令和2年12月第4週
12月21日(月曜)
本日に日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、東京都医師会の9団体が合同で記者会見。新型コロナウイルスの感染拡大で全国的に医療体制が逼迫している状況を踏まえて、「医療緊急事態宣言」を発表した由。
日本医師会の中川俊男会長は、例年冬季に感染症が流行するインフルエンザウイルスと比較しても、新型コロナウイルスは「別格の脅威だ」と指摘。「国民が一丸となって真正面からコロナに向き合って」「新規感染者数を何が何でも減らす」べきだと呼び掛けると共に、感染者の増加が止まらぬ事で「誰もが平等に医療を受けられる日本の医療制度が風前の灯になっている」と危機感を訴えた。政府に対しては「未知の感染症に対して政策を度々(たびたび)変更する事に躊躇する必要は無い」「勇気を持って早目早目の対策を」、野党に対しても「批判や牽制ではなく、建設的な議論に限られた時間を」等と求めた中川氏は、「宣言」をどのように考えるかは「政府の役割」だが「私は決して政府は頑なでは無いと思う」との期待を語り、決断を求めた模様。
同じ21日に欧州医薬品庁(European Medicines Agency; EMA)は米国のPfizerと独逸のBioNTechが共同開発した新型コロナウイルスワクチンを承認した旨を発表。欧州連合(European Union; EU)内で当該ワクチンの接種が数日以内に始まる可能性が高まった由。日本と世界の行く末や如何に。
12月22日(火曜)
BioNTechが開発に携わり既に接種が始まっているワクチンに関し、同社で最高経営責任者を務めるUgur Sahin氏は、英国で拡大している変異種にも「効く可能性が高い」と語り、仮に効果が無くとも「技術的には、6週間で変異種に対応するワクチンを提供する事が可能だ」とも述べた由。
彼の立場で「自社のワクチンが効かぬ可能性が有る」とも「無効の可能性の方が高い」とも言えぬだろうから、先の発言に大した意味は無いが、後の発言には多少の期待が持てるかも知れない。
12月23日(水曜)
今月18日に米国のPfizerが承認申請を行い、厚生労働省が来年2月にも承認可否の結論を出すとされる新型コロナウイルス感染症のワクチンに関して、札幌市が昨日に「早ければ同月下旬から市内で接種出来る態勢を整える」方針を固めた由。
同市の保健所に依ると、承認された場合は直後にワクチンが届く予定で、まず医療従事者、次いで高齢者や基礎疾患が有る市民へと接種の対象を広げる事になっており、約200万人分を確保する方針。来年1月にも専門部署を設置して、6月迄に全市民が1人当たり2回の接種を受けられる様に準備を進めるとの事。厚労省が示した指針では「接種は住民票のある自治体で受ける」事が原則とされ、費用は国が負担するが、自治体が発行する引換券が必要となる。此のクーポン発送業務に加えて、ワクチンを保管する冷蔵庫の手配や接種会場等の準備を進める為、札幌市は来年1月に専門部署を設立する予定との事。接種場所は医療機関や保健センター、体育館等が想定されているそうだが、我が国初の接種が北の大地を救う事になるのか。
米国の疾病管理予防中心(Centers for Disease Control and Prevention; CDC)に依ると、本日の時点で全米に946万回分以上の新型コロナウイルスのワクチンが供給され、100万8000回以上の接種が行われた。激しいアレルギー反応の症状を示したのは6例。当面の接種対象で在る医療従事者と高齢者施設の入居者等だけでも全米で1700万人以上との推算が有り、今後は大手の薬局連鎖も介入して接種が本格化し、警察官や消防士、75歳以上の高齢者、教師や食料品店の従業員を始めとする多数の人と接する労働者等に対象が拡大される予定。
12月24日(木曜)
2012年に制定され、本年3月12日の改正で新型コロナウイルス感染症にも対象が拡大された新型インフルエンザ等対策特別措置法。所謂「特措法」に関して、政府が昨日の会合で改正の議論に着手。経済再生担当大臣と新型コロナ対策担当大臣を兼任する西村康稔氏が、終了後の記者会見で「改正の必要性について理解は得られた」「迅速に検討を進めたい」と述べた由。其の他に「COVID-19の感染症としての位置付け」や「臨時の医療施設を緊急事態宣言前にも開設出来る様にするか」も検討されたとの事。
