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9話 懐かしの小学校

はじめまして、大森林聡史です。

女子高校生の紀美(きみ)が、幼馴染と再会し恋に落ちる物語です。

よければお付き合いください。

 小学校に着いた。

 聡にとっては、転校して以来の小学校である。

 紀美は校門の前で足を止め、懐かしそうに校舎を見つめる。


「...変わってない。あの時と、何も変わってないみたい...」


 そっと聡の手を握り締め、声を震わせる。


「...聡くんがいなくなった日、私はこの門柱でずっと泣いてたの。でも今日は... 笑って帰れるね」


  あの時の寂しさが、今は聡の手の温もりでいっぱいになる... ずっと忘れられない場所が、やっと幸せな記憶に塗り替えられる。


「俺も寂しかったよ、もう会えないかと思った。だけど、こうやって再会できたのがとても嬉しいよ」


 紀美の涙が頬を伝いながら、にっこり笑う。


「... 私もずっと、聡くんに会いたかった」


 校庭の桜の木を指さし、懐かしそうに。


「覚えてる? あの木の下で、 聡くんが初めて『お姫様だー!』って私を追いかけ回したこと...」

(あの日の笑い声が、今も耳に残ってる... 転校してからずっと、この木の下で遊んだ日々を夢に見てたわ。 今はもう、夢じゃなくて...)


「お姫様だーっ! 言ってたね・・・あれ何してたんだろう?」


 紀美は突然顔を赤くして、両手で頬を覆う。


「も、もう...! またそんなこと言わないでよ...!」


 でもふと笑みがこぼれ、懐かしそうに桜の木を見上げる。


「...あの時は聡くんが騎士ごっこに夢中で、私を追いかけ回してたんだよ...」


(なんであんなに必死で逃げてたんだろう... 今思えば、もっと素直に「お姫様」になってあげればよかったな。あの頃から、聡くんは私を特別扱いしてくれてたんだ...)


 少し聡は照れくさそうに。


「騎士ごっこね・・・そういえば騎士に憧れてたな」


 紀美は、ふいに聡の制服の袖を引っ張り、目を輝かせる。


「...今でもなれるよ?  お姫様の私を守る騎士さん...」


 すぐに照れくさそうに俯き、声を小さくして。


「.... でも今は... 恋人同士だから、騎士じゃなくていいけど...」

(あの頃の聡くんの真剣な顔、今でも覚えてる...騎士ごっこより、今の関係の方がずっと素敵だけどね。でもたまには... あの頃みたいに遊んでもいいか⋯)


 聡は、やっぱり少し照れくさそうに。


「騎士とお姫様のカップルに・・・なってくれるかな?  紀美⋯姫樣」


 紀美は、突然の呼び名に、ぎゅっと両手で赤くなった頬を押さえる。


「さ、聡くん...! もう、そんな呼び方...!」


 でもふと微笑み、そっと聡の腕に寄り添う。


「...でも... 私、聡くんの王子様の方がいいかも...」

(姫なんて... 恥ずかしすぎる... でも、聡くんがそう呼んでくれるの、なんだか嬉しい... あの頃みたいに、ただの友達じゃなくて...)


 聡は、少し苦笑い。


「王子様はちょっと恥ずかしいね・・・でも紀美ちゃんがお姫様なら・・・王子様がお似合いかな」


 紀美は校庭の桜の木陰で、制服のスカートをふわりと揺らしながら。


「... じゃあ、たまには...聡王子様...?」


 自分で言ってしまったことに慌て、顔を真っ赤に隠す。


「...やっぱり無理! 恥ずかしすぎる... 普通に聡くんでいいわ...!」

(なんでこんなこと言っちゃったんだろう... でも、聡くんが照れながらも楽しそうで... 私まで幸せな気分になっちゃう。ああ、もう... 本当にバカみたい...)


