表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
令和コロナ騒動実録  作者: 澤村桐蜂
PR
34/178

令和2年12月第3週

12月14日(月曜)

 本日に全米各州で538人の選挙人による投票が行われ、民主党のJoe Biden氏が当選に必要な過半数の票を獲得。来月6日に行われる集計で当選が最終的に確定し、バイデン氏が第46代大統領に選出される見込み。バイデン次期大統領は地元のDelaware州で「人々の意志が勝利した」、「今こそページを(めく)る時」「結束し、傷を()やす時だ」等と演説したが、現大統領のDonald Trump氏は選挙に不正が有ったと訴えて引かず、結果が(くつがえ)る可能性は皆無と思われる状況に()いても引き続き争う姿勢を示している由。

 我が国では、(すが)総理が「年末年始に(けて()れ以上の感染拡大を食い止め、医療機関などの御負担を軽減」する為の「最大限の対策を講じる」と宣言。GoToトラベルは札幌と大阪に加えて、東京や名古屋も今月27日まで「到着分は停止」、「出発分も利用を控えるよう求める」、更に「今月28日から来月11日まで」は「GoToトラベルを全国一斉に一時停止」。飲食店の営業時間短縮は更に延長を求めつつ、協力金は「年末年始の期間、支援額の単価を倍増し、最大で1か月あたり120万円を支援」。

 医療従事者への支援策を「更に拡大」し、「コロナに対応する医療機関」に対しては集中治療室を含む空床への収入補償。コロナウイルス診療を行う医療機関へ派遣される医師や看護師への支援額を倍増して「医師は1時間に約1万5000円」、「看護師は1時間に約5500円」を補助。また看護師が本来の業務に専念出来る様に、清掃業務等は「民間業者への委託を促し、その経費を支援」する。遅きに失した感も有るものの、此等(これら)の政策が多少なりとも第三波の波高を削り、医療崩壊に陥る地域が最小限に留まる事を望む。


12月15日(火曜)

 米国のPfizerと独逸(ドイツ)のBioNTechが共同開発した新型コロナウイルスのワクチンに関し、12月2日の時点で英国が、世界で初めて広範な使用を承認。同国政府は4000万回、すなわち2000万人分のワクチンを注文済だが、うち80万回分が製造拠点の白耳義(ベルギー)から英仏海峡隧道(ユーロ・トンネル)を経由して、3日に英国内へ到着。副主任医務官を務めるJonathan Van-Tam 氏はBBC newsの取材に対し、「予防接種の第一弾で、COVID-19関連の入院や死者を最大99%防ぐ事が出来る」と宣言。感染の高リスク者を守る観点から、まず80歳以上の高齢者と医療・介護従事者がワクチン接種を受ける事になったものの、接種は義務化されてはいない由。

 そして、今月8日に接種開始。Godiva夫人とPeeping Tomの伝説で名高いCoventryの大学病院に於いて、午前6時半にMargaret Keenan氏が第一号の栄誉を獲得。北愛蘭土(アイルランド)はEnniskillenに生まれて工業都市コヴェントリーに居を構え、翌週に91歳の誕生日を控えていて孫も有り、アイルランド(なま)りで話す"Maggie"は接種後に「ワクチンを勧められた人は全員そうするべき」、「90歳の私が受けられたのだから、皆さんも受けられます」と語った由。数週間で約80万回分の使用が予定されており、英国政府は4000万回分のワクチンを確保。数量的には同国に住む成人全てに行き渡るとされる一方で、此のワクチンは比較的高価、つ氷点下70度での保存が必要。分配の手間も考慮すると、ファイザーのワクチンが「今、最も必要としている人々のために」使われた後に「他の(ほとん)どの人々は、より安価で保存が簡単なOxford大学のワクチンを待たねばならぬだろう」との意見有り。