現行の特措法でも感染地域の知事は飲食店に営業時間の短縮等を求める事が出来るものの、協力の要請に留まる。緊急事態宣言後ならば知事の判断で指示や店舗名の公表が出来るものの、罰則規定は無い。対して改正案では、知事の権限を強化し、実効性を高める為に要請に応じた事業者への支援措置を行う旨が明記されている上に、要請に応じない場合の罰則も検討されている模様。自民党の下村博文政調会長も、同日の記者会見で「処罰の法的な根拠を設ける事は理に適っている」と強調。
そして本日午前に菅義偉首相が、東京都内で開かれた内外情勢調査会の全国懇談会で講演。特措法改正案を「必要で有れば躊躇する事無く次期国会に提出し、成立させたい」、前日の分科会でも「規制強化すべきだ」「私権制限は慎重に」と意見は分かれたものの「時間短縮の規制、罰則、給付金、そうしたもの」が「セットで必要ではないか」と「私自身は思っている」等と語った由。圧力を掛けて役人等を動かす事は官房長官時代から彼の十八番だが、今回は携帯料金値下げの様に上手く行くかどうか怪しい気がする。
12月25日(金曜)
新型コロナウイルスの国内感染者が3800人を超え、死者も62人と夫々過去最多を更新。政権の船出時に70%前後だった支持率は、ウイルスの猛威と反比例するように下落し、一部の世論調査では4割を割り込んだ。斯様な状況下で本日、菅首相が「国民の皆様」に向けて「現状の御説明」と「改めて御願い」をしたいと記者会見。「本来、大人数での会食を避ける事を要請する立場に在りながら」も「先日の私の会食の件」が発生した事に関しては「深く反省を致しており」、「改めて御詫びを申し上げます」と冒頭で謝罪。
国民に対して「静かな年末年始を御過ごし頂きたい」、「家族や友人で集まる機会も多い」時節だが「出来る限り会合は控えて頂き、何としても此の年末年始で感染拡大を食い止める事が出来る様に」と協力を求めた。「コロナ対応で派遣される医師、看護師」への支援額を増やすと共に「2700億円の追加予算でコロナ患者を受け入れられている病院を緊急支援」、「全国で2万8000床」を対象に「1床当たり最大1500万円の補助を緊急に配布」する事で「コロナに対応する病床を増やし、現場の方々の処遇改善をし、必要な方々が必要な医療を受けられるように」医療体制を整備する。また「感染対策として最も効果的と言われる」飲食店の営業時間短縮に関しては「支援額を最大1カ月60万円から倍の120万円にして」、事業者には「最大4000万円の無利子、無担保での貸し付け」を含む「様々な支援メニューを用意して」協力を請う一方で、「給付金と罰則をセットで」「より実効的な措置が取れるように」特措法の改正を検討する等と宣言。
英国に於ける「ウイルスの変種の問題」に就いては「昨日から英国に滞在歴の有る外国人の入国拒否」等の措置を強化し、変異種の起源と噂される南阿弗利加での滞在歴を有する外国人に関しても「英国と同様に入国拒否の対象にする」旨を決定。「最終的に感染対策の決め手になる」と考えられ、米英で接種の始まったワクチンに就いて「我が国も治験が始まっており、2月にはデータが纏まる予定」で、其の後に「安全性、有効性、最優先に審査を行った上で」「承認をされたワクチンを必要な方に出来るだけ早く接種を開始出来るよう」に「関係省庁一体となって作業を進めております」との事。
対応と国民への説明が遅過ぎた事、GoTo政策に関しては未だ自負と未練が垣間見える話し振りだった事、緊急事態制限の再発令に消極的過ぎる事と気になる点を挙げれば切りが無いが。「私自身、新型コロナウイルス対策に就いて、国民の皆さんへの御説明が十分では無かった面が有りました」「今後、国民の皆さんに丁寧に、コミュニケーションを取る事に努めて行きたい」等の発言から、個人的には菅氏なりの誠意を感じた。長期安定政権を誇りつつも虚言を弄して止まなかった前任者からは、終ぞ感じられなかったものだ。「此の首相演説を境に日本の感染は収束した」と後の歴史家から評価される事を望みたい。
12月26日(土曜)
