14
翌日。第二回戦、第一試合。
煌は緊張の中、ブースの中に入り目の前のモニターに映るゲーム画面に集中する。対する対戦相手の高校生ぐらいに見える男性で、癖なのか指の運動をして動きを滑らかにしようとしていた。
この対戦相手は一回戦で逆転勝利したことは記憶に新しく、解説者がその試合を振り返って解説をしていた。試合が決まる最後の最後まで勝つことをあきらめない油断することができない対戦相手だ。
そのことを踏まえて煌は試合に臨む。
――――その甲斐あってか苦戦しながらもなんとか煌は無事に勝利を飾った。試合は接戦だったが、ライトの仕掛けた陽動がはまり、隙を見せたところをついたのだ。
相手の男性プレイヤーは悔しそうにしながら防音ブースから出てきた煌の元へと近づいてくる。煌は不思議そうにしながらも、その場に立ち止まり相手の出方をうかがう。
目の前まで歩いてきた相手は煌に向かって手を差し出す。握手をしようということだろう。その意図を組んだ煌も手を出し相手の手を握った。
「いい試合だったよ。応援してる」
「ありがとうございます」
負けて悔しくないはずがないのに、それでも対戦相手を褒めたたえ応援すると素直に言える相手を煌は尊敬し、感謝を言うと握手している手を相手が不快に思われない程度に力を強めた。数秒お互いにしっかりと握りあうと手を離し、二人並んで控室へと戻っていった。
次の第三回戦で煌と戦うことになるプレイヤーを決める第二試合だ。
この戦いは自動小銃と呼ばれるG3と短機関銃のMP40というどちらもドイツで開発された銃同士の試合だ。どちらも一昔前の銃で、MP40は照準器やレーザーサイトを付けられないという欠点もあるが、そんなことはゲーム内では関係がない。なぜならば、現実世界と違い、ゲーム内での性能は開発された年代の差は考慮されないからだ。実際に、最新式の短機関銃も多く実装されているこのゲーム内でも、MP40は上位に入る性能の良さを持っていた。
そしてそれを扱うプレイヤーも有名なプレイヤーでゲーム内のランキングで一年間以上、上位に居座っているプレイヤーで名前をスパイスといった。
精度と射程の優れたG3との対戦ということもあり常に動き回り、敵プレイヤーを翻弄する戦い方をするスパイス。そんなプレイスタイルに振り回されながらもG3で必死に食いついていく敵プレイヤーだったが、グレネードも使い始めたスパイスにとうとう対応しきれなくなり隙が来たところを、瞬間火力に優れるMP40に体力を刈り取られてしまった。
ランキング上位のランカーという名に恥じないプレイに多くの観客が魅了され、スパイスのファンを増やした試合だった。
第二回戦、第三試合。
この試合は第一回戦で不利な状態から敵プレイヤーを圧倒したジンと呼ばれるプレイヤーと、軽機関銃を使うプレイヤーの試合だった。
だが、始まる前からすでに大勢はジンと呼ばれるプレイヤーが勝つだろうと予想していた。そしてその予想は外れることがなく、何の面白みもないままジンは軽機関銃使いのプレイヤー相手に圧勝する。
続いて第四試合。
シルフィ対サイラス。
シルフィはニンフとの試合で短くなった髪を元に戻さずそのままショートになった髪型で試合に臨んだ。サイラスという対戦相手はT91と呼ばれる台湾で製造された突撃銃を使うプレイヤーだ。狙撃銃を使うシルフィに対抗するためか遠距離用の照準器であるACOGを装着し、遠距離での精度を向上するためにロングバレルに換装していた。
そのかいあってか、初弾を外したシルフィに遠距離であるにもかかわらず単発で撃ち返し、一発当てることに成功する。ゲーム内で設定されている有効射程よりも遠い距離だったためダメージは減衰されていたため、シルフィは痛手とならなかったがそれでもサイラスは手ごたえを感じた。
だが、それがシルフィの狙撃手としてのプライドを刺激したのだろう。即座にその場を離れると、狙撃がしやすい一番の高所へと陣取る。
