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新版とある教育ユートピアの物語  作者: まりさちゃん
盛夏 とあるワールドの夏休みの情景
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17/21

豚の蚊取り線香は

いよいよ夏休み突入です

真夏がやって来た。連日の真夏日にうだるような暑さ、湿気が凄くて夜間以外はエアコンを止めるのが難しい。豚の蚊取り線香を焚きながら、団扇をパタパタと扇ぎながら、セミの大合唱を尻目に、ひたすらダラダラと過ごしていたのだった。やっぱり西国の夏は密林のようだと。東国の山間地はここまで暑くはない。


毎日正午辺りまで寝て暮らす日々は、帰ってきた直後だと疲れが取れてとても良かったのだが、1週間もだらだらして過ごすと、張り合いのないものだと思った。


しかし「世間一般」の日常とはこのようなものだったのかと思った。「とある教育ユートピア」にいる間は忘れていた感覚であった。このような日常だからこそ、仕事を辞めて「とある教育ユートピア」に移住する事に何の躊躇いもなかったのだろうなと思った。


久しぶりに近くのスーパーへ散歩に行ったら、物価がいつの間にか高くなっていた事に驚いた。親のスマホの中で家計簿つけていたから、物価上昇を感じることができる。それでも、ハイパーインフレという程には上がってないのがこの国らしい。


夏休みに「とある教育ユートピア」から、学生達を帰還させる際には、交通費と夏休みの間のささやかな生活費、アパートを引き払って来た人は、夏休みの間の住居を提供する。なるほど生活費丸抱えなので、長期の休みの間も無職、無収入にならないように配慮されていた。


主人公は、西国の実家があるので、交通費と生活費だけ受け取って夏休みを過ごしていた。


「とある教育ユートピア」では、金を使わないでも暮らせるので、前回の休みからずっと金を気にせず暮らして来たのだ。なので、「世間一般」に戻ると銭の残量をいつも気にしないといけないので、疲れるものだと思った。銭の残量を気にしないで暮らせる「とある教育ユートピア」には、そこから解放された「世間一般」とは異なる感性が出てくるのだ。


毎日の金から解放されると、非常に透き通った芸術的な感性が出てくるのは間違いないようだ。とある人が「真の芸術というものは共産圏にしか存在しない」と言ったのだが、それがよくわかる気がする。


「とある教育ユートピア」に来て良かったのは、コスパなどに縛られない暮らしができた事なのかも知れないと。


団扇をパタパタ扇ぎながら、やはり「世間一般」は消費社会の谷間に埋没してるような気がする。金と消費に飼われてるような気がしてならない。そこから解放された人間観というのは、きっとあそこに行かないとわからないものだろうか?と。


やはりあそこは一種の理想郷(ユートピア)だ。金から解放された状態じゃないとわからない感性が育つ。


どこもかしこも消費社会、金を使わせる場所ばかりだ。風光明媚で自然豊かな観光地とてそれが例外ではない。主人公は、自然含め全てが消費社会に取り込まれてるのを見ると、そこからエネルギーを感じることができないでいる。


なので、どこか行きたいとあまり思わずに、だらだらしてるのだった。例外的に行った所が市内の屋外プールなのだが、子どもの喧騒以外は、何かとやかましく感じた。「とある教育ユートピア」が静寂が感じられる所なのだろうなと。


市内の屋外プールで沢山の人に囲まれていても、やはり「世間一般」とは違う世界にいる感じがする。「とある教育ユートピア」を始めた東国の山奥の神社の狸のような、「世間一般」とは一線を引いた奥まった所にいるような。


うーん「世間一般」の空気はあまり吸えないものだなと、帰ってきて思ったのだった。「世間一般」の事柄にあまり喜びを感じなくなっている。


しかし、毎日こうやってだらだら過ごせる事は、「とある教育ユートピア」ではないので、それを有り難く味わう気だ。でも、夏休み期間中は何かを待ってる気がして、夏休み終了後にそれに会える気はいつだってしていたのだった。

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