東京都では本日、新型コロナウイルスの新規感染者が949人報告された。900人台は初めてで、一昨日の888人を超えて最多。3日連続で800人超。直近7日間の平均は1日当たり711.4人となり、感染拡大に歯止めが掛からぬ状況有り。富山県でも感染者が増加しているとして、昨日に感染拡大警報に当たる「富山アラート」が発出されていた。
しかし、自民党所属で富山2区の衆院議員、宮腰光寛氏が、昨夜に富山市内で開かれた懇親会で酒を飲んで転倒。救急搬送となった旨が、本日になって報道された。約30人が出席し、富山市内の旅舎で開かれた県内水面漁業協同組合連合会の懇親会に於いて、宮腰氏は17時半頃から参加。午後7時半頃に会場で躓いて転倒。右眼の上を切って出血した事から救急搬送となり、病院で検査を受けた後は念の為に入院したが、本日朝に退院したとの事で大事には至らなかった模様。氏は「三密を避ける措置が講じられた中での会」だったと言い訳しつつも、「厳しいコロナ禍」の最中に参加を控えなかった事は「自分自身の認識が非常に甘かった」と「深く、深く反省しております」との声明を出した。
自党の総理が国民に頭を垂れたのと同日に齢70歳の国会議員が何故、等と嘆いても始まらない。総理と会食を共にしたと言うよりは「其の場に招いた当事者」と思しき幹事長からも、今に至るまで一言の謝罪すら得られないのだから。彼等にとっては「酒宴の席で支持の確約を得る事や根回しを進める」事こそが政治で在り、国民に対して信義を貫く事が重要だという意識を持ち合わせては居ない、とでも考えねば理解出来ぬ状況が続く。
12月27日(日曜)
新型コロナウイルスのワクチンに関しては、新嘉坡にもPfizerとBioNTechが共同開発した製品が同国に到着済で、来年1月には接種が始まる見通し。同国内で開発中のワクチン等も用いて、9月末迄に全ての住民に行き渡るだけのワクチンを調達し、年末までには接種を完了させたいとの事。印度尼西亜、泰国、馬来西亜でも調達と使用に向けた動きが活発化する一方、感染拡大が続く緬甸ではワクチンが調達出来る見通しが立つのは人口の20%に過ぎず、比律賓が来年中に調達可能なのも現時点では必要量の3%に留まる等、東南亜細亜の裡でも格差有り。斯様な国々が世界保健機関等によるCOVAX Facilityを通じた調達を試みるも、賄えるのは人口の一部に限られる模様。
欧州連合の圏内では新型コロナウイルスの感染者が1400万人以上に達し、33万5000人以上が死亡。略々(ほぼ)全ての欧州連合加盟国で都市封鎖が実施され、数ヶ国では、感染力がより強力な新型ウイルス変異種が確認されている欧州医薬品庁と欧州委員会はファイザー製ワクチンの使用を許可していたが、昨日の時点で欧州委員会のUrsula von der Leyen委員長は「ワクチンがEU加盟全27ヶ国に配布された」と発表。新型コロナウイルスのワクチン接種開始は本日となる予定だったが、座して待つ事が出来ず昨日中に始めた国も有った由。 中東に於いても今月17日の沙特阿拉伯を皮切りに、23日に阿拉伯首長国連邦の杜拜や卡塔爾、27日に阿曼や科威都と湾岸協力会議(Gulf Cooperation Council; GCC)加盟諸国が相次いで前述のワクチン接種を開始。
未だワクチン導入の時期に関しては確たる情報の無い我が国に於いては、新型コロナウイルス感染拡大による精神面の健康への影響に関し、厚生労働省が調査。本年9月に電網を通じて1万人余りを対象に、2月から9月に渡って調査された。今月に公表された結果に拠ると、全期間で半数程度が、特に4月から5月に掛けては6割超が「何らかの不安を感じた」と回答。不安の対象に就いては「自分や家族の感染」を挙げた者が何れの月でも6割を超えて最多で、感染拡大前と比べて日常生活が変化した点に就いては「運動量が減少した」と答えた人が凡そ4割居た由。コロナ禍で指摘されていた精神衛生上の問題が国の大規模調査でも裏付けられた形だが、厚生労働省は「所謂第3波の感染が拡大する今も深刻化している恐れが有り、心のケアに関する取り組みを強化する」との声明を出した模様。
来年はワクチンが感染を抑える事が証明されて、多少なりとも世界に心の平穏が齎されるか。或いは変異種には無効と知れて、絶望が地球を覆うか。