 食品医薬品局(Food and Drug Administration; FDA)が緊急使用を認めた事に伴い、米国でも昨日にファイザー製ワクチンの接種を開始。全米各地に290万回が運ばれ、New Yorkで最初に接種を受けた看護師のSandra Lindsay氏は「此れが苦痛の歴史の終わりの始まりになる」事を期待すると語った。米国政府にると、ファイザー社のワクチンは今月中に2500万回分が供給されるが、緊急使用を審査中のModerna製に関しても近く許可が出され、合わせて4000万回分のワクチンが今月中に国内に供給される見通しとの事。

 米国に於いても予防接種は医療従事者や高齢者施設の入所者が優先され、一般への接種は先になる見通しだが、保健福祉長官のAlex Azar氏は昨日会見で「来年6月末(まで)に希望するアメリカ国民全員への接種を可能にする」と宣言した模様。我が国で接種が始まる際は、先行する米英の状況が大いに参考となるだろう。効果と副反応の両面に関して。


12月16日(水曜)

 東京新聞が日々報じる「菅首相の一日」欄。12月14日午後の部分を見ると「8時50分」に「銀座ひらやま」と云う名の「東京・銀座のステーキ店」へと(おもむ)き、「自民党の二階(にかい)俊博(としひろ)幹事長」や「(はやし)幹雄(もとお)幹事長代理」、「プロ野球ソフトバンクの(おう)貞治(さだはる)球団会長」「俳優の(すぎ)良太郎(りょうたろう)氏」「政治評論家の森田(もりた)(みのる)氏ら」との会食に参加した由。GoToトラベルの全国一斉停止を発表した直後に首相自らが多人数と会食していた状況に関し、翌15日に各方面から非難が殺到。

 会食に参加した他の面々も、大半が重症化リスクが高いとされる65歳以上の高齢者だったが、杉良太郎氏「今日は、(みんな)で野球の話とか、そんな話をしただけ」「忘年会」。王貞治氏「仕事とか(なん)かは関係なく、秋田の話とかそういうのをしていました」。みのもんた氏「二階さんも野球やってましたからね」「野球の話で終始していました」、首相を含む参加者がマスクを着用していたか否かは「さあ、僕、良く見ていなかったから」「其処(そこ)まで見ていないから分からない」。二階幹事長「マスク取らなきゃ食事できないから」「まあ、皆、十分注意しているでしょう」等と一様に危機感を欠いた発言が並び、感染リスクのみならず「脳の加齢性変化」が相当に進行している可能性も懸念された。

 野党からの批判に対し、加藤(かとう)勝信(かつのぶ)官房長官が「首相は必要な注意を払っている」「会食目的と感染防止対策の均衡(バランス)の中で個別に判断する事が重要だ」と述べ、政務調査会長の下村(しもむら)博文(はくぶん)氏が「経済的な損失(マイナス)面も考えながら、感染拡大に注意して会食する事を批判するのは、少し過剰反応かなと思う」、政府が5人以上の会食は感染リスクが高まると伝えて来たにも関わらず「5人が良くて7人はいけないという事ではない」と強弁(きょうべん)西村(にしむら)康稔(やすとし)経済再生担当大臣も「色んな状況が有るので、感染防止策を徹底すると云う事が大事」とはぐらかす等、閣僚や自民党からは身内を(かば)う発言が続くも世間の目は厳しく、就任前後に「パンケーキ好き」情報を世間へ流布し、携帯会社への値下げ圧力を掛ける等と画策して稼いだ好感度も、本件で(またた)く間に雲散霧消(うんさんむしょう)

 茨城県つくば市では「ワイン会」集団(クラスター)感染にて「37名の参加者のうち、少なくとも4人の医師が感染」「7病院が一時休診」との事件も発生していたが、すっかり首相一件の陰に隠れてしまった。本人の弁明が不可(ふかひ)避となるに至り、(ようや)く今夜に菅首相が発言。会食に関する記者団の質問に対して「他の方との距離は十分に有りましたが」「国民の誤解を招くという意味に於いては、真摯(しんし)に反省を致しております」と語った由。誤解する国民の方が悪いかの様な言い訳を付けず、謝ると決めたら徹頭徹尾(てっとうてつび)、謝罪に(てっした方が印象も良くなると思うのだが、此の辺りの呼吸が読めぬ所が菅氏の限界だろうか。(まん)()して使った「ガースー」自称さえも、本家の(すが)賢治(けんじ)氏に使われるものとは語尾の発音が異なり、()焼刃(やきば)の悲哀を感じた。

