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第四話<ジャーナリスト>-3

時間は約束の時になろうとしていた。


実は蘭子たちは10分前に公園に着いていた。

そこで琴和に電話をすれば良かったのだが

なんとなく、辺りを見渡して探すことにしていた。



さ迷うこと10分弱、櫻子が公園のベンチに琴和が座っていることに気が付いた。

それを見つけるなり二人は彼に寄って行く。

すると琴和も気がつき、挨拶をしてきた。

「すみません、急に呼び出したりして。」

笑顔で挨拶をする琴和。

「こんにちは。」

二人は近寄りながら挨拶すると、琴和は立ち上がり鞄から

小さな紙袋を取り出した。


「はいこれ、プレゼントです。」

「へ?」

突然のことで驚く蘭子。

その様子を見て苦笑いをする琴和。

「とはいっても、そんなにいいものじゃありませんよ。

開けてみてください。」

そう言われ、早速封を開ける蘭子。


するとリング状のものが横に連なる物が入っていた。

「・・・なんですかこれ?」

「メリケンサックですよ。」

「は?」

琴和の好意(?)に物凄い疑問系の蘭子。

それを見ると予想通りといった顔で

琴和は話しかける。


「ああ、これは拳にはめて相手を殴ると

拳を傷つけずに、大ダメージを与えられるんですよ。」

「いえ・・・メリケンサック自体は知っていますけど。」

「・・・知っているんですか!?」

そう返されると、蘭子は固まってしまった。


「あれ・・・何で私、知っているんだろう?」

蘭子の記憶にはこんな物は存在していなかった。

正直なところ、使ったことどころか見たことも聞いたこともない。

でも何故か使い方が妙に分かる気がした。

「・・・どうしたんです?」

琴和が不安そうに顔を覗き込むと蘭子は少し驚いた。

「え、ああ大丈夫です!」

きっと、複雑な形状ではないので、見ためから

どのように使うかが分かっただけだと彼女は判断すると

少し脱線した会話を戻そうとした。


「ああ、えっとですね、何でまたこんな物を?」

その質問に琴和は目を少しそらして、気まずそうに答える。

「その、最近変な怪物に僕たち襲われてばっかじゃないですか。

もし、今後また襲われたらやっぱり丸腰って危険だと思うんですよ。

そこでこれです。

これなら小さくて、そんなに重くないから携帯しやすいし

破壊力、使いやすさも抜群です。」


「これで蘭子ちゃんに戦えってことですか?」

櫻子が質問してくると琴和は少し慌てたように答えた。

「いえ、そういうことじゃなくって、あくまで念のためですよ。

出来ることなら戦いは回避した方がいいです。」

その答えが終わると蘭子が不思議そうに口を開く。


「・・・ところで、コレのチョイスには理由があるんですか?」

「ああ、前ナイフ見たら、職務質問とか気にしてたじゃないですか、

だからメリケンサックにしました。」

「コレも十分ひっかかりますよ!」

「大丈夫ですよ。一番端を見てください。

栓抜きが付いていますよね。だからコレは栓抜きです。」

「・・・凄い言い訳ですね。通じるんですか?」

「うー・・・まぁ楠木さんは見かけが危ない人には見えないから

平気じゃないでしょうか?」

その返答を聞くと少し呆れながらも笑みを浮かべる蘭子。


「ありがとうございます。

女の子へのプレゼントとしては最低ですけど

今の私にとってはピッタリですね。」

その言葉を聞くと琴和も笑みを浮かべて返事をする。

「それの出番が来ないことを祈りますよ。」


すると、早速蘭子はプレゼントを装備し始めた。

そして琴和に向かって身構える。

「せっかくのプレゼントです。使わないのはもったいないじゃないですかー。」

「はは、穏やかじゃないです・・・!!」


気が付くと琴和の耳をかすめるように蘭子の拳が突き抜けていた。

「な・・・なにを!」

琴和が驚いたように、そう問いかけると蘭子はニコっとした。


「あの、小田原さん。無理して敬語使わなくって良いですよ。

今みたいに驚くと素の言葉遣いになるし。

自分のことも僕じゃなくって俺に代わってることも気づいていますよ。」


そう言われると呆れた顔で琴和は答える。

「・・・だからって、この伝え方はどうかと。」

「えっへへー。」

笑顔でごまかそうとする蘭子。

でも確かに、自分でも蘭子に対して敬語を使うことが

少し堅苦しいと感じてはいた。


「・・・わかりましたよ、ただ急に言葉遣いを代えるのも癖が抜けきってなくて

出来ないと思うから、徐々にね。」

違和感のある言葉でそう伝えると、蘭子は笑顔でコクコクとうなずいた。

「そうだ、だったら楠木さんも敬語じゃなくっていいですよ。

そっちの方がフェアかな。」

そう言うと蘭子は続いてある要求をした。

「あと私のことは蘭子でいいです。実は皆から

名前で呼ばれているから、苗字だと少し違和感あって・・・。」

すると琴和は少し戸惑った表情になり、少し考えた。

「じゃあそうしますよ、蘭子さん。」

「・・・さんもいらないかな。」

「・・・・・。」


琴和にとっては、しばらく苦戦しそうな要求だった。

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