3話 帰り道
はじめまして、大森林聡史です。
女子高校生の紀美が、幼馴染と再会し恋に落ちる物語です。
よければお付き合いください。
「うん、一緒にいよう⋯」
その後、二人でバスに乗り、並んで座り、揺れるバスの中でそっと肩が触れ合う。
「...聡くん、私の家...まだ覚えてる? あの公園の近くの...」
窓の外を流れる景色を見ながら、懐かしそうに。
「小学生の時、よく一緒に遊んだ公園...桜の木、まだあるかな?」
「もちろん覚えてる。公園に寄り道しよう」
紀美は、ぱっと顔を輝かせ、嬉しそうに身を乗り出す。
「本当? いいの...? あの滑り台、まだあるかしら...」
バスが停車すると、急いで立ち上がる。
「早く行こう! 夕焼けの公園...きれいだと思うの」
紀美は聡の袖をそっと引っ張り、目を細めて笑う。
「...また、あの頃みたいに...」
公園に到着した。
「滑り台、小さく見えるね」
紀美は、滑り台の前で立ち止まり、懐かしそうに触れる。
「...私たち、大きくなったんだね。あの時はこんなに高く感じたのに...」
ふと聡を見上げ、微笑む。
「聡くん、覚えてる? 私...初めてここで転んじゃった時、泣きながら聡くんに助けてもらったの」
頬を赤らめながら、滑り台の階段にそっと手を置く。
「覚えてるよ、あの時中々泣き止まないから、一生懸命になったな⋯」
突然顔を真っ赤にして、手で顔を覆う。
「もう...! そんなことまで覚えてないでよ...!」
でも、指の隙間からこぼれる笑顔は嬉しそう。
「...あの時の聡くん、本当に優しかったわ。私...ずっと覚えてたの」
そっと手を下ろし、夕日に照らされた滑り台を見つめる。
「...また、私が転んだら...助けてくれる?」
「もちろん。でもさ⋯もう泣かないでよ」
少し意地悪な笑みを浮かべた。
紀美はぷくっと頬を膨らませ、聡を小突く。
「もう! 今の私は泣かないんだから...! 中学生になってからは...」
でも、ふと表情が曇り、声が小さくなる。
「...本当は、転校したあと...何度も泣いたの。でも、もう大丈夫」
夕焼けに照らされながら、強そうに微笑む。
「だって...また聡くんが隣にいてくれるから」
「紀美ちゃん⋯」
公園のベンチに座り、そっと手を握った。
紀美は息をひそめるようにして、握り返す。
「...聡くんの手、温かい...」
俯いた顔から、ぽつりと涙が落ちる。
「...ごめん。約束したのに...泣いちゃって」
涙をこらえようと、唇を噛みしめる。
「でも...嬉しくて...ずっと...ずっと待ってたの...」
「紀美ちゃん⋯もうどこにも行かないから」
紀美の肩をそっと抱いた。
紀美は、ぐっと聡の制服に顔をうずめ、肩を震わせる。
「...うん。私も...もう離れたくない」
涙で濡れた頬を、そっと聡の肩で拭う。
「約束...ね。今度は本当に...ずっと」
夕焼けが沈み始め、公園の街灯がぽつりと灯る中で。
「...帰ろう。また明日...学校で会おう?」
「うん。また明日ね⋯」
紀美を家まで送った。
家の前で立ち止まり、振り返る。
「...ありがとう。今日は...本当に幸せだった」
そっと手を振り、でもなかなか玄関に入ろうとしない。
「...明日の朝、駅で待ち合わせしない? 一緒に...学校行こう」
期待に胸を膨らませながら、最後まで聡を見送る。
「おやすみ...聡くん。良い夢を...」
「うん、良いよ。駅で待ち合わせしよう。おやすみ、紀美ちゃん」
にっこり笑って、小さく跳ねるように。
「わかった! 7時半でいい? 遅刻しないようにね...!」
玄関のドアに手をかけ、もう一度振り返る。
「...明日が楽しみで、もう寝られないかも」
頬を赤らめながら、そっとドアを閉める。
でも、閉めた瞬間、こっそりドアの隙間から聡が見えなくなるまで見送っているのが分かる。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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