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【15話】路線バスの旅

 田舎の朝は、早い。

 だが、お休みの日の朝はもっと早い!


 朝のルーティーンと、朝ごはんをサクッと済ませたわたしは、パンツ一丁で悩んでいた。


 そう、わたしは着て行く服に悩んでいた。

 上に着るのは白のTシャツとして、下に履くのは……


 かたや「明るいオレンジ色のミニスカート」

 かたや「デニムのキュロットスカート」


 どちらもかわいくて捨てがたい……

 が、


「ミニスカート!君に決めた!!」


「洋間で下着姿で何やってんの!?

 あと、ミニスカートは、ピカチュウじゃありません!!」


 お母さんに怒られた?が、かまわずに意見をうかがった。

 選んだ服を体に当てて

「どうこれ、かわいいでしょ?」


「可愛いけど、そんな短いスカート、あんた大丈夫?

 テンション上がったら、ところ構わずすぐ足を上げたりするでしょ?」


「大丈夫だよ!

 下に短パン履くから!」


「これで、小学校の頃は男子からモテてたらしいのが信じられないわね……」


 お母さんはなんとも言えない「とほほ顔」でこっちを見てる。


「男子にモテる必要なんて無いよ〜」


 と、言いつつミニスカートに決めて着替えを進める。


「美和ちゃんにモテればいいってわけね〜」


「うんそう!

 どう?美和にかわいいって言ってもらえるかな?」


「はいはい、可愛い可愛い、ごちそうさま!!」


「なによ〜ちゃんと見てよ〜」


「それより時間大丈夫?今日はバスでしょ?」


「あ、ヤバい!行ってきます!」


「はいはい、行ってらっしゃい、気をつけるのよ!!」


 手早く着込んだ服を整えると、カバンをひっつかんでドタバタと家を出た。


 バスの発車時間ギリギリで、プレハブ小屋のバス停に着いたが、結局そこから3分待つことになった。



 田舎のバスは遅れがちなのだ。


 ようやくやってきたバスに乗り、しばらく景色を眺めていると、美和の乗ってくるはずのバス停。


 そこで美和ではなく、お嬢様が乗ってきた。

 ……と、思ったら美和だった。


「咲良さん、ごきげんよう」


「お……お嬢様……ご挨拶まで、おじょうさま……」


「これ、お母さんが着ていけって、咲良はもっと露出が多い方が好きだって言ったんだけど、いや、いつもは着ないからこそ、勝負の日はこれで行けって……」


 美和のお嬢様コーディネートは、トップスは、白のコットンレースフリルブラウスで初夏の風のように爽やかに。


 ボトムスは黒×白の細かいギンガムチェック柄フレアスカートを膝下丈でお淑やかに。


 靴は、黒の華奢なストラップサンダルでシックに決めて!


 バッグは黒のミニショルダーバッグで、バッグのおしゃれさと可搬重量の反比例の法則を華麗に証明。


 レトロチックで可愛らしい印象のお嬢様……!!


「なんということでしょう、あのガサツな美和が、見目麗しいお嬢様に……」


「声に出てるぞ!!」


「美和のお母さんグッジョブ!!


 美和の露出が多い服ももちよん良いが、ガサツな美和の、じつは黙っていればお嬢様な雰囲気を活かす方向性もまたベスト!!


 それに、そのお淑やかな服の下に、あの白いふくらはぎがあるという事実が、逆にエロい!!」


「逆にえろい!?」


 しまった!包み隠さずすべて声に出ちゃってた!!

 滲み出た下心を誤魔化すために、こんな提案をした。


「じゃあ、取り敢えず座ろうか、あの二人席に」


「一番後ろの広い席空いてるよ?」


 まずいゾ! 警戒をされている!!

 なぜだっ!わたしは自分に正直に生きただけなのに!


「いや、いや、二人席で密着……じゃなかった、もし団体さんが乗ってきた時後ろの席使うかもじゃん」


「がらがらだよ?このバス……」


「まぁまぁいいから、なんなら一人席でおじさんの膝の上に座るかい?」


「運転手さん?この人痴漢……いや、痴女です!!」


「待って、ごめんごめんやりすぎた!

 だからせめて二人席で!!」


「まぁいいけど……」


 やったぜ!妥協したフリして最初の要求通すの術成功!!


 二人席の窓際に美和を座らせて、通路側の隣に座りぐいぐい押す感じでくっつく、


 最初はされるがままの美和も、だんだん押し返してきた。


 きゃっきゃと、おしくらまんじゅうしているうちに終点の柳井駅前に到着した。


「ふう、堪能した!!やっぱり若い女の肌はええのう!」

「黙れ同い年!!自分のほっぺたでもプニプニしとけ!!!」


 美和もいつもの調子が戻ってきたみたい。


 一番大きなショッピングモールは、柳井駅前よりもひとつ手前のバス停近くの、ゆめタウンなのだが、おしくらまんじゅうが楽しすぎて、つい終点まで乗ってしまった。


 まぁ、1区間だけなので徒歩5分だ、美和とのんびり歩いていこう。


 ちなみに、バス停「柳井駅前」は駅の改札のある北側で、大きなロータリーはあるが寂れている。


 先ほど言った大きなショッピングモールは駅の南側だ。


 何も無い駅前は時代に取り残されたノスタルジー

 この雰囲気はわたしは好きだ。


 この駅の北側エリアは、江戸時代の風情を残す白壁の街並みとか、レトロな蔵カフェとかの観光的なエリアになっていて、わたしたち地元民にはあんまり縁のないエリアとなっている。


「昔はこっちの駅前の方が賑わってたらしいよ?」


「え?うそ!?」


「大丸って百貨店が駅のこっち側、駅前にあって、丸久ってスーパーとかの大きいお店に、商店街、映画館とか、遊べる施設も色々あったらしい」


「百貨店!?デパートじゃん!!

 こっちって昔はそんな都会的な駅前だったの?」


「うん、駅の南側に大きなショッピングモール「ゆめタウン」ができて、お客さんがそっちに流れちゃってね。

 やっぱ、田舎はバスや電車よりも車移動がメインだから、いくら駅前百貨店でも、大きい駐車場がある大型ショッピングモールはには勝てないよね……」


「ゆめタウンは、とてもありがたい存在だが……憧れの百貨店の天敵でもあったか……でも、ショッピングモール通っちゃう……悔しい……ビクンッビクンッ……」


「ビクンビクンすな!!」


 あと、映画館……!!


 配信&サブスク全盛の現世だけど、そして、とても便利だけど、田舎暮らしなら、とてもありがたい存在だけど……


 美和と一緒に映画館デートする選択肢がある世界線も捨てがたい!!


 真っ暗な映画館

 上映されるラブシーン

 肘掛けに置いた手と手が触れて意識し合うわたしと美和……

 くうぅ……そんな未来、もとい現代もあったハズ……


「お……おのれ……」


「アンタいま、ナニと戦ってるの?」

 美和にジト目で突っ込まれた。


お読みいただきありがとうございます!

凸凹中学生コンビのドタバタ劇、楽しんでいただけていますでしょうか?

フェリーにのるそぶりも見せないのに路線バス乗りこむ二人!!

誘拐事件にいたっては影も形も見えません!!本当に完結するのか?このお話!!

次回の更新は、本日【22:05頃】です。土曜夜の締めくくりにぴったりな、怒濤の展開をご用意しています!

続きが気になる方は、ぜひ【ブックマーク】を押してお待ちください!


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