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6話 紀美ちゃんの夢

はじめまして、大森林聡史です。

女子高校生の紀美(きみ)が、幼馴染と再会し恋に落ちる物語です。

よければお付き合いください。

 聡が家に帰ると、紀美からLINEの通知音が鳴り、画面には懐かしい顔文字が。


「無事についたよ(´∀`)♪... 今日は本当に楽しかった... 明日の朝、桜並木で待ってるね!...あ、おにぎりの具... 何がいいかな?」


 添付された写真には、夕食作りに励む手元と、おにぎりの海苔がちらり。


「そうだね、昆布がいいな」


 すぐに既読がつき、スタンプがぴょんと跳ねる。


「了解ですっ)´`(و 昆布巻きと... 聡くんが好きだった梅干しも入れてみようかな...」


 しばらく「入力中」が続いた後


「... あのね、実は小学生の時、お母さんに昆布巻きの作り方教わったの。ずっと... また作れる日が来るって思ってた」


「嬉しいよ、明日が楽しみだなぁ」


 紀美は、スタンプでハートを送りつつ。


「私も... すごく楽しみ...! 」


 少し間を置いて。


「...もう寝る時間だわ。明日、早起きしなきゃ... おやすみなさい、聡くん」


 最後に小さな月のスタンプを添えて。


「...また夢で会えたらいいな」

「おやすみ、また明日ね」


 その後、眠った紀美。

 望み通り、夢の中で聡に会ったが⋯

 紀美は、目をぱちくりさせながら、枕に顔を埋める。


「...な、 何だったの、あの夢...」


 挿絵(By みてみん)


 布団の中で体を丸め、耳まで真っ赤に。


「...聡くんがそんなことするわけないのに... 私... どうしちゃったんだろう...」


 布団を深く被る紀美。


「胸が高鳴って止まらない... あの夢の感触がまだ残っているみたい。聡くんの体温、息遣いまで鮮明に覚えている。こんなこと考えちゃいけないのに、布団の匂いが急に聡くんのものに思えてきて... ああ、もう! 顔が熱いわ... 明日会う時、まともに目を見られるかしら。でも、あんな夢を見たなんて絶対にバレないようにしなくちゃ...」


 布団の中でぎゅっと目を閉じ、夢の記憶に引きずり込まれるように、ついつい、夢の内容を具体的に思い出してしまう紀美。


「やだ... 思い出しちゃう...」


 指先で唇に触れ、はっと手を引っ込める。


「...あの時、聡くんの手が私の腰に...」


 また布団を深く被る紀美、顔は真っ赤。


「あの熱い吐息、強く抱き寄せられた時の鼓動... 夢なのにあまりにリアルだった。聡くんの指が制服のスカートの裾を捲ろうとして... いや、もう考えないで! なんで私の頭はこんなことを... でも、あの時の聡くんの目、本物よりもっと熱くて... ああ、また体が火照ってきた。こんなこと考えている私、変な女の子だわ...」


 枕を抱きしめ、悶えるように布団の中で身悶える。


「...もう、寝直そう...」


 紀美は、布団の中でくるりと向きを変え、天井を見つめる。


「...全然寝付けない...」


 時計の針の音が気になり始め、ため息をつく。


「...もう、2時... 明日、寝不足でぐで一ってなったらどうしよう...心臓の音がうるさくて... 布団の中の熱が冷めない。 あの夢の余韻がまだ皮膚にまとわりついているみたい。聡くんのことを考えれば考えるほど、余計に目が冴えてきちゃう... こんな時間に起きてて、明日の朝きちんと起きられるか心配だけど... ああ、でも、夢の続きが見たいなんて思っちゃダメだわ...」


 スマホをちらりと見て、また布団に潜り込む。


「... もう一度、寝る... 寝る...」


 しかし、まつ毛の隙間からまた時計を見て、げっそり。


「... だめ、全然眠くならない...」


 現実の聡が迫ってきたら、どうしようか気になって仕方がない紀美は、布団の上で膝を抱え、顔をうずめる。


「...もし現実の聡くんがあんな風に迫ってきたら... 私...」


 突然、自分の考えに驚いて頭を振る。


「い、 いやいや!  そんなことあるわけないし...! どうしてこんなに胸が苦しいんだろう... 拒絶するべきなのに、どこかで期待している自分がいる。あの優しい聡くんが、夢の中みたいに乱暴になるなんて...でも、もし本当にそうなったら... ああ、考えすぎて頭がぐちゃぐちゃだわ。制服のボタンが外れる夢の感触まで鮮明に思い出せて、恥ずかしくてたまらない...」


