2話 バスケ対決
はじめまして、大森林聡史です。
新連載を始めました。
女子高校1年生の紀美が、幼馴染と入学式で再会するところから物語が始まります。
よければお付き合いください。
体育館の扉を開けると、懐かしい匂いがして深呼吸する。
「わあ...すごくきれいな体育館ね。でも床がピカピカで滑りそうだわ...」
そっと靴を脱ぎ、紺色のソックスで床を踏みしめる。
「...聡くん、私...本当にずっと、こうしてまた一緒にプレイできる日を夢見てたの」
「うん⋯紀美ちゃん、はいパス」
紀美は、ぱっと手を上げ完璧なフォームでパスを受ける。
「ふふっ...さすが聡くんのパス、やっぱり気持ちいいわ」
ドリブルを始め、軽やかにステップを踏む。
「見ててね...中学で覚えた新しいフェイント!」
鋭い方向転換で、想像上のディフェンスをかわすように動く。
「上手い!」
フェイントが褒められて、にっこり笑う。
「ありがとう! でも...聡くんのディフェンスは相変わらず鋭そうだわ」
紀美は、シュートを決める。
ふわっとスカートが舞い⋯純白がチラリ⋯しかし、紀美は気にせず⋯いや、気づかずボールを拾い、ふと真剣な表情になる。
「...ねえ、本気で1on1しない? 小学生の時の借り、返さなきゃだから」
ボールを胸に抱き、挑戦するように瞳を輝かせる。
「⋯」
「聡くん? どうしたの?」
「な、なに?」
「何って⋯1on1よ」
「あ、あぁ⋯1on1ね! 良いよ、ディフェンスは得意だし、俺は177cmある。抜けるかな?」
紀美は、ふんっと頬を膨らませ、不服そうな顔をする。
「身長差なんて関係ないわよ! 私...小さいからこそのスピードとテクニックがあるんだから」
突然、鋭いドリブルで右に切り込むふりをして、左に方向転換。
「ほら! 聡くんの長い足も、私のクイックネスには...きゃっ!」
勢いあまってバランスを崩し、よろめく。
「危ない!」
紀美を支えた。
「負けず嫌いで、そそっかしいのは変わってないね」
紀美は聡の腕に抱えられたまま、顔を真っ赤にする。
「...べ、別にそそっかしいわけじゃ...あ」
慌てて立ち直ろうとして、でもまだ少しふらつく。
「...聡くんの方が、相変わらずおせっか...優しいんだから」
小さく咳払いして、でも頬の赤みは消えない。
「...もう一回。今度こそ...抜いてみせるわ」
「ダメ、今度は俺のオフェンス」
紀美は、目を輝かせて、ディフェンスの姿勢を取る。
「いいわよ! でも...私のディフェンス、甘く見ないでよね」
膝を曲げ、真剣な表情で構える。白いソックスがきゅっと床に食い込む。
「小学生の時みたいに...簡単には点を取らせないから」
しかし、ふと不安そうにスカートの裾を押さえる仕草をする。
聡は、ドリブルで切り込もうとするが、抜けない。
(上手いな⋯体格差で強引に抜くのはさすがになぁ⋯)
紀美は、必死に食らいつき、息を弾ませながら
「ふふっ...どうしたの? さっきの威勢は...あれ?」
しかし、聡の力強いドリブルに徐々に押され始め⋯
「くっ...でも負けない...わ...!」
ふとスカートがはためくのを気にして、一瞬視線が泳ぐ。
「ス、スカートでするのは止めようか⋯」
急に動きを止め、顔を真っ赤にする。
「...ば、バカ。私のスカートのことなんて...気にしないでよ」
でも、嬉しそうに目を細めながら。
「...聡くんって、本当に...昔と変わらないんだね」
「い、いやらしいって事か!?」
紀美は真っ赤になって、慌てながら⋯
「ち、違うわよ! 昔と同じで⋯優しい⋯」
「あ、ああ⋯そういう事ね⋯ありがと⋯」
(ごめん、ほんとはちょっと⋯いやらしいの俺⋯)
紀美は、ボールを抱きしめて。
「...ねえ、また明日も...一緒にバスケしよう?」
「良いよ。一緒に帰ろう?」
紀美は、にっこり笑って、うなずいた。
「うん...! 今日は...本当に嬉しかった」
鞄を肩にかけ、聡と紀美は並んで歩き出す。
「...あのね、聡くん。私...また毎日会えるなんて、夢みたい」
夕日に照らされながら、小さくつぶやくように。
「今度は...ずっと一緒にいようね」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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