新堂グループの日常
春、入学式も終わり、新しい学園生活が始まって一カ月が経った。一カ月も
経てばそのクラスのグループがだいたい出来てくる。
俺、新堂涼介はやはりクラスで一番地味に見えた。容姿は悪くないのだが
自分から誰かに声をかけたり、明るくふるまったりはできない。だからかクラスでは
浮いている感じになっていたが、それは一人でいる時だけだった。
そう、俺の周りに集まっているこいつらが『凄い』奴らなのはもう
クラスの全員が知っているので、なぜ、彼らが俺の周りにいるのかが
不思議に思っているだろう。
「涼介、今日部活終わったらお前んとこに行くからな」
「なら私も行こうかな。私は放課後すぐにね」
「それなら私も行こう」
今は三人が俺の周りにいる。一人は学園一と言われるイケメン系の
男子で成瀬勇太だ。イケメンでおまけにスポーツ万能だから
当然、女子からモテるので、その成瀬といるだけで、俺は女子から
不思議がられる。
で、あとの二人は女子で、その一人が誰もが知るお嬢様で天宮めぐみと
言う子だ。彼女はいかにもなお嬢様で、家も実際に巨大企業を経営
しており、政界にも影響を与える程で、めぐみは将来、その企業のトップに
立とうとしている優秀な生徒だ。長い髪に前髪の片方だけロール巻に
していて、学園一とされる巨乳でそんなお嬢が俺の周りにいるのも学園の
不思議だった。
最後にもう一人いる女の子は水川さくや。俺達の一つ上で現在この
学園の生徒会長をしている人だ。
美人で優しく男子人気ではお嬢のめぐみに負けない程だが、一つだけ
彼女に触れてはいけない事がある。それは彼女の前で争う事だ。
どんな些細な事も争うのが嫌いな彼女は普段がすごい優しい反面
怒らせると真逆の怖い人になるので、知っている人は彼女の前では
争わない様にしている。
そんな学園のトップスリーが俺の周りにいるんだから不思議がられても
おかしくなかった。そんな俺達の事を人は新堂グループと言っていた。
それは昼休みにわかる。この学園には食堂があり、昼はここで
食べるか持参してくるかが選べる。俺はとある事情で一人暮らしを
しているので当然、この学食を使っているのだが、その俺に合わせて
成瀬、めぐみ、そして会長事、俺はさくねぇと呼んでいる人達が
一か所の席に集まるのだから目立ってしょうがない。そんな中にいる
無名の俺が逆に目立っているのかもしれないが。
それ以外でも放課後や休み時間でもだいたいこのメンバーで
いるので、俺を知らない生徒からは天宮グループとも言われていた。
放課後、成瀬は部活に行く。剣道部に入っている成瀬は当然
その部では最強で、今まで一番地味だと思われていた剣道部が
彼の参加により、学園で一番目立つ部活になった。特に
女子からは。
さくねぇは生徒会会長で忙しいかと思ったが、この時期はそう
忙しくもないので、俺によく付き合ってくれる。家が隣だった
ので、本当の姉の様に思っている俺は一人暮らしをしてからも
何かとさくねぇに助けてもらっていた。
そのさくねぇだけが来るならいいが、今日はめぐみも来る様だ。
「涼介、いつ私達の家を買うのかしら?あなたが買えないなら
私がすぐに買うわよ」
「買わんでいい。俺はここで十分だ」
「ええ!!こんな小さいアパートで?」
「一人なら十分だ」
「もう、欲がないわね涼介わ」
「そうね。でも、できればもう少しいい所の方が女の子を
呼べるんじゃない?涼ちゃん的には」
「俺が呼べるわけないでしょさくねぇ」
「あら、でも今一人いるじゃない」
「これは別です」
「別って何よ。この私が来てあげてるのよ。文句があるの?」
「ありありだ」
そんな感じで俺の部屋に入る。俺の部屋はアパートの二階で
いかにも男の一人暮らし風な部屋だ。
そこに似合わない二人の女の子が居る。それだけで男子は
いやらしい事を考えるが、相手が相手だけに俺は何もできなかった。
さくねぇが夕食を作ってくれている間、俺はめぐみを監視
していた。それというのもめぐみはお約束と言って俺の
部屋を散策する。主にエロ本がないかどうかだ。当然俺も
男なので持っているが俺は本ではなく、スマホやパソコンの
ネットだけで見ているので、現物はない。それはもうめぐみも
わかっているので、パソコンを見るが、俺は対めぐみ様にしっかり
セキュリティをしているので見られる事はない。
そうしてつまらなそうにめぐみは俺のパソコンをいじって
その間にさくねぇは料理を終え、ご飯を食べる。食べ終えて少し
ゆっくりしているとそこに部活終わりの成瀬も合流する。そこから
一時間ぐらい皆でだべって夜の十時前ぐらいに解散する。
「それじゃ明日ね涼ちゃん」
「涼介、明日は私達の子供作るわよ」
「遠慮する」
「作っとけば?一緒安泰だぞ?」
「成瀬は黙ってろ!じゃぁな」
「おう明日な」
これが俺達の日常である。




