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最強のVRMMOプレイヤーは、ウチの飼い猫でした ~ボクだけペットの言葉がわかる~  作者: 椎名 富比路
第三章 大家さんと三毛猫が、参戦

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第21話 たとえペットと言葉が通じなくても

 バグを除去したら、ビビが話せるようになった。


 しかし、同じようにバグを取り除いたベルさんは、ペットと会話できるわけじゃない。

 

 どういうことなんだろう?

 バグが原因じゃない?


 でも、ビビが話せるようになったのは、明らかにバグが原因だろう。


「あの、ベルさん。聞いてもいいですか?」


「なにかしら、ケント?」


「もし、このP(ペット)R(ラン)F(ファクトリー)になんらかの作用が働いて、ペットとお話ができるようになったら、どう思いますか?」


 一度、みんなにも聞いてみたかったことだ。


 ペットと話せるようになったら、うれしいのかなって。


「唐突ね……うーん。このゲームにそんな作用があるとは、思えないわね」


 アゴに手を当てて、ベルさんは考え込む。


「どうして、そんなことを聞くの?」


「そこまで深刻な問題ではなく、ただ聞いてみただけでして」


 実際はそうだ。


 ペットと会話できるようになったら、ペットに対する感情が変わってしまうのかどうか。


「そうねえ。お話ができるのはいいことよ。どこか体調が悪いときとか、具体的に知ることができるから。何が食べたいとか」


「わかります」


「ただ、恒久的に話せるようになってくれないと困るってことは、思ったことはないわね。傲慢かもしれないけど、ナインとは通じ合っていると思いたいから」


「……はい」


 ボクも、同じ気持ちだ。


 たとえ話が通じなくても、ビビが大切な家族であることは変わらない。


 自然と、ボクはビビを撫でていた。


「だから、ナインが話せるようになってくれたら楽しいでしょうけど、会話できないからって愛情に変化は生じないと思うのよね」


「わかるー」


 トワさんも、同じ意見のようだ。


「すしおの思うことは、たいていは態度でわかるからー」


 ずっしり重そうな巨体のすしおくんを、トワさんは軽々と抱きかかえる。


「今は、おなかすいたーって言ってるかなー?」


 すしおくんは、トワさんに甘えていた。お腹も鳴っているけど。とにかく、トワさんと一緒ならいいって感じみたい。ゲームに対しても、トワさんが楽しそうにしているから、付き合っているんだろう。

 

「いっしょに遊びたいって思っていたけど、すしおも同じように思ってくれていたんだなって、今日は感じられたなー」


「そうですね」


 トワさんのためにバグを一生懸命探していたし。


「だよねー。ペットだって生きて、考えているんだなーって思う」


「はい」


 ボクは改めて、ビビを大切に思う。


 能力が低かろうが、見た目が特異だとか、そんなことで愛情は減らない。


 ペットは、家族だ。


「とにかく、バグは除去できたわ。進みましょうか」



 ボクたちは、ボス部屋に踏み込む。


 その瞬間、ナインくんが先頭に立つ。クナイで、何者かからの攻撃を弾き飛ばした。


「なにごと、ナイン!?」


「ベルさん。ボスが、攻撃してきました!」


 現れたボスは、ワイバーンだ。


 こんな地下の鉱山に、空を飛ぶ敵がいるとは。


「なんかねー。『強すぎて鉱山に封印されていたドラゴンが、体の一部をちぎって生み出した部下』って説明があるねー」


 割と本格的なヤツだ!


 やっぱりこのゲームに出てくる魔物って、ある程度は殺意が高いのかも。攻撃性を高めることによって、プレイヤーの罪悪感を解消してくれているのだろう。


 ワイバーンは上空から、火の玉を吐く。


 またナインくんが、火球を斬り捨てた。

 

「くらいなさい!」

 

 ベルさんが、拳銃を構えて発砲する。


 だが、銃弾は全然違う方向へ。


「どういうこと!?」


 火球を避けつつ、もう一度ベルさんが銃弾を放つ。


 しかし、結果は同じだった。


「なにか強力な磁場でも、働いているの!?」


 その可能性は、あるかも。


 鉱山などの山々は、砂鉄なども含む。


 ワイバーンはその作用を操って、自分に攻撃が向かないようにしているのだろう。


「どう見る、ビビ?」

 

『あいつ、そこまで頭がよくないニャー』


 あっさりと、ビビはボクの推理を否定した。


 利口ではあるが、ゲームのシステムまで利用するような頭はないという。

 


「危ない!」


 トワさんとすしおくんで、ベルさんの前に強力な障壁を作った。

 

「ありがとう。トワ。すしおも!」


「いえいえー。ウチらの攻撃は、当たらないみたいだからねー」


 トワさんもすしおくんも、土魔法の使い手だ。


 空を飛んでいるワイバーンに攻撃を当てられていない。


「新しい技を、習得しちゃおうかな。【気弾】!」


 トワさんは、手から魔力弾を作り出した。ハンマーをスイングして、バットのように打ち出す。


「かっきーん」


 ワイバーンの火球を突き抜けて、敵のアゴをかすめた。


 ダメージこそ、たいして与えられていない。


 しかし、気弾は火球に効果絶大のようだ。


 ナインくんの負担を減らせる。


「弱点とかつければ、いいんだけど」

 

『見た感じだけでは、弱点らしきところは見当たらないニャ。でも、あいつはあいつなりに苦しんでいるみたいニャー』


 ワイバーンの放つ火球を避けながら、ビビはそう分析した。


「苦しんでる?」


 ボクは、ワイバーンを観察してみた。

 

 ジジ、ジジ、と、翼や背中にモザイクが。

 さっきの攻撃で、多少ダメージが可視化されてきたか。


 わかったぞ。 


「そうか、あのボスがバグの原因なんだ!」

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