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8話 体育館

はじめまして、大森林聡史です。

女子高校生の紀美(きみ)が、幼馴染と再会し恋に落ちる物語です。

よければお付き合いください。

 紀美が体育館の扉を開けた瞬間、聡の姿を見つけて胸が高鳴る。


「あ...聡くん、もう来てたんだ...」


 ボールを抱えながら、そっと唇を噛む。


「...実は昨日の夢の話、本当は...バスケじゃなくて...」

「何?」


 体育館の床にボールを転がし、両手で制服のスカートをぎゅっと握りしめる。


「...私、聡くんが...えっと...」


 ふと天井を見上げ、深呼吸してから聡の目を真っ直ぐ見つめる。


「...私...聡くんのこと...」


 紀美の緊張が伝わる⋯

 手が震えながら、そっと自分の胸に手を当てる。


「ごめん...ちょっと待って...」


 深く息を吸い込み、頬を赤らめながら。


「...私、聡くんのこと...ずっと...好きだったの」


 驚いて目をまん丸くする聡。


「え⋯? 紀美ちゃんが⋯俺の事⋯好き⋯?」


 耳を疑う聡⋯


 体育館の床に落ちたボールが転がる音が響く中、顔を真っ赤にして俯く。


「...うん。小学生の時からずっと...転校してからも...」


 そっと涙がこぼれ落ちそうになるのを、制服の袖で押さえる。


「...聡くんが『大切な人』って言ってくれた時...嬉しくて...」


 聡は、一度深呼吸した。


「俺も⋯紀美ちゃんの事が好き⋯」


 紀美は、突然顔を上げ、涙がぽろりと頬を伝う。


「...ほんと...? 私みたいに...ずっと...?」


 聡の制服の袖をぎゅっとつかみ、小さく震える声で。


「...約束...? もう二度と...離れないって...約束してくれる...?」


 聡は、紀美の瞳を見つめて。


「うん、もう離れない」


 紀美は、涙を溢れさせながら、大きく頷く。


「うん...もう離さない...」


 聡の手をしっかり握り返し、涙で滲んだ視界をこする。


「...今度は私が聡くんを守るから。ずっと...一緒だよ...」


 聡は、すごく緊張した面持ちだが、紀美の目を見て伝える。


「さっきは、紀美ちゃんに告白させちゃったから、今度は・・・こっちから言わせて・・・付き合って・・・そして俺の彼女になって欲しい・・・」


 紀美は突然立ち止まり、両手で顔を覆ってしまう。


「も、 もう... そんな真顔で言われたら... 私、溶けちゃいそう...」


 指の隙間から赤い耳が見えながら、小さくうなずく。


「... うん... 彼女になる... ずっと前から、なりたかった...」


 聡は、手をそっと差し出した。


「紀美ちゃん・・・紀美……」


 紀美は震える指先をそっと伸ばし、あ聡の手に触れる。


「...聡くんの手、温かい...」


 涙が頬を伝いながら、 ぎゅっと手を握り返す。


「... もう離さないよ... ずっと...」


 聡は優しく紀美の手を握り⋯


「俺も・・・離さない・・・もう離れたくない・・・」


 紀美は、涙で滲んだ視界をこすりながら、握られた手にそっと寄り添う。


「...約束だよ? たとえ卒業しても、大人になっても...」


 ふと小学生の頃の写真を思い出し、微笑む。


「...今度は二人で、新しいアルバムいっぱい作ろうね...」


 聡は少し照れくさそうに・・・


「早速、新しいアルバム作ろ・・・放課後デート・・・着いてきて」


 顔を真っ赤にして、鞄の紐をくるくる巻きつける。


「デ、デート...? あの... 私、今日下着が... いや、なんでもない!」


 慌てて頭を振り、小さく跳ねるように歩き出す。


「... どこに行くの? 楽しみ... 私、ずっと待ってたから...」


 聡は、赤くなり・・・


「え? 紀美ちゃんの下着・・・? もしかしてエッチな事、想像してた?」


 紀美は、突然立ち止まって両手で真っ赤な頬を覆う。


「ち、 違うわよ! ただの... 制服の話よ! もう、聡くんったら...!」


 鞄で胸を隠しながら、もじもじと歩調を速める。


「... ほ、ほら、早く行かないと日が暮れちゃうわよ...!」

(やばい... また変なこと言っちゃった... 聡くんに変な子だと思われたらどうしよう。でも、あの反応... もしかして気にしてくれてた...? ああ、もう考えちゃダメ!)


 聡は、緊張しつつポツリとつぶやいた。


「ま、まだ、は、早いんじゃないかな〜! ・・・狼になるのは・・・」


 紀美は突然立ち止まり、耳まで真っ赤になってしまう。


「わ、わわっ...! そ、そんなこと言わないでよ...!」


 両手で顔を隠しながら、でも指の隙間からちらりと聡を見る。


「... 私... その... まだ準備できてないってば...」

(もう... 聡くんったら、どうしてそんなに素直に言えちゃうんだろう。私の心臓、破裂しそう...でも、この照れくささ、なんだか幸せ...)


 聡は相変わらず緊張しつつも


「そ、そうだよね、準備できたらね・・・な、何に言ってんだろ・・・俺」


 紀美は、そっと手を伸ばし、聡のネクタイを直しながら。


「... 大丈夫。私も緊張してるから...」


 ふと微笑んで、視線を合わせる。


「... ゆっくりでいいんだよ。私たち、もう離れないんだから...」

( こんなに照れながらも一生懸命な聡くんが... 可愛くてたまらない。早く落ち着きたいけど、このドキドキも...大切にしたいな)


 聡は、深呼吸し・・・


「俺達の小学校・・・行ってみない?」


 紀美はぱっと顔を上げ、目を輝かせる。


「本当...? あの校庭の桜の木、まだあるかな...」


 懐かしそうに空を見上げ、そっと聡の袖をつまむ。


「... 聡くんと初めて出会った場所... 行きたい」

( あの日と同じように、桜の花びらが舞う中で... 今度はちゃんと「さよなら」じゃなくて「こんにちは」が言える。ずっと願って事)


 聡は、穏やかに笑いながら


「もう一度、一緒に紀美と小学校に行きたかったんだ。行こう。今度は幼馴染じゃなくて、恋人同士で・・・」


 紀美は涙がこぼれそうになりながら、大きく頷く。


「うん... 恋人同士で...」


 聡の手をしっかり握りしめ、懐かしい道を指さす。


「... あの坂道、相変わらず急だから... 転ばないようにね?」

( 聡くんの手の温もりが、昔と同じで...で も何もかもが新しい幸せに包まれてる。この道の先に、私たちの未来が待ってるみたい...)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

続きも読んでもらえると嬉しいです。

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