シルフィの姿を見失ったサイラスは障害物から障害物へと移動し、不意の狙撃をされないように細心の注意を払って進んでいく。そのため、シルフィはその一瞬しか見えないサイラスを狙うしかない。サイラスが次に隠れるであろう場所の目当てを付け、その付近に狙いをつける。そして、サイラスが身を隠していた箇所から飛び出たのを確認すると、行先を確かめずにトリガーを引く。
銃声と共に放たれた銃弾は、狙っていた場所に数秒のタイムラグを要しながら飛んでいく。そのわずかなタイムラグの間にサイラスは、丁度その場所まで移動しており、銃弾はタイミングよく着弾し、無慈悲にもその体を貫いた。
これによってシルフィの勝利が決まった。
第三回戦第一試合の始まる少し前、選手待機室。
実況者や解説者が次の試合で起こるであろう展開を想像し、見ている観客に分かりやすいように見どころとして説明をしている中、自分の出番を今か今かと煌は待っていた。目線は実況者の人たちを追いつつも、内心では前日までにしていたイメージトレーニングの振り返りをする。
見落としはないか、客観的に見れているか、新しい発見はないか。幾度となくくりかえしても、満足のいく結果はでない。それでも戦いが始まれば勝つ以外の結末はあり得ないと自分を追い込み、自分を奮い立たせる。
そうこうしていると実況者に名を呼ばれ、控室を後にすると目がくらむような照明の数々に照らされ進んでいく。
シルフィとニンフ、煌の母親や奈緒はそれぞれ観客席からの観戦だ。
観客の歓声を受けながらも、いつもの調子を崩すことはなく名前を呼ばれた煌は自分のブースへと歩み寄る。その反対側では対戦相手である選手も同じように歩を進めており中央のモニターはその様子を映し出していた。
ブースに入り、早々に細々としたセッティングを終えた煌は目を閉じると、深呼吸を繰り返し、はやる鼓動を落ち着ける。
選手の中には煌とは反対に気持ちを高め、勢いをつけて戦うプレイヤーや、試合の様子を見守る観客の反応を見て対戦相手がいる場所を予想したりするプレイヤーもいるが、煌はそういったプレイスタイルではなく読みを重視するタイプだ。そのためになるべく普段と変わらない状態になるのが重要だった。
煌が気持ちを落ちつけたのとほぼ同時。実況者たちの語りも終わったようで、試合の火ぶたが切って落とされる。
モニターに意識を集中させ刻々と減っていくカウントを見つめながら武器を装備する。
今回のステージは遊園地をモチーフとしている。客や遊園地のスタッフがいないにもかかわらず音を立てて動いているジェットコースターや観覧車といったアトラクションが多い。ステージ内の決まったコースを歩くマスコットキャラクターの着ぐるみなども存在し、足音で相手プレイヤーのスパイスの存在を探ることが難しく、動く影があったとしてもプレイヤーではなくアトラクションだった、ということも多々あることだ。
カウントが零になったのとほぼ同時に、ライトはスカーを抱えると勢いよく足を踏み出した。敵が一回戦の時から銃を変えていなければMP40という第二次世界大戦でドイツが使用していた短機関銃を使うはずだ。武器ごとに撃った時のブレや有効射程距離が違うため、こういった大会で途中で武器を変えるということはあまりないが注意するに越したことはない。
相手が射程の短い短機関銃使いで、ステージが遊園地とくればわざわざ高所に陣取って待ち構えているとは考えずらくライトと同じように敵がいるであろう位置に検討をつけて走っているだろうと思われた。
突撃銃と短機関銃で撃ち合いになれば遠距離から中距離は突撃銃のほうが有利で、近距離では短機関銃のほうが強い。スパイスの待ち伏せによる攻撃を警戒しながらも近距離で撃ち合いが起こりやすいアトラクションが密集している東側の地帯を撃ち合いの舞台にしたいはずだ。そこに銃撃などで誘導されないように気を付ける必要がある。
