬品を使って警備網を突破し、選挙人投票集計が行われている連邦議会の議事堂内に乱入。支持者の女性1人が撃たれて死亡、外に居た13人が逮捕されて議事堂は閉鎖。Joe Biden氏やKamala Harris氏の勝利を確定させる為の上下両院合同本会議の討議は中断され、進行を務めたMike Pence副大統領も議事堂から脱出。此の事態に New Jersey、Maryland、Virginiaの各州から州兵が派遣され、Columbia特別区のMuriel Bowser市長は午後6時から翌日午前6時までの外出禁止令を発動。選挙人団の投票用紙は持ち去られずに残ったが、或る上院議員のtweetに拠れば 「有能な職員が此等を守らなければ、暴徒化した人々に燃やされていただろう」との事。
バイデン氏が「抗議ではなく反乱だ」と非難し、「暴徒らが退き、民主主義の手続きが進行するよう求める」との声明を出す一方、トランプ大統領はtwitterに動画を投稿して「平和に対処しなくてはいけない」「家に戻りなさい」と言いつつ、更に「不正な選挙への攻撃は続けよう」と主張した模様。終わりの始まりだ。
1月7日(木曜)
昨日の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで、京都大学の西浦博教授が試算を発表。1人の感染者から平均何人が伝染するかを示す「実効再生産数」は昨年12月半ば時点の東京都で平均1.1で、此の数値を0.8に出来ぬ限り感染は収束しないとの事だが、飲食店の時短営業だけでは精々0.9止まり。「人と人の接触機会を8割減らす外出自粛等の厳しい措置」を実行した上で「2ヶ月を要する」との見解が提示されるも、厚労省は西浦氏資料を私的な見解として取り扱い、其の場で回収。
そして本日に菅総理が記者会見を開き、「新型コロナウイルス対策本部を開き、緊急事態宣言を決定」、対象は「東京、千葉、埼玉、神奈川の1都3県」で「期間は1ヶ月」、第1に「飲食店の20時までの時間短縮」。第2に「テレワークによる出勤者数7割減」で、第3が「20時以降、不要不急の外出の自粛」。第4に「スポーツ観戦、コンサート等の入場制限」と発表。同じく本日に東京五輪組織委の森喜朗会長が、東京五輪の開催の可否について「不安?」「全く有りません」、「今の時点で、何でやるやらないって議論するの」「やるのは七月でしょ」「今、五輪の準備は殆ど全部出来ている」と発言した由。
現役総理の心配を他所に元総理が太平楽を並べているのかと思えば、然に非ず。来月中旬には国際五輪委員会(International Olympic Committee; IOC)と我が国の組織委が「合同プロジェクトレビュー」を行い、大会準備の進捗状況を確認する事が予定されており、IOCの幹部クラスが来日しての実地検分の前に感染を収束させて是が非でも五輪を開催したいと云う点で、菅・森両氏の思惑は一致しているとの指摘有り。老人達の妄執には恐れ入るが、彼等の熱意に負けてウイルスが沈黙する事は有り得ない。現状を考慮すれば、今年も「五輪は中止か再延期の二択」と云うのが常識的判断で在り、私は前者を支持する。
1月8日(金曜)
蒙古のウランバートル市で生まれたムンフバッティーン・ダワージャルガル。大相撲で快進撃を続け、帰化を経て戸籍上も白鵬翔と名乗っている第69代横綱が、嗅覚異常を訴えて1月4日にPCR検査を受けた所、5日朝にCOVID-19陽性と判定された。10日に初日を迎える初場所は球場する事になり、所属する宮城野部屋の全員がPCR検査を受けると報じられたのも記憶に新しいが。
女子レスリングで公式戦119連勝、世界選手権で史上最多の13連覇、五輪も3連覇して、記録上は彼のアレクサンドル・カレリンも超えたと讃えられる吉田沙保里に関しても、本日に所属事務所から「PCR検査で陽性が確認された」との発表が有った由。年末年始は平熱で従前から定期的なPCR検査も受けており、12月28日・31日、1月4日の結果は全て陰性と出るも昨日になって陽性に転じたとの事だが、発熱や咳、味覚や嗅覚の異常は認めず、自宅待機となった由。現役と引退後の違いは有れど「世界的強者も感染する時は感染する」と云う当然の事実を、改めて眼前に突き付けられた様に感じる。