 其れにしても各界で功成(こうな)()()げた老人達が、此の御時世(ごじせい)でも食べに行きたい「銀座ひらやま」の炙肉(ステーキ)。感染終息後に命有らば一度は食してみたいものだ。


12月17日(木曜)

 本日に仏蘭西(フランス)の大統領府は「Emmanuel Macron大統領が新型コロナウイルス検査で陽性と診断された」と発表。「初期症状を示した」事から検査を受けた所が陽性と判定された(ため)、今後は1週間の自主隔離を行い、遠隔で公務を続ける由。

 来週に予定されていた黎巴嫩(レバノン)訪問等が(ことごと)く中止となったのは当然だが、氏は今月10~11日に白耳義(ベルギー)比律悉(ブリュッセル)で開催された欧州連合の会議に出席しており、欠席した克羅地亜(クロアチア)愛沙尼亜(エストニア)を除く諸国の首脳と会談。議場に於いては「衛生的な措置が取られていた」との事だが、マクロン氏と10日午後から長時間を共に過ごしたベルギーのAlexander De Croo首相はPCR検査を受けて結果が出るまで隔離に(あま)んじる旨を宣言。更に今週は西班牙(スペイン)のPedro Sánchez首相、葡萄牙(ポルトガル)のAntónio Costa首相を、大統領官邸となっている巴里(パリ)のエリゼ宮に招いて会談。陽性が発覚する直前の16日には閣僚会議も行われていたとの事で、周囲の感染も懸念される事態。


12月18日(金曜)

 一昨日に塩野義(しおのぎ)製薬が「新型コロナウイルスワクチンの国内第一相及び二相臨床試験を開始した」旨を発表。国産ワクチンとしては大阪のアンジェス社に次いで2例目。Baculovirus Expression Vector System、即ち昆虫細胞等を用いたタンパク発現技術を用いて、本年4月から開発されていた遺伝子組換えタンパクワクチン、開発番号「S-268019」。日本人の「成人200人以上」を対象とした無作為化偽薬(プラセボ)対照二重盲検比較試験を行い、今後は「3週間間隔で2回接種した際の安全性」等を接種後1年間に渡って追跡評価する。速報結果は来年2月末から順次取得の予定だが、感染状況等を踏まえて更なる試験も計画される模様。

 そして本日、ファイザーが自社のワクチンに関して、厚生労働省に薬事承認を申請。新型コロナウイルス予防を目的としたワクチンの申請は国内初となるが、加藤勝信官房長官から「安全性、有効性が確認されれば、特例承認をする」、田村(たむら) 憲久(のりひさ)厚生労働大臣から「最優先で審査を進めるように関係部署に指示した」との発言有り。「早ければ来春に接種が始まる」との声も聞かれる。

 日本政府は来年6月末(まで)に6000万人分の供給を受けることで、同社と基本合意済だが、モデルナからも2500万人分、アストラゼネカから6000万人分のワクチンをそれぞれ確保しており、全て合わせると日本の人口、約1億2600万人を超える1億4500万人分の量となる模様。国内ではアンジェスや塩野義製薬の他にもワクチン開発を進める勢力が有り、今年や来年の利用が困難としても継続的な接種に役立つものと期待される由。東京五輪前に収束して欲しい等の希望的観測を除外すれば、「数年経って状況が多少推移した後も継続的接種は必要」と推定すべき状況だろう。


12月19日(土曜)

 倫敦(ロンドン)を含む英蘭土(イングランド)の南東部で感染が急速に拡大した事と関連して、今月14日に英国のMatt Hancock保健相が「変異したウイルスを確認した」と発表。

