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第十三話<敵として>-7

「・・・そんなところにいて、寒くないの?」

唐突にポツリと言葉を投げかけるチャージャ。

瞑っていた目をうっすらと明け、後方に感じる気配に視線を移す。

「寒さなんて気にならないわ。結構便利な体なのよ。」

スッと空から降ってくる郁葉。チャージャから3mほど離れたところに着地をすると

その場で立ち止まり、周囲を見渡す。

「即興で作ったのだけど、割と効果的のようね。」

そこは、5階建てのマンションの屋上に

高さが1mほどある鏡を円形に並べている奇妙な空間であった。

その円の中心には黙想をしていたチャージャが座っている。


「そうだね、予想以上の効果だ。

月の光をより強く感じることができる。

礼を言わないといけないね。」

首を振る郁葉。

「まだ早いわよ。

これからじゃない、大変なのは。」

「そうだね。」

チャージャは申し訳なさそうな表情のまま小さくため息をつくと、

再び目を閉じ黙想を始める。

その様子を見ると、郁葉は両手を後ろに組み、やや首を傾ける。


「集中しているところ悪いけど、一応報告しておくわ。

今日から旭も作戦に参加しているとのことよ。」

「・・・そう。」

再びうっすらと目を開けるチャージャ。

判っていた事なので動揺の様子は見えないが少し物悲しそうな表情になる。

「それは僕を急かしているの?」

振り返ることなく、そのままの姿勢で郁葉に問いかけると

こちらを見ていないことを知ってはいたが首を振り否定の様子を見せる郁葉。

「違うわよ、ただ黙っておく方が嫌がると判断しただけよ。違うかしら?」

「はずれではないね。」

そう返答すると、チャージャはスッと床に手を添える。


「ねえ郁葉、村雲や禦にも星の牙っているの?」

「さあね。でも少なからず禦とは誰かしら接触していそうね。」

「そう、その関係かな。」

「どういうこと?」

謎めいたことを言うチャージャに少し疑問を抱く郁葉。

「強い力が妙に集まっている気がする。

・・・それこそ姉さんが捕まっている地域周辺に。」

「強い力?」

「僕もはっきり分かるわけじゃないけど、

たまに北東から強い力を感じ取ることができるんだ。

郁葉はそんなことない?」

「感性は敏感な方だけど、私は無いわね。

強い力って星の牙のことかしら?」

「だと思う。」

そこまで話すと、あごに手を当てて考える郁葉。

「ひょっとして、それは星の牙ではなく、

力を得た人ではないかしら?嘉島や旭のような。」

「・・・そうなのかな。」

郁葉の回答に少し疑問形のチャージャ。

『少し調べてみる必要はありそうね。』

一応の答えは出してみるが、チャージャの腑に落ちない様子を見ると

郁葉も少し自信が持てなかった。

そのことは口には出さず、郁葉は静かにその場を去るのであった。

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