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第十四話<理由>-4

「なるほど、結構いい経歴じゃないか。」

夕暮れ時、琴和の家がみえる物陰で

甲子郎は、資料を見ながら一人の若い男性と話をしている。

「いえ、それほどではないです。」

その男性は20前半くらいの細身で眼鏡をかけている。

表情は真剣で、甲子郎の言葉を一語一句逃さずに聞いている様子だ。

「いいねぇ謙虚で。その調子でこれから頑張ってくれ。

でだ、知ってのとおりあれが対象の家で

活動の拠点みたいなものだ。ただ、目の前に

村雲の人間の家であり、もう一人の対象の家があるから、そこだけは注意な。

別に村雲は敵ではないが、俺らの行動を気付かれ

説明しろって言われるのも面白くない。いいな?」

「はい。」

「あと、資料にもある桐島矢子だが、結構鋭い。

近づきすぎると気付かれるからそれも注意だ。」

「はい。」

「そして、夜はカザーバと出くわす可能性もある。

戦闘経験は無いようだから、もし何かあったら

逃げるか、俺に助けを求めるかするんだ。」

「了解。」

淡々と会話をする二人。若い男性の視線は常に琴和の家に向けられていた。

「お前さん、本当に真面目だねぇ。」

「任務ですから。」

「・・・禦に入って、何かしたいことがあったのか?」

唐突に聞く甲子郎。すると視線を彼に移す。

「最初は何もありませんでしたよ。

そもそも禦に入りたくて入っている人、いないじゃないですか。

特殊な力を持っていることを組織に知られて、

そこから話が始まって、普通の世界に別れを告げてで。

正直なところ、最初は怖いし嫌だと思っていました。

自分は普通の世界には居られないと気付き、仕方なく禦に入ったのですから。

でも禦でいろんなことを学んでいくうちに自分の力は何かをする為のものなのかもしれないって

思い始めた時があって、そこからですね、何事にも真剣に取り組もうって思い始めたのは。

何がやりたいかって聞かれたら、自分が力を得た理由を見つけたいと答えます。」

「理由か、見つかると良いな。」

ニッとして甲子郎は答えると、路地に出て振り返る。

「それじゃあ俺は行くから、後はよろしくな。」

「了解。」

敬礼で挨拶をされると甲子郎は左手を軽く上げて挨拶をする。

そしてそのまま琴和の家に向かうのであった。

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