黒鷲の過去②
「なぜ、”漆黒の死神と畏怖されている俺様を選んだ?”」
「勘だよ。でも、どうやら私の勘は全てあたるんだよ。そのお陰でここまで成長させたからな。」
ファング・カルテットの組長、阿墨 黒五の専属警備員になった俺様の最初の仕事は娘の護衛だった。
娘の名前は阿墨 優梨。
所謂、お嬢の護衛だ。
俺様は本来、殺し屋だ。
そんな俺様に護衛を任せるのは多少苛つくが、黒五が言うには世間を勉強させるために俺様を選んだらしい。
「それで良いんだな。銀行や密輸の警備員でもいいが。」
「私はそれをやって欲しいんだ。頼むぞ。」
今の俺様は17、優梨は16。
良いのか?
俺様で。
「入るぞ、優梨。」
俺様はその優梨と言う娘に会った。
日本人の典型的な黒髪に整った顔立ち。
人形のような奴。
しかし、初印象は最悪だ。
お嬢と言う名だけあって、性格はドキツい者だった。
「なぜ、このような方に護衛をさせたのですか!?」
「お前は圧倒的に世間知らずだ。世間の教育と安全のために常識を持ったこの人を護衛にしたんだ。」
殺し屋している時点で、常識的では無いけどな。
「と言う訳で頼んだぞ、王羽。」
「あ、ああ……。」
俺様、ちゃんとやっていけるか?
黒五は俺様に”やるべきリスト”と書かれたメモ帳を渡して去っていった。
”やるべきリスト”をパラパラ捲ってみると、ただただ常識的な事をさせるだけと書いてある。
でも、俺様がやる仕事は優梨の護衛と暗殺者の始末。
さっさと3億円分の仕事を終わらせないと。
「で、早く向こうにいってくれない?」
「済みませんがお嬢、俺様の仕事は貴方の護衛。ドアの前にいないといけないので。それをご理解お願いします。」
本当に世間知らずだな……。
実際は中に入らないといけないのだが。
仕方無い、後で忍び込んで天井の梁にぶら下がって護衛するか……
夜の11時、優梨が眠りについた時間に俺様は柱をよじ登って天井の一部を外す。
そして、外した所から入って優梨の部屋の天井にたどり着いた。
なんで態態こうしたのかと言うと、単純に鍵が閉まっていたからだ。
漫画やドラマなどで見る、針金で鍵を開けることも出来るが五月蝿くなるのでこのような荒業をやっているのだ。
さて、着いたら天井を外して中に侵入。
天井をすぐに元の場所に戻して、梁に登る。
はい、こっから護衛の任務の始まりだ。
使う銃器はサイレンサー付きの物。
起こさないように黒五から貰った物だ。
と言っても、俺様も眠らないと流石に死ぬ。
はい、寝ます。
殺気を感じたら起きれば良いだけなので簡単だ。
それで3億円貰えるのだから、いい話だ。
朝、無事何事もなく終わらせた。
「って、何であなたがここにいるのよ!」
あ、漸く気づいたか。
遅すぎる、これでよくここまで生きてこれたな。
「俺様の異名は”漆黒の死神”。鍵の閉まった部屋一つを行き来するのは簡単だ。」
「あっ、そう。それで早く出ていってくれない? 着替えたいのだけど。」
「分かりました、お嬢。」
もう一度だけ言おう。
本当によく生きてこれたな……
そして、仕事内容の中には学校の行き来の護衛、授業中の護衛もある。
過保護すぎないか……。
やはり、金持ちの頭はよく分からないな……。
優梨が着替え終わり、朝食を食べ終えた後に俺様は準備をする。
「ゲッ、まだ同伴するの……!?」
「不満なら黒五に言ってください、お嬢。」
俺様は優梨と一緒に学校に向かう。
途中で襲撃されそうになったが、秒で排除した。
無事(?)学校の行きは護衛出来た。
そう言えば、契約期限っていつだっけ?
メモ帳を開いた途端、膝から崩れ落ちそうになった。
契約期限、無期限……。




