黒鷲の過去④
俺様は暫く同じような生活をしていたが、優梨も少しずつ俺様に馴染んでいった。
その俺様も黒五や優梨にも馴染んでいった。
この間だけ、俺様も普通の人間になれた気がした。
契約を受けてから5年。
そう、5年も契約されていたのだ。
俺様はその5年の間に色々とやらされたよ。
特に若手狙撃者集団の”黒桜ノ鷲”を作り、そこの団長となった事が一つ。
黒五の案によって作られたが、組員は全員優秀だ。
軍人崩れや他所のスナイパーを集めている。
そしてもう一つに、あの時襲った10人組が勤めていた組織の殲滅もやった。
黒五もかなり怒っていたため、初陣として”黒桜の鷲”で行った。
予想は着くだろう。
圧勝だ。
組員の約500人ほどをたった30人ほどしかいない俺様達で殲滅させた。
相手側は約9割以上を殺害したが、こちら側には一人の死傷者も出なかった。
まぁ、そんなものかな。
あ、あと、馬鹿の優梨はなんとか大学に行った。
何とか、ね。
そんな事で、俺様はまた仕事に来ていた。
今回は敵対組織の首領の暗殺。
黒五の依頼だ。
緊急の時のために全員合流させるよう伝えておいたが、手違いで3人しか集まらなかった。
新人のジョン、軍人崩れのバードマン、イスラエル出身のカインだ。
さっさと終わらせて、帰ろう。
しかし、対象は姿を見せなかった。
たった1時間ならいいのだが、5時間近くたっても来ない。
おかしいな、この時刻には来ていると報告書には書いてあるのだが。
すると、ジョンとカインが俺様の所に焦ってやって来た。
「大変です! 敵対組織のフォグ・ガストの組員が襲撃してきました!」
「数は約1000人ほど!」
まじか、これは罠だったのか!
この王羽様と言うものがとんでもないミスをおかしてしまった。
「全員退却! 地下通路を使って脱出する。出たら、”灰霊の廃墟”まで集合!」
「「「ハイ!」」」
俺様たちは地下通路を通り、フォグ・ガストの目を欺いた。
俺様が合流地点に選んだ場所は”灰霊の廃墟”。
昔にカルト教団が使っていた所を再利用している。
しかし、距離は少し離れているだけ。
すぐに追ってくるだろう。
「ジョン、皆の到着はまだか!?」
「駄目です。通信妨害の電波が流れているらしく、連絡を掛けれません!」
めんどくさい事をしてきたか……
流石に1000人は確実に無理だ。
仕方ない、使わないと思っていた”最終手段”を使うとするか……。
「皆、今すぐに逃げて黒五の所に行け。俺様が一人で受け持つ。」
最期のプラン、それは団長の俺様が一人で食い止めて、残りの全員と黒五の組員達で殲滅させると言う作戦だ。
そう、使わなかった理由は俺様の犠牲で成り立つ戦法だからだ。
「いけません、頑張れば……」
「無理だ、1人で特殊部隊の3人分の戦力。それが1000人いるんだぞ。」
三人とも残る気でいたが、俺様はそうさせない。
「カイン、バードマンは黒五に連絡を、ジョンは……これを……。」
ジョンには二つの封筒を渡した。
「これは?」
「遺書だ。一つは黒五にもう一つは優梨に渡してくれ。中身は見るなよ。絶対に渡してくれ。」
「しかし……」
「団長の仕事は二つ。任務を必ず遂行させる様、指揮すること。もう一つは必ず団員を守り、肉親に届けること。すぐに行け、俺様はお前らに会えて良かったよ。」
俺様は三人を脱出させて、フォグ・ガストとの戦いに備える。
持ってきた銃はスナイパーと二挺拳銃。
弾は約200ぐらいか……
仕方ない、数々の罠も使って食い止めるしかない。
そう準備していると、幾つもの足音が聞こえた。
来たか、フォグ・ガスト!
「やぁ、いらしゃい! さぁ、誰かこの死神と踊ろう! 死にたがりの亡者は何処かな!?」