Donald Trump大統領の支持者らが連邦議会議事堂内に突入した問題を受け、米政財界の要請も有り、一昨日の時点でトランプ政権の閣僚らが合衆国憲法修正25条に基づいたトランプ氏の大統領の即時免職に就いて協議した旨の報道有り。トランプ大統領のアカウントに関し、twitter社は「12時間凍結する」とした後、本日になって「更に暴力を扇動する危険が有る」との観点から「永久に停止する」と発表。Facebook社も大統領が投稿した動画を削除している由。
春が過ぎ去れば花が萎み、冬が訪れる前に木葉が舞い落ちるが如く、凋落した権力者が諸々を失うのも避けがたい摂理だろう。
1月9日(土曜)
本日に英国政府が「新型コロナウイルスに因る累計死者数が8万人を超えた」と発表。一日当たりの新規感染者数が5万9937人を記録する状況に於いて、御年94歳のElizabeth二世と99歳になるEdinburgh公爵Philip王配の国王夫妻が、倫敦郊外のWindsor城にて新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた由。今週に「丁抹女王のMargrethe二世が欧州の王室で初となる接種を受けた」と発表された事との関連も囁かれるも「女王自身が接種の公表を決めた」「今後は二回目の接種を受ける予定」との事で、国民への不安払拭が期待されるも各社製品のうち、何れのワクチンが使用されたかは明かされていない模様。
我が国では一昨日の宣言に基づき、東京と埼玉、千葉、神奈川の1都3県が緊急事態の扱いとなり、「遠隔勤務に依る出勤者の7割減」を含む対策が進められる。筈だったが、昨日の午前中に「通勤電車」がtwitterのtrending topicとなり、都市部の使用者から「満員電車、何も変わっていません」「相変わらずの寿司詰め状態」等の悲鳴も聞かれた由。
本日は「とんちの日」。由来となった一休宗純が此の有様を見たら、何と言うか。師の問いに「有漏路より無漏路へ帰る/一休み/雨ふらば降れ/風ふかば吹け」と答えて道号を授かり、烏の鳴き声を聞いて大悟し、正月には髑髏を乗せた杖を突いて「門松や/冥途の旅の一里塚/めでたくもあり/めでたくもなし」と歌った逸話が伝えられる禅師ならば、或いは笑って「感染するもしないも、死ぬも生きるも恐るるに足らず」と喝破するやも知れぬ。
なかなか我等俗人には其処までの覚悟は決められないが、「世の中は起きて箱して寝て食って/後は死ぬるを待つばかりなり」との歌も残る由。昨年は12月半ばの豪雪に見舞われて、新潟群馬県境付近の関越自動車道の上下線で約2100台もの車が身動きが取れなくなったが、本日も記録的な大雪。富山県内の東海北陸自動車道で約200台の車が立往生した模様。
1月10日(日曜)
今月2日に10~40代の男女4人が伯剌西爾のAmazonas州から羽田空港に到着。空港検疫に於いて新型コロナウイルス陽性と判定された後、更なる検査で「英国や南阿弗利加で見つかった変異株とも異なる部分を有する病原体」が発見され、「新たな変異種と認められた」旨を本日に厚生労働省が発表。40代男性は入国後に呼吸状態が悪化して入院、30代女性と10代男性にも咽頭痛や発熱等の症状を認めるも、10代女性は症状が無い由。国立感染症研究所の脇田 隆字所長は「感染力や重症度、検査法やワクチンへの影響は不明」と述べた。更に厚労省は「東京都内在住の男女3人が新型コロナの変異株に感染していた」と発表。「英国に滞在歴がある男性感染者と健康観察期間中に会食した20代の男女2人」と「昨年12月25日に英国から帰国した20代男性」で、何れも不特定多数との接触は無いと云うが、入国規制に関する懸念の声も上がった。
度重なる感染拡大と緊急事態宣言の再発令に合わせ、今月6日に自民・立憲民主両党の国対委員が「国会議員の会食規定」を検討。「午後8時まで」「4人以下」とする方向で調整が始まるも、国民からは「国会は法律を作る機関で在って、幼稚園の様な決まりを作る所では無い」等の批判が相次いだ。元インドネシア大統領第3夫人のデヴィ・スカルノ、旧名は根本七保子が昨年の大晦日に都内の旅舎で90人規模の"count down party"を主催。自身のInstagramにマスクを着用せずに踊る参加者の写真を上載した挙句に「非難も覚悟」、「感染する人達は20代、30代の若い方が多い」が、自身も含めた遊宴参加者は「コロナの心配は一切関係無い方達ばかり」で「層が違う」等と主張した由。
英語圏を中心とする欧米では「コロナウイルス/COVID-19の感染対策に必要な衛生基準を無視する連中」の事を"Coronajerk"もしくは"Covidiots”と呼ぶそうだ。差し当たって上手い和訳も思い付かぬが「コロナ禍の愚者」と云った所か。




