第一話<見えない櫻>-4
レストランの通路をゆっくりと歩く琴和。
なるべく奥の席がいいと考え、席を探しながら歩いていた。
店内を見渡すと、特に客が多いという感じはしなかった。
席は結構空いている。しかしウェイトレスの影は、一人しかなかった。
どうやら、三人くらいいないと上手くまわらない広さなのに
一人しかいないので忙しいのであろう。
「大変だな・・。」
苦笑いをしながら琴和は窓際の席が並ぶ通りを歩いていた。
その時である、窓際の席に二人組みの女性が向かい合って座っていることに気が付いた。
本来ならば、二人組みの女性は特に珍しいものではない。
だが、琴和にはそれがとても違和感のあるものに感じた。
一人は、二十歳前後だろうか、白をベースにした服装をしている。
髪は栗色に染めているようで、アレンジされた髪型は
ふわっとした短いツインテールのような感じであった。
ボリューム感からウィッグも付けているのであろう。
その女性に関しては正直なところ、特に不思議な感じはしなかった。
しかし、もう一人の女性に関しては、何か判らないが物凄い違和感を感じた。
服装は黒いワンピースを着ていて、髪は肩までかかっている。
今、琴和の視点からは後姿しか見えないので、それ以上のことは判らない。
だが、確実に違和感を感じた。
一体それが何なのか、何故そのように感じたのか。
そう思いながらも歩く足を止めずに、彼は彼女たちの席に差し掛かった。
そして、自分の疑問を解決するべく、情報を集めるために
違和感を感じた女性をチラっと見た。
「アナタ・・・その人が見えるの?」
「え?」
白い服の女性が琴和に驚いたように声をかける。
琴和は反射的に疑問系で反応をした。
「え、見えるって・・・この人のこと?」
すると物凄く慌てて琴和の腕を引っ張り、
自分の隣の席に座らせた。