一方、中遠距離戦をしかけたいライトはジェットコースターのコースが設置されているため、あまりアトラクションが設置されていない西側で戦いたいと思考していた。
そんな考えをしながら進んでいくと、軽快な音が聞こえてくる。この遊園地のテーマ曲を奏でながら複数のマスコットキャラクターが行進してきたのだ。最初、敵かと思ったライトはスカーの銃口を向けたがその姿を確認すると直ぐに銃口を下す。曲を奏でながら進むため、敵の位置を察知しにくくなるために、その愛くるしい姿に殺意を覚えるプレイヤーも少なくはない。
そのためライトは今この場を動くのは不利だと考え、身近なところにあった道案内をするための地図が描かれた看板に、しゃがみ込んで背中を預ける。昔このステージをプレイした時にどうにか破壊できないかと、心を痛めながらもマスコットキャラクターに攻撃を加えたことがあったが、止まることも、壊すこともできなかった。
短機関銃使いである敵は近接戦闘をしかけたいがために、こういった状況を利用して近づいてくるかもしれないと思い、ライトは体を落ち着けながらもしっかりと周囲を警戒していた。その後、数分かけてゆっくりと歩いて行ったマスコットキャラクターを見送り音も聞こえなくなった、タイミングで周囲を改めて見回し、障害物から障害物へと移動していく。数分の足止めを強いられたために、相手がすでにこちら側まで近寄ってきている可能性があるためだ。
だが、進めど進めど銃撃されることはおろか、敵プレイヤーを見つけることはできなかった。
ここで、ライトの頭の中には二つの可能性が浮かんでいた。
ステージの端を通ってライトの裏をとるように全力で移動していたり、近距離以外の勝負をする気がなく東側の地帯にいる可能性だ。ライトは東側の確認に向かう前にいないだろうとは思いつつも西側を索敵しに向かう。
そしてある地点が近づくにつれ、観客の興奮した声が大きくなっていく。しかし、防音ブース内でイヤーマフをしている煌はそのことに気づけない。
ジェットコースターを支える柱の付近にライトがやってくると場面は急転換を強いられる。
突如としてMP40の銃声が聞こえ、銃弾がライトを襲ったのだ。
ライトはすぐに横に飛び、敵の追撃をよける。体力を三分の一にまで減らされたライトは即座に周囲に身を隠せる遮蔽物がないことを理解すると、二ーリングと呼ばれる片膝を地面につけたしゃがみ状態に移行し、スカーを構えると先ほど銃声がした位置――ジェットコースターの支柱の上へと銃弾を勢いよくばらまいた。
すると、現実ではありえないちょっとした出っ張りに引っかかるようにしていたスパイスは即座にその位置から飛び降りる。落下ダメージと呼ばれる高所から落ちた時に受けるダメージを負いながらも、立ち上がるとMP40で撃ち返しながら後退していった。足の速い短機関銃使いらしく、すぐさま姿が見えなくなる。ライトは敵プレイヤーの消えた方向を注意しながらも、遮蔽物へと後退していく。
先ほどスパイスがいた場所はジェットコースターのコースからうまく位置を合わせて落ちるとダメージを受けずにその場所に乗れるのだ。現実世界なら間違いなく人が乗れないような小さな突起だが、ゲーム内では辺り判定さえあれば片足しか乗らないような場所でも落ちずに乗っていられる。
有名な不意をつけるポジションだったが、もし失敗してその突起に乗れずに下に落ちてしまえば落下ダメージで体力をすべて失ってしまう場所であり、もし乗れたとしてもそこから降りるためには、必ず落下ダメージを受けるといった必ずダメージを受ける場所のためライトは、無警戒だったのだ。また相手が短機関銃を使うという情報が先入観としてあったために、見通しの良い西側にいて、待ち構えているとは思っていなかったのも大きかった。そのため見事に裏を突かれる結果となり、体力をおおきく減らされてしまったのだ。
「くそっ」
見事に裏を突かれたライトは苛立ちから声を漏らす。