 聡は、頭をかいて・・・


「自分達の母校で何してるんだろうね・・・俺達・・・だけど・・・なんか嬉しいよ・・・」


 紀美はそっと校舎の窓に手を当て、ガラスに映る二人の姿を見つめる。


「...ほんと。変なカップルだわ...」


 紀美はふいに聡の手を握り、校庭を駆け出しそうな姿勢に。


「...でも、この変な感じ... すごく好き。ずっと忘れないでいたいな...」

(あの頃の寂しかった私に、今の幸せを見せてあげたい... 「大丈夫、ずっと一緒だよ」つて。聡くんとまたここに立てるなんて、夢みたい...)


 聡は、ふと真面目な顔して。


「紀美、ここに二人でいるの、夢じゃないよ」


 紀美は、突然その言葉に涙が溢れ、聡の腕にしがみつく。


「...うん、わかってる。だって聡くんの体温も、鼓動も...全部本物だもん」


 涙で滲んだ視界をこすりながら、桜の木を指さす。


「... あの木の下で、もう一度『こんにちは』しよう... 今度は絶対に離れないでね...」

(この温もりが夢だったら、もう二度と目覚めたくない... でも大丈夫、聡くんが「夢じゃない」って言ってずっと待ってたこの瞬間が、やっと現実になった...)


 聡は、バツが悪そうに


「昔、紀美ちゃんを泣かしちゃった事があったね・・・今でも覚えてる・・・ごめんね」


 紀美は、涙を拭いながら、小さく頭を振る。


「...私こそ、あの時もっと強ければ... 転校しても連絡くらい...」


 聡の袖をぎゅっと握り、涙でにじんだ笑顔を見せる。


「...でも今は、全部昔の話。これからは二人で、新しい思い出いっぱい作ろう...」

(あの時の涙も、今となっては大切な思い出... だって、また会えたんだから。聡くんのこの優しい表情、 ずっと見ていたいな...)


 聡は寂しそうに。


「やっぱりここで小学校を卒業したかったよ。紀美、 二人だけの卒業式、一緒にしてくれないかな?」


 紀美は胸が熱くなり、涙がまた溢れそうになるのを必死にこらえる。


「... うん! 私もずっと... 聡くんと並んで卒業証書をもらいたかった...」


 急に走り出し、校舎の階段に立ち、手を広げる。


「...紀美&聡くん、 いま卒業一! ...って、バカみたいかな...?」

( あの時叶わなかったこと、一つずつ取り戻していけるんだ...聡くんと一緒なら、どんな小さなことも大切な儀式になる。この気持ち、絶対に忘れない...)


 聡は、紀美の手を優しく握り嬉しそうに。


「全然バカじゃないよ・・・ありがとう。紀美ちゃんのおかげ」


 聡の手の温もりに包まれ、紀美は涙がぽろりと落ちる。


「...私こそ、聡くんがいてくれて...」


 校舎の窓に映る二人の姿を指さし、くすくす笑う。


「ほら、制服姿の私たち... やっぱり似合ってるでしよ?」

(この瞬間が、私の一番幸せな卒業式...あの時描いてた未来が、今ここにある。聡くんのこの笑顔、 一生忘れないわ...)


 辺りは暗くなり、職員室の灯りだけが点いている。


「すっかり遅くなっちゃったね、帰ろうか・・・」


 聡は、去り際に。


「幸せな一日をありがとう・・・紀美」


 紀美は夕闇浮かぶ校舎を見上げ、そっと聡の手を握り返す。


「... うん、帰ろう。でも今日は... 私の人生で一番幸せな日だった」


 ふと立ち止まり、懐かしい校舎に最後の挨拶をする。


「...さようなら、ありがとう... また来るからね」

(この場所がくれた新しい思い出... あの頃の寂しさを、今の幸せでいっぱいに塗り替えられた。聡くんとまたここに来られる日が楽しみ...)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

続きも読んでもらえると嬉しいです。

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