 更に本日、Boris Johnson首相が緊急の記者会見。感染の拡大を抑える為に「倫敦を含む南東部では正当な理由がない限り外出を控える」、「生活必需品を商う店等の例外を除き、小売店は営業を行わない」等の厳しい措置、事実上の都市封鎖(ロックダウン)を20日から再開する事を明らかにした。首相は「急拡大は変異したウイルスに因って起きている」と推測され、不確定要素は残るものの「従来よりも最大70%感染しやすい」可能性が有ると発表。同時に「変異したウイルスに因って症状がより重くなり、ワクチンが効き(にく)くなる事を示す証拠は無い」とも付け加えたが、彼にも確証は有るまい。

 同国では今月23日からの5日間は規制を緩和し、3世帯が集まって降誕祭(クリスマス)を過ごす事が許可される予定だったが、此の事態に伴い、南東部では規制の緩和が見送られた。他の地域でも降誕祭当日のみに限定される事となり、ジョンソン氏は「誰もが失望する事は分かっている」が「首相として他に道は無い」と述べ、理解を求めた由。


12月20日(日曜)

 亜弗利加(アフリカ)西部、尼日利亜(ナイジェリア)。Katsina州で今月12日に寄宿制学校が襲撃され、300人以上の男子高校生が誘拐された。翌13日に回教(イスラム)過激派Boko Haramから出された犯行声明に対し、17日の時点でカチナ州知事は「犯行はボコ・ハラムではなく野盗の仕業」と断定。「344人の学生」は救出済で「近く保護者の下に戻る」と強調した由。2014年に同じボコ・ハラムが270人以上の女子高生を誘拐して世界を騒がせるも、解決に一年以上を要した件に比べると今回の対応は素早かったが、「身代金は払っていない」と云う以外の詳細は非公開。

 しかし、ナイジェリアでは類似の事件が増加しており、「本件も氷山の一角に過ぎぬ」との声有り。カチナ州を含む北西部では、2017年に生じたテロリスト組織が起こした事件は年間500件以下だったが、今年は12 月初旬(まで)で2500件超に急増。更にボコ・ハラム本拠地の北東部でも、今年に入ってテロリズム関連の事件が増加中。非営利団体Armed Conflict Location & Event Data Project(ACLED)の報告に拠れば、ボコ・ハラム対策が強化されて以来、北東部のテロ事件は2017年の3000件以上から2019年には約2500件に一旦減少したが、今年は12 月初旬(まで)に3500件超。組織が再び勢力を強めているものと推察されている。

 ボコ・ハラムは新型コロナウイルスの世界的大流行を、彼らが云う所の聖戦(ジハード)の宣伝材料に利用している。4月にボコ・ハラムの指導者アブバカル・シェカウは、ネット上の演説で「コロナは人間の悪行(あくぎょう)(もたら)した」「人間への神罰」と断定。「真の回教徒(ムスリム)だけが救われる」、「我々は1日5回、集まって礼拝」して「一つの器から食物を皆で手で食べている」が「皆、絶好調だ」、「我々にはコロナは無い」とも主張し、ボコ・ハラムは感染対策に従事する医療機関さえも襲撃の対象にしてきた。しかし、ボコ・ハラム再興の背景には「信仰こそコロナ対策」と云う非科学的主張の他に、より現実的な世界的大流行との関連が指摘されている。

 第一に、軍隊の人手不足。年間約20 億ドルの軍事予算を有しつつも、汚職蔓延等の事情から有能な組織とは言い難いナイジェリア軍。更に今年は都市封鎖(ロックダウン)や食糧輸送に人員を割かねばならず、テロリスト集団に自由な活動を許す事になった。第二の要因は経済停滞。ナイジェリアはアフリカ一の産油国だが、其の恩恵に(あずか)れる者は僅かで、人口の六割を貧困層が占める。COVID-19蔓延の余波で石油価格が急落して、ナイジェリア経済が苦境に立たされた状況に於いては、ボコ・ハラム加入は(また)と無い(もう)け話となる。組織は戦闘員に月額600〜800ドルの支給を約束しているが、此れは現地の最低賃金の約10倍に相当するのだ。

 ()くして亜弗利加大陸にウイルスとテロリストが跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)し、其れは様々な形で世界に影響を及ぼす。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