黒鷲の過去③
俺様の仕事は護衛と言う名の世間勉強をさせる、ただの家庭教師だ。
契約期限が無期限でも悄気ずに頑張るぞ。
優梨が授業を受けている時は廊下で待機。
この上なく暇な時間だ。
時間は有限だから、今のうちに次の仕事が来たとき様に勉強しておくか……
特に語学はとても必要だからな。
これでも一様、17歳。
れっきとした高校生だが、頭は学者レベルだ。
狙撃手って言うのは超高度な数学と理科の知識、精神力も必要。
だから、そう勉強しているわけだが……
さっきから廊下で授業の内容を聞きながら勉強しているのだが、優梨の頭は大丈夫なのか……?
まともな勉強すら解けないのか……。
「とても簡単な基本ですが、北アメリカ大陸を最初に発見したのは? 優梨。」
「え~と……、ワシントン!」
コロンブスに謝ってこい、優梨!
よく高校に行けたな!
そう心で突っ込みを入れていると、ドアが開いた。
「済みません、優梨さんの保護者さん。」
「何だ……。」
出てきたのは先生だった。
嫌な予感がする……。
「済みませんが、優梨さんに勉強を教えてやって下さい……。」
「は、はい……。」
後でしっかり勉強してこい。
教室に入ると、他の生徒からの目線が痛かったが気にしない。
「何で、あなたと一緒にやるなんて……」
「仕事が増えたこっちの身にもなって下さい、お嬢。」
この後、全授業が終わるまで一緒にやることになった。
帰り道、漸く自分の勉強に入ることが出来た。
俺様の貴重な時間が……
そう思いながら一緒に帰り道を歩いていると、優梨がいきなり怒り始めた。
「今日は何て日なの! お陰で恥ずかしい目に会ったし!」
知らん、俺様の方が恥ずかしい目に会った気がするのだが。
「もう来ないで欲しいです。いや、今から来ないで下さい。」
本当に我儘な奴だな。
礼儀と言うものはどこにやったんだ。
「まぁ、いいのですが。でも、一つだけ教えましょう。デッドバークスに伝わる詩があるのをご存じですか?」
「何よ、それ。」
「”デッドバークス、血を呑み干す。デッドバークス、骸喰らう。デッドバークス、弾の雨。デッドバークス、死神笑う悪魔の街”。でしょ、10人組さん。」
そう言うと、目の前に10人組が現れた。
「意味は、デッドバークスは抗争・犯罪は当たり前と言うことです。お嬢は、そんな事も知らずに生きてきた。デッドバークスと言うのは護衛着けなきゃ、秒で拉致られますよ。」
全員、機関銃を持っている。
でも、簡単だな。
「お嬢、下がっていて下さい。でも、離れないで。後、目を瞑ってて。」
俺は今回、狙撃銃しか持っていなかったわ。
弾も5発しか無い。
やったな、俺様。
まずは、適当に1人の頭蓋を撃ち抜く。
片手のノースコープで、だ。
ドシャッ、と儚い音がした後に一人は倒れた。
直ぐ様駆け寄り、そいつの機関銃を奪う。
奪った後、機関銃を連射して残りの9人全ての頭蓋を撃ち抜き、この下らない遊戯を終わらせた。
「お嬢、終わったぞ。早く戻るぞ。」
俺様は目を隠して蹲っている優梨を担ぎ、黒五の家に帰った。
「途中で10人組に襲われたけど無事に送り届けた。それでいいか、黒五。」
「分かった。」
優梨が部屋に戻っていった後、俺様は黒五に帰り道の事を話す。
出来れば話したくないが、契約の中に”他の組織から襲撃を受けた場合、報告をする”と言う面倒臭い物があるから話している。
勿論、さっきの襲撃は優梨には見せていない。
俺の仕返は荒々しいからな。
遺体を見慣れない人だったら、精神的に来るからな。
「では、俺様はこれで。」
でも、俺一人だけだと完全に守れる訳では無い。
もう少しだけ人を増やすか。
仕事を受けたときは完全に近い状態で終わらせるのが俺様のモットーだ。
まさか、黒五にはこれが見透かされていたのか。
まぁ、良い。
後で考えるとしよう。




