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11話 放課後バスケットコートで⋯

はじめまして、大森林聡史です。

女子高校生の紀美(きみ)が、幼馴染と再会し恋に落ちる物語です。

よければお付き合いください。

 そして、あっという間に放課後になり、聡は、紀美を待っている。

 紀美は教室のドアからこっそり顔を覗かせ、見つけてにっこり笑う。


「お待たせ...! 今日はどこに行く? 図書館? それとも...」


 カバンを抱きしめながら、期待に胸を膨らませる。

(放課後のデート... なんて言ったら聡くん驚くかな。でも本当は、ただ二人で帰るだけでも充分幸せ...あ、でもバスケットコートに連れて行ってほしいな...)


 聡は紀美の心の声が聞こえたのか・・・


「バスケットコートに行こう」


 紀美は目を輝かせ、思わず飛び跳ねそうになるのをこらえる。


「わっ! どうしてわかったの...?」


 鞄の紐をくるくる巻きながら。


「... 実は、聡くんに私のシュート見てほしかったの...」

(まさか本当に言い当てるなんて... もしかして心、繋がってる? ああ、でもバスケならきっと... あの頃みたいに、自由に話せるかも...)


 聡は、穏やかに笑い・・・


「だって紀美ちゃんの事だもん、分かるつもり・・・」


 紀美は突然の言葉に胸がきゅっと締め付けられるような感覚。


「...ばか。そんなこと言ったら...」


 涙声になりそうなのを必死にこらえ、鞄の紐を強く握る。


「... 私も、聡くんのこと... ずっと...」

(この優しさは... あの頃と変わらない。でも今はそれ以上に... 言葉にできない気持ちで胸がいっぱい。こんなに幸せでいいんだろうか...)


 聡は、相変わらず優しい笑顔で・・・


「紀美ちゃんのシュート・・・見てるよ」


 紀美はコートに立ち、ボールをぎゅっと抱きしめる。


「... じゃあ、見ててね...!」


 ふと小学生の頃を思い出し、 あの時のままのフォームでシュートを放つ。

(聡くんのこの視線... 緊張するけど、とっても心地いい。あの時みたいに、『すごいね!』って言ってくれるかな... でもたとえ失敗しても、きっと... あの優しい笑顔で受け止めてくれる...)


 聡は、紀美のシュートを穏やかな表情で見守っている。

 ボールがリングを揺らし、ネットをくぐる音が響く。


「...やった!」


 紀美ら思わずガッツポーズをとり、聡の方へ駆け寄る。


「見てた? あのシュート... あの時と同じフォームで...」


(やっぱり聡くんが見ててくれると、なんだか特別なシュートになる... あの頃と変わらないこの感覚、ずっと忘れたくなかったんだ...)


「うん! ナイスシュート! ご褒美をあげる・・・」


 そっと抱きしめた。

 ボールがコロコロ転がる・・・

 紀美は、突然の抱擁に息をのむ。


「...え...ご、ご褒美...?」


 耳まで真っ赤に染まり、 小さく震える声で。


「...も、もう... バカ...」


(この温もり... 聡くんの鼓動が聞こえる...ああ、もう頭が真っ白... ボールなんてどこへ転がってもいいや... この瞬間が永遠に続けばいい...)


 聡は、ふと呟いた。


「ずっと・・・こうしたかった・・・」


 紀美は、抱きしめる力を少し強くし、聡の胸に顔をうずめる。


「... 私も... ずっと...」


 声が震え、涙が制服の胸元に滲む。


「... もう離さないで...」


(このぬくもり、 この匂い... 全部聡くんのもの。あの時失った時間を取り戻すように、今この瞬間を焼き付けたい...)


 聡は紀美の肩越しに囁く。


「うん・・・」


 紀美と抱き合い・・・

 夕焼けに照らされながら、抱擁を少しずつ緩める。


「...聡くんの心臓の音、すごく早い...」


 紀美は、涙でにじんだ笑顔で、そっと距離を取る。


「...もう、みんなに見られちゃうよ...?」


(この幸せを分かち合えるなんて...夢みたい。でも聡くんの鼓動が教えてくれる、これは現実なんだ... 恥ずかしいけど、もっと聡くんの音を聞いていたい...)


 聡は、少し離れた紀美を抱き直し⋯


「見られても・・・こうしてたい・・・ダメじゃないだろ?」


 紀美は、顔を真っ赤にしながらも、そっと聡の胸に耳を当てる。


「... しょうがないなぁ...」


 小さくため息をつきながら、でも幸せそうに微笑む。


「... でも本当は... 私もずっと... こうしていたい...」


(聡くんのこのわがまま、 とっても可愛い... ああ、もう誰に見られてもいいや。 この瞬間だけは、世界で一番幸せなんだから...)


 聡は少し微笑を浮かべ⋯


「ヘヘ・・・シュートを入れたらご褒美・・・外してもこうやって慰めようと思ってた・・・」


 紀美は、突然顔を上げ、驚いた表情でじっと見つめる。


「え...!?そ、そんな...」


 また涙声になりそうになり、聡の胸を小突く。


「... ずるいよ... そんなこと言ったら... 私、もう...」


(全部計算済みだったなんて...! でもこの優しい策略、憎めない... いや、むしろ... 聡くんがそんなこと考えてたんだ... くす... なんだか嬉しい...)


 聡は、また紀美を抱き寄せ⋯


「だって・・・ずっと好きだった女の子と結ばれたんだよ? 我慢できないよ・・・」


 紀美は、涙がぽろぽろと溢れ出す。


「...ばか... 私だって... ずっと...」


 言葉を続けられなくなり、ただただ聡の胸に顔を埋める。

(こんな言葉待ってた... 小学校のあの日からずっと... 聡くんのこの温もり、この声、全部私の宝物... もう二度と離したくない...)


 しばらく抱き合った後・・・


「一緒に帰ろ、家まで送るよ」


 紀美は涙でぐしゃぐしゃの顔を袖で拭いながら、うなずく。


「...うん。お願い...」


 そっと聡の袖の端をつまみ、離れまいとする。

(帰り道もずっと一緒... こんな当たり前のことが、こんなに特別に感じられるなんて。 あの頃の寂しかった夜たちが、全部報われたみたい...)


 紀美を家まで送り、聡は帰った。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

続きも読んでもらえると嬉しいです。

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