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第九話<夕食>-4

「矢子ちゃん、ちゃんと来てくれるかな?」

食事の用意をしながら蘭子がポツリと言うと、

彼女の方を向く琴和。

三人は、買い物を済ませると、重い荷物を持って

琴和の家に真直ぐ向かった。

家に着くなり、蘭子は食事の支度をし始めており、琴和は

部屋の掃除をしている。


「そうだね、半ば強引だったからね。」

そう返すと、蘭子は振り向いて琴和を見る。

「でも、昨日のご飯は美味しかったから、きっと来てくれるよ。」

蘭子のすこし不安そうな顔を見ると、笑顔で話をつなげてフォローする琴和。

すると蘭子は体の向きを戻して、再び支度をする。



琴和は掃除の手を休めて、パソコンを立ち上げる。そしてデータ化された音楽を

掛け始めた。内容は蘭子の家で聴いたようなピアノの曲だった。

その音楽が耳に入ると振り返る蘭子。

「こういうのが好きなんだろ?」

琴和がそう言うと蘭子はまた体の向きを戻して後ろ向きで話しかける。

「良くご存知で。」

返事から少し遅れて、まな板の上で何かを切る音が耳に届く。

それを合図にするかのように、琴和は机を拭き始める。

「少しテーブル小さいかな?どう思います?」

「そうですね、これに4人は少し苦しいかもしれません。」

櫻子に尋ねると、もっともな答えを返してくる。


「ごめん、ちょっと準備していて、今からテーブル買ってくる。」

「え?」

唐突に言う琴和に驚く蘭子。

「近くにホームセンターがあるから、そこで同じくらいのテーブルを買ってくるよ。

そこなら手で持ってこれるし。」

そう言うとすぐに靴を履く琴和。

「あ、私も行きます。」

櫻子が追うようについてくるのを確認すると

扉を開ける琴和。

「分かった、じゃあ待っているね。」

蘭子がそう言うと、「よろしく。」と一言残して

二人は出ていった。



人の気配が減って、音楽がよりはっきりと耳に届くようになると

蘭子はパソコンに近寄って音量を少し絞る。

そして今さっきまで刻んでいた野菜を使ってポテトサラダを作り始めると、

その間の時間を利用して鍋にお湯を仕掛け始めた。

手際よくこなしていく蘭子。すると料理は次々と今出来る準備が終わり、

後は食べる前に焼く程度の調理だけになった。



一段落がつき、畳に座る蘭子。時間は琴和たちが出かけてから

30分ほど経っていた。

部屋を見渡すと、飾り気の無い殺風景なものと気が付く。

『そういえば小田原さんの好きなものって何なんだろう?』

ふとそう思い、パソコンをいじってみる。

インターネットを開いて、履歴を見てみると

ここ最近見たページは心霊現象や、怪奇現象のページばかりだった。

今現在、そのようなものに取り囲まれているので

自分なりに調べていたのだろう。

本当はもっとパソコンを調べてみたいと思ったが、

悪いことをしていると思い、手を止める。

そこでテレビをつけて暇をつぶすことにした。


テレビをつけると、夕方のドラマが流れる。

途中からなので、ストーリーは理解できないが、何となく見る蘭子。

そうこうしていると、櫻子が慌てて戻ってくる。

「蘭子ちゃん、扉開けて。」

言われるままに扉を開ける蘭子。

すると目の前にはよろよろしている琴和の姿があった。


「ただいま。・・・やっぱり重かった。」

琴和がフラフラとして、担いできたテーブルを

部屋に入れる。


「大丈夫?」

その場にしゃがみこむ琴和に話しかけると

「それ開けて。」と言われる蘭子。

そこで梱包を解くと、中からは白くて長方形のテーブルが出てくる。

「良いの買ってきたね。」

そのテーブルは蘭子の目には綺麗に映り、

畳の上に今までのちゃぶ台と並べると十分なスペースを確保出来るように見えた。


テーブルを前にして座り、高さを確かめる蘭子。

その間に、息の整った琴和は包んでいたダンボールを縛り始める。

「もう料理の支度は終わったの?」

ダンボールを片付けてテーブルの前に座ると、質問をする琴和。

「うん、もう今はくつろいでいるところ。ちょうど退屈していたんだ。」

テレビを指差して答える蘭子。

「じゃあゲームでもやっているかい?」

「あ、それいいね。」

するとテレビ台の下からゲーム機を出して準備をする琴和。

そしてコントローラーを渡されると、引き出しを指差した。

「あそこにソフトが入っているから、やりたいの選んでやってていいよ。」

早速引き出しを開ける蘭子。すると、中にはゲームがぎっしり詰まっていた。


『あ、ゲームが好きなんだ。』

さっきの疑問をここで解決する蘭子。

そしてとりあえず手前にあるソフトを取り出して、起動させるのであった。

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