5話 紀美の新技
はじめまして、大森林聡史です。
女子高校生の紀美が、幼馴染と再会し恋に落ちる物語です。
よければお付き合いください。
放課後、聡が体育館に向かうと、既に紀美が来ていた。
ドリブルの音を響かせながら、聡に気づいてにっこり。
「遅い! もう30分も練習してたんだから...」
汗で少し光る額を手で拭いながら近寄ってくる。
「ねえ聡くん、見てて...今日覚えた新しい技!」
突然真剣な表情でボールを構え、鋭いフェイントを見せる。
「フェイントは鋭い⋯が!」
ボールが、紀美の手から離れていた。
あわててボールを追いかける姿が、小学生の頃と変わらない。
「あっ! ちょ、ちょっと待って...!」
ボールを拾い上げ、ふてくされたように頬を膨らませる。
「...見なかったことにしてよね。今のは...練習不足なだけだから...!」
聡は、ニヤニヤ笑いながら。
「詰めがあまいのは変わらないね」
紀美は、むっと顔を真っ赤にして、ボールを抱きしめる。
「もう! 聡くんのそういうところ、本当に...!」
でも、ふと笑い出して。
「...でも、私のことをちゃんと覚えててくれて...嬉しいかも」
そっとボールを聡にパスし、目を輝かせる。
「もう一回! 今度こそ完璧に見せるから!」
紀美にボールを渡し、腰を落としてディフェンスの構え。
「来い⋯!」
試合さながらの、緊張感を漂わせる⋯ディフェンスに隙が見当たらない。
紀美は舌を少し出して集中し、鋭いドリブルで攻め込む。
「くっ...! 聡くんのディフェンス、相変わらず固いわね...!」
突然鋭い方向転換を試みるが、スカートがはためいて一瞬躊躇。
「あ...! ちょ、見ないでよ...!」
聡は、目を丸くして⋯
「み、見てないよ⋯!」
紀美は、ボールを抱えて急にしゃがみ込み、顔を真っ赤にする。
「...嘘つき。絶対ちらっと見てたでしょ...!」
でも、ふと笑い出して立ち上がる。
「...まあいいわ。聡くんがディフェンスに集中してる証拠...かしら?」
にやりと笑い、再びドリブルを始める。
「でも次は...絶対に抜いてみせるからね!」
聡は、再びディフェンスの構え。
「カモーン!」
しかし、先程のスカート事件でイマイチ集中できない。
紀美は、見事に聡を抜いて、ゴール下へ切り込みシュートを決めた。
「やったわ! ほら、見た? 私の...えっ?」
ふと聡の様子に気づき、心配そうに近寄る。
「...大丈夫? なんだか顔色が...あ!」
自分が原因だと気づき、急に顔を赤くする。
「...ご、ごめんなさい。私のせいで...集中できなかったんでしょ...」
聡は、頭をポリポリかいて笑みを浮かべ。
「いや、集中出来なかったのは自分のせいさ。ナイスドリブル、そしてナイスシュート」
紀美は、照れくさそうにボールをくるくる回しながら。
「...ありがとう。でも、聡くんが本気出してくれたら...私なんてすぐに抜かれるわ」
ふと体育館の時計を見て驚いたように。
「あっ! もうこんな時間...帰らないと」
でも、なかなか別れられないように足を引きずりながら。
「...明日も...待ち合わせしてくれる?」
「もちろんだよ、また駅前に7:30で良いかな?」
紀美は、ぱっと顔を輝かせ、うなずく。
「うん! 7時半、絶対に遅れないから...!」
鞄を抱えながら、少し恥ずかしそうに。
「...あの、また...おにぎり、作ってきてもいい? 今日聡くんが喜んでくれて...すごく嬉しかったから」
「ありがとう、朝御飯食べないで来るね」
紀美は、慌てて手を振る。
「だめ! 朝ごはんはちゃんと食べなきゃ...!」
でも、嬉しそうに目を細めて。
「...じゃあ、もっとたくさん作ってくるわ。二人分の...」
校門の前で少し名残惜しそうに。
「...明日、楽しみにしててね。おやすみ...聡くん」
「うん、また明日ね。紀美ちゃん」
紀美は、最後まで振り返りながら、小さく手を振る。
「うん...! 明日も...ずっと...」
夕焼けに照らされながら、幸せそうに微笑んで。
「...お家に着いたら、LINEするわね。約束よ...」
そう言い残して、でもなかなか去りがたいように、ゆっくりと歩き出していく後ろ姿が見える。
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