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第七話<お武家様>-7

三人でテレビ番組を見ながら歓談をしていたら、

気がつくと時計は22時を回っていた。

「どうしたの、小田原さん?」

時計を見上げた琴和に気がついた蘭子が話しかけてくる。

「時間・・・ですね。」

櫻子が理由に気がつき言葉を繋げる。

「意識すると、妙に緊張感が出るね。」

蘭子がつぶやくと、琴和は不安がらせないように

笑顔で振り返る。

「まあ、平気だよ。ところでゲームとかないの?

テレビ終わっちゃったから、他の楽しみが欲しいな。」

「うーん、ゲームは家にないんだよね・・・。」

「そうなんだ。」

「小田原さんは持っているの?」

「うん、家にあるよ。持ってくればよかったかな?」

「あ、じゃあ今度やりに行く。」

「小学生みたいなノリだな。」

「別にいいでしょ。」


会話をしながら蘭子はコンポをいじり音楽をかけ始める。

ピアノの演奏で、とてもいい音色が耳に入ってきた。

「結構渋いの聞くんだね。」

「そう?変かな?」

「いや、変じゃないけどイメージ的に邦楽とかが

好みなんじゃないかって思っていたから。」

「どんなイメージなのよ・・・。」

蘭子が探るような目で見るので視線を逸らすと、

櫻子が切なそうな表情をしていることに気がついた。

「どうかしたんですか?」

その言葉にハッとした櫻子は首を振って否定をする。

琴和は深く聞くのはやめて他の話題を考えた。

「お茶、もう一杯もらっていいかな?」

話題とはいえない言葉を放つと、蘭子はお茶を再び用意する。

それを確認すると、琴和は今日持ってきた防犯用の資材を広げ始めた。


「今から作るんですか?」

櫻子が近寄ってくる。

「ええ、大きな音は立てませんので近所迷惑にはならないと思いますよ。」

そう言って窓の近くまで材料を運ぶと、工具の準備に移った。

「今日は何をするんですか?」

「窓の周りの強化です。昨日は材料が足りなくって出来ませんでしたから。」

櫻子の質問に答えるとカーテンを開ける琴和。

しかしその後、思わず固まってしまう光景を目の当たりにしてしまった。


「ここにお茶を置くね。・・・どうかした?」

お茶を机に置くと、固まっている琴和に気がつく蘭子。

「あれ・・・。」

窓の外を指差す琴和。そして蘭子と櫻子は

窓に近づき指差す方角を見る。

すると、夜空を羽ばたく何かの群れが

公園の空に漂っていることに気がついた。

暗闇の中ではあったが、月明かりか街の明かりかによって

何かが漂っていることははっきりと分かった。


「ひょっとして・・・昨日のコウモリ?」

櫻子が尋ねるようにつぶやく。

「きっとそうだ・・・誰か戦っているのかな?

ひょっとして瀬戸さん?」

蘭子がそう言うと、琴和はうなずく。

「ああ、そうかもしれないね。

あの人はとても強そうだから平気だと思う。」

そう返すと蘭子は更にもう一つのケースを想定する。

「それか、それ以外の誰かが襲われているのかも。」


その言葉を聴くと、琴和はハッとした。

旭の話では一般人は襲われないということだったが、

自分たちのように、一般人でも襲われる人がいるのではないのかと

頭によぎったのだった。

「小田原さん?」

櫻子に話しかけられ、固まっていたことに気がつく琴和。

その後、椅子に座ってお茶を飲み、落ち着こうとする。


「コウモリ・・・いなくなる気配がないね。」

外の様子をずっと見続ける蘭子。

その間にも琴和の頭には関係ない人が襲われているのではないかという

不安がよぎっていた。

仮にそうだとすると、今までどうにか怪物退治をしてきたことから、

自分たちなら襲われている人を助けることが出来る。

それなのに、ここで見て見ぬフリをしていて良いのかという

妙な責任感のようなものが心に突き刺さってくる。

自分たちは禦やカザーバとは関係がない、

むしろ被害者的な立場ではある。

だから巻き込まれないように、旭の言ったとおり建物の中にいるべきである。

だが、本当にそれでいいのか?

葛藤する琴和。


「あ、何か光った!?」

蘭子が大きな声でそう言う。

「何だろう・・・?」

櫻子もその光を見たようだが、

それが一体何かは分からないようだった。

「どういうこと?」

「何か今、光ったの!」

「え?」

「よく分からないけど・・・、とにかく一瞬光った。」

「魔法・・・?」

櫻子がその単語を言うと、二人は彼女を見る。

「そう・・・かも。するとやっぱり瀬戸さん?」

蘭子がそう言うが、琴和はどうしてもそうは思えなかった。

「それか、怪物が放った光か・・・。」

琴和は自分が思ったことを口に出す。

すると気分が高揚し、もうその場に留まることが出来なくなってきた。

上着を着て、玄関に向かう琴和。


「ちょっと、何処行くの!?」

「公園に行く!ひょっとしたら俺たちみたいに

訳も分からないで襲われている人かもしれないから

このまま見ているわけにはいかないよ。」

「分かった、じゃあ私も行く!」

「駄目だ、蘭子はここにいて。」

「バカ言わないで、今まで三人じゃないと危なかったじゃない!」

そう言われると少し固まってしまった。

「ほら早く出て、玄関は広くないんだから

二人通れないでしょ。櫻子さんも早く!」

一瞬の硬直の間に蘭子はすでに玄関まで来ていた。

櫻子も不安そうな顔で付いて来ると、もう一人では行けないなと

悟った琴和。

「分かった、気をつけて行こう。」

うなずく蘭子と櫻子。

そして、部屋の鍵を閉める音を合図に、

三人は光が放たれた場所へ向かっていった。

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