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12、商売(ビジネス)ですと言われればそれまでですが〜○○商法のお話〜

 このエッセイで取り上げている乙女ゲームは主に商業作品のことですが、商業作品である以上作る側からすれば売れてくれなくてはならないわけで……雑誌などへの広報活動以外にも手を替え品を替え、メーカーは販促に励むのです。

 作品を売るのがお仕事……それもただ売れればいいというわけでなく、できるだけ多く長く売れればなお良しというのはわかります。

 わかりますが、買う側としては『これは最早搾取の域に達してるんじゃね?』と思うこともあったりなかったり。

 今回はそんなメーカーの戦略、○○商法と踊らされるユーザーについてのお話です。



・特典商法


 最近の乙女ゲームではソフトのみの通常版と特典付きの限定版(特装版や豪華版などとも)の二種類発売されるのが当たり前になった感じがします。

 限定版のお値段は通常版に比べて約2000円ほどお高めであることが平均的ですが、限定版の購入者は少なくないです。

 それに加えて店舗特典という各店趣向を凝らした特典も当たり前になりました。

 店舗限定セット(限定版+店舗特典+セット特典)なるものまであります。

 またPCゲームですとメーカー直営のネットショップなどもありますので、そちらで購入しますとメーカー通販特典が付く場合も。

 このように異なる特典がいくつも存在するため友人や伝を頼っても集められない場合は複数購入するユーザーもけっこういます。

 店舗特典は店舗側からのオファーもあるんでしょうが、一人で複数購入するユーザーがいると言うことは販売本数を増やせるのでメーカーとしても利がありますからギブアンドテイクなんでしょうね。

 私の知る限りでは店舗限定セット込みで全ての店舗特典を自費で集めた猛者もいます。

 特典とソフト一本を残して後は布教に使ったそうですが、そんな無茶ができる人は限られてますし、それをした人も毎回やってるわけではないはずです。


 私の場合は複数買いは二本までと決めていますが、滅多にやりません。

 年に1〜2タイトルあればいい方でしょうか。

 二本目はそのタイトルに興味を持ったゲーム友達に中古価格くらいでお譲りしたりしてます。

 限定版も殆ど買いませんね。

 コンシューマの乙女ゲームは学生時代から馴染みの地元ゲームショップで買うのがほとんどなので店舗特典にも拘らないですし。

 PCゲームやBLゲームを買うときだけ店舗特典などの特典重視で選ぶこともありますけど。

 特典内容はドラマCD、SS集、設定資料集辺りが多いでしょうか。

 グッズの場合だと描き下ろし絵のクリアファイルやマウスパッド、タペストリー、ポスターなどもあります。



・FD&続編商法


 ファンディスク、と言うのはそもそも本編が好評かつ反響が大きかったタイトルの恋愛ED後の後日談などを描いたユーザーへの感謝&ご褒美として企画されるオマケ版といったものだったはずですが、それが定着してくるとファンディスクを出すことを前提にしていると思しき作りをしているなあ、と思える作品も無きにしも非ずな今日この頃。

 初報を出した時点での反響などである程度の目安は出せると思いますしね。

 本編の補完的な意味合いでファンディスクを出してるよね……みたいなこともあるんですよ、実際。

 そういうのは本編でやらんでどうする、というファンディスクもありましたから。


 続編は個別の恋愛ED後日談ではなく、ノーマルEDからの派生や誰ともくっつかなかったEDがあったことにして(つまり前作にはないEDをでっちあげてる)新たな物語を描いていることが多いです。

 たまに『後付けだよね、それ』というのが丸わかりな設定とかありますね。

 ここで言う続編というのはヒロイン及び攻略対象が続投であるもののことを指しています。

 攻略対象のみ続投、設定や世界観のみ引き継いだタイトルはシリーズ物という認識ですのでご了承ください。

 続編はテレビアニメで言うところの『好評だから二期やります!』みたいなノリに近いですね。


 本編→ファンディスク→続編、みたいなこともあまりす。

 ファンディスクの内容を踏襲したものにするか、なかったことにするかはタイトルによります。


 本編を楽しんだユーザーにとってはファンディスクや続編は嬉しいものですが、売れるタイトルだからとだらだら蛇足の延長みたいに続けられても……と辟易となり、作品への萌えが萎えてしまうこともあります。

