令和2年11月第2週
11月2日(月曜)
本日に瑞典政府の新型コロナウイルス対策責任者、独自の対策を指揮するAnders Tegnell博士が母国からの回線接続で、Pereric Högberg駐日大使と共に東京都内の日本記者クラブで会見。
テグネル氏から「現状でマスク着用は必要無い」。欧州での感染拡大に関しても「スウェーデンは相当徹底して夏季の人口移動を追跡調査した」が「夏の旅行が原因で感染が増加した事を示す明確な証拠は存在しない」。昨今の感染急増には「複数の理由が有る」が、要因の一つは秋に入った欧州の気温低下で「屋内に滞在する確率が高くなり、ウイルスに感染しやすくなった」等の見解が語られると共に、欧州各国で実行されるも瑞典では回避された都市封鎖に関しては「一旦解除されると、やはり人と人との接触が増える」との弊害が指摘された。同国がマスクの着用を推奨しない事に関しても、氏は「欧州では義務化の動きが有るも、感染は拡大している」と指摘し、改めて「マスクの着用は問題の解決にならぬ」と断じた由。
感染が拡大した3月以降にスウェーデン政府は50人超の集会を禁じ、70歳以上の高齢者に一時自宅待機を要請する一方で、小中学校は授業を中止せず飲食店の営業も継続。米国はJohns Hopkins 大学の報告に拠ると、スウェーデンの感染者は本日の時点で12万人超、死者は約6000人。欧州疾病予防管理センター(European Centre for Disease Prevention and Control; ECDC)に拠ると、人口10万人当たりの感染者や死者は欧州主要国に比して低い。テグネル氏は「感染防止を目的とした要請に国民の8割が従った事から死者数が春から激減し、対策の効果は出ている」と強調する一方、「ワクチンが無いまま集団免疫を獲得する事は不可能」と述べた模様。
11月3日(火曜)
本日昼にTokyo Metroの九段下駅、半蔵門線ホームから110番通報有り。催涙スプレーを顔に浴びた40代男性。以下、甲が眼痛を訴えて病院へ搬送されるも軽症で済んだが、警視庁麹町署によると、スプレーを噴射した30代と思しき男。以下、乙が現場から逃走しており、傷害事件として行方を追っている由。
二人に面識は無かった様だが、半蔵門線の車内で甲がマスクの着用方法に関して「鼻まで覆え」等と乙に注意した事から口論になり、共に九段下駅で降車。ホーム上で揉み合いとなった末、甲に押し倒された乙が持っていたスプレーを噴射。甲は再び電車に乗り、半蔵門駅まで移動した後に駅員へ被害を訴えたと聞いた。所謂「鼻マスク」が一向に減らぬ件に関しては、当方も憂慮する所だが、暴力に恃むのは宜しくない。
11月4日(水曜)
昨日から亜米利加合衆国にて正副大統領の選挙が開始。一般有権者による投票や開票が進む中、本日に同国がパリ協定から正式に離脱。地球温暖化に対する国際な枠組みで在る同協定に対し、2016年の前回大統領選からトランプ氏が撤退を宣言。1年前にトランプ政権が国連へ通告していたが、規定により実際の離脱は此の時期となった由。主要な温室効果ガスとして知られる二酸化炭素の排出量が中国に次いで世界2位の米国がパリ協定を脱すると「脱炭素の勢いに水を差す恐れが有る」と懸念される一方、バイデン候補は「大統領に就任すれば協定に復帰する」と公約している。環境問題の見地からも、今回の大統領選の結果は世界の行方を左右し得ると言えよう。
国内では、新型コロナウイルス対策として4月に成立した第1次補正予算で財源が確保された学校給食提供推進事業が活用され、全国各地の小中学校の給食に最高級ブランド「神戸ビーフ」を筆頭に「能登牛」、「鳥取和牛」、「米沢牛」等の和牛が相次いで登場。事業は「食材費の掛かり増し分を助成する」事で学校給食に於ける国産農畜産物の利用を後押しするもので、牛肉は100グラム1000円を上限に助成が行われ、1人当たり計300グラムまで対象となる由。同省の想定する事業の対象、約1000万人を上限の1人300グラムを単純に掛け合わせると、最大3000トンの需要が生まれる計算となる。
COVID-19世界的大流行の影響で訪日外国人数や外食需要が減少し、和牛の在庫が積み上がっている状況有り。国産牛肉の冷凍在庫量は5月に前年同月の4割に当たる3000トンの増加が見られ、以降は減少傾向に入るも、依然として2割上回る水準に在る由。 同省の食肉鶏卵課は「在庫解消に一定の効果が期待できる」「子供への食育にもなり、将来的な和牛の需要開拓にも繋がって欲しい」と語ったそうだが、必要経費に色を付けた程度の売れ残り処分価格ならば大いに結構。高い食材を言い値で買い取る様では、食育に名を借りた血税の無駄遣いと言わざるを得ない。
本日に国土交通省が「マスクを着用していない客の乗車を拒否出来る」と定めたタクシー事業者の運送約款を認可し、即日運用可能とした由。東京都内の10事業者に依る変更申請が認められた形で、国交省は「運転手だけでなく、次に乗車する利用者の感染防止対策にもなる」と認可理由を説明したそうだが、反対していた堀江氏の胸中や如何に。