 枕を抱き締め、悶えるような声で。


「... もう、寝なきゃ... 明日、聡くんに会うのに...」


 でも、また時計を見て絶望的な表情に。


「...3時... もう...」

「男は狼なんだぜ⋯」


 紀美は、びくっとして布団から跳ね上がり、周りを見回す。


「えっ...!?聡、くん...?」


 誰もいない寝室に気付き、赤くなりながら。


「...また、夢...? でも今のは...幻聴...? なのに、あの吐息まで感じたような... 耳がじんじんする。男は狼だなんて... そんなこと言う聡くん、現実では絶対にいないはずなのに、なんで私の頭はこんな妄想を... ああ、でも、あの低い声で囁かれた時の背筋の震え... 夢と現実の境目がわからなくなってきちゃった...」


 布団をぐしゃぐしゃにしながら、頭を抱える。


「...もう、私... どうしちゃったんだろう...」


 時計を見て、 ため息。


「... 寝不足で幻覚まで見るなんて...」


 怖いけど、狼の聡がちょっぴり気になる紀美・・・

 布団の中でくるりと横向きになり、枕に顔をうずめる。


「...怖い...けど...」


 指先で自分の唇に触れ、はっと手を引っ込める。


「... あの夢の聡くん、本物とは違うのに... なんで気になっちゃうんだろう...あの強引な手つき、荒い息遣い... 現実の優しい聡くんとは正反対なのに、胸の奥がぎゅっと締め付けられるような感覚。怖い... でもどこかで、もう一度あの夢を見たいなんて思っている自分がいる。こんなこと考えてるなんて、絶対に誰にも言えない... ましてや聡くんになんて...!


 布団を蹴飛ばし、仰向けに寝転がる。


「... もう、朝まで寝られないかも...」


 時計の針が4時を指しているのを見て、目を丸くする。


「...やばい、もうすぐ登校時間...」


 ドキドキして眠れず布団の中で星形に大の字になり、天井を見つめながら。


「... もう、心臓の音がうるさくて... 聡くんのこと考えると...余計に...このまま朝を迎えたら、きっと目が充血してるわ。 でも... 夢の続きが見たいなんて、恥ずかしすぎる⋯あの強引な手つき、熱い吐息... 現実の優しい聡くんとは違うはずなのに、なぜか胸が疼いて... ああ、もう! また考えちゃった...」

 

 枕を抱きしめ、ごろごろと寝返りを打つ。


「...はぁ、 もうすぐ朝... どうしよう...」


 ふとスマホを手に取り、聡くんとのLINE画面を開いてしまう。


「...もしや、このドキドキはただの睡眠不足? それとも... いやいや、それ以上考えたらますます寝付けなくなっちゃう!  でも... 明日会う時の聡くん、夢の中みたいに乱暴だったりしたら... ああ、もう! また想像が止まらない...」


 布団を蹴り上げ、最終的に諦めて起き上がる。


「...よし、おにぎりを握って落ち着こう...」


 でも、また頬が赤くなる。


「...昆布巻き...聡くんの好きな味...」


 愛情を込めておにぎりを握ろうと、炊きたてのご飯の湯気に頬を赤らめながら、手早く塩をまぶす。


「...んっ、熱い... でも、聡くんのために...」


 昆布を丁寧に巻き付け、形を整える。


「...ふふ、小学生の時みたい...」


 お米の一粒一粒に願いを込めて... あの頃と違って、 今はこの気持ちが名前を持ってるってわかる。

 朝露みたいに透き通った想いが、ご飯の温もりと一緒にぎゅっと詰まっていく。


「聡くんが一口食べてくれる度に、 私の気持ちが伝わりますように...」


 ラップに包みながら、ふと手を止める。


「...あ、梅干しも入れて...」


 掌の上でぷくっと膨らむおにぎりを優しく握りしめ。


「...全部、幸せな味でいっぱい...この手の平から聡くんの手の平へ... ほんの少しの距離を、おにぎりが橋渡ししてくれる。今日も桜の下で、あの人が「美味しい」って笑ってくれたら、きっと昨夜の夢のことは忘れられる。そう、現実の聡くんは優しくて... あの狼みたいな人じゃ... あら、また考えちゃった!」


 お弁当箱に詰め終え、ふと窓の外を見る。


「...あ、もう明るくなって...!」


 慌てて身支度を始めながら。


「...待っててね... 聡くん」

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

続きも読んでもらえると嬉しいです。

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