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【14話】仲直りコロッケ

 田舎の朝は、早い。


 封筒に入った前借りお小遣い、2万円をもらった次の日の朝。


 わたし、北野咲良きたのさくらはパジャマのままで、2階の自分の部屋から、愛猫のコロさんと一緒に1階に降りる。


 コロさんは、いつもならお母さんと一緒に1階の寝室で寝ている事が多いのだが、昨日の晩はわたしの部屋に来てくれていたのだ。


 コロさんは、小学生の頃から飼っている猫で、その頃よく読んでいたまんがの月刊誌から名前をとった。今年で6歳で、人間で言うと40歳らしい。


 わたしはこの事実を知ってから、『コロさん』と呼んでいる。


 一階の台所で、朝ごはんの支度をしているお母さんに声をかける。

「お母さん、おはよう!」

 ちょっとびっくりした様子で振り返りながら、

「おはよう、咲良、コロ、全然気がつかなかったわ! それになんだかご機嫌ね」


「癖になってんだ、足音消して歩くの」

 と、H×Hジョークで返すと、微笑ましいものを見る様な目で見られた。


 ……、たぬき顔のキルアで、申し訳ありませんね!!


 井戸のお水で顔を洗って。

(電動ポンプ式なので、普通の水道と同じ様に蛇口をひねると水が出ます)

 井戸のお水は夏場でも、とても冷たくて気持ちいい! そのままうがいをして、ひと口飲む! おいしい!!


 そして、朝のルーティーンをこなして、朝ごはんだ!


 今朝の朝ごはんは、ダブルの目玉焼きと、納豆と、大根とお豆腐のお味噌汁でした。


「いただきます!」


 ダブルでの目玉焼きを箸でひと目玉分に切って、ご飯の上に乗せて目玉丼してから、そこに醤油をひとたらし、黄身を割って、半熟の黄身と、程よく硬い白身と、ほかほかご飯を、まとめて箸で掴んで口に放り込む!!


 おいしい!!!


 もぐもぐ食べて、咀嚼が終わったタイミングで、お母さんが笑顔で話しかけてくる。


「美和ちゃんと仲直りするのね!」

「うん!」


 美和とのケンカのことは言ってなかったけど、多分伝わってると思ってた。


「ごちそうさまでした! 美味しかった!!」


「お粗末さまでした。

 あんたは本当に美味しそうに食べるわね」


「お母さんのご飯が、美味しいからだよ!!」


 歯を磨いてから

 1階の洋間で制服に着替えて

 いざ出陣!!


 自転車に跨ったところで、

「頑張ってね! 勝ってくるのよ!!」

 とお母さんに声をかけられて、


 いったい何に!? と、思いつつ……


「勝利の栄光を、君に!」

 と敬礼と共に返して出発した。


 ちなみに自転車漕ぎながら、


「やべ! これ裏切るヤツのセリフじゃった!」


 と思ったけど、って言うか声に出して言っちゃったけど、美和と仲直りした後やる事を思い出して、


「……!! あ、逆に正解か!! 裏切るんだし!

 え!? やば!! これって伏線ってヤツ?」


 思いっきり、「わはは!」と、笑いながら、通学路をひた走りました。

 孤独な山道の自転車通学は、デカめの声で歌ったり、笑ったり、独り言が多くなるんですよ。


 中学校の自分の教室に着くと、すでに美和を探した。見つけた。美和は自分の席に座ってた。

 こっちに気がついた様だが、すぐにうつむいてしまった。


 彼女の席まで真っ直ぐ進んで、席の前に立つ。

 彼女を真っ直ぐに見つめるが、うつむいたまま顔を上げない。


 バン! と机に両手をつくと、彼女が顔をあげた。

 逆にわたしは机に着くぐらいに全力で頭を下げた。


 ガン!!

 勢い余って机にぶつけた!!

 痛いけど構わず言った!


「ごめん!許して欲しい!!

 わたしが意固地になってた!!

 美和との旅行行きたいんだ!」


 言い切ると、美和は無言だった。


 しばらく経っても変化ないので、恐る恐る顔を上げると、両手で口元を押さえてプルプルしている、耳が真っ赤な美和がそこにいた。


 なんとなく思い出した。

 むかし、こんな事があった気がする……


 美和は小さくうなずくと、小声でぼそぼそと喋った。

「……、あとで、話しましょう……」

 と、いうことになった。


 結局その日の学校では、相変わらず美和はわたしを避け続けたが、なんとなくケンカ中と雰囲気が違ったので、たぶん大丈夫。


 放課後、適当に部活して、久々に二人で帰りの買い食いコロッケタイム。


「私の方こそごめんなさい、

 咲良の気持ち考えてなかった」


 美和の方からも謝罪を受けて、仲直り完了である。


 自販機の缶ジュースで乾杯して、

 揚げたてコロッケを手に、


「いただきます!」二人で合唱した。


 サクサクあつあつのコロッケに

 シュワシュワあまあまの炭酸ジュース美味うまし!

 楽しい!!


「二人とも楽しそうね!」

 中村のおばちゃんも、にこやかだ。

 わたしが楽しいから、そう見えるだけなのかも?


「二人とも、旅行の約束のこと覚えてる?」


「!!」

 不意打ちに、二人してビクッとした。


「服とか、カバンとか、持っていくもの用事しときなさいよ?

 直前になって慌てない様にね!」


 美和と目と目を合わせて、アイコンタクト。


 次のお休みの日は、柳井にお買い物に出かけることになった。


 そして密かに、『準備に必要』という理由で旅行のお金の前借りできたのでは無いかと思いいたった。


 美和っっ!!! こういうのはアンタが気が付かないといけない話でしょ!!


 ……と、心の中でツッコミつつ、美和の方を見たら、

 ごめんね……、って顔に書いてあったので許した。

 かわいいなぁ、美和。


 さぁ、お買い物デートだ!!

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