11月5日(木曜)
米大統領選挙の開始から二日が経過したが、本日も一部の州で開票作業が継続中。いずれに投じられたか不明の数百万票が未だ残る状況にも関わらず、トランプ現大統領は3日夜の記者会見で「率直に言って、我々は選挙に勝った」と発言。以降もtwitterに「『投票が終了した後も』投票が行われていた」、民主党は「全ての票を数える事で選挙を『盗もうとしている』」等と投稿。本日の記者会見でも「郵便投票で不正が行われている」との主張が繰り返されたが、依然として根拠の提示が伴わなかった為にNBCやABC、CBS等の主要局では大統領会見の半ばで中継が打ち切られた。CNNとFOX News Channelは最後まで中継したが、CNNは「根拠無く不正が行われていると主張」との字幕を付けた由。
斯くの如き大統領の言動に対し、回顧録出版でトランプ氏と決裂したJohn Bolton前大統領補佐官が「恥ずべきもの」かつ「大統領の発言の中で最も無責任なものだ」と批判したのは当然として、今回の選挙に協力した前New Jersey州知事のChris Christie氏も「そう主張する根拠は全く無い」、「自らの信頼性を自分自身で損なっている」と発言。Maryland州のLarry Hogan知事が「言語道断、不要な行動であり、とんでもない間違いだ」「大統領は、彼自身の最悪の敵になる」、元上院議員のRick Santorum氏が大統領の主張に「非常に心を痛めている」、票の集計を担当した者達が不正を働いているとの主張は「間違っている」と述べる等、共和党内部からも批判が相次いだ。米国内の報道に依ると、昨夜の時点でバイデン氏は約7140万票、トランプ氏は6790万票超。前大統領のBarack Hussein Obama 二世が初当選した2008年の約6950万票を超えて、バイデン氏の得票が大統領選で歴代最多となった後も開票は続き、更なる増加が確実視されている由。
今回は選挙自体に関心が高い上に、感染対策に伴う郵便投票の利用拡大で投票率が大幅に高まる事が予想されており、Florida大学で政治学教授を務めるMichael McDonald氏は「1900年以降の大統領選で最高の66.9%になる」と分析。バイデン候補は「此の選挙の勝者を宣言するのは、私でもドナルド・トランプでもない」「有権者だ」とtwitterで発言する一方、「選挙結果を守る」為にトランプ氏との法廷闘争に備えた寄付を募る”Biden Fight Fund”の設立を発表した由。本日午後の開票状況は選挙人数467人のうち、民主党バイデン253人、共和党トランプ214人。未確定71人。バイデンが獲得したのは21州で、トランプは23州。6州は未だ決着せず。
11月6日(金曜)
嘗て出演していた報道番組を毎回、駄洒落で締めていた事と前回大統領選でトランプ勝利を的中させた事で知られる、元NHK記者の木村太郎氏、御年82歳。今回も上機嫌でトランプ圧勝と断言していたが、結果が判明するにつれて発言撤回を余儀無くされたらしく、本日の情報番組では渋い表情で「バイデンが9割」「1割、トランプが奇跡を起こすかでしょう」と述べた由。作家の百田尚樹氏も本日、大統領選に関してtwitterに投稿。「百田尚樹の大予言」と題し、「アメリカ大統領選挙はいくつかの州で不正が見つかり、開票をやり直して、不正票が無効となり、その結果、トランプの再選が決まる」「今、正義は瀕死の状態だが、必ず甦る」、「もし正義が死ねば、4年後、アメリカはまったく違う国になっている」「日本?考えるのも怖いよ」等の私見を書き連ねた模様。
選挙権を持たぬ野次馬が如何に嘶こうとも大勢に影響は無いが、米国では「トランプの票を大量に廃棄、埋めた」等の情報がTwitterで拡散。証拠として挙げられた投票用紙の写真は「10月7日にNew Jersey州でゴミ箱に投票用紙等の配達物が捨てられていた」事から郵便配達員が起訴された際に使われたもの等、過去に別の報道で紹介されたものだった事が事実検証にて判明している。他にも「バイデン氏の不正疑惑で州兵投入」「バイデンが米国憲政史上、最大規模の不正投票組織を用意した」「郵便投票で機械的に製造されたバイデン票が発見された」「バイデン氏に1823年生まれの197歳が投票」等の怪情報が飛び交ったが、特に「ウィスコンシン州で投票率200%」説が拡散したのは日本だけだった模様。実際は不在者投票分の追加に伴う誤解だが、翻訳の壁も有り、米国内では容易に否定された情報が我が国では広がり続ける故の事象か。
