第十三話<敵として>-3
「そういえば櫻子さんは?」
歩きながら辺りを見渡す琴和。
二人は待ち合わせ場所から映画館へと向かっていた。
「んー誘ったけど来なかったの。
何か映画館の大きな音があまり好きじゃないらしいよ。」
「そうなんだ。」
「今頃どこか散歩していると思う。」
「散歩?」
「うん、最近はたまに一人で散歩に行くようになったの。」
「へえ。」
櫻子の少し予想外の行動に心の中で小さく驚く琴和。
「どんなところに行っているのかな?」
会話を続かせるように質問をすると首をかしげる蘭子。
「それが良く分からないんだよね。
話を聞くと、目的も無くただ彷徨っているだけっぽいの。」
「彷徨うって・・・何か怖いな。理由とかあるのかな?」
「どうだろう。
何か深く聞くのも気が引けるんだよね。」
「ああ、そうかもね。」
そうこう会話をしているうちに映画館に着く二人。
上映中の作品はいくつかあり、大きな看板が数種類並んでいる。
「どれを見るの?」と聞くと一枚の看板を指差す蘭子。
それはアクション物の洋画だった。
上映スケジュールを確認すると、後15分で始まるという
少し慌ただしいものであった。
「上映まで時間があまりないね。」
「うん、まあ大丈夫でしょ。」
「・・・あれ?これ日本語吹き替えじゃないね。」
「普通そうじゃない?」
「いや、交互に吹替え版も上映しているようだよ。」
「んーまあいいんじゃない?字幕あるし。」
「なら良いけど。」
「それに本人の声の方が雰囲気出るしね。」
「本人の声って、英語分かるのかよ。」
「別に良いじゃない、分からなくたって。」
そうこう話しながらもチケットを購入して場内に入ると、
上映初日ということもあり、平日の昼だというのに人が結構入っていた。
それなりに見易そうな席を見つけ並んで座ると
ジュースのリクエストを蘭子に尋ね、売り場に足を運ぶ。
売店にはジュースやポップコーン、パンフレットや
映画のグッズが並んでおり、一通り眺める琴和。
小さい小物類を見ると、矢子にお土産でも買っていこうかと思ったが
邪魔になるだけかもしれないとも思いジュースだけ買って戻る。
「ありがとう。」と言ってコップを受け取る蘭子。
そして荷物を置いて取っておいた席を座れるようにして
琴和を席につかせる。
そして周りに人がいたので小声で少しの間、他愛のない話をしていると
直ぐに会場は暗くなり、上映が始まるのであった。




