第三話<化鳥>-2
「えぐっ、えぐぅ、酷いです、人の顔を見た途端に叫ぶなんて・・・。」
ここはまだ琴和の部屋。
彼の叫び声に驚いたのと、化け物扱いされたことを櫻子が半べそで琴和に訴えかけているが、
琴和の心臓はバクバクいっており、それに対応するほどまだ落ち着いてはいなかった。
壁際まで飛んで逃げていることに気が付いたのは、もう少し後の事になる。
-1分経過-
「とりあえず櫻子さん・・・今の狙ってましたよね・・・。」
まだ動揺が治まりきっていないが、琴和はとりあえず話を振った。
「何のことですか・・・。」
今さっきのことをまだ根に持っているようで
恨めしそうな顔で琴和を見つめる。
『マジで怖い』
番組の影響もあり、先日とは違って櫻子が恐怖の塊に見えてしまう。
どうやらテレビで勉強作戦は失敗らしい。
-1分経過-
とても静かな空気が流れていた。
気が動転していたために、会話に入るきっかけを失ってしまった。
琴和はそれに気まずさを感じ始めていた。
すると櫻子が話しかけてきた。
「小田原さん、今平気ですか?」
『あんまり平気じゃない・・・』
本音はそうだったが、そうも言えずに軽くうなずく琴和。
それを見ると櫻子は申し訳なさそうな表情で話を続けた。
「良かった、実は今日はお願いがあってきたんですよ。」
そう言われると、琴和は一つの異変に気づいた。
蘭子がいない。
「あれ?楠木さんは?」
早速疑問を質問に変える琴和。
「今アルバイトをしている最中ですよ。」
櫻子は笑顔で答えると、急に真剣な表情になり話を続けた。
「実はそのことでお願いがあるんです。」
「へ?」
その表情に押された琴和は、何をお願いされるのか少し怖くなった。




