第十五話<駆け巡るそれぞれの想い>-2
「あ・・・れ?」
ゆっくりとぼやけながら意識を取り戻す蘭子。
自然と耳に入ってくる鳥の声と
光で照らされたカーテンの様子から、朝になったと感じ取る。
先ほどのは夢だったのだろうか?
ふと、暗闇の中で見たイメージが頭に蘇ると少し不安な気持ちになってくる。
「櫻子さん?」
体を起こしながら周囲を見渡すが、誰の姿も映らない。
『何かあったのかもしれない。』そう思うと、携帯を急いで手に取る。
琴和に連絡をする為だ。
「おはよう、蘭子ちゃん。調子はどう?」
蘭子の声が聞こえたのか、櫻子がキッチンからスッと現れる。
その様子を見るとホッとする蘭子。携帯をたたみ「おはよう、元気だよ」と返す。
「何か飲む?」
櫻子が何事もなかったかのように話しかけてくると、
紅茶のリクエストをする蘭子。
すると冷蔵庫からペットボトルの紅茶を取り出し、コップに注ぐ櫻子。
その間に蘭子はカーテンを開けて、日差しを部屋の中に取り込む。
「はい、どうぞ。」
近くのテーブルに紅茶を置くと、櫻子は近くに座る。
「ありがとう。」
テーブルの前に座る蘭子。コップに口をつけるとジッと櫻子を見つめる。
「どうかした?」
「・・・ねえ、夜中に何かあった?」
「何もないよ。」
「そっか。」
何気なく答える櫻子に疑問を抱かず『夢か。』で片付ける蘭子。
再び紅茶を飲み始める。
「今日はバイト、何時からだっけ?」
「10時から15時だよ。」
「そう、じゃあそろそろ準備しないとね。」
「櫻子さんは今日、どうしています?琴和君のところにいる?」
「ううん、今日は散歩しているね。」
「分った。じゃあ16:00にいつものショッピングモールの木の下ね。」
「わかった。」
バイト後の待ち合わせの約束をすると、蘭子は立ち上がり
キッチンのパンをかじり始める。
櫻子に「座って食べなよ。」と注意されるが、気にすることもなく
他に何かないかと冷蔵庫を開ける蘭子だった。