 本編の評価が高いからって、続編もそうなるとは限りませんしね。

 むしろ本編の評価が高いほど続編のハードルは高いですし、続編でガッカリしたタイトルもあるのが現実です。

 萌えが続くうちはメーカーの手のひらの上と思いつつもホイホイされてしまうんですけど。



・移植商法


 人気のあるタイトルではよく行われる移植。

 乙女ゲームに限ったことではなく、ギャルゲーや一般ゲームでも珍しいことではありません。

 PCゲームから家庭用ゲーム機へ。

 据置機から携帯機へ。

 画質や操作性向上を目的に次世代機へ。

 そんな風に。

 携帯機への移植などは気軽にプレイ出来るようになるのでありがたいのですが、物には限度と言うものがあるわけで……

 オリジナルがPS2で発売された後、メーカーの代表作と言えるほど人気のタイトルとなった某作品はファンディスクやスピンオフなどを発売する傍らPSPへの移植を皮切りにDS→PS3→3DSと移植を繰り返しました。

 私自身、今でも好きな作品ではあるのですが、移植はPSPまでで挫折。

 その時点では持っていかなったハードがあったのもありますが、他にも欲しいタイトルがありましたし、基本の内容は同じですしね。

 こうまで移植を繰り返されると公式の売り方に不信感も覚えたので。

 ですが、全てに付き合ったユーザーもやっぱりいるんですよ。


 全部に付き合うことないんじゃないの、と思うなかれ。

 移植には新規要素がお約束なのですよ!

 新エピソードなどのシナリオ追加、追加されたシナリオには新たなCGがついてたりもします。

 時には新たな攻略対象まで(この場合、完全な新キャラなこともありますし、オリジナル版で人気があるのに非攻略対象だったキャラの攻略対象への昇格ということもあります)。


 18禁の乙女ゲームからのコンシューマ移植ですと性行為の描写などはカットされますから、それに見合う差替え恋愛イベントを追加することになります。


 新規の追加要素見たさに、移植版に手を伸ばすユーザーはやはり少なくないんですよ。



・リメイク&完全版商法


 FD・続編や移植に比べると数は多くないですが、リメイク版というのも存在します。

 リメイク版とは絵師さんやシステムを変更したり、シナリオを大幅改稿加筆を加えて作り直されたもののことです。


 有名なところでは歌う王子様たちのアレですね。

 一番初めに発売されたバージョンは人気の絵師さんをキャラデザに迎えたにも関わらず、立ち絵もCGも『デッサンナニソレ美味しいの?背景は異空間ですか?コテコテのアニメ塗りビミョー』な具合で不評でしたが、アニメ化を機に人気に火がつき、ファンディスクから作画の外注先を変えて一作目もリメイクされましたね。


 某老舗乙女ゲームメーカーはパートボイス仕様をフルボイスにして完全版とかいうことをやらかして『だったら最初からフルボイスにしろよ!』とユーザーから総ツッコミされてました。


