【24話】語られる写真の秘密と、三津浜焼きのメニューについて
「あ、そう言えば、美和は船の中で、他にも言いかけてなかった?
三人いるはず……とか?」
セクシー系悪の女幹部のコスプレの件は、わたしの記憶の「重要」フォルダにしまっておいて、わたしは美和の推理の続きを促す。
「そうそう、あの写真を撮った人って誰なんですか?
多分、中村のおばちゃんの連れの人だと思うんですよね……
例えば旦那さんとか?」
美和が船上で言いかけてた話の、答え合わせを始めた。
それを聞いて、今度は中村のおばちゃんが、ハッとした顔をした
「それもご名答!
よく分かるわねそんなとこまで!
学年トップどころか、県内一の名探偵じゃない?」
「そこは日本一じゃないんですね♪」
と、笑いながらわたし。
「あんまり調子に乗っちゃいけないしね!」
と、同じく笑顔の中村のおばちゃん。
「もう!人が真面目に話してるのに!!
あと、付け加えるなら、この写真の子が咲良で、仮に6歳だとしたら、2020年でコロナ禍の最中なのでフェリーが運行してない、またはマスクをしているハズって、可能性があるのも考えたんですけど……
5歳だったとしたらコロナ禍前だし、マスクは写真の時だけ外したかもって、ここはちょっと自信なかったです。
私の推理は以上です」
パチパチパチ
わたしと中村のおばちゃんは、名探偵に拍手を贈った。
「美和すごい!!さすが!!」
「美和ちゃん、本当にすごく良く考えてるわね。
おばちゃん感心しちゃった!!」
「うんうん、写真の中だけで考えるんじゃなくて、防予汽船から防予フェリーに会社が代わったこととか、コロナ禍とか、その時代背景も視野に入れて推理したのが素晴らしいと思いました!!」
「お前は審査員か!?」
美和のツッコミをにこやかにスルーして、
そして、少し間が空いたところで……
満を持して、わたしは本題を切り出す。
「あの〜、ところで、そろそろ、お昼時ですよね……」
「ん?咲良ちゃんは、何が食べたいのかな?」
「三津浜焼き!!
と、咲良なら言うと思います」
ドヤ顔で語る美和。
「さすがは名探偵!!
じゃないわ!!!
分かってんなら早く行くわよ!」
と、ビシッと指を指し示すわたし。
「あっはっはっ!!咲良ちゃんそっちじゃないよ!」
中村のおばちゃんは上機嫌で、わたし達を三津浜焼きの名店に案内してくれた。
「いただきます!!」
お好み焼き屋さん特有のソースと油のにおいが、鉄板の熱気で立ち上がり満ち満ちた空間に、わたしのテンションは否応なく上がっていた。
三津浜焼きのお店で、一番人気という『そば台付肉玉油』を食べながら、中村のおばちゃんの話を訊く。
これ美味しい!!一言で言うと、キャベツ少なめの広島焼きだけど、甘めのソースと牛脂の旨味で確実な差別化が図られている!トッピングも組み合わせがたくさん選べて面白い。
ちなみに『そば台』とは中華麺を台のようにお好み焼きの下に入れること。関西風に言うとモダン焼きである。
『うどん台』で注文すれば、中華麺をうどんに変更もできるし、『台無し』で注文すればそば・うどん共に抜くことも可能。
しかし、わたしに言わせれば、三津浜焼きの魅力を半減させる文字どおり『だいなし』にしてしまう選択に見えるのだが…… 通は逆に台無しを選ぶらしい、逆か!?逆張りなのか!?
…… 三津浜焼きの、奥は…… 深い。
今回は初挑戦なので、おすすめセットで頼んだけど、次回からは別の組み合わせをちょっと色々試してみたい。
味もソース味のジャパニーズジャンクフードって感じで、こーゆーの、わたし大好き。
「瀬戸の花嫁って知ってる?」
リピートを心の中で誓いつつ、三津浜焼きを夢中でハフハフしていると、おばちゃんの話が続いた。
あの写真の秘密の話だ。
「離れた島にお嫁に行く歌ですよね?随分と昔の……」
わたしが、うろ覚えの知識で答えると。
「もう少し正確には、小柳ルミ子さんの代表曲で、1972年、今から55年前の歌ですよね」
美和が間髪入れずに補足情報を特攻んできた。
「美和、あんた、なんでそんな事知ってんの!?」
半世紀以上前の歌の情報が、スラスラ出てきてちょっと引いた。
「ウチらだって知ってる名曲じゃん、これくらい常識!」
「いや、この曲、おばちゃんですら6歳の頃の歌だから、私の感覚でも相当古い歌よ?」
さすがの中村のおばちゃんも、引きつつ言った。
「中村のおばちゃんまで、ドン引き!?
賢しくてなにが悪いのよ?」
「美和!?発狂しないでよ?」
「大丈夫!劇場版の方だから!!」
意味が全く分からない中村のおばちゃんは苦笑いしつつ、
とても微笑ましいものを見るように、わたし達の漫才が終わるのを待ってくれた。
おはようございます!朝からお読みいただきありがとうございます。
物語はいよいよ後半戦、謎解きも加速していきます!
次回の更新は、本日のお昼【12:05頃】です。ランチタイムのお供にぜひどうぞ!
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