買い物!
後に判明したのだが、凛雪が口にしたのは"マスイウオ"と言う魚だと分かった。
〈マスイウオ〉 G+ 階級
全身に麻酔効果のある特殊な血が廻っている。
血は精製する事で麻酔に応用できるが、そのまま食べると暫く動けなくなる。
明らかにダメだろ。
何故確認しなかったんだ……。
しかも見た目が蛍光色が仄かに輝く鯖モドキ……。
まあ、これ以上責めても仕方がない。
俺たちは買い物を終えて、一度宿に戻る。
次は……懐かしいランヅヒーロ王国に向かう。
「ドーナツ、ドーナツ!」
「懐かしいな。」
でも買うのは油と小麦粉だぞ。
頑張れば作れるけど。
「ドーナツ? 何だそれハ?」
「余もよく分からぬ。」
そうか、二人(二匹)はここに来たことは無いから分からないのか。
「ん~とね~、リング状の甘いお菓子だね。」
「食べてみるか? 一様、近くにあるからな。」
「そうなのカ!」
「では、お願いする。」
俺たちは油などを買う前に、ドーナツ屋へと向かう。
油売っている場合じゃないけどな。
まあ、こっちは油を買いに来たんだけどな。
「これがドーナツカ。いい匂いダ。」
「相変わらず甘くて美味しい~。」
「良い味だな、美味しい。」
案外、好評だな。
俺が作った訳じゃないけど。
「よし、残りの物を買うぞ。食べながらでいいから。」
「了解ぃ~。」
しっかり見極めないと味が変なのがあるかもしれないからな。
「油が売っているのは……この路地の向こうか。」
何で見るからに危ない所にあるんだよ。
「この先か、主?」
「そうだな、この先だ。」
歩いてみたは良いが、特にないな。
まあ、ない方が一番良いんだけど……
と思ったときに影から男が出てきた。
「済まないが、その虎と狼を寄越せ。」
「絶対嫌です。」
その瞬間、廣丸と凛雪がその男の元へ瞬間移動した。
「ナ!?」
「いつの間に!?」
すると、その男は懐から何かを出そうとしてきた。
ナイフか何かで殺す気か!?
「炎魔法 ”炎穿”……」
咄嗟に交戦体勢を取ったが、その行動は無駄になった。
その男が出したのは、大きな虫眼鏡だった。
「ふむふむ、この毛艶は上品だが強さも兼ね備えられている。爪や歯はしっかり、整えられてる。この二匹はどこで捕まえたんだ?」
何だ……いきなり……
変態か?
「質問に答えろ、いきなり変態!」
どんなネーミングセンスだよ、茜。
まぁでも、ヲルトガルフの手先かも知れない。
「済まない済まない。私は魔物鑑定所のワイヴィーと言う。最近、凄い魔物を連れている人が居ると聞いたので。」
この変態、凄い人なのか?
「取り敢えず、廣丸と凛雪を返せ!」
「おっと、済まないねぇ。」
すると、一瞬にして廣丸と凛雪が俺たちの隣へ移動した。
一瞬で移動させる魔法でも持っているのか?
「用件はこれだけか?」
「あ、はい。そうですね。ん、良かったらこれを。」
すると、何かが頭に刺さった。
「流血してる……」
「何だこれ……。名刺か?」
どんな威力で投げたんだよ。
「良かったら連絡してね。んじゃ!」
その瞬間、ワイヴィーの姿が消えた。
俺はすぐに刺さった名刺をヌルッと抜く。
「結構深く刺さっていない? ずっと血が出てる。」
「回復魔法 ”ヒール(中)”」
取り敢えず傷を治したが、まだ痛いな。
結局その後、高品質の油や小麦粉を沢山買えた。
これが目的なのに、おまけみたいになってしまったな。
「ワイヴィーのせいで小麦粉と油を買う時間が遅くなった……」
「時間に五月蝿い奴は嫌われるよ。」
「誰にだよ。」
「どっかの誰かに。」
「……」
しかし、準備は出来た。
これより、ウォーウィン王国へ出発する!
「待ってろよ、ヲルトガルフ。今までやった事を後悔させてやる。」
「だね、頭蓋に熱した鉄のペンで直筆のサインでも書いてやるよ。」