 真っ当なリメイクの例としては先にも上げた某老舗乙女ゲームメーカーの処女作が二十周年を迎えるのを記念して絵師さんを変更してのリメイク版が発売予定になってます。

 昔の名作を新たに生まれ変わらせるのはいいリメイクだと思いますので、ホイホイされるのも悪くないと思えますね。

 件のリメイク版は私も楽しみにしています。


 またリメイク版には移植に際してリメイクもする、という場合もあったりしますし新規要素の追加もあります。



・派生商法


 乙女ゲームのメディアミックス展開は先ごろ珍しいものではなくなりました。

 ファンブック(攻略本も兼ねてます)やノベライズ・コミカライズなどの関連書籍、ドラマCD、キャラクターソング、アニメ化などなど。

 特にアニメ化はアニメから入った新規のファン獲得にも繋がります。

 二次な創作の場でもアニメ化で一気にジャンル人口が増える光景は乙女ゲーム界隈でもよく見ますね。

 乙女ゲームは男性キャラが多いので、アニメ化するとBL萌えするファンも増えるので棲み分けの大事さを再確認することもしばしば。

 乙女ゲームジャンルにもBL萌えされる方はいらっしゃいますけど、原作が男女の恋愛をテーマにしてる乙女ゲームであることを慮ってかジャンル内での棲み分けを意識されてる謙虚な方が殆どだったのですが、アニメから入ってきた方には棲み分けを気にしない方も見受けられて一時期は殺伐とした空気になったこともあるためアニメ化はユーザーの間では喜ぶ人もいれば、不安しかない人もいます。


 別にユーザーや視聴者が行間を読んでどんな萌えを感じて、どんな妄想をしようとも個人の自由だと思いますが、曲がりなりにも男女の恋愛をテーマにしてる『乙女ゲーム』の公式やアニメ制作サイドが、その方が売れるからという理由であからさまにBL風に狙った売り方をするのはどうかと思うわけですけれども。


 私はBLゲームもしますし、腐女子でもあるのですが乙女ゲームに於いてはヒロイン厨なこともあって『乙女ゲームにBLは混ぜるな、危険』で公式のそういった売り方は正直不快に思うタイプです。


 あとは声優さんをメインにしたイベントや舞台化などもありますね。

 イベントではグッズの物販もあります。

 夏と冬に海沿いで開催される薄い本の即売会でも企業が出展するブースがあり、最近では女性向けゲームメーカーを参戦して限定グッズなどの販売をしています。

 参加者は薄い本を買う以外にも企業ブースに行列してグッズに大枚はたくわけですね。

 最近はコラボカフェなども開催されてますので、ホント散財する理由に事欠きません。



 以上が、メーカーが私たちユーザーに仕掛ける『罠』、もしくは『網』の代表的なところです。


 ゲームだけを楽しむライトな層の方にはそれほどではありませんが、乙女ゲームユーザーは多かれ少なかれ、公式の仕掛けた『罠』或は『網』に自ら突っ込んでいるわけですよ。


 私はそれほど重症ではないですが(FD・続編と移植版、関連書籍くらいなので)、そんな私ですらたまに『財布の中身ヤベェ』と思うくらいです。


 特典のために複数買いは当たり前、FD・続編を含めて関連商品はばっちりゲット、二次な方面にも手を出しつつ、公式でイベントがあればチケット争奪戦に参加して勝利すれば遠方だろうと万難排して赴く……オタク界隈におりますと『このジャンルに破産を迫られてるのかもしれないと思う』的な話をよく聞きますが、乙女ゲームユーザーにもそんな瞬間があるのでございます。

 自ら進んで搾取されにいく……オタクとはまことに業の深い生き物ですね。



 乙女ゲームの世界に転生してくる『主人公』たちは本人がユーザーだったとしたら、はてオタクとしてはどの程度なのか知りたいような気がしてなりません。

 天寿を全うした場合は未練もあまりないのかもしれませんが、そうでない場合の死亡→転生ですと、大好きな世界に転生できた!と単純に喜ぶ主人公はやりこむにしても基本はゲームをプレイするだけでいいという比較的ライトな層なのかなと思ったりしないでもありませんが。

 少なからずディープかつヘビーな要素を持つユーザーなら、まずどれだけ好きでもゲーム自体を二度とリプレイできないし、他のタイトルもプレイできない、様々な派生に触れることもできない……その悔しさにのたうち、煩悩は断ち難く、未練タラタラに煩悶するものだと思いますわ。

 諦念を受け入れるにしても容易いことではないでしょうね。

 かけたお金も時間も半端ないですから。


次は乙女ゲーム的クソゲーのお話です。

来週末に薄い本の即売会が控えてるので、次回更新はそれが終わってからになる予定です。

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