トランプ大統領の子息であるEric Trump氏とDonald Trump Jr.氏も選挙日以来、主としてArizona、Michigan、Pennsylvania等の"swing state"、即ち激戦州を標的にした虚偽情報を発信。エリックは「大統領への暴言を吐きながら80枚のトランプ票を燃やしている男性」の動画をTwitterで共有したが、内容は事実では無く、バージニア州当局の調査が入った。動画を投稿した接続権は停止されたが、他にも「ウィスコンシンの投票率が100%を超えた」「選挙管理委員会が民主党を支持するために不法に投票を作成している」等の怪情報が彼等の有する数百万のfollowerへと伝わった。米国内ではトランプ側が"COUNT LEGAL VOTES"や"STOP THE STEAL"、或いは"Don’t Steal the Vote"。バイデン側が"COUNT EVERY VOTE"と記した手持看板を掲げて睨み合い、時に暴力沙汰に至る等、支持者達の対立が続いている模様。
11月7日(土曜)
昨日の東京株式市場は、幅広い銘柄が値上がりした。日経平均株価は前日比219円95銭高の2万4325円23銭と、4営業日に渡って続伸。世界同時株安に直撃され、3月に1万6552円まで下落した日経平均が、僅か7カ月で急回復。1991年11月13日以来、29年ぶりの高水準で取引を終え、バブル崩壊後の最高値を更新した由。
株価上昇の主たる要因としては、米大統領選挙が混戦の状況から民主党バイデンの優勢に転じて先行き不透明感が後退した事が挙げられる。他にも「米議会上院は共和党が過半数を制する見通しとなったため、大企業増税を唱えるバイデン氏が大統領になっても上院が増税を阻止する可能性大」「米ダウ工業株30種平均が4日間で7%高と急上昇」、「トヨタ自動車が2021年3月期の利益見通しを大幅に上方修正し、輸出企業の業績回復が印象付けられた」、或いは「日米欧の金融緩和の結果、溢れた投資マネーが行き場を失い、株式市場に集中している」「ゼロ金利のため、債券を買っても儲からないので投資資金は株に殺到」等と語る識者有り。
経済に疎い自分は「下がるよりは上がる方が良かろう」と考えたが、定見と呼べる程のものは持って居らず、「株価は経済実態を映さなくなっている」「低迷する実体経済との乖離が鮮明となった」等と解説されると「成程、そうかな」とも思う。
11月8日(日曜)
米国東部時間の7日、日本時間の8日に激戦州の一角Pennsylvaniaで、続いてNevada州でも大勢が決した。大統領選に於いて獲得が見込まれる選挙人の数はバイデン氏の279人に対し、トランプ氏は214人。選挙人270人を獲得した候補が大統領になる為、ペンシルヴェニア州を落とした時点でトランプ氏の再選は不可能となり、民主党のJoseph Robinette Biden Jr.氏が当選確実の見通しとなった模様。氏の勝利に伴い、Kamala Devi Harris上院議員は米国初の女性副大統領、初の亜弗利加系かつ亜細亜系の副大統領になる予定。
現職大統領が再選を逃すのは、1992年にGeorge Herbert Walker Bush大統領がWilliam Jefferson Clinton氏に敗れて以来となるが、新大統領の誕生を告げる選挙結果が報じられたのと同時刻、対立候補で現職のトランプ氏はワシントンDC近郊、Virginia州Sterlingに自らが所有する Trump National Golf Clubで孔球に興じていた。バイデン氏の当確を知ったトランプ氏は「此の選挙が全く終わっていないのは、はっきりした事実だ」「ジョー・バイデンはどの州でも勝者の認定はされていない」「ましてや再集計が必要な激戦州や、我々の陣営が訴訟を起こして最終的な勝者を決めるであろう州では勝利していない」との声明を発表。
バイデン氏がウィスコンシン州とミシガン州で勝利し、ペンシルヴェニア州とジョージア州でも票を伸ばし始めた時点で、トランプ陣営は複数の州で票集計の差し止め等を求める裁判を開始。現状で彼の主張は一件の認定も得ていないが、トランプ氏は「我々の陣営は月曜日に訴訟の手続きをとり、選挙の法律がきちんと守られ、正しい勝者が選ばれたかどうかを確認する」と述べて、新たな訴訟を起こす用意が有る旨を宣言。昨朝もTwitterに「選挙の後に何千もの不法な票が集められた」と投稿するも根拠は示さず、Twitter社から「一部または全ての内容に異議が唱えられている」「誤解を招く可能性有り」等と警告された。
対して、バイデン氏はTwitterで「アメリカ」「此の偉大な国の指導者として私を選んで下さって光栄に思う」「今後の道は厳しいものになろうが約束する」「私は全ての米国人の大統領になる」「私に投票したか否かを問わず」と投稿。英国のボリス・ジョンソン首相は早速「合衆国大統領に当選したジョー・バイデン氏」と「歴史的な偉業を達成したカマラ・ハリス氏」へtwitterを介して祝辞。「米国は我等にとって最も重要な同盟国なり」「気候変動から貿易、安全保障に至るまで、両国が共有する重要課題に関し、緊密に連携できる事を期待する」と伝えた由。