だが、いつまでも気にしてばかりもいられないため、すぐに頭を切り替えていく。
「やるしかないか」
ライトは覚悟を決めるとさらに集中し始める。深く深呼吸を繰り返し、目を閉じる。
やがて、目を閉じているため見えないはずの煌のまぶたの裏側に、遊園地が映り始める。
風を切りながら進んでいくジェットコースター、曲を流しながらゆっくりと回転する複数のコーヒーカップやメリーゴーランド、無人のはずなのに動き続けるゴーカートやメロディペットと呼ばれるパンダなどの動物を模した乗り物、自由の身となったお化けが歩き回るお化け屋敷や、先ほどすれ違ったマスコットキャラクターやこの遊園地のシンボルとなっている観覧車などが鮮明に見えた。
そして、そんな中おおきく回ってライトの裏を突こうとしているスパイスの姿をとらえる。短機関銃使いとして恥じない速度で裏を取りに来るスパイスにライトは少し動き迎撃しやすい場所へと動くと、数が減った弾倉を変えると地面に伏せスカーを構えると再度目を閉じて敵の場所を探る。そうして数分待機していると敵プレイヤーがすぐ近くにまでやってきた。
そして、気付かれているとは知らないスパイスが勢いよく障害物から飛び出る。それを確認したライトは遠慮なしにトリガーを引き絞ると、ニ十発ほどの銃弾が何も知らないスパイスを襲う。一度目の奇襲がうまく決まったこともあり油断していたこともあり一瞬撃ち返そうか、隠れようか逡巡してしまう。そして反撃することに決め、銃を構えようとしたところでスカーの銃弾が頭に当たり、減っていた体力をすべて奪っていった。
モニターを通して見ていた実況者たちが歓声を上げその展開に盛り上がる。
だが、ブースの中にいる煌は荒い息を吐いていて喜びを噛みしめる余裕はない様子だった。息をするのを忘れるほどの集中力を発揮して試合を行っていたためだ。
そんな煌に気付き、観客席にいた奈緒や次は自分の試合が控えているシルフィとニンフは、それに気づきその場でどうしようかと悩んでいる間に、煌は息を整え立ち上がり静かに控室へと戻っていった。そのことを確認したシルフィとニンフ、そして大丈夫と言う母親の制止を振り切った奈緒が待機室に向かう。
シルフィたちと奈緒が同時にたどり着くと、ちょうど煌が部屋から出てくる姿が見えた。
「お兄ちゃん。大丈夫?」
奈緒は心配そうに煌の袖を引きながら尋ねる。そして煌と奈緒の関係を知らないシルフィはお兄ちゃんと呼んだことに驚くが、ニンフがそれとなく説明を入れたことですぐに問題は解決した。
「ああ。さっきの見られてたか……心配すんな。ちょっと集中しすぎてただけだから」
「それならよかった」
その答えを聞いた奈緒は胸を撫でおろして微笑む。
「シルフィとニンフも、もしかして心配かけちゃったかな。ごめん」
「ううん、気にしないで」
「そうだよ、煌くん。水臭いじゃない」
見ず知らずのシルフィが気になるのかニンフのところに近寄ると「ニンフお姉ちゃん、こっちのお姉ちゃんは誰ー?」と聞く。
お姉ちゃんと呼ばれたのが呼ばれたのか上機嫌なニンフはシルフィの説明をし始める。
「ボクの愛弟子のシルフィ。一番の友達でボクはシルフって呼んでる。昨日こっちに来たばかりで奈緒ちゃんは知らないかもしれないけど、まだ大会に勝ち残ってて次の試合も勝つと、決勝で煌くんと戦うことになるんだよ」
「えーと、それじゃあこっちのお姉ちゃんはお兄ちゃんの敵……?」
小首をちょこんとかしげる。
「えーと、敵って言うか……そう! ライバルだよ。ライバル」
自分の紹介のせいでシルフィの印象が悪くなったら申し訳ないとニンフがフォローを入れる。
「そうなんだー。えーと、シル……フお姉ちゃん? お兄ちゃんは負けないからね!」
「私も負ける気はないよ」
しゃがんで目線を奈緒に合わせながらシルフィは、自分の決意を語る。奈緒に言っているような素振りながら事実上の煌に対する宣戦布告だ。
「当事者を抜いて盛り上がるなっての」
