第四話<ジャーナリスト>-6
「瀬戸 甲子郎・・・ジャーナリスト?」
蘭子が不思議そうに渡された名刺を読み上げる。
彼らはとりあえず公園に戻り話をすることにしていた。
すると甲子郎は公園のベンチに腰をかけ口を開く。
「そう、俺はフリーのジャーナリストでね、
超常現象的なものを追っているんだよ。」
「へえ、そんな職業もあるんですね。」
琴和が関心したように言うと甲子郎は笑みを浮かべた。
「とはいっても見えない奴らにとっては胡散臭い商売だな。」
すると蘭子が話をする。
「あの、やっぱりこの人のこと見えるんですよね・・・?」
その言葉を聞くなり、甲子郎は少し余裕な雰囲気で答える。
「ああ、見えるどころか声を聞くこともできるぜ。
それに、俺の声も聞こえるだろ?幽霊さん。」
すると櫻子はうなずいた。
「瀬戸さんは霊感・・・っていうのでしょうか、それがあるんですね?」
琴和の問いに甲子郎は答える。
「ああ、まあそんなところだろうな。」
「だから櫻子さん・・・ああこちらの方は櫻子さんっていうのですが、
彼女を見た時に驚いて振り返ったんですね?」
そう聞かれると甲子郎は首を振った。
「いや、そういうわけじゃないんだ。
正直なところ幽霊はこの街では珍しくないからな。」
「え?」
その言葉に不思議そうな表情で反応する琴和と蘭子。
すると甲子郎は少し驚いた表情になった。
「ん?何だ?この街を歩いていたら、頻繁に幽霊に出くわすだろ?」
「そう・・・かな?」
「どう・・・だろ?」
お互い確認しあう琴和と蘭子。
その様子に甲子郎は不思議そうに質問をする。
「・・・お前たち、その幽霊以外見たことないのか?」
「ええ、まぁ・・・。」
蘭子が答えると甲子郎は少し固まってしまった。
「ちょっと待て、幽霊を見ることすら普通は出来ないんだぞ?
ましてや会話ともなると、それっこそ相当の力が必要だ。
それが出来ている奴が他の幽霊を見れないっていうのは変だ。」
「えーでもー。」
蘭子がそう言うと甲子郎は公園の噴水の前で立っている女性を指差した。
「お前ら、あれ見えるか?」
「あれって・・・あの女性ですか?」
琴和がそう聞くと甲子郎は
蘭子の方を向き確認を取ろうとした。すると蘭子も続いた。
「あの髪の長い人ですよね?」
「見えてるじゃねぇか!」
「えええ!?」
「でも・・・どう見ても普通の人ですよ?」
琴和が甲子郎に聞くと少し疑った目で答えた。
「そうか?何か変だと感じないか?」
すると琴和は考え込んだ。
「・・・あ、そう言われると少し違和感があるかな。」
そう言われると、櫻子を初めて見た時と似た違和感を感じ取った。
「蘭子さ・・・蘭子はどう?」
「うーん、私も同じ答えかな。少し違和感を感じるくらいかも。」
その二人の答えを聞いて甲子郎は少し難しい顔をした。
「ひょっとしたら、お前たちは良く見えすぎて、逆に判りづらくなっているのかもな。」
「見えすぎ・・・ですか?」
「そう、だから今まで見えていたけど気がつかなかっただけなのかもしれない。
たまにそういう奴っているもんだ。
そして本当にごく稀にだが会話までこなす奴もいる。」
「そうだったのか・・・。」
「で、俺が振り返った理由はそこなんだ。そのごく稀な人間が
”二人も”そして幽霊を引き連れて楽しそうに会話してるじゃないか。
こんなに異常なことはない。」
「あはは・・・やっぱり普通じゃないですよね。」
蘭子がそう言うと甲子郎は質問をする。
「どんな経緯でこうなったんだ?」
すると三人は目を合わせてお互いの様子を見た。
その後、蘭子が口を開く。
「櫻子さんと出会ったのは1ヶ月程前です。
夕方の帰り道で偶然でした。
たまたま通りがかった私が、妹さんに似ていたそうなんです。
妹さんを生前守れなかった無念から、
その代わりに妹さんと似た私を守ることが望みだそうです。
それで私に憑くようになりました。
でもその時は会話できなくて、ただ見ることしかできなかったんですよ。
だから理由も知らず、除霊もせず様子を見ていました。
そして一週間前くらい・・・まだ経ってないか、
まぁそのくらいに、こちらの小田原さんと出会ったんです。
偶然ファミレスで。
小田原さんも櫻子さんを見ることが出来ることに
気がついて・・・引き止めて色々二人でお話をしました。
小田原さん自身も幽霊を見るのは初めてらしくって
戸惑っていましたけどね。
そしてその日の夜なんですよ。
きっかけは分かりませんが、櫻子さんと会話が出来るようになったのは。
そこで初めて櫻子さんが憑いてきた理由を知ったんです。
それを聞くと、しばらくは一緒にいてもいいかなって思ったんですよ。
櫻子さんは私が妹ではないことを認識していますし、
私を守りたいという願いで憑いているそうですから
別にいいかなと・・・。
櫻子さんの気が済むまで憑いてもらっていようというのが
今の方針ですね。
それからこうやって集まる時があるんですよ。
・・・こんなところだよね?」
最後に琴和に確認するよう質問をして説明を終える。
すると琴和はかるくうなずいた。




