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最底辺のクズですが、二度寝がしたいので「神の再来」を演じることにしました ~不純な動機で祈ったら全人類に号泣され、世界教皇への退路が物理的に断たれた件~  作者: 朝比奈ミナ
第2章 天界丸投げ・神々との勘違い対決編

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第12話:天界のゴミ問題を「全焼却(物理)」で解決しようとしたら、地獄の業火が浄化の光に変わった件

天界。そこは雲の上にある黄金の都……かと思いきや、実態は「超巨大な役所」だった。


「ああ、もう無理。この『来世の割り振り申請書』、あと三万通もあるよ……」

「こっちの『運命の糸の絡まり修正』も、百年待ちだ。誰だよ、一晩で三回も婚約破棄した令嬢は。因果律がぐちゃぐちゃじゃないか」


 目の前に広がるのは、雲を突き抜け、宇宙の果てまで届きそうな「書類の山」。

 そこでは、後光の差した神様たちが、死んだ魚の目(私とお揃いね!)で羽ペンを走らせていた。


(……地獄。ここ、地獄だわ。人間界よりブラックじゃない)


 アステリオスが開いた光の階段を登りきった私が目にしたのは、神々の絶望だった。

 案内役の「お昼寝の神(の親戚)」が、私の前でまた号泣し始める。


「リリアーヌ殿……見ての通りだ。我ら神々は、地上から届く膨大な『願い事』の処理に追われ、ここ数千年はまともにお昼寝もできていない。……助けてくれ。君なら、この運命の停滞を打破できるはずだ!」


(……知らん。勝手に残業してろ。っていうか、こんな紙の山があるから部屋が狭いのよ。寝る場所もないじゃない)


 私は、部屋の隅にある「まだ未処理の運命(書類)」の山を蹴飛ばした。

 足に当たって痛い。イライラが頂点に達した私は、近くにあった『業火の神』の祭壇で燃え盛る聖火を指差して、吐き捨てるように言った。


「……あー、もう。うるさい。……こんなの、全部燃やしちゃえばいいじゃない。ゴミはゴミ箱へ。……火をつけなさいよ。跡形もなく、綺麗さっぱり消しちゃってよ」


 本音である。

 「仕事の山なんて見てるだけでストレス。全部燃やして証拠隠滅すれば、仕事そのものがなくなるでしょ。私は寝るから、お前らもさっさと帰れ」という意味だ。


 だが、その瞬間。

 天界の空気が、パキィィィィィン!! と凍りついた。


「…………ッ!! な、……なんてことを……!!」


 業火の神が、松明を落として震えだした。


「……『全部燃やせ』……!? 聖女様、貴女は……この数万年分の『執着』と『カルマ』が詰まった運命の書を、浄化の炎で焼き尽くせとおっしゃるのか!? 過去の因縁に縛られるのではなく、今この瞬間に『ゼロ』に戻せと……!?」


「え、いや、ただの紙ゴミだし――」


「素晴らしい!!」


 賢者メイメイが、私の背後で狂喜乱舞した。


「リリアーヌ様は、『記録』という概念そのものが、人類の進化を妨げていると見抜かれたのよ! 燃やすことで、その魔力エネルギーを宇宙に還元し、新たな『全自動・運命生成システム』を再構築せよという、神の断捨離ログ・リセットだわ!!」


「なるほど……!!」


 セレナが、燃え盛る書類の山を背景に、神々しくペンを走らせる。


「『ゴミはゴミ箱へ(=地獄へ)』! 『火をつけろ(=魂の再点火)』! つまり、不必要な運命は地獄の業火で精製し、純粋な希望の光へと変えろというのですね!!」


 アステリオスが私の指示に従い、青い冷気と聖火を混ぜ合わせ、巨大な「浄化の火柱」を書類の山に放った。


 ゴオォォォォォォォォッ!!


 天界を埋め尽くしていた書類が、一瞬で炎に包まれる。

 普通なら大惨事だが、不思議なことに、灰は一欠片も出なかった。

 代わりに、書類に書かれていた「人々の願い」が、キラキラとした光の粒となって空へ昇り、勝手に適切な「運命」へと形を変えて、地上へと降り注いでいったのだ。


「……奇跡だ。……停滞していた数万年の運命が、一瞬で自動処理されていく……」


 神様たちが、口をあんぐりと開けて空を見上げる。


「我々が一生懸命書いていたのは何だったんだ……。聖女様が放った一言……『ゴミはゴミ箱へ』。これこそが、宇宙のデータベースを整理する最強のコマンドだったのか……!」


「「「「聖女リリアーヌ様ーーーッ!!」」」」


 天界中の神々が、一斉に私に向かって跪いた。


「……おかげで、今日から神々も週休五日、定時退社が可能になります!! 貴女こそ、天界の労働組合……もとい、最高経営責任者(CEO)です!!」


(……は? CEO? 役職、増えてるじゃない!!)


 私は、あまりの事態に、持ってきた冷感枕を全力で床に叩きつけた。


「……ふざけないで!! 私は、お昼寝がしたいだけなの!! なんで天界の効率化なんてしなきゃいけないのよ!!」


(本音:仕事がなくなったなら、お前らが働け。私はその間に寝るんだから!)


 しかし。

 神様たちは、私の「怒り」を浴びて、うっとりと目を細めた。


「……おおお! 『お昼寝がしたい(=全宇宙を平穏へと導け)』という、至高の経営理念……! 神々が忙しく働いているうちは、地上もバタバタと落ち着かない。神が寝ていられるほど平和な世界を、たった一日の焼却作業で作ってしまわれた……!」


「流石です、リリアーヌ様!! 『ふざけないで(=甘えるな)』という叱咤激励、胸に刻みましたわ!!」


(……もう、誰でもいいから、この『高評価の呪い』を解いて……)


 こうして、リリアーヌは天界の事務作業を一掃し、神々から「効率化の神」として崇められることになった。

 彼女が望んだ「静かな時間」は、今度は「全宇宙の神々が彼女の寝顔を拝みに来る」という新たな巡礼イベントによって、再び失われていくのだが――。


 リリアーヌは、真っ白になった天界のオフィスで、「……あ、ここなら床暖房が効いてて、よく眠れそう」と、またしても一瞬で現実逃避の夢へと落ちていくのであった。

第12話をお読みいただき、ありがとうございます!朝比奈ミナです。


「面倒だから全部燃やせ」という、まさにクズの極みのような発想が、

「宇宙規模のデータベース最適化」という神業に変換されてしまいました。

リリアーヌはただ証拠隠滅をしたかっただけなのに、

結果として全宇宙の運命がスムーズに回り出し、神々に休暇を与えてしまいました。


・リリアーヌ:書類が邪魔。燃やして消せ。

・神々:過去の執着を断ち切る浄化の儀式だ!

・全宇宙:運命がオートメーション化されて超快適!


本人が望む「ニート生活」は、彼女が有能すぎる(と誤解されている)せいで、

どんどん「神の領域」へとステージを上げていきます。


「ゴミはゴミ箱への解釈が天才すぎて吹いた」

「天界のCEO就任おめでとう(笑)」

と思われた方は、ぜひ【ブックマーク】と【評価】をお願いします!


次回、暇になった神様たちが、お礼としてリリアーヌに

「究極のバカンス用・個人天界プライベート・ユニバース」をプレゼント。

……しかし、そこは「神様たちが捨てた欲求」が具現化した、

別の意味でヤバい世界で!?

お楽しみに!


あと数話で完結となりますが、

明日からは1日1話の投稿予定です。

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