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第八話<関わりを深めて>-5

「今日のお店はどうでしたか?」

夜の帰り道に櫻子が琴和に尋ねる。

時間は20時を過ぎたところで、二人は琴和の家に向かっていた。

外食を済ませ蘭子を家まで送った後、

櫻子は琴和を家まで送ることにした。

この時間は怪物に襲われないと分かっていたのだが、

旭との約束もあるので明言は止めて大人しく送ってもらっている琴和。

「少し味が濃かったのですけど、美味しかったですよ。」

「そうですか、美味しかったなら良かった。」


人には見えない幽霊と会話をするので、人通りの少ない道を歩いていく二人。

それ故に会話は途切れなく続いていく。

「小田原さん、最近蘭子ちゃんがお世話になりっぱなしですけど、

ご迷惑じゃありませんか?」

「いえ、そんなことは無いですよ。僕自身にも降りかかっていることですし、

こっちも助けられていますよ。お互い様といったところでしょうか。」

「そうですか。そう言って頂けると助かります。」

にっこりと答える櫻子。

「何か本当にお姉さんみたいな感じですね。」

「ふふ、そうですか?」

笑顔の櫻子を見ると、琴和は以前から気になっていたことを

聞くチャンスのような気がしてきた。

それは櫻子のことである。

正直なところ、まだ彼女については謎が多い。

極端な話名前以外何も知らないのだ。

だから少しずつタイミングを見て聞いてみようとは思っていた。

「あの、妹さんってどんな方だったんですか?」

何気なく聞く琴和。すると櫻子はスッと目線を琴和に移す。

それにドキっとする琴和。

「妹は・・・ピアノが好きだったんです。」

「ピアノ・・・ですか?」

「そう、ピアノ。でも全然弾けなかったんですよ。

可笑しいですよね。」

笑って話す櫻子。

「だからいつもCDを掛けていたんです。

あの音色が好きだったそうですよ。」

それを聞いて昨日の蘭子の部屋で起こったことを思い出す。

「そういえば蘭子も昨日、ピアノの曲を掛けていましたね。」

すると櫻子は琴和を見る。

「そう、そこも妹とそっくり。」


会話をしているうちに、何事もなく琴和の家の前まで到着していた。

その場で櫻子に別れを告げようとする琴和。

しかし目の前から人影が出てくることに気が付く。


「あれ?矢子ちゃん?」

「!?」

目の前に現れたのは矢子だった。

偶然の再会に驚いている彼女は黒いPコートに身を包んでおり、

右手には紺色の布に包まれた棒状の物を持っている。おそらく小太刀だろう。


「これから、また戦いに行くの?」

固まって視線を逸らす矢子。その様子から、図星だと確信する琴和。

「駄目だよ、まだ傷は治ってないんでしょう?」

「私は平気です。」

「嘘言っちゃだめだよ。」

近づいて左腕を掴もうとする琴和。

しかし、かわされてしまう。そこで困った表情になりながら言葉を放つ。

「分かった。もう止めないよ。だけど俺も一緒に行くよ。」

「え!?」

「小田原さん!?」

驚く矢子。櫻子も同様に驚いていた。

「そんな、困ります!」

断る矢子を見ると、琴和も言い返す。

「だけどまだ怪我が治っていないんでしょ?

それに昨日みたいにピンチになったら一人じゃ危ないだろ?

俺なら大丈夫、こう見えても結構やるんだよ。」

「でも!」

「断っても無駄。しっかり付いて行くからね。」

強引に言う琴和。すると矢子は困ったように尋ねる。

「何でそこまでするんですか?」

「何か心配なんだよね。怪我人で、しかも君みたいな

女の子が戦いに行こうとしているんだ。心配になって当然だろ?」

琴和が優しく答えると、矢子は視線を逸らして静かに答える。

「私は普通の女の子じゃありません。だから心配には及びません。」

その言葉を聞くと、真面目な顔をする琴和。ジッと矢子を見つめて口を開く。

「君は人が襲われないようにするため、怪物退治をしているんだろう?

実は俺もその考えには賛成なんだ。

自分は村雲や禦ではないけど、戦える人は戦えない人を守るべきだと思う。

だから素直に手伝いたいと思う。」

そう言うと矢子は目を丸くして琴和を見つめる。すると少し考えた後に話しかける。

「分かりました。でも危なくなったら逃げてくださいね。」

「分かった。でもその時は君も一緒に逃げるんだよ。」


そう言うと矢子は琴和たちが来た方向を指差す。

「今日はあっち側を見回ってみます。」

「分かった、付いて行くよ。」

歩き出す二人。その時琴和は櫻子に話しかける。

「と言うわけですので、これから行って来ます。

蘭子の家にもう帰ってもいいですよ。」

すると弱った顔をした後に首を振る櫻子。

「そういうわけにはいきませんよ。私も行きます。」

「そうですか・・・すみません。」

琴和が申し訳ない表情を見せると、櫻子は深くため息をついた。

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