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新版とある教育ユートピアの物語  作者: まりさちゃん
盛夏 とあるワールドの夏休みの情景
18/20

ラテン語地獄

ひたすら暑いので寝てるだけの主人公。夏休みに寝てる有り難さを噛みしめる日々。

連日うだるような暑さの日々が続く。エアコンをガンガンつけても暑い。室外機の状態を気に掛けないと涼しさが継続しないので、定期的な室外機周りの打ち水など、よしず(簾の立て掛ける大きいの)での室外機周りの日陰作りなどが重要になってくる。


この地獄の業火のような暑さ(日本人には火の車以外に想像できないワードが出てくる)は、某鬼退治アニメの煉獄ナントカというキャラクターや、異形のインフェルノなんとかという昔のゲームのボスモンスターを連想した。


東国よりも蒸し暑い西国では、この湿度ではエアコンが効いた気がせず、何故か砂漠の照りつける暑さのような気がして頭がぼぉーっとしてるものだった。ペルチェ付きハンディ扇風機をサーキュレーターよろしくエアコンの冷気を集めて浴びると涼しい。


それでも暑さにぼわーんとしながら、狸の「でっかい私塾」こと「とある教育ユートピア」の情景を思い出していた。


それは「ラテン語地獄」の光景だった。


主人公は中高の時以来、語学に触れた事がなかった。そもそも中坊の時から英語は苦手だったのだ。この苦手な英語がわからず、そのままにしていたらガラパゴス諸島のイグアナよろしく「ヤンキー英語」なる状態になっていたのだ。


狸の「でっかい私塾」こと「とある教育ユートピア」には、旧ソ連圏からの留学生が結構な割合でいるので、日常生活の必要な片言のロシア語だけは現場で覚えた。


正確に言うと、旧ソ連圏からの留学生の中には、日本語と似た語順を持つ「テュルク語話者」の留学生が若干多い。トルコ語やカザフ語やウズベク語やアゼリー語などは、ロシア語や他のヨーロッパ言語に比べると日本語に近い所があり、覚えやすいらしい。


他にもハンガリー語を話す留学生もいて、ハンガリー語話者だと日本語の習得はしやすいらしい。


でもそれは、ロシアの国営放送でインテリゲンツィアが話すアカデミックなロシア語とはだいぶ開きがあるものだ。シベリア抑留から帰還した年寄りがロシア語がペラペラなのだが、それに近いものだ。


そもそもロシア語どころか、主人公は大学にすら行ったことなかったので、大学の第二外国語それって美味しいの?だ。


英語にも結構な苦手意識があったので、英語できるやつは凄いとか思ってたのだが、片言のロシア語を話すようになってから、そうでもないかもと思うようになった。


今時は小学生でも結構な英語力なので、本当に年を重ねる事があまり意味をなさなくなってしまったかのようだ。


しかし20歳代の若い留学生の子に接してると、急に長老になった気がしたのだ。イマドキは小さい頃からの育て方が万能で、年の功というものがあまり意味をなさないように捉えられているのだが、やはり年の功は確実にある。長く生きてないと分からないことはある。


いつまでも若いつもりでいたら、いつの間にか年の功が溜まっていて驚いたのだった。


さて、「ラテン語地獄」の話なのだが、この「でっかい私塾」こと「とある教育ユートピア」は古典語(特に西洋古典語)の授業がある。西洋古典語というと、旧約聖書が書かれたヘブライ語、ギリシャの古典が書かれた古典ギリシャ語と、新約聖書が書かれたコイネー、それにローマ帝国の公用語で、長らく西洋知識人の間では共通語だったラテン語の3言語です。


「でっかい私塾」こと「とある教育ユートピア」にはこの古典語3言語の授業がある。大学の第二外国語なにそれ?だった主人公にはかなり衝撃的な内容だった。


「何だか英語って難しいし、よくわからねぇ」と思っていた主人公の「ヤンキー英語」の世界に大変革をもたらしたのだ。


ラテン語は古代ローマ帝国の公用語で、長らく西洋知識人の間では共通語だったとか、そんな通俗的な説明など簡単に吹き飛ばしてしまった。


「何だか英語って難しいし、よくわからねぇ」と思ってた英語のイメージが覆ってしまった。ヨーロッパの言語の多くはラテン語から来てる。フランス語などのロマンス諸語の系譜だけでなく、ドイツ語などのゲルマン系の言語などにも文法に多大な影響がありそう?


「何だか英文法って意味わかんねー」とか思ってた主人公なのだけど、ラテン語にあわせてフランス語、ドイツ語、スペイン語などと並行学習すると、なんと!英文法が意味わかんなかったのに、他の言語では「直感的に」意味がわかってしまうではないか!?


「何という事でしょう!」


主人公が英語が意味わかんなかったのは、直感的に英語の意味がわかんなかったという事がわかった。


「根源的に」「直感的に」わかるという体験は後にも先にもここだけなものだったのだ。


主人公の「ヤンキー英語」は、劇的に改善したのだ。他の語学力を底上げながら。


特にスペイン語などは、日本人にも発音しやすく、英語と似た単語があり、文法も英語ほどカッチリしてないので、「学校の勉強とかわかんねーし」とか言うヤンキー層には、極めて難易度が低い外国語ではないかと。


「スペイン語圏」の中南米は、新興国でこれから伸びて来るので、インド、パキスタン、バングラデシュなどの10何億の英語圏の人達と競争するよりは、競争倍率は高くないだろう。


学校の勉強とか、特に英語とかわかんねーしというヤンキー層にはスペイン語を英語の代わりにやらせるのはどうか?とさえ思う。


それまで主人公の「英語できるやつ凄い」のイメージが覆ったのは、片言のロシア語とこの「ラテン語地獄」の体験であった。


小さい頃から英語漬け幼稚園に通って覚える以外にこんな方法があったのか?と全く驚くべき事ばかり出てくるのが、狸の「でっかい私塾」こと「とある教育ユートピア」の内実なのであった。


ここで描かれた「とある教育ユートピア」の内実なぞただ1幕にしか過ぎないと。


突如聴こえてきたセミの大合唱でふっと現実に戻る。


夏休みの間はひたすら休息な主人公であった。若い子に合わせていたら体が持たないと。

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