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第十五話<駆け巡るそれぞれの想い>-6

15畳程の会議室は、ブラインドで外からの光を

遮られていたが、その代りに蛍光灯の明かりが

部屋全体を照らしている。

大きな机を中心に8人が囲むようにミーティングを行っており、

机の上には地図が広げられている。

そして地図の前には嘉島の姿がある。


「やはり妙ですよね。」

地図を見ながら考え込むように発言をする修也。

「そうね、何か意図的なものを感じるわ。」

「禦か村雲が何かをしたと考えるべきッスかね?」

門井や平次も続けて発言をすると、

旭は二十歳過ぎの穏やかそうな女性に話しかける。


「美咲さん、本当にヤンカは死んだ後に、この場所に集められたの?」

美咲と呼ばれた女性は旭の質問にゆっくりとうなずくと、

地図につけられた複数の赤丸を次々と指し示す。

「はい、ヤンカの生命反応が途絶えた個所は赤丸の地点です。」

「でも、死後60分の間、発せられる位置情報はこの場所に集中したんだよね?」

青く囲まれた地点を指さす旭。

その場所は、昨夜禦の局員が殺害された地点であった。

「はい、過去に何度か死骸を一か所に集められたことはありましたが、

それはそれぞれの場所が近かった場合のみです。

集められた後は、すぐにまた違う場所に移動させられた事から、

回収しやすくする為と考えられます。

でも昨夜は違います。集めるだけ集めて、その後はしばらくの間、放置でした。

また、生命反応が途絶えた場所から、中には7kmも離れたこの地点に

運ばれたものもいます。これは今までとは明らかに違いますね。」


「・・・藤堂、この件はどう見る?」

嘉島が隣の藤堂に意見を求めると、一同の視線が彼に集まる。

それに気が付くと、ゆっくりと周囲を見渡した後に、地図を見つめる。

「何ともいえない、それが本音ですね。

ただ、愉快犯のような行動ではなく、

何か理由があることは間違いないでしょう。

資料によると、これらのヤンカがやられた場所は、

それぞれバラバラですが、息絶えた時間は、ほぼ同じ時間です。

それは個人ではなく、集団であることを現しており、

ヤンカを倒す集団は禦か村雲ということを現しています。

ここで引っかかる事は

禦や村雲的には例え、動物の姿に戻っているとはいえ、

ヤンカの姿を一般人に見られたくはないはずですが、

昨夜の行動はそれに反しているというところ。

そのようなリスクを冒してまでヤンカを集める理由が何かしらあるはずです。」


「問題はそこなのよね、何故このような事をしたのかという理由。

藤堂さんが否定をした愉快犯説だったら問題はないのだけれど、

違うとなれば警戒をする必要があるわね。」

門井が藤堂に続いて意見を言うと、修也は首を縦に振る。

「放ってはおけないですよね。

ひょっとしたらヤンカに、いえ自分たちに大きな災いを与えかねません。

探る必要があると思います。」

そう言って嘉島を見る修也。すると嘉島は腕を組みしばらく考え込む。



「・・・集められた場所に行けば、何か分かるかも知れんな。」

「でも我々をおびき寄せるための罠かもしれませんね。」

嘉島が答えを出すと、藤堂は軽く警戒を促す。

「ああ、十分ありえるだろう。だが放ってはおけん。

私と門井、そして修也のみで現地に行く。

他の者は連絡をしたら何時でも出れるよう待機をしていてくれ。」


「嘉島さんが行くのですか?」

旭が驚いたように尋ねると、目を合わせる嘉島。

「何が起こるか分からないからな。私では目立つが、何かあってからでは遅い。

出発は一時間後だ。それまでに支度をしておけ。」

そう言うと地図の前から離れる嘉島。

その姿を見ると、美咲は慌てて片づけを始める。

「美咲さん、そっち持って。」

大きな地図を畳むのが大変そうに見えたのか、

旭が手伝い始めると、美咲は「はい。」とにこやかに答えて作業を進める。

その姿を合図にしたかのように、

メンバーは資料を片づけたり、机の位置を戻したりといった分担をして

部屋の整頓をし始めるのであった。

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