【18話】仲直りデート
柳井観光は終わり!
気を取り直して、お買い物をスタートしよう!!
ショッピングモール目指して、一度駅前まで戻り、駅前ロータリー横の地下道を潜って駅の南側へと向かって行く。
地下道を抜けると、むかし『山陽トーイ』のあった場所を通る。大きなおもちゃ屋さんだった。
小学生低学年の頃、何度か来た事がある。懐かしい。
潰れたんだけどね。
ショッピングモールにも、おもちゃ屋さんあるしね。しょうがないね……
「ショッピングモールは向かうところ敵なし!無双状態だよね」
「それな〜」
ショッピングモールに向かう途中にある本屋さんも、閑古鳥が鳴いている。
「本屋さんの方は、ショッピングモールだけじゃなくて、電子書籍も敵だよね」
「紙派もいるけど、1冊の本のために片道20分と交通費はかけられないから、紙の本の場合はネット通販を選んじゃうんだよね」
「買いに行って売ってなかったらやだもんね~
田舎の小売店は敵だらけだ」
「就職は厳しいね〜」
そう、そろそろ進路とか考えないといけないわたし達にとっては、地元の景気は他人事ではないのだ。
例えば、本好きだとして、昔なら……
書く才能があれは、『作家さん』
本を商品としてより良くするセンスがあれば『編集者さん』
勉強ができるなら、資格をとって『司書さん』
特別な才能がなくても『本屋の店員さん』
好きな事を仕事にする選択肢が、沢山あったけど……
さっきみたいな理由で、本屋さんは全国的に激減していると聞く。
図書館も数が減っているらしい。
進歩して効率化が進むと便利にはなるけど、そうするとお金とか人とか大きいところに一極集中する。
寄らば大樹の陰。
地方の小さい個人経営のお店なんかは、真っ先に潰れてしまう。
「AIの進歩が進めば、もっと人間の仕事の選択肢減るかもね」
「暗い話はよそう、今日はせっかくの仲直りデートなのだから!!」
わたしは高らかに宣言した!
美和はデートって言葉に突っ込んでくるかと思ったけど……
「そうだね!楽しもう!!」
美和はにっこり笑って応えてくれた。
ショッピングモール到着前に、本日の方針が正式に決まりました。
1階の正面入り口、自動ドアから入ると、
「涼しい〜」
二人して合唱した、最近はすっかり夏で、
クーラーの効いた店内はさながら、ど田舎砂漠のオアシスだった。
「着いたけど、どうする?」
「う〜ん、暑い中、結構歩いたから水分補給しましょう!」
喫茶店もあるが、お昼ご飯で贅沢したので、自販機でジュースを一階の休憩スペースでいただく。
テレビもあって涼しいので、ご年配の方で賑わっていた。
すみっこの方に二人分のスペースを見つけて腰を下ろした。
「そう言えば、謎解き旅に着ていく服の話なんだけどさ」
「うん」
「フェリーに乗るからひらひらしたスカートは避けた方が良いと思うんだよね
海の上、絶対風が強いし」
「なるほど」
「そこ繋がりで思ったんだけどさ」
「何を?」
「気がつかない?あの白いワンピースの女の人」
「そうか!風の強いフェリーで、パンチラしてたかもっ!!ちくしょう!見逃した!!」
「ちゃうわ!!」
「あ、そうだよね」
「そうそう」
「小さい頃のわたし、見てたかもしれないんだよね!今よりも視点は低いし!甦れわたしの記憶!!」
「違う!そうじゃなくて、あの白ワンピの女の人は、そもそも船に乗る予定じゃ無かったかもってこと!!
あと、パンツ見たかったら自分の見りゃいいじゃん」
「なるほど!そういう可能性もあるか……
あと、やだなぁ、わたしは自分のパンツ見て喜ぶような変態じゃないよ〜」
「なん……だと……!? 自分が変態じゃないとでも……?」
「え……!?」
「え?」
このあと、何軒か服屋さんを見てまわって、私はTシャツとデニムのホットパンツ。
美和は、長ズボンタイプのデニムのオーバーオールを購入した。
「暑くない?その長ズボンなオーバーオール」
「ダイジョウブデスヨ」
今日一日のなんやかんやで、完全に警戒されていた……
ええ、わかっていますヨ。自業自得だということは……
「ねぇ、仲直りデートの記念に、お揃いで何か買わない?」
美和が話題を変えようと提案してきた。
「いいね!何にしようか?」
「う〜ん……帽子とかどうかな? 暑い日が続くし!」
「いいね!それ! それぞれ選んだ服に合うのを一緒に見て周ろう!!」
ショッピングモール内を、もう一回りして。
「選ばれたのは綾鷹……」
「はいはい!あんたは綾鷹かぶっときなー」
さっそく買ったばかりの、二人お揃いの麦わら帽子をかぶっている美和に突っ込まれた。
お嬢様コーデには麦わら帽子はちょっと似合わないけど、デニムのオーバーオールには似合いそうだ。
旅行の日には、おそらくファーマー(農家)美和が見られるはずだ!!
「この麦わら帽子は一生大切にするよ!!」
わたしの宣言に。
「うん、私も!!」
美和も応えてくれた。
「あとは……傘も買っとこうか?
雨が降るかもしれないし」
美和の提案に。
「荷物になるから一本だけにしよう!
そして雨が降ったら相合傘しようね♪
雨降らないかなぁ〜」
雨に唄えばを歌って踊ろうとして、どちらも失敗したわたしに向かって美和は呆れつつ言った。
「何言ってんの?雨降ったら写真の場所の検証難しくなっちゃうでしょ!
あの写真、晴れた日の写真なんだから!」
「あ、そっか!?
でも美和と相合傘したいなぁ……」
「べ……別に相合日傘でもいいじゃない!!」
「貴重なお嬢様美和のデレシーン!!?」
「ば……馬鹿なこと言ってないで!晴雨兼用の傘見に行くわよ!」
さらにショッピングモールをもう一周することになった。
何件か回って、雑貨屋さんで、かわいい晴雨兼用の傘を見つけたのだが……
「折りたためるやつが理想なんだけど」
購入をためらう美和。
「折り畳みだといいのないよね、普通の長さのだと、かわいいのあんだけどなぁ」
「まぁ私のリュックなら長い傘を刺して固定する事できるから長い方を買っちゃいましょう!」
そのあとはドラッグストアで、二人で分け合って使う用に日焼け止めとか、目薬とか買って、準備は万端。
後は、作戦決行の日を待つのみとなりました。




