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【16話】美和、白壁の街並みと結婚する

「ま、せっかくここまで来たんだし、駅の北側の観光エリアも散策してみない?」

 美和の提案に。


「うん!美和お嬢様と白壁の街並み!っていいよね!!」

 スマホのカメラアプリを起動しつつ、わたしは大賛成した!


「撮るのは街並み!いいわね!!」

 念を押す親友に。


「うん!街並み(も)撮るよ!!」

 わたしは()部分を早口かつ極小声で、にこやかに応えた。


「……取り敢えず向かうのは、柳井市町並み資料館ね」

 勉強大好きな美和お嬢様は、予習から入る派です。


 駅前から北へ真っ直ぐ。

 柳井川を超えたあたりにあるのが、柳井市町並み資料館。


「明治時代に建てられた、洋風の旧銀行ビルを利用した資料館で、なんと入場無料!!

 白壁の街並みのエリアにも近いし、周辺の観光パンフレットなども手に入るから、ここで情報収集してから見て回れば間違いないわ!」


「美和は柳井市観光協会とかの回し者かな?」

 ときどき美和の博識ぶりが変態じみて感じる……


「買い物の時間も必要だから、近くて手早く回れる所を厳選しましょう!」


「あと、お昼ご飯もお忘れなく!!」


「はいはい了解!じゃあ、こういうのはどう?」


「さんせい!!」


「まだ何も言ってないんだけど……」


「美和の計画なら間違い無いよ!

 んで!お昼ご飯はどこですか?」


「あんたの心配はメシだけかい!

 取り敢えず定番中のど定番、

 白壁の街並みから見て回りましょう!」


 柳井市町並み資料館のほど近く、白壁の街並みはあります。

 その長さ、なんと!!


「白壁の街並みはなんと!200m!!」

 美和お嬢様の正解発表に、


「みじか!!ウサインボルトで19.19秒じゃん!!」

 わたしは適切なツッコミを入れた。


「世界最高速で駆け抜けんな!!

 この体育会系!!

 時速4キロで、3分かけて歩くわよ!」


「おのれ、理数系!!」


「失礼ね!文系も得意ですわよ?」


「ぐぬぬ……」


「ふふふ……

 ゆっくり散策を楽しみましょ♪」


 お互いに無言で、のんびり歩いた。

 白い壁とか格子状の窓を見ながら……

 正直、郷土の歴史とか興味ないけど。


「これ柳井格子って言って、商家ごとにデザイン違うのよ!」

 美和が熱心に見て回るのを、となりで見るのは楽しかった。


 あと、美和の写真をパシャパシャ撮った。


「私じゃなくて白壁の街並みを撮りなさいよ!

 あとなんで、ローアングルなのよ?」


「壁なんぞ撮っても面白くないやい!

 わたしは白壁と美和の白いふともものマリアージュを楽しみたいんだ!!


 ……はっ!……


 ……白壁にウチの美和のふとももはやらん!!」


「アンタはダレ目線で、いったいナニと戦ってるのよ……」


 そんなこんなで、白壁の街並みの端まで着いて、


「ゴール!!」

 大阪のグリコ看板のポーズでゴールを決めたわたしに美和が告げた。


「残念!ゴールじゃないわ、折り返し地点よ」


「へ!?」


「いま来た道を戻りましょ!お昼ご飯は戻った先だから」


「じゃあ、食べてから来てもよかったんじゃん!」


「散歩した後のほうが、ご飯美味しいでしょ?

 それに次に行く所、結局戻らないといけないから」


「りょーかい!さぁ帰りはダッシュで!

 いざごはん!!」


「はいはい、早足ぐらいなら付き合ってあげる」


 競歩のごとく早足で向かったのは、おしゃれな古民家カフェのお店。


 外観の歴史ある古民家の風情に、一人で入るにはちょっと気後れするけど、今日は美和お嬢様が一緒なので胸を張って入れます。


「たのもう!」

「時代劇か!!」


 中は、外見同様に古民家の風情をそのまま残した落ち着いた和モダンなお店。

 元が民家だったので、よそ行きな雰囲気ではなく、アットホームでやさしい空気を感じます。


 わたしは、手こねハンバーグプレートをお願いして、美和は塩麹唐揚げランチを注文。


 ……しようとしたけど。


「このデザートセットが気になりますよ?

 どうです?美和さん!」


「確かに……甘露醤油かんろしょうゆソフトクリームってどんな味だろ?」


「字面だと甘いお醤油味のソフトクリーム……」


「あまじょっぱい感じかな?」


「砂糖醤油のお餅みたいな感じ?」


「たぶん……

 知らんけど!!」


「いっとく?」


「よし!二人して行こう!!」


 いってしまいました。


 別々なデザートを頼んでシェアするなんて保険などはかけずに、二人とも甘露醤油ソフトクリーム一択の、死なば諸共、中央突破作戦です。


 注文して待つことしばし。


 やってきました、おひるごはん!!


 わたし達のテーブルに、地元の食材にこだわったお料理がワンプレートで並びます。


「いただきます!」

 二人の声が重なった。


 わたしの頼んだ、手ごねハンバーグプレートは、肉汁たっぷりで肉肉しくおいしい!!


 お母さんの作る、おうちのハンバーグももちろん大好物だけど、お店のハンバーグはまた違う美味しさ♪


 ハンバーグ以外の季節の小鉢もたくさんあってプレートをカラフルに彩ります。そして小鉢の一個いっこがおいしい!


 小鉢にはかぼちゃの煮付けなどがあって、これってハンバーグに合うの?って思ったけど……

 ものはためし!


 かぼちゃの後にすかさずハンバーグをパクリ……


 …………


 肉汁はすべてをゆるす。

 肉食うものは救われると知りました。

 ……ラーメン、

 (意訳、おいしかったです。)


「なんか罰当たりなこと考えてない?」

 心を読んだ親友につっこまれました。

 顔にでも出てたかな?


「美和の頼んだ唐揚げはどう?」


「一個食べる?」


「神は生きてた!!」


「なんの話?」


 美和女神様からいただいた塩小路唐揚げは、外はサクサク、中はやわらかジューシーな仕上がりで、こちらもめちゃおいしい!!


 地元・日積ひづみの麹を使ったお味噌汁もグッド!!

 こってりしたメインディッシュで重くなった口内を、軽やかにさっと洗い流すお味噌汁が付いてくるのが、日本の洋食屋さんですよ!


 そしていよいよ、話題のデザート、名物の「甘露醤油ソフトクリーム」をいただきます!!


「あまじょっぱいは正解だったけど、

 砂糖醤油のお餅よりは、なんとみたらし団子系!!


 バニラの風味が真っ先にくるけど、後からみたらし団子のタレ風のシロップが、ソフトクリームに込められた管路醤油と共に立ち上がり、和風のあまじょっぱい系の味に整える感じ!


 めくりめく、お味の展開はめっちゃドラマティック!!


 甘露醤油もバニラもどっちもコクがあって、どっちの風味も負けてない!

 もはやW主演のドラマだよ!これは!!」


「咲良は柳井市観光協会の回し者かな?」

 となりで、ごく普通においしそうに甘露醤油ソフトクリームを食べる美和に突っ込まれた。


 うん、大満足でした!!


「ご馳走様でした!!」

 二人で声をそろえて合掌した。



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