第七話<お武家様>-9
「怪我は大丈夫?」
走り寄っていた琴和は甲子郎を抜いて
先に二人の元へ着いていた。
「・・・はい。」
「んーダメそう。」
遠慮がちに少女が答えると、蘭子が全く逆のことを言う。
実際、出血が止まっていないようだった。
「とりあえず蘭子の家に行って手当てをしよう。話はそれからだ。」
「そうだね。立てる?」
「いえ、私は大丈夫ですから。」
「ダメ!!」
「・・・・・・・。」
少女には拒否させない蘭子。先ほどから押し負けているようだ。
「そういえば君、名前は?」
問いかける琴和。すると甲子郎が後ろから近づいてくる。
「桐島 矢子だな?」
「知り合いなんですか!?」
慌てて振り返る琴和。
しかし驚いたのは琴和だけではなく、少女もだった。
「貴方は一体?」
警戒する眼差しで甲子郎を見つめる少女。
「瀬戸 甲子郎。禦の局員だ。」
「え!?」
禦の名前を聞くとドキッとした矢子。すると甲子郎は言葉を付け足す。
「お前のことは早間から聞いている。」
「早間・・・さんから?」
考え込むようにつぶやく矢子。
「ああ、とりあえず色々と聞きたいが手当てをしてからだ。悪いが部屋を借りていいか?」
蘭子に許可を求めると、快くうなずく。
一方矢子は困惑の表情を隠せないでいた。
「安心しろ、この二人は悪いやつじゃない。立てるか?」
甲子郎がしゃがんで話しかけると、観念したように
首を縦に振る矢子。
「それじゃあ移動しよう。」
琴和がそう言うと、全員立ち上がり蘭子の家に向かった。




