なんだかんだで初めての……
気がついた時には俺はベッドの上に居た。
両腕には点滴みたいなものが刺さっている。
「おお、目を覚ましたぞ。」
声がした方向を見ると、医者が診察書を持ちながら、やって来た。
丸眼鏡をかけた黒髪オールバックの男性で、純白で清潔な白衣を着ている。
「君、魔力がほぼ空の状態だったんだよ。危なかったね、空になったら人や魔物は死んじゃうからねぇ。」
「医者、茜は?」
「あのピンク髪の子かい? 酷い怪我だが、適切な処置のお陰で何とか助かるよ。」
「良かった……」
ここで茜が死んでいたなら、立ち直れなかっただろうな。
(生前も含む)長い間、過ごしているからもある。
むしろ、一緒に死んで一緒にこの世界に来たから、もう腐れ縁なのだが……
「そう言えば医者、この二つの点滴は何なんだ?」
「ああ、両方とも魔力補給薬だよ。君って魔力の保持量が異常に多いから、一個だけじゃ足りなくてね。ちなみに今、8個目。」
「oh……」
嘘だろ。
そんな訳……と思った瞬間、俺は目線の先に点滴の残骸が積み重なっているのが見えた。
「名前は……朱鷺丸だね。あのトールタイガーや蒼王狼は飼育したものかい?」
「ああ、そうだ。」
「凄いねぇ。あ、葉巻吸っていい?」
「いや、ここ病院でしょ……」
的確にツッコミをすると、医者はケラケラと笑った後、出してた葉巻をポケットに仕舞った。
「医者って名前は?」
ずっと”医者”と言っていたな。
「私はユート・アオヤマだ。ジャッパ王国のアンズモリ医大出身。」
よく分からない大学の名前を言われたけど、なんか凄いんだな……
そもそも大学とかあるんだな、この世界に。
「朱鷺丸はあと一週間で退院出来るよ。茜はもう一ヶ月は掛かるけど。」
一週間か、それだけあれば本調子になれるだろうな。
「車イスいる? 点滴はまだ必要だけど。」
「じゃあ、それを。」
俺はベッドから車イスに移動した後、病院内にあった中庭に移動した。
この病院はかなり大きいんだな。
魔法の練習はしたいが、補給薬が手放せない状態だしな。
中庭に出たはいいが、何をしようか。
廣丸の様子でも見に行こうか。
さて、魔物棟はどこかな。
俺は車イスを操作し、探索しながら魔物棟を探す。
車イスって難しいな。
こんな大変なんだな。
軽く移動して10分ほどで魔物棟を見つけ、中に入る。
「おお、朱鷺丸。大丈夫であったか!」
「俺はあともう少し。茜はもうちょっと掛かるな。凛雪は大丈夫なのか?」
「余は軽い傷で済んだが、廣丸殿の傷は深く斬られていて、まだ不安定だ。」
そうか、かなり心配だ。
「でも確率的には順調に回復するだろうと医者はそう言っていたぞ。」
「あとは回復を待つだけか。」
「うむ。」
更に詳しく聞くと凛雪も一週間ほどで回復出来るらしい。
最初は俺と凛雪が退院して、茜と廣丸はその後と言うことか。
俺は軽く別れを伝えて魔物棟を離れた。
さて、一週間どう過ごすかな。
図書室で過ごすかな、使える魔法を確認するかな。
そう言えば、茜はどこだ?
ユートに聞いていなかったな。
そう考えながら車イスを操作していると、中庭にユートがいた。
しかも葉巻吸ってる。
「本当にいいのかよ。」
「中庭だからいいの。もしかして、吸いたいのか? このブランド品。」
「そもそも俺は怪我人だし、煙草は吸わねぇ。それはブランドなのか?」
「ああ、”閃光”って言う銘柄だ。」
「ほほーん。」
「まったく興味ないんだね。まっ、煙草好きには堪らないけどな。」
「煙草は好かんが、俺は酒は好きだ。」
俺は顔を上げてユートの方を見る。
葉巻を咥えて煙を出したままのユートを。
「いいねぇ、ちなみに好きなのは柑橘系の蒸留酒が好き。」
こいつ、健康状態は大丈夫なのか……
ドキドキ! 異世界質問(設定)コーナー(笑)
No.17 朱鷺丸の好きな寿司ネタ
answer 稲荷寿司