「ごめん、煌」
「それにしても、お兄ちゃん……モテモテだね」
自分の知らない兄の交友関係を初めて知った奈緒は複雑そうな表情で、並んで立っているシルフィとニンフを見ていた。
「そうなんだー。実は煌くん二股かけててね」
「えっ!? お、お兄ちゃん……!」
そんな奈緒を面白がったニンフは思わず冗談を言った。
「嘘だよ、奈緒。妹に変な嘘吹き込まないでくださいよ」
慌てて大声を出す奈緒のなだめながらニンフに抗議の声を送る。
「いやあ、奈緒ちゃんが可愛くってね。それに根も葉もない嘘ってわけでもないでしょ」
「……」
全くの心当たりがないわけではないため煌は何も言い返せなくなる。
「ほーら、師匠。からかって遊ばないの」
そんな煌をフォローする形でシルフィはそう言った。
「はーい」
一通り満足したのかニンフはそう返事を返すと、ごめんごめんと奈緒に謝った。
「ったく、奈緒。お前どうせ母さんと一緒に来たのに一人だけ突っ走ってきたんだろ? 心配してるだろうし、戻るぞ。次はシルフィの試合だろ。俺の心配したせいで負けたとかいうなよ」
「お兄ちゃん。心配してきてくれたのにその言い方はないよ」
「いいよ、奈緒ちゃん。私自身分かってるから次の相手はこれまでの相手より強いって。それに煌は、決勝で私と戦いたいから言ってくれたんだろうし」
「これまでのって……ボクも入ってるのかな?」
煌の言葉の意図を汲み取りフォローを入れたつもりが、今度は自身がニンフに絡まれてしまう。
「えっ、あ、いや師匠は特別枠というか……」
「あはは。嘘だって。気にしてないよ。それに、次の相手が強いってのはボクも同感だし。でも信じてるよ」
「うん。任せといて」
「それじゃあ決勝で合おうな、シルフィ」
「うん。決勝でね、煌」
「それじゃあ、母さんとこに戻るぞ奈緒。お前どうせ、勝手に俺んとこ来たんだろ。心配してるぞ」
そう言うと煌は奈緒の手を取った。
「うん、わかったー。シルフお姉ちゃん、ニンフお姉ちゃん。またねー」
奈緒もそれに素直に応じ、手を握り返すと余ったもう片方の小さな手でシルフィとニンフに手を振る。そしてシルフィたちも振り返し、二人を見送るのだった。
「よかったね、シルフ。奈緒ちゃんに気に入ってもらえたみたいで。そうやって外堀から埋めるのも一つの手だよ」
「師匠、何の話してるんですか」
「え? 何って勿論――」
「やっぱり、言わなくていいです」
「シルフは相変わらず恥ずかしがり屋だね。そこが可愛いんだけど」
「……」
楽しそうにほほ笑んで言うニンフにシルフィは訝し気な視線を送る。
「ん? なに、シルフ」
「たまに師匠は女の子の方が好きなのかと私は疑うちゃうよ」
「ボク自身身長が高くて可愛い服とか似合わないから、可愛い女の子見てるのが好きってのは確かにあるね」
「うーん……師匠身長高くてスラっとしててモデルみたいで憧れるんだけどなあ……」
ニンフの姿を上から下まで羨ましそうな目線で見つめるシルフィに、ニンフは照れてさらに何か言われる前に言葉を挟む。
「ボクはシルフの方が可愛いと思うけどな。背が小さくてスタイル良くて女の子らしくて。憧れるよ」
「「…………」」
いつの間にか二人でお互いを褒めあう展開となって、お互いに照れてしまい顔を赤らめてうつむき奇妙な雰囲気が出来上がっていた。
「そ、それじゃあボクは観客席で応援してるから。がんばってね」
そんな場に耐え切れなくなったニンフは、そう言い残すと足早に去って行った。
「師匠のためにも煌のためにも……ううん、それもあるけど。やっぱり、私が望む結果を得るために、負けられない」
去っていくニンフの背中を見つめ改めて決心するシルフィだった。最初はただ強いプレイヤーと戦えればいいと思っていたシルフィだが、ここまで勝ち上がってきたことで、その思いは変わっていた。そう、プロになりたいと。
そんな思いを抱いてシルフィは試合に臨む。




