第八話<関わりを深めて>-4
30畳ほどの白いタイルが敷き詰められた食堂には
白いテーブルと赤い丸椅子が等間隔に並べられている。
29インチのテレビにはバラエティー番組が流れており、
5人程の若者が食事をしつつ見ている。
テレビから離れた席では楽しそうに会話をしつつ食事をする者もいれば
黙々と一人で食べている者もいる。
その中で、お茶を飲みながら静かに読書をしている門井の姿があった。
「何もこんな賑やかな所で本を読まなくてもいいんじゃないですか?」
門井の席の前に食事を持った修也が座る。
「それにここの椅子は決して座り心地は良くないですよ。」
「いいのよ、私は賑やかな場所が好きなの。周りに人がいるって安心しない?」
「あまり考えたことは無いですね。」
「水瀬君は強いのね。私は寂しがり屋だからダメなのよ。」
「俺はそんなに強くないですよ。」
本にしおりを挟んで閉じる門井。
「あ、気にしないでください。読書の邪魔をするつもりは無かったんです。」
「いいのよ、実は水瀬君に話があって待ってたという理由もあるし。
あ、食事は続けたままでいいわ。」
そう言うとラーメンを口に運ぶ修也。
その中で門井は用件を初める。
「今晩からは行動範囲を狭めない?」
「どういうことですか?」
驚いた修也は食事を止める。
「そろそろ警戒した方がいいと思うの。
貴方や嘉島さんが遭遇した禦や、
昨日旭ちゃんが遭遇した娘の話を聞くと
相手も相当手強いようじゃない。
予想はしていたけど、ここで人員を欠く事は避けたいじゃない。
捕虜になった時の情報の漏洩も怖いわ。
だから、行動範囲を狭めて、各自が直ぐに
救援に行けるようにするべきだと思うの。」
考え込む修也。
「確かにそれも一理ありますね。
ですがスケジュールの遅延も避けなければなりません。
難しいところですね。」
「そうなのよね。
でも嘉島さんが面白いものをメールしてくれたわ。
これを使ったら問題を解決できるかも。」
メールを印刷したものを見せる門井。
「・・・これは!?」
「新しいヤンカの呪術よ。郁葉様がアドバイスを下さったらしいわ。」
「これなら・・・日中でも活動できる。」
「そう、だから遅延どころか計画が早まる可能性もあるわ。」
「なら問題は解決です。門井さんの言うとおり
活動範囲を狭めましょう。
夜にヤンカを放つ目的もこの地域に村雲と禦を
縛り付けることだけに集中できそうです。」
「そうね、今このタイミングで他の施設、特に福岡に局員を派遣されては
まずいものね。下手に戦力を地方に派遣できない状況を
私たちで作らないとね。」
「ええ、その為にも自分たちの戦力は欠いてはいけない。」
「その為にも、ちゃんと食べておきなさい。伸びちゃうわよ。」
そう言うと門井は再び読書を始める。
その目の前で修也は急いでラーメンを口に運び始